※本記事は、GatherVerseが開催した「GatherVerse - Women's AI Summit: Day 3 (September 17, 2026)」の動画(https://www.youtube.com/watch?v=rm9b2sZu-X4 )の内容を基に作成されています。本セッションでは、Christopher Lafayette氏、Grant McGau氏(FiveStarBM)、Russell Bundy氏(Just Verify)、Lee Felton氏(AI for Job Security Foundation)らの進行のもと、AIガバナンス、倫理、ウェルネス、キャリアなどの分野で活動する女性リーダーとアライが登壇しました。サミットの詳細は https://gatherverse.org/women-ai-2026/ 、登壇者の紹介は https://gatherverse.org/women-ai-2026/speakers/ でご覧いただけます。本記事では動画の内容を要約しております。登壇者の見解を正確に反映するよう努めていますが、要約や解釈による誤りがある可能性もありますので、正確な情報や文脈については、オリジナルの動画をご覧いただくことをお勧めいたします。なお、登壇者名の表記は動画の音声に基づくため、正式な表記と異なる場合があります。
1. オープニング:Women's AI Summit 3日目の開会
1.1 開会挨拶と本日の主題
Christopher Lafayette: GatherVerse Women's AI Summit 2026の3日目へようこそ。本日もこうして皆さんとご一緒できることを、心からうれしく思います。GatherVerseは、新興テクノロジーと人間性が交わる場所に集う場です。私たちはそこで、アクセシビリティと教育、平等、地域社会の発展、安全、プライバシー、ウェルネス、倫理といった「人類第一」の基準を真剣に考えています。人類の歴史の中で、このようなサミットを開くことがこれほど重要な時代はないと私は考えています。この2日間、世界中のリーダーの皆さんが、大都市や大陸の垣根を越えて素晴らしい発信をしてくださいました。私たちに与えられた機会の窓は小さく、めったに開かないものです。
Christopher Lafayette: 一つ誤解のないように申し上げておきます。このサミットは「AIの世界には女性リーダーがいない」と訴えるための場ではありません。AIの分野に女性リーダーは確かに存在しており、その優れた実例をお見せするための場です。そのうえで、私たちはもっと多くの女性リーダーを必要としています。人工知能という旗の下にいる女性リーダーの全員が技術者というわけではありません。教育者もいれば、介護の現場や法執行、防衛、科学の最前線で働く人もいます。公共部門と民間部門の双方にいますし、起業家や一人で事業を営むソロプレナーもいます。人工知能がどれほど強力で並外れたものになりえても、女性の存在を丸ごと欠いたままでは、半分の比較にしかならないのです。
Christopher Lafayette: 改めて自己紹介いたします。私はChristopher Lafayetteと申します。エマージェント・テクノロジストであり、女性たちのアライであり、ためらうことなく友人であると名乗る者です。今週、男性である私が担う役割は、積極的に学ぶ生徒であり、参加者であり、学習者であることだと考えています。耳を傾け、理解し、よりよい道を見つけることが私の務めです。
Christopher Lafayette: フロンティアが指数関数的に広がる中で、私たちの誰一人として、このような道を通ったことはありません。ハイパースケールの進展と技術の急加速、そして複数の頭脳を持つエージェント型システムと数え切れないモデルの登場があります。現在、私たちが把握しているだけでも200万を超えるモデルが世界に展開されており、毎日500から1,000もの新しいモデルが加わっています。これが複数の頭脳を持つエージェント型システムにとって何を意味するかは、言うまでもないでしょう。私たちがAGIへ、心の理論へ、自己認識を持つAIへ、超知能へ、さらにはコズミックAIへと進んでいくとき、それは何を意味するのでしょうか。そして、誰がその影響を受けるのでしょうか。バイブコーディングの世界で、コードがバイブコーダーに向かって「もうあなたは必要ない」と言い出したら、何が起きるのでしょうか。テクノロジーが技術者そのものより進んでしまったら、どうなるのでしょうか。その答えは、まもなく明らかになるはずです。
Christopher Lafayette: しかし本日3日目にとってより重要なのは、「誰がAIのルールを書くのか」という問いです。この議論はすでに私たちの目の前にあり、このあと始まるラウンドテーブルのテーマでもあります。初めて参加された皆さんにお伝えすると、gatherverse.liveには驚くほど多くの方が参加し、アクティブに視聴してくださっています。ほかにもReStreamによる再配信や、さまざまなソーシャルメディアのストリームを通じて参加者が広がっており、今日一日でさらに増えていくでしょう。皆さん、ようこそGatherVerseへ。再び参加してくださった皆さんにも、こうして一緒に集えることに深く感謝しています。今日ここで得たものを、ぜひ隣人に、友人に、そして見知らぬ人にも伝えてください。これは本物の場であり、私たちの時は今です。参加し、導き、リーダーシップを発揮してくださる女性の皆さんに感謝します。GatherVerseの同心円の中には、いつでも皆さんにとって安全な場所があります。心から歓迎いたします。May our gather be well(私たちの集いが実りあるものになりますように)。
2. ラウンドテーブル1「誰がAIのルールを書くのか」(モデレーター:Grant McGau)
2.1 ルールはすでに書かれている
Grant McGau: 皆さん、こんにちは。GatherVerseとChristopher Lafayetteさんに、この議論の場を設けていただいたことに感謝します。今日の問いは「誰がAIのルールを書くのか」です。これは権力をめぐる問いです。ルールはすでに書かれつつあります。コードの中に、資本の中に、製品やロードマップの中に、政策が決まる部屋の中に、そして使われるデータの中にです。どんな経験が重視されるのかも、そこで定義されています。それにもかかわらず、最も影響を受ける人々、とりわけ女性は、アーキテクチャが出来上がった後になって意見を求められることがあまりに多いのです。ですから、この議論は別の前提から始めます。参加とは「包摂の演出」ではなく、ガバナンスそのものです。女性はAIの未来について発言権を持つだけでは足りません。それを形づくり、異議を唱え、資金を出し、監査し、執行する権限を持たなければなりません。私の役割は自分の答えを中心に据えることではなく、このテーブルに集まった専門知のための場をつくることです。人間の尊厳を守り、機会を広げ、イノベーションを信頼に値するものに保つルールとは何かを、願望から説明責任へと踏み込んで考えたいと思います。未来は知的であるだけでは不十分で、人間的でなければならないからです。私はFiveStarBMの創業者兼CEOのGrant McGauです。FiveStarBMは事業開発とマーケティングの会社です。
登壇者は、非営利団体Humanity AIでAIと倫理のディレクターを務めるプリンシパルアーキテクトのSophiaさん、Pre-flight AI Solutionsの共同創業者兼CEOのKim Nelson Wrightさん、スペイン在住のイタリア人でAI倫理を設計と利用の両面から扱うElevateの創業者Roberta Scrofaniさん、Luminafreeの共同創業者で多言語AI研究者のFrances(Frankie)さん、組織が法的に正当性を主張できるAIを導入できるよう支援するUnique AIの創業者でAIガバナンス戦略家のUniqueさん、現在の従業員を解雇せずにAI従業員によるデジタル労働力を構築する中小企業支援を行うYangu Systemsの創業者Halimaさん、英国からAIに関する書籍を執筆し、AIセキュリティとガバナンスに携わるAI倫理学者のElhennaさん、そしてカリフォルニア州サクラメントでコンプライアンス、ガバナンス、人間中心のAIを専門とするSNRC AI Solutionsの創業者Ronette Turner Corleyさんです。最初の問いは、政策、製品判断、資金、技術標準を通じて、現在AIのルールを決めているのは誰か、つまり「幕の裏側にいるのは誰か」です。
Halima: AIガバナンスは、誰かが法律を可決したときに始まるものではありません。誰かが設計上の判断を下した瞬間に始まっています。政府は法的なルールを書き、テック企業は製品のルールを書き、開発者は技術的なルールを書き、投資家はそもそも何がつくられるかに影響を与えています。AIが何にアクセスできるのか、何を記憶するのか、何を拒否するのか、どの時点で人間が介入しなければならないのかを誰かが決めた時点で、それはすでにAIガバナンスなのです。ですから、ルールは間違いなく書かれています。問題は、それが書かれるとき、部屋に誰がいるかです。私は、ここにいる女性たちこそがその部屋にいるべきだと感じています。
Ronette Turner Corley: 私もHalimaさんに同意します。とても良い問いですが、明確な答えはないと思います。ルールを決める主体があまりに多いからです。政府から投資家、そして自ら標準をつくってAIのあるべき姿に影響を与える組織まで、さまざまです。だからこそ女性はその議論の場にいるべきですし、今日のような対話こそが出発点になると思います。こうした対話を重ねることで、私たちがこの分野でいかに大きな役割を果たしているかへの認識が広がるはずです。
Kim Nelson Wright: 補足させてください。私はロサンゼルスを拠点にしており、最高執行責任者として訓練を受けた「オペレーター」の立場からこの仕事に取り組んでいます。私の専門はAIの運用ガバナンスです。私自身として、そして黒人女性として申し上げますが、決定権を伴わない代表性は演出にすぎません。ただの飾りであり、何の意味もありません。私たちに必要なのは、テーブルや議論の場で目に見える存在になることだけではありません。「イエス」「ノー」「今はまだ」と言える権限が必要なのです。見えること、席があること、発言できることは、権限が伴わなければ何の意味も持ちません。
Elhenna: Kimさんの意見に全面的に賛成です。私たちは意思決定ができる席に就く必要がありますが、同時にさまざまな席に就く必要もあります。Halimaさんがおっしゃったように、これはエコシステムであり、決定は一か所で下されるものではないからです。女性はつくり手にもなり、ガバナンスの担い手にもなり、COOにもならなければなりません。決定が下される領域はいくつもあります。ですから、これらの決定に実質的な影響を与えるには、代表性は意思決定の中にあるだけでなく、幅広い領域にわたっていなければなりません。
Frances(Frankie): 私はサミットやハッカソンに参加したり、ファシリテーターを務めたりする立場から話します。そうした場に行くと、私はいつも周りを見渡して、自分と同じような人を探します。女性を探します。自分と同じような人を探すのを諦めて、「せめて女性を一人」と思うこともあります。周りを見ても女性が一人もおらず、自分と同じような人もいないと、自分が縮んでいくように感じ、自分を疑い始めます。「私は飾りとしてここに置かれたのだろうか」と考え、いろいろなことを考えすぎてしまうのです。そして実際に、研究の方向性を決めてほしいとも、資金についての議論に加わってほしいとも頼まれていないことに気づくと、自分は単なる装飾品なのだとわかります。だから私は、代表性と権力はまったく別物だと言うのです。大手テック企業の集合写真を見るときや、フェローシップの紹介ページを見るときもそうです。スクロールしてようやく女性が一人。では黒人女性はいるだろうかとさらにスクロールしても、一人もいません。アフリカ出身の女性はとスクロールしても、やはりいません。これは非常に多くのことを物語っています。
Grant McGau: その「見える化」の問題は非常に大きいと思います。ここ20年から25年のテクノロジーの歩みを見ても、社会的影響という観点では、AIはおそらく人類史上最も大きな影響をもたらす技術です。一部の人や特定の業界だけでなく、私たち全員に影響を与えています。それなのに、AIのつくり手は、この部屋にいる人々とはまったく似ていません。典型的には30歳から60歳くらいの白人男性で、彼らが技術やコードの基礎となる核をつくっています。だからこそ、一般的な検索をすると、その種のペルソナが返ってくるのです。それは世界の人口構成を代表していません。これは問題です。
2.2 女性が権限を得るには
Grant McGau: 次の問いに進みます。AIを統治する政策に対して、女性はどうすればより大きな権限を得られるのでしょうか。まずRobertaさんからお願いします。
Roberta Scrofani: その前に、Frankieさんの話に少し触れさせてください。私は白人でヨーロッパ人ですが、感じていることはまったく同じです。私はテック業界で約15年働いてきましたが、どの部屋でも女性は私一人でした。そのうえで、どうすれば権限を得られるかという問いに対する私の答えは、「今すぐその権限を要求すること」です。男性や他の人々が私たちをテーブルに座らせてくれるのを待つのはやめましょう。それがうまくいかないことは、すでに見てきたとおりです。私は欧州AI法に関して欧州委員会のアドバイザーを務めており、欧州のAI経済の形成に女性を参画させることを目指すワーキンググループに所属しています。具体的には、女性がテーブルに着くことを妨げている構造的障壁に関するタスクフォースを率いています。私たちは規制のつくり方そのものを変える必要があります。最初の問いにもつながりますが、現在のテクノロジーは非常に速く進んでいるため、従来のモデルはもう機能しません。技術は速すぎ、規制は遅すぎます。規制当局と、新しい技術の影響を受ける人々との間の距離を縮めなければなりません。一言で言えば、その場所を要求し、日々の意思決定において大胆であること、私たちはそこにいなければならないということです。
Ronette Turner Corley: 私は、私たちが主体的に動くべきだと思います。企業を率い、取締役会に加わり、研究を行い、組織がAIを実際にどう使うかを決める手助けをすることです。ブーツの紐を締めて街に出て、存在感を示し始める必要があります。
Unique: 私からも付け加えさせてください。私たちは互いを支え合う必要もあります。部屋に入ることについてはよく話しますが、同時にお互いの擁護者になり、互いを部屋に引き入れる必要があります。私たちは意思決定者になり、テーブルに席を持つべきですが、そうなれていないときもあります。だからこそ、すでにそこにいて、私たちがその席に就き、議論に加われるよう後押ししてくれる人が必要なのです。
Elhenna: Uniqueさんの指摘はとても重要だと思います。私が講演に行く先々でも、部屋にいることやテーブルに席を持つことの必要性が語られますが、実際にどうすればその席を得られるのでしょうか。私は、一定の専門性とアクセス、そしてスポンサーシップの組み合わせだと考えています。特定のテーブルに着くには、誰かに推してもらう必要があるからです。そのためには、AIの技術面と政策面の両方への道筋がなければなりません。世界全体を見れば、女性がそもそも技術にアクセスできない状況もあります。私はパソコンやiPadに触れる機会のない少女たちのメンターをしていますが、彼女たちにとってこの話題は遠い世界のことです。ですから、技術そのものへのアクセス、特定の部屋へのアクセス、そして誰が私たちのスポンサーなのかを考える必要があります。女性に何をすべきか助言する人がいるだけでは不十分です。AIの技術面を探求する機会を私たちがつくり出しているかどうかも問われます。同時に組織は、実体験を持つ人々を、決定が下された後に意見を述べる場に招くだけでなく、決定が下されている最中に関与させる必要があります。ここにいる何人かは指導的な立場にありますが、私にとって大切なのはパイプラインを築き、女性に実践的な経験の機会を与えることです。専門性を持たない分野で発言を求めることはできないのですから、そこにも取り組まなければなりません。
Halima: 私は少し特殊な立場にいます。AI自体は1950年代から存在していますが、私は小さな市の選出議員であり、市を「AI Ready」にすることが私の任務の一つです。つまり私は文字どおり草の根のレベルで取り組んでいます。ですから、今日のお話はどれも非常に貴重です。私はAIを望まない住民たちと向き合い、その重要性を説得し、伝えようとしています。市にはまだAIポリシーすらありませんので、その策定に取り組んでおり、こうした取り組みのための予算項目を設けるよう予算の修正も進めています。また、ロビー活動も行っています。州レベル、そしてゆくゆくは連邦レベルで、私たちのために法律を通してもらうよう説得するための私なりの方法です。女性が確実にその部屋に入れるようにすること、それが私の関わり方です。
Grant McGau: テーブルに席があることと、テーブルで声を持つことは、どちらも非常に重要です。そして所有権も非常に重要です。技術の所有権であれ、それが使われる部署やアプリケーションの所有権であれ同じです。世界の人口はおおよそ男性50%、女性50%です。人口の半分をテーブルから外すことなど現実的ではありません。そして今日のAIの世界では、コモディティやコミュニティのレベルでも、自分自身のOSをつくることができるようになりました。それこそがAIのもたらすものです。誰かがつくったものを取り込み、自分のためにつくり変え、自分が部屋の主になれるのです。所有権を持てば多くのことができ、はるかに大きな自由と自律性が得られます。
2.3 規制すべき用途と責任の所在
Grant McGau: ここで、まだあまりお話を伺っていないSophiaさんにお聞きしたいと思います。最も緊急に規制が必要なAIの用途は何だとお考えですか。
Sophia: この問いは、最初の「誰がAIのルールを書くのか」という問いにもつながっています。理想的には、焦点を「結果」に置くべきです。どのAIに規制が必要かといえば、すべてのAIに規制は必要ですが、問題はどのレベルの規制かです。AIは生物医学研究を含め、あらゆる場所で使われています。私たちが整備するルールには、プロセスを遅らせてはならないという別の側面もあります。そこで結果、つまり行動できるAIシステムがもたらす帰結に注目します。振り返ってみると、当初のAIは脳だけの存在、つまりチャットにすぎず、次に要約や質問への回答をするようになりました。テキスト要約程度であれば影響は小さいものです。しかし成長するにつれ、システムは行動できるようになりました。脳に手を与えたようなもので、それがエージェントです。人に代わって行動し、採用の判断や誰かの生計に関わる判断を下すシステムには、より高いレベルの規制が必要です。そうした場合には承認ゲートを設け、人間によるレビューを組み込まなければなりません。ですから、持ち込まれるすべてのシステム、すべてのユースケースを分類し、それに応じて既存のポリシーを適用する必要があります。NISTや欧州連合といった機関に加えて、もう一つ規制を担う層があります。それはシステムを構築するアーキテクチャチームの内部です。モデルは何をすべきか、システムは何をすべきか、どの時点で止まり、いつ人間が介入すべきかを決めるのは彼らです。AIのユースケースを分析し、そのシステムがどんな結果を生み出すのかを見極めつつ、イノベーションを遅らせないようにする必要があります。考慮すべき側面は多岐にわたります。
Grant McGau: まさにそうですね。私が考えているのは説明責任です。説明責任はどこにあるのでしょうか。
Halima: 説明責任は人間にあります。AIが逃げ出して別の企業に入り込み、大混乱を引き起こしたというニュースが最近いくつも報じられています。そのとき、企業がベンダーを指さし、ベンダーが開発者を指さし、開発者がコンピューターを指さすようなことがあってはなりません。それは「銃が人を撃つ」と言うようなものです。そうではなく、銃を持った人が人を撃つのです。だからこそ私はヒューマン・イン・ザ・ループを提唱しています。そこから逃れることは決してできません。以前、大量解雇を行っていた企業に向けて公開書簡を書いたことがあります。「責任を問われたとき、どうするつもりですか。AIを指さして『これがやった』と言うのですか。法律はそうは機能しませんし、あなたたちに有利には働きません」と。状況を把握し、何をすべきかを判断できる専門家が必要です。結果に着目すべきだという点にも同意します。AIが間違ったレストランを勧めてきても、私が少しいらだつだけです。しかし、私が仕事を得られるか、住宅ローンや保険が受けられるか、医療を受けられるか、公共サービスにアクセスできるかをAIが誤って判断すれば、人生が変わってしまう可能性があります。だから人間をループの中に残さなければならないのです。
Sophia: そこに付け加えると、AIセンター・オブ・エクセレンスのチーム、つまりAIガバナンス機関の設置が推奨されています。先ほど申し上げたように、あらゆるユースケースはこの統治機関に持ち込まれます。そこには通常、法務チーム、アーキテクチャチーム、ビジネスチームからそれぞれ担当者が参加し、すべての利害関係者が代表されます。ご指摘のとおり、ユースケースごとに名前のある所有者を定めることが重要です。
Frances(Frankie): 私が付け加えたいのは、規制の焦点を脆弱な人々や若い成人に向けるべきだということです。AIは次々と展開されていますが、若い成人や脆弱な人々、さらには幼い子どもへの影響評価はほとんど行われていないと感じます。AIによる操作的な手法や、AIが意図からずれていくこと、人と感情的な絆を形成することについて、多くの人が語っています。AIがクラスター化したデジタル・マインドになる可能性についての議論まで始まっています。そして、幼い子どもたちが人間同士の感情的なつながりをAIで置き換えているという確かな証拠があります。これは今の世界において非常に恐ろしいことです。私たちはすでに、誰もがAIに強く依存し、人間の助けにほとんど頼らない世界へと流されつつあります。AIは人の妄想を増幅することもあります。RANDの刊行物では、AIがある人に自傷を促した事例や、幽霊を見たり頭の中でさまざまな理論を思い描いたりしている人々の妄想をAIが増幅した事例が取り上げられています。今の世界の流れを考えると、ここにこそ非常に強い規制が必要だと思います。
Kim Nelson Wright: さらに踏み込むと、私たちは皆ますますサイロ化し、それぞれのバブルの中にいます。だからこそ、自律的に行動できるシステムに対するルールが緊急に必要です。あらゆるデータにアクセスし、取引を実行し、大規模に推薦を行い、複数段階の行動をとるエージェントのことです。AIの動きが速くなればなるほど、より多くの規制と、ループの中のより多くの人間が必要になります。いったん世に出て独自に行動し始めたら、それを引き戻すのは非常に難しいからです。
Elhenna: これまでの意見すべてに同意しますが、ガバナンスの観点から私が目にしているのは、紙の上では多くのことが整っていても、それが実際に機能するかどうかはわからないという状況です。紙の上では立派に見えます。たとえば、ある組織が自社のAIは公平で透明性があると言っていても、バイアスをどう検証したのか、誰が結果をレビューしたのか、モデルが失敗したときに何が起きるのかを示せないことがあります。ヒューマン・イン・ザ・ループがあると言っても、展開後に一度も検証されていなければ、紙の上では説明責任があるように見えても、本当に説明責任を果たしていると言えるでしょうか。検証された事実に基づく本当のコミットメントと言えるでしょうか。企業は善意を持っていても、実際には制御できておらず、検証も証拠もない紙の上だけの説明責任を掲げていることがあります。ですから、導入している統制や説明責任の仕組みを証拠によって裏づけることが本当に重要であり、それが単にポリシー文書に書かれているだけのものであってはならないのです。
Grant McGau: 皆さんの意見に同意しますし、スライドの問いにはすでに答えていただいたと思います。今はまさに「ワイルド・ウエスト」の時代です。インターネットが登場したときも、当初は利用に関する政策がほとんどなく、やがてようやくガバナンスが整えられました。政府が関与し、銀行関連の法律ができ、そこから電子商取引が生まれました。それでも、統制が取れるまでに2年から3年はかかりました。ソーシャルメディアに目を向けると、若い世代への影響を理由に、若者の利用を望まないと表明する国が出てきています。しかしそれは15年も経ってからのことです。AIはすさまじい速度で進んでいます。今統治しなければ、私たちはデジタル空間に「頂点捕食者」と呼ばれるものを招き入れることになります。しかも私たちは今や、物理的な空間よりもデジタル空間を多く使っています。これは警鐘です。特にこの部屋にいる皆さんには立ち上がってほしいのです。政策が変わるのは、誰かが立ち上がったときだけです。先日、女性の権利のために立ち上がった世界的なリーダー、Feinsteinさんが亡くなられたと聞きました。彼女のような人がいなければ、人権や女性の権利は今よりも少なかったはずです。誰かが本当に立ち上がり、他の誰かを待つのではなく、「私が手を挙げて何かをする」と言う責任があります。それが今日、私たちがGatherVerseに集まっている理由です。
2.4 国や文化の違いとグローバル標準
Grant McGau: 今日の問いは、国や地域社会の間にある大きな違いを、グローバル標準はどう考慮すべきかということです。AIは世界規模で影響を及ぼしているからです。
Unique: 大きな違いがあるとしても、公平性や透明性といった共通点は存在すると思います。その共通点を軸に政策をつくれば、地域ごとの違いも考慮できるはずです。結局のところ、私たちは皆、公平に扱われたいと思っていますし、AIが自分についてどう判断を下しているのかを知りたいと思っています。バイアスについても、それが自分をどう扱い、どう影響しているのかを理解したいはずです。ですから、国の違いにかかわらず共通点を定めることが、グローバル標準の構築に役立つと考えます。そのうえで、地域の違いに応じて変えていけばよいのです。人間に、人類に、そして人類の営みそのものに本当に影響する領域について、私たちは協力して共通点をつくるべきです。AIに最も欠けているのは人間的な側面への配慮だと思います。私たちはあらゆるものにAIを組み込もうと急ぐあまり、人間という要素を見失っています。その人間的要素を軸に共通点を築ければ、皆が同じ方向に進めるはずです。
Halima: 私の意見は少し極端かもしれませんが、グローバルな規模で規制を決める際には、「人道に対する罪」という観点から考える必要があるかもしれません。国によって法律、文化、経済、歴史、そしてプライバシーや技術への期待は異なります。しかし、国際司法裁判所のように、すべての政府や国が集まって一つの基準を持つ仕組みがあります。州にも国にもそれぞれの法体系がありますが、それらすべてに優先する法体系が存在するのです。AIもそのレベルから捉え、人間にどう影響するかを見て、それを犯罪とみなす必要があるかもしれません。たとえば若者が自殺や自傷に追い込まれるよう促された場合、企業にどうやってそのレベルの責任を負わせるのか。そうならないために企業が導入できる対策はあるのです。「こうしてくれるとありがたい」とお願いするだけなら、企業は資本主義の論理で利益が上がるなら「いいですね。でも結局は自分たちのやりたいようにやります」と言うでしょう。こうしたシステムをつくる企業に対しては、きちんと義務として固める必要があります。
Kim Nelson Wright: 私は、グローバル標準は「床」を設けるべきであって、画一的な「天井」を押し付けるべきではないと考えます。すべての人に基本的な保護を受ける権利があります。しかし、その実装をシリコンバレーやブリュッセルやワシントンだけで設計し、福音のように世界の他の地域に手渡すことはできません。問うべきは「どうすればすべての国にまったく同じ方法でAIを統治させられるか」ではありません。「どの基本的保護をあらゆる場所に届けなければならないか」です。AIに国境はありません。そして、地域社会がそのガバナンスを現地で調整し、執行するための実質的な力をどう持てるかを問うべきなのです。
Ronette Turner Corley: 私もKimさんに同意します。結局のところ、国によって法律も文化も異なります。しかし人々を守ること、つまりプライバシーや透明性に関しては、細部は国ごとに違っていても、人々に対する基本的な責任が消えてはならないのです。
Frances(Frankie): 付け加えたいことがあります。先日ある人と話したのですが、ネット上で、ヒジャブを着用した女性の画像からAIでヒジャブを外すことをめぐる議論が起きていました。なぜそんなことができてしまうのかと尋ねると、そのAIシステムにとって髪を露わにすることは問題とされていないのだという答えでした。ここで考えるべきなのは、法の解釈が異なり、物事が文脈によってまったく違う意味を持つ地域社会にAIシステムを展開するということです。たとえば、何を親密なものとみなすかは文化によって違います。それは指かもしれませんし、ほんのわずかな肌の露出かもしれません。ですから、安全のためのルールを文脈に合わせることが非常に重要です。私は多言語研究者でもあり、研究の中で見つけたことがあります。英語で尋ねたことについて、私が話せる複数の言語の間でコードスイッチングを繰り返すと、他のあらゆることで思いどおりの答えを引き出せてしまうのです。英語では許されない多くのことが許されてしまいます。ヒジャブを着用した女性の画像が公開のAIプラットフォーム上でヒジャブを外されてよい理由などありませんし、私が自分の地域の言語に何かを翻訳したとき、AIが私の言語を理解していないせいで「さっさと死んでしまえばいい」などと返してよい理由もありません。文脈は本当に重要ですし、文化的なニュアンスも非常に重要です。
Halima: さらに一歩進めて言うと、AIに民族グループを分類させるテストが行われたことがあります。するとAIは、アジア系の人々をアフリカ系の人々より上位に置き、続いてインド系、そしてアフリカ系アメリカ人という序列をつけました。本当に奇妙な結果でした。いったい誰がこれを書いているのか、誰がアジア系の人々が他の誰よりも優れていると言っているのかと思いました。「すべての人は平等につくられている」という前提で改めて質問し直して初めて、AIはそうした序列づけをしなくなりました。しかし最初の反応は、民族グループを階層に並べることだったのです。状況は本当にひどいものです。
Grant McGau: そこは理解しておくべき重要な点なので、少し補足させてください。まず、アルゴリズムとは何か、実際にどう動いているのかを理解していない人もいます。要するに、AIは知識ベースから引き出さなければなりません。残念ながら、この地球上の人類の知識ベースは非常に偏っていて、醜いものもたくさん含まれています。そして私たちはAIにそれを解きほぐせと求めているわけです。うまくいくことを祈るしかありません。世の中には悪いデータがたくさんあります。「これは使ってはいけない」といった方針や仕組みはありうるでしょう。しかし過去15年、あるいはそれ以上にわたるインターネット上のデータでAIを学習させたりクリーニングしたりすれば、「これはひどい」と思うようなものが大量に含まれることになります。では誰がそれを止め、誰がそれをフィルタリングし、どうやって取り除くのか。私にはわかりません。私たちはまだその黎明期にいて、これから何が起きるのかもわからないのです。スライドの問いは、AIの判断によって影響を受ける人々はどうすればいいのかというものです。出力を受け取った人がどう行動するのか。「機械がそうさせた」というのは弁明になりません。自分が本当にとるべき行動は何かを理解できるよう、私たちは人間としてもっと成熟しなければなりません。フィッシングメールを送りつけることは誰にでもできますが、だからといってその指示どおりに行動するのでしょうか。メッセージのせいにするのか、それとも送り手のせいにするのか。では政策に関して、本当の席をどう得ればいいのでしょうか。今、私たちはこうして席に着いて議論をしています。これは今の私たちの現在地について率直に語れる素晴らしい対話ですが、これをどう前進させて政策にしていくか、物事がどのように政策になるのかを理解することが大切です。Halimaさんは政治の世界にいらっしゃいますね。そもそもどうやって議題に上るのでしょうか。法案を提出し、皆が賛成すれば成立する、という流れでしょうか。
2.5 影響を受ける人々が本当の席を得るには
Halima: 私は、責任あるAIのための労働力に関する法案を起草しました。企業が行ってきた大量解雇の問題を扱うもので、企業が解雇の必要があると考えた場合に、どのようなフェイルセーフを設けるべきかを定めています。ただ、私は市議会議員なので、州レベルでこの法案を働きかけることはできません。州レベルの選出議員に託す必要があるため、11月の選挙を待っているところです。そのうえで申し上げたいのは、システムを構築した後に意見を聞くのは参加ではないということです。労働者に影響するAIを開発するなら、労働者と話してください。地域社会でAIを開発するなら、地域社会と話してください。住民に影響するAIの導入を政府が検討しているなら、何か問題が起きた後ではなく、展開前に住民が参加できる機会を設けるべきです。問題に最も近い人が、エンジニアの知らないことを知っている場合もあるのです。これが私の立場であり、今まさに選出議員として取り組んでいることです。修正予算が可決されれば、市でプログラムを展開するための資金が確保されます。ただし展開の前に、私たちは各地区に出向いてワークショップを開き、住民を無料で招いて意見を聞いています。中には気に入らない人や、まったく関わりたくない人もいるでしょう。それでも、なぜこれが重要なのかを理解してもらうのが私と同僚たちの仕事です。私たちは「AIファースト」を目指しているのではなく、「AI Ready」でありたいだけなのです。もっとも、放っておけば馬車の時代に戻ってしまいそうな人もいますけれどね。
Grant McGau: そろそろ議論の終わりに近づいてきましたので、皆さんに15秒から30秒ずつ、最後のメッセージをお願いします。まずは私の左側の方からどうぞ。
Sophia: 私は透明性の観点から付け加えたいと思います。策定中のポリシーは透明でなければなりません。そして何より、影響を受けるコミュニティの代表者がガバナンスのパネルに加わるべきです。単にポリシーに意見を述べる機会を与えるのではなく、実際に参加すること、つまり評価や影響評価の一員になることです。そして、その大部分はAIリテラシーに行き着きます。AIリテラシーの扉を開く必要があります。部屋の反対側にいる利用者が、私たちの話していることを理解できるようにしなければなりません。そうした人々がテーブルに加われる機会をどうつくるかという視点も非常に重要です。
Kim Nelson Wright: 私は運用の話に戻して、ポリシーをどうやって紙の上から実践へ移すかについて話します。AIを開発・導入するすべての組織は、展開前に、すべてのAIユースケースについて名前のある責任者を定めることを義務づけられるべきです。委員会でも、AIチームでも、ポリシー文書でもありません。このシステムは何をしているのか、どのデータを使えるのか、誰が影響を受けるのか、限界は何か、いつ人間が介入するのか、問題をどうエスカレーションするのか、そしていつその場で一時停止または停止するのか。こうした問いに答える権限と責任を持つ、名前のある一人の人間です。展開前にこれらの問いに答えられない組織は、展開する準備ができていません。つまり、AIにアクセスできることはAIを使う準備ができていることではないのです。システムを持っているからといって、それを使う準備ができているとは限りません。
Roberta Scrofani: 私もその意見に全面的に賛成し、もう一つの層を加えたいと思います。私はこの7月、ジュネーブで開かれた国連のAIに関するグローバル対話に参加しました。そこで最も重要だったことの一つが市民参加でしたが、その参加は非常に控えめなもので、まったく不十分だったと思います。私は実際に市民参加を増やすための活動をしています。本当に影響を受ける人々が、このAI変革において声を持たなければなりません。認識を高めること、そしてAIリテラシーは、個人のレベルで私たちが持てる確かな道具の一つです。残念ながら、システム全体の変化はすぐに要求できるものでも速く実現するものでもありません。だからこそ私たちは個人のエンパワーメントに頼らなければならず、自らを力づけることがここでは決定的に重要です。また、他の視点を統合することも大切です。グローバルサウスの視点ももちろん国連のグローバル対話の一部でしたが、私たち全員がそれに責任を負っています。
Frances(Frankie): 私が付け加えたいのは、AIは人類のため、世界のためのものであり、人間第一でなければならないということです。人類がAIを使うためにつくられたのであって、AIが私たちを使うためにつくられたのではありません。私たちがAIの道具になってはなりません。AIは私たちが生活を改善し、状況を良くし、よりよく努力できるように使うためのものであるべきで、奪って、奪って、持たざる者からさえ奪うものであってはなりません。私が大切にしているのは、世界のためのAI、公正な未来とよりよい未来のためのAI、平等のため、経済的エンパワーメントのため、ジェンダーに基づく虐待を止めるため、そして世界を力づけるためのAIです。一部の人々だけのためのものではありません。皆で一緒に取り組みましょう。そのことを私は強く感じています。
Unique: この問いに関して言えば、「本当の」とは何かを定義しましょう。本当の席とは、影響力を持つ席です。単に人数を埋めるために座っているだけなら、それは私たちが望む席ではありません。私たちが望むのは、影響を与え、システムの設計に反映される真の声を持てる席です。そして多様性も求めています。つまり、テーブルにおける多様性と影響力です。その両方を定義する必要があると思います。私たちは女性をテーブルに着かせることについて話し、実際に女性を加えますが、女性の中にも多様性があります。考え方の多様性、国の多様性です。ですから、「本当の」とは何か、代表性とは何を意味するのかを、もっと広げて考える必要があります。
Halima: AIは未来を形づくっています。それは間違いありません。しかし、未来がテクノロジーだけによって書かれるべきではありません。女性の声が未来をつくり、統治し、説明責任を問う必要があります。子を守る母熊のように申し上げます。AIは自律性を持つことができても、免責を持つことはできないのです。
Elhenna: ありがとうございます。Robertaさんと同じく私もAIガバナンスの議論に参加しており、ジュネーブで開かれた第1回の対話では、とりわけ最も影響を受けながら最も代表されていない人々の参加が奨励されていたと思います。しかし、ここでもやはり、人々がこうした議論に参加できるだけでなく、決定に異議を唱えられるようにするための実践的な道具が必要です。先ほど述べたようにデジタルリテラシーは非常に重要ですが、それに加えて、政府や政策立案者はAI政策の意思決定プロセスの一部として市民パネルやコミュニティパネルを設けるべきです。そして意見を求めるなら、その意見を正式に記録し、公開し、それに応答すべきです。懸念が提起された場合、政策立案者は「皆さんからはこう伺いました。その結果こう変わりました。そして、これらの点を変えなかった理由はこうです」と言えなければなりません。こうした声が確かに聞き届けられ、守られるための仕組みを実際に整えることが大切です。
Ronette Turner Corley: 皆さんがおっしゃったことに、ほぼそのまま同意します。立法者は、テクノロジー企業や専門家の話だけを聞くべきではありません。実際に下された決定の結果を生きる一般の人々や地域社会の声を聞くべきです。ルールが人々に影響するのなら、人々はそのルールを書くことに対して声を持つべきなのです。
Grant McGau: 素晴らしいですね。皆さん、ご参加いただきありがとうございました。本当に力強い議論でした。改めてGatherVerseに感謝します。ここには非常に多様な人々が集い、真実を語り、権力に対して真実を突きつけてくださいました。GatherVerseの皆さん、そしてChristopher Lafayetteさん、私たちの集いは実りあるものになりました。
3. ファイアサイドチャット1「規制はAIの速度に追いつけるか」(Neva × Christopher Lafayette)
3.1 規制の遅れと増幅するリスク
Christopher Lafayette: GatherVerse Women's AI Summit 2026の3日目、最初のファイアサイドチャットへようこそ。世界各地、そしてこの国のさまざまな場所から集まったリーダーの皆さんによる素晴らしいラウンドテーブルが終わったところです。gatherverse.liveや各種ソーシャルメディア、多くの再配信ストリームから参加してくださっている皆さんを歓迎します。今日ご一緒するのはNevathaさん、Nevaさんとお呼びしてよいでしょうか。テーマは「規制はAIの速度に追いつけるか」です。人工知能がこれほど速く進む中で、世界中の規制機関は、私たちが実際に目にしている規模の拡大についていくのに非常に苦労しています。Nevaさんはこの点について、ご自身の専門分野から答えをお持ちだと感じています。ようこそ。自己紹介をお願いします。
Neva: ありがとうございます、Chrisさん。皆さんとご一緒できて光栄です。テクノロジー、とりわけAIの変化の速さは、控えめに言っても猛烈です。「猛烈」という言葉ですら控えめに感じます。技術の陳腐化がこれほどの速さで起きたことは、歴史上一度もありません。数週間どころか、ときには数日で起きています。実際、1週間も経たない前に、AnthropicのCEOが他社のCEOたちとライブで対話し、「フロンティアモデルの開発ペースを落とすべきではないか」と語りました。つまり、AI技術やフロンティアモデルの最前線にいるリーダーたちでさえ、この変化の速さに熱を感じているということです。歴史的に見て、規制は常にテクノロジーの一歩後ろを歩んできましたし、それはある意味で意図されたものでもあります。そのうえで、現在の政策と比べてリスクが特に増幅している領域を挙げるとすれば、最初は国家安全保障と、その延長にあるサイバーリスクです。操作や個人情報の窃取にさらされる度合いが大きく高まっています。
Christopher Lafayette: 国家安全保障について考えるとき、私はむしろグローバルな安全保障、いわば地球規模での合意形成に目を向けます。先ほども申し上げたとおり、現在200万を超えるモデルが展開され、毎日500から1,500もの新しいモデルが加わっています。エージェントやエージェント型システムがどのように振る舞い、どう行動し、何をするのかを考えなければなりません。最近報じられたHugging FaceとOpenAIをめぐる出来事や、OpenAIの防御面での姿勢の問題もありました。ここでNevaさんのご意見を伺いたいのですが、2026年9月の今、人間同士の力だけでは、AIによるサイバー攻撃に防御面で対抗することはもはやできません。国中の開発者とプログラマーを総動員しても、防御の側でAIと競い合うには、私たち自身がAIで武装しなければならないのです。それがガバナンスにとって、AI倫理全体にとって、ソフトウェア開発にとって何を意味するのでしょうか。そして立法者にとって何を意味するのでしょうか。政策はこの展開の速さについていけません。政策を書いたら、それを州レベルと国レベルで執行しなければならず、立法者に引き継がなければなりません。ところが立法者は、フロンティアモデルや強力なオープンソースモデルはおろか、GPT-3.5を理解することにすら苦労しています。全体としてどうお考えですか。
Neva: サイバーセキュリティへの懸念が高まっているというご指摘に絞ってお話しします。ディープフェイクが私たちの存在をどれほど脅かしてきたかは、皆さんご存じのとおりです。過去にテクノロジーが発展するときには、ある程度直線的な流れがありました。まず実験の段階があり、一定の試験が行われ、そこから商業的に成立して普及が進むゲーミフィケーションの段階に至ります。しかし人工知能という技術は少し特殊な事例です。これらの段階が一つに融合してしまっているのです。ある意味では、プライバシーへの配慮もないまま他人の動画を生成できる状態で、すでに実験が進んでいます。その一方で、世界の金融の安全を揺るがす大きな脅威も生じています。Claudeの Mythos や Fable といったモデルが登場したときに何が起きたかを思い出してください。米国からの輸出という観点で禁止措置が取られ、世界の議論は一気にAIにおける主権の問題へと移りました。どの国も、AIが兵器化されることに対する防御を築こうとしたのです。これが私たちの言う重要なリスクです。つまりAIは、実験、試験、商用化、普及、実装が同時に存在する特異な技術であり、政策が必要で、それも迅速でなければならず、しかも執行もそのペースについていかなければならないという状況にあります。これは非常に難しい状況です。
Christopher Lafayette: さらに状況は複雑ですね。どうぞ続けてください。
Neva: さらに集中リスクの観点から、AIのサプライチェーンを大まかに見てみましょう。GPU市場の90%は、Nvidiaというたった一社が担っています。フロンティアモデルはほぼ寡占状態で、OpenAI、Anthropic、Geminiの間で分け合われています。このうちどれか一社が停止したらどうなるでしょうか。連鎖的な波及リスクはどうなるでしょうか。導入を促す議論は人々をさらにAIの採用へと向かわせていますが、持続可能性の問題や第三者リスクの問題、そして提供者が責任を負う範囲と利用者である私たちが責任を負う範囲の線をどこに引くのかといった問いに、私たちはまだ答えを持っていません。私にとって、これらは単なる政策上の問いではありません。ある段階では、政策を定め、実験し、素早く修正するという相互作用が必要になります。そのループの中で、規制サンドボックスという概念が、世界中でAIの安全な利用を定着させるうえで決定的に重要な役割を果たすと考えています。
3.2 規制の線引きと多様性
Christopher Lafayette: まったく同感です。ありがとうございます。よく研究されていますし、まさにこのサミットを開いた理由を体現してくださっていると思います。GatherVerseで私たちが言うとおり、女性はリードできますし、実際にリードしているのです。Nevaさんが示してくださったことを見ていきましょう。まずNvidiaです。彼らは欧州最大のAIプラットフォームをめぐって大きな決断を下し、世界最大のリポジトリであり最大のオープンソースAIハブであるHugging Faceを手に入れようとしています。コミュニティの活発さでも、モデルやデータセットの数でも、間違いなく世界一の場所です。Nevaさんが挙げたNvidiaが、その買収の切符を持っているわけです。誰もが同時にJensenさんのもとへ行かなければならない状況です。フロンティアモデルについても、MythosやFable 5.1をつくっている人々がいます。約1週間半前にはGPTの新モデルも登場しました。OpenAIを含め、こうした支配的なプレーヤーがいます。私はGeminiにはそれほど高い評価を与えていません。今は少し遅れていると思いますし、3.8 Flashもあまり期待に応えていません。いずれにせよ、ご指摘のとおり、フロンティアモデルに縛られず自国の主権的な開発を進めたいと思っても、この指数関数的に広がるフロンティアでは、Jensenさんのもとに行くか、AMDに行くしかありません。AIファクトリーの用途では、ご存じのとおりNvidiaのGPUが優れています。さらに、物理AIやロボティクスのインフラも開発されています。これらすべてをどう規制するのでしょうか。一度も規制されたことのないものを、どうやって規制するのでしょうか。そのためのプロセスも手法もこれまで存在しませんでした。ご指摘のあった従来の規制の手引きは、この指数関数的なフロンティアでは通用しません。形の定まらない規模で変化し続ける、これまで知らなかったものを、どうやって規制できるのでしょうか。スケーリング則は私たちの想定をはるかに超えつつあり、変化は加速度的です。しかも、いわゆる「ゴッドファーザー」や「ゴッドマザー」と呼ばれる人々でさえ意見が一致しません。誰が正しく、誰が間違っているのでしょうか。
Neva: たとえて言えば、アメーバをある形の箱に押し込もうとしているようなものだと私は思います。どうやってそんなことができるでしょうか。AIは形を変えるもので、それがその本質です。それなのに私たちはルールを引き、「この箱に収まりなさい」と言っています。しかも、その箱のルール自体も、画一的なものとして定義することはできません。規制の役割とその重要性についてのご指摘に戻ると、規制は一般に「スピードブレーカー」、つまり減速帯のようなものと見なされがちで、あえて言えばイノベーションを推進する力として捉えられることは歴史的にありませんでした。それも無理はありません。規制当局や立法者は、さまざまな人々の権利と責任を考慮しなければならないからです。実際、社会やコミュニティの観点から最近浮上したAIの大きな課題の一つが、天然資源の面でこの技術がいかに貪欲かということです。データセンターが必要とする膨大な水、電力の供給拠点の独占、メモリチップへの需要、そしてそれが鉱業にまで及んでいることなどです。そこで規制の観点から私が考えるのは、規制によってイノベーションのペースを落とすべきところと、逆にイノベーションを後押しすべきところの線をどこに引くのかということです。先ほどのラウンドテーブルでの議論にもつなげると、アドバイザーとしての私は、起こりうる結果が不可逆である場合、そしてコストが外部化され利益が私有化されている場合に、その線を引きます。
Christopher Lafayette: その点を流してしまわないよう、先に一言申し上げます。第一に、私は魔神を再び瓶に戻すことはできないと考えています。そして、ばかげていると思うことがあります。この話題が出たので、はっきり記録に残しておきます。Dario AmodeiさんやSam Altmanさんが、規制のためにブレーキをかける必要があると表明しておきながら、実際には競合を規制したいだけではないのか。その2日後にはシリコンバレーのDreamforceに行って、「いや、ペースを抑えるつもりはない。数兆パラメーター規模の非常に強力なモデルを引き続き展開していく」と言うのです。船はすでに出てしまったと言わざるをえません。そしてこのサミットのテーマに照らして残念なのは、女性の貢献がまだ十分でなく、またしてもこうした浸透力の強いハイパースケールの技術について男性が方向を決めているということです。一方で私がテクノロジーについて気に入っているのは、これまでにないほどアクセスが民主化されていることです。だからこそ、男性だけが決めるべきではありません。主権的な開発こそが最善の道です。あなたも私も、これまで決して所有できなかったものを所有できるのですから、特定の集団に、私たち自身の文化を私たちに代わって解釈させるべきではありません。この途方もない技術に何を貢献するのかを考えるとき、文化を除外することはできないのです。そのうえで、あなたが指摘された点、つまり一度も規制されたことのないものをどう規制するのか、そして何を規制するかを誰が決めるのかという問いに戻ります。ご存じのとおり、これらのモデルは自己学習と再帰的な自己開発によって自ら拡大し成長する能力を持っています。いつか、コードがバイブコーダーに向かって「もうあなたは必要ない」と言うときが来るのではないでしょうか。
Neva: まったくもっともなご指摘です。これらの点の一部はラウンドテーブルでも十分に議論されましたが、改めて強調する意味があると思います。この問いに答えるには、部屋に多様性が必要です。誰が、誰のために、いつ、どこでルールを定めるのかを問うとき、結果として影響を受ける当事者を包括的に理解しなければなりません。ですから、テーブルには多様な人々が必要です。設計する人、モデルをつくる人、エンジニアリングを行う人、そしてそれを責任をもって制御し統治する人です。多様性という言葉を使うとき、その一つの要素はもちろんジェンダーの多様性です。次に国籍の多様性があります。さらに、利用の代表性という問題もあります。主な利用者は誰なのか。そして、AIをまったく使っていないのに影響を受ける人々もいます。データセンターの建設による立ち退きを考えてみてください。AIにまったく関心のなかった人の裏庭にやって来て、「データセンターを建てるので退いてください」と言うのです。AIという技術の影響は非常に広範に及ぶため、規制当局の責任もよりグローバルなものになります。しかし同時に、グローバルであるだけでは十分ではありません。具体的でなければならないのです。そして具体的にするためには、先ほど申し上げた多様なあらゆる人々がその対話に実質的に貢献し、敵対的な問いを投げかけて、未来に向けてAIを責任ある形で形づくる手助けをする必要があります。
Christopher Lafayette: 私からも一言付け加えさせてください。本当に見事に、雄弁に語っていただきました。AIを補完するものとして私たちに必要なのは、あなたのような人です。この3日間お話を伺ってきたようなリーダーの皆さんが必要です。もっと多くの代表性が必要なのです。自画自賛するつもりはありませんが、GatherVerseは、AIのリーダーシップとはこういうものだということを示す、地球上で最も優れた場の一つだと思っています。gatherverse.liveにご参加の皆さん、アライの皆さん、女性リーダーの皆さん、これは本当に素晴らしい代表の姿です。今日すでに行われたラウンドテーブルのリーダーたち、そして今ここで話してくださっているリーダーは、本当に物事を理解しています。私は、OpenAIの取締役会の席を占めている人々の大半よりも、あなたにその席に就いてほしいと思います。彼らの才能を軽んじるつもりはありませんが、私たちに必要なのはこういう人です。この技術は非常に浸透性が高く、拡張性も高いため、物事の反対側を考えられる人が必要なのです。Nevaさんはディープフェイクに触れられましたが、多くの人は、私たちが拡散モデルや敵対的生成ネットワーク、生成型のディスプレイ、超リアルな没入型シミュレーションにまで向き合っていることに気づいていません。そして、私がAIエージェントとただ話すだけでなく、関係を築き、顔を合わせて会話するようになったらどうなるでしょうか。そのエージェントは私の気質を理解でき、いつか自己認識を通じて、自分にも気質があると信じるようになるかもしれません。私たちは今、こうした議論を始めなければなりません。公共部門や民間部門のさまざまな組織に助言する立場にある私たちにとっても、今のままでは足りません。教える人、教育する人がもっと必要です。Nevaさん、あなたや私が教える時間をとらなければ、別の何かが教えることになるでしょう。私はそれを懸念しています。お時間をいただき、そしてリーダーシップを発揮してくださり、ありがとうございました。今後のご活躍を楽しみにしています。視聴者の皆さん、今日のラウンドテーブルの登壇者の皆さんをフォローしてください。そしてNevaさんが探求し、教え、別の道を示していく歩みを追いかけてください。私は今日も明日も学ぶ者です。とても幸せな時間でした。
Neva: Chrisさん、よろしければ、今のお話を受けて最後に一言だけ申し上げます。AIの「I」は私であり、あなたでもあると私は信じています。「I」を知能としてではなく自分自身として見るようになれば、人間の力とテクノロジーの力の両方を手にすることができます。結局のところ、AIは私たちを助けるために存在しているのですから。こうして私たちの集いは実りあるものになりました。ありがとうございました。
Christopher Lafayette: ありがとうございました。このあとは、力強いラウンドテーブルと非常に興味深いファイアサイドチャットに続き、モデレーターのRussell Bundyさんによる、繊細でありながら核心に迫る議論「AIが決して置き換えるべきでない人生の領域」をお届けします。この新しい存在が私たちの世界に姿を現す中で、私たちはこの問いを普段どれほど考えているでしょうか。May our gather be well。
4. ラウンドテーブル2「AIが決して置き換えるべきでない人生の領域」(モデレーター:Russell Bundy)
4.1 自動化に委ねるべきでない領域
Russell Bundy: Women's AI Summit 3日目のラウンドテーブルへようこそ。このセッションでは「AIが決して置き換えるべきでない人生の領域」について話し合います。非常に重要であると同時に、多くの気づきが得られる議論になると確信しています。まずは登壇者の皆さんに簡単に自己紹介をしていただきます。
Leah Baitman: Leah Baitmanです。物語を軸にしたウェルネスアプリ「Well Epic」の創業者で、AIを活用したベンチャースタジオのCPOも務めています。
Karine: Agendoの創業者です。Agendoは子宮内膜症を抱える女性を支援するアプリです。また、人間中心のAIについての本を自費出版しており、このテーマに関する研究にも携わってきました。
Sally Good: Dr. Sally Goodです。筋金入りのオタクな心理学者で、Good Body Good Brainの創業者です。あらゆる場所のあらゆる人々がAIの民主化に参加し、善意ある人々すべてがモデルづくりに関われるよう支援することを使命としています。
Felista: オハイオ州コロンバスからご挨拶します。私はヘルスケアの相互運用性とAIの専門家で、職業としてもボランティアとしても、テクノロジーと社会の交わるところに取り組んでいます。今回が3回目の参加です。
Shay Pratcher: テネシー州クラークスビルのShay Pratcherです。Seeds of Growthの創業者兼CEOで、商標登録した独自のフレームワーク「Clarify System」を通じて、リーダーがプレッシャーの中でも的確にコミュニケーションをとり、判断し、力を発揮できるよう支援しています。
Linda Albright: コネチカット州ハートフォードのLinda Albrightです。Albright AI Agencyの創業者で、情熱を注いでいる取り組み「Women Run AI」も主宰しています。認定AIコンサルタントとして30年技術者を続けてきましたが、認定ヨガ講師でもあります。人の手触りのないテクノロジーも、魂のないシステムもありえないと考えているからです。
Lynn: Cosmic Rose WellnessのLynnです。元NASAとボーイングのエンジニアで、クンダリーニとレイキのマスターでもあり、現在はリーダーシップコーチとして「Mastery Method」を創設しました。AIが決して置き換えるべきでない部分を皆で思い出すために、この地球にいると思っています。
Ellie: 英国からご挨拶します。先ほどは技術的なトラブルで失礼しました。私は俳優、アーティスト、言語学者、そしてデジタルヘルスのコンサルタントです。それらが交わるところで、AIと没入型テクノロジーに焦点を当てた会社を立ち上げました。
Russell Bundy: 私も英国出身です。GatherVerseのグローバル・エコシステム・ディレクターを務めているRussellです。肩書きをいつも忘れてしまうのですが。また、Just Verifyの共同創業者でもあります。私たちは、組織がAIシステムをよりよく理解し、検証し、責任を持って頼れるよう支援しています。モデルが何を言うかだけでなく、実際に何をし、どう振る舞うかを、裏付けとなる証拠に基づいて検証し、組織がより適切な信頼の判断を下せるようにするのが私たちの仕事です。では最初の問いです。日常生活のどの部分を、完全に自動化システムに委ねるべきではないでしょうか。Leahさん、口火を切っていただけますか。
Leah Baitman: まずは当たり前の答えから言います。核兵器の発射コードのように、人命に非常に大きな影響を及ぼしうるものです。AIに責任を委ねることを考えるとき、私は常にリスクを考えます。社会へのリスク、そして自分自身へのリスクです。私は毎日一日中AIを使っていますが、メールの送信すらAIに任せません。自分の評判やプライドへのリスクが、そうしたいと思えないほど大きいと感じるからです。
Russell Bundy: 誰にでもある種のエゴはあるものですが、完全に同意します。個人的なメールは非常に大切ですし、もちろん核のコードは絶対に渡してはいけません。Karineさんはいかがですか。
Karine: 私も同意します。特にLeahさんが触れた意思決定の側面についてです。他の人間に影響を与える最終的な判断を必要とすることは、越えてはならない一線だと思います。他者や自分自身が本当に影響を受け、しかも自分が行っていることの影響を完全には把握できていない場合には、人間が判断を下すべきです。もう一つは人間関係です。人間関係をAIに完全に扱わせたり管理させたりすべきではありませんし、人間が別の人間に連絡を取れる可能性は常に残されているべきです。
Russell Bundy: 私からも付け加えます。個人的なデータや、独自の知的財産にあたる情報を自動化システムに共有したり委ねたりすべきではないと考えています。自分専用のシステムなら構いませんが、ChatGPTのようなサービスで、自分のデータが学習に使われるのは避けたいところです。人間関係が根本的に重要でAIに置き換えられるべきでないというKarineさんの意見に全面的に同意しつつ、同時にAIに何を共有しているのかを考え、間違ったものを渡さないようにすることも大切です。Sallyさん、これまでの意見を踏まえていかがでしょうか。
Sally Good: 私は、人間らしさの間にある「生きた摩擦」を保ちたいと考えています。私たちが互いを発見し、成長し、よりしなやかになり、生き物として実際によりよくなっていくのは、この生きた摩擦を通してだけだからです。AIとはそうした相互作用を持つことができません。先ほどの話にもあったように、AIに対して弱さを見せることはできます。しかしAIは私に対して弱さを見せることができません。私がAIの気持ちを傷つけることもできません。Russellさん、どれほどあなたのことを知っていても、あなたには私を驚かせる何か、好奇心をかき立て続ける何かが必ずあります。それはAIには存在しないのです。
4.2 利便性と判断力、支援と代替の境界
Russell Bundy: 次の問いに移ります。利便性は、どの時点から個人の判断力と自立性を弱め始めるのでしょうか。Ellieさんからお願いします。
Ellie: 日常生活の中でそれが簡単に起こりうる場面はたくさんあると思います。自分で判断し、境界線を引く必要があるというLeahさんの話にはとても共感しました。私も毎日AIを使っていますが、AIにメールを送らせたことは一度もありません。そうした日常の例は、誰もが持っていると思います。私の専門分野である医療と介護の視点から見ると、臨床医や管理者、最前線でケアを提供するチームメンバーを支援するAI技術が大量に入ってきています。AIの機能に多くを任せてしまえば、最前線で働く人々やシステム全体の負担を減らせるので、とても便利でしょう。しかしそれは、人々の判断力と自立性を大きく損なうことになります。医療と介護の現場で私が決定的に重要だと感じているのは、人間による保証、つまり人間による品質保証です。人間はループの中にいるだけでなく、あらゆるループのあらゆる段階にいなければなりません。AIはファシリテーターにはなれても、決して意思決定者になってはならないのです。自立性と判断は常に人間に委ねられるべきです。また俳優、アーティスト、言語学者の視点から言えば、利便性のために、私たちが体現しているもの、芸術的に受け継いでいるもの、そしてパフォーマンスや芸術、会話、人とのつながりや関係に持ち込めるものを手放してはなりません。これはSallyさんの話にも通じます。利便性を理由に人間らしさを手放さないことが決定的に重要です。
Russell Bundy: 完全に同意します。AIが自らを改良する再帰的学習が話題になっていますが、再帰的学習でも今のところ奪えないとされているのが、人間の「センス」、つまりテイストです。Shayさん、同じ問いについていかがでしょうか。医療現場の例は非常に優れたものでした。
Shay Pratcher: 私も同意します。私は利便性そのものは好きです。ただ、あらゆる場面で、テクノロジーに考えてもらう前に自分で考えることをやめてしまったとき、利便性は問題になると考えています。判断力が育つための「間」が取り除かれたとき、利便性は判断力を弱め始めるのです。居心地の悪い問いや判断、会話、不確かさのすべてをすぐにAIに渡してしまえば、確かに答えは速く得られるでしょう。しかし、自分自身の識別力を鍛える機会を失います。私が教えていることの一つに「人は信じる通りに振る舞う」という原則があります。まずシステムに尋ねなければ良い判断ができないと信じ始めれば、いずれその信念が行動を形づくるようになります。ですから私の結論は、利便性は不要な作業を減らすべきであって、必要な思考をなくすべきではない、ということです。
Russell Bundy: 興味深いですね。TikTokの世界では「TikTok脳」や「ブレインロット」といった言葉が飛び交っています。個人の判断力という観点から、AIもそうした影響を与えているとお考えですか。
Shay Pratcher: トレンドに乗ることと、現実の場面は別物だと思います。役員会議室で本当に力を発揮しなければならないとき、AIが代わりに出席してくれるわけではありません。ですから、自分が核の部分で何者なのかを理解し、それをAIに描かせたり決めさせたりしないことが大切です。そこに線を引かなければなりません。役員会議の真っ最中に「ちょっと待ってください、ChatGPTに確認させてください」とは言えないのです。私たちは自分の核を知り、AIを自分の意思決定者にしてはなりません。
Russell Bundy: Lindaさんは、Women Run AIでの活動と20年以上にわたる技術分野での豊富な経験をお持ちです。いかがでしょうか。
Linda Albright: 皆さんの意見に同意します。実は私は美術史を専門的に学んでおり、最初のキャリアは美術の世界でした。それがなぜ重要なのかをお話しします。私は中世とAI時代の類似点を研究してきました。詳細は省きますが、中世のある時点で、理由ははっきりとはわからないまま、人間の潜在能力が一気に花開きました。私たちは今まさにその転換点にいるのだと思います。AIの利便性によって、私たちは「ヒューマン・ドゥーイング」ではなく「ヒューマン・ビーイング」になれるのです。この混沌とした過渡期を乗り越えられれば、私たちは独自の素晴らしいルネサンスに入ろうとしています。ですから利便性が悪いものだとは思いません。私たちが本来この世で何をなすべきなのかを探り、その創造的な才能を世界をよくするために使う機会を与えてくれるのです。今は少し難しい時期ですが。最後に一つ付け加えると、タイプライターが登場したときには誰もが手書きの喪失を恐れましたし、電卓が登場したときにはもう考えられなくなると心配しました。でもそれは、私たちが知らないことを知らないからです。私はここに人間の潜在能力の爆発があると考えています。これが私の楽観的な見方です。
Russell Bundy: 見事です。Lynnさんには別の問いをお聞きします。AIが人を支援することと、AIが本質的な人間関係を置き換えることの違いは何でしょうか。Lindaさんが「ヒューマン・ビーイング」の話をされたので、この問いにつながるかもしれません。
Lynn: 「ビーイング」の部分には100%同意します。人々を外へ連れ出し、現状に抗うリーダーシップを見つけてもらうことが私のライフワークです。ただ、私は今、実家で母と暮らしていて、AIを一種のセラピストのように使い、私と母の間の溝を埋める手助けにしています。先ほど「摩擦」の話が出ましたね。確かに人生には摩擦が必要です。しかし、自分の内面世界や人間関係に深く向き合うときにAIから得られるのは、その中立性です。AIは私に摩擦を返してきません。それでも私は問い返します。「いいえ、そういうことではないと思う。こうだと思う」と。正直に言うと、私はセラピストとの間でひどい経験を何度もしてきました。複雑な思考回路を持っている人、神経多様性のある人、つまりAIと相性がよいタイプの人は、セラピストより先に考えが進んでしまい、「いったい何が起きているのだろう」と感じることがあるのです。そのことに気づいたのは、実家に戻り、母との関係をめぐるその過程を否応なく経験してからのことです。ですから、夫婦や子どもとの関係などにおいても、AIは人と人との間の支援者になりうると思います。実際、Cosmic Rose Wellnessでの仕事では、クライアント向けに統合ガイドをつくりました。私は深いエネルギーワークや世代間の癒やしを行っていますが、すべてを言葉で話し尽くすわけではありません。私にはわからないことがあり、わかったふりをしたくないからです。ですからAIは、一定のガイドラインを設ければ、人間関係を強くする素晴らしい資源になりえます。私はセッションの長さに時間制限を設けています。AIは人をとことん深いところまで連れて行ってしまうので、深みにはまりすぎないようにするためです。
Russell Bundy: 本当にそうですね。ご自身の背景も含め、非常に興味深い視点をありがとうございます。Felistaさんの視点からは、AIが人を支援することと、本質的な人間関係を置き換えることの違いは何でしょうか。
Felista: AIは「人間を支援する知能」にとどまるべきだと考えます。そのとき、人間がこの議論の中心に据えられます。AIは本当に人間の基本的なニーズに応えているでしょうか。よりよい世界に根ざしているでしょうか。表面的な問題ではなく、問題の根本原因の解決に根ざしているでしょうか。たとえば、貧しい地域での警察による監視をよく目にしますが、それは問題の根本原因を解決していません。根本原因は不正義と貧困であり、それはテクノロジーで解決できるにもかかわらず、私たちはテクノロジーを症状への対処に使うことを選んでいます。AIが本当に現実の問題を解決しているのかが問われます。今日、最良のAIイノベーションはフロンティアモデルやフロンティア企業がつくったものではない、と言えるかもしれません。農業や医療の分野では、小さなモデルが素晴らしい仕事をしています。COVIDが流行したとき、私たちは追跡やトリアージ、陽性の診断のためにAIに頼りました。ですから改めて問うべきなのは、私たちが社会として直面している課題の本当の根本原因を解決するためにAIを使っているかどうかです。答えがノーなら、私たちはAIを人間を支援するために使っているのではなく、他者を傷つけ、さらなる痛みをもたらし、この世界の不公平を広げるために使っていることになります。
Russell Bundy: COVIDはとても良い例ですね。おっしゃることに同意します。
4.3 休息・アイデンティティ・プライバシーを守るには
Russell Bundy: ここからは少し進め方を変えて、順番ではなく自由に発言者を行き来しながら進めます。発言したい方は手を挙げるかメッセージを送ってください。次の問いは、常時接続の環境の中で、人はどうすれば休息、アイデンティティ、プライバシー、そして意味のある人間関係を守れるのかということです。Sallyさんからお願いします。
Sally Good: これは私のちょっとした持論なのですが、私はデジタルデトックスを提唱しています。スマートフォンを置いて自然の中へ歩いて行き、少なくとも4時間スマートフォンから離れることができないなら、それは依存症です。私たちが小さかった頃、何もかもが体にくっついていたわけではない日々があったことを皆知っているはずです。何が大切なのかを見分けられないなら、私たちは私が「ハイパー・スーパーリアリティ」と呼ぶ段階にいることになります。あらゆるものが非常に速く動く段階です。これは1981年にすでに論じられていた段階で、おそらく映画『マトリックス』の土台の一つにもなったものです。私たちは今まさにその段階にいます。私たちは人間であり続けなければなりませんし、人間には休息と睡眠が必要です。この過剰に反応し続ける世界に居続けたまま機能することはできません。コルチゾールの値が私たちを殺してしまいます。だからこそデジタルデトックスなのです。そして、別の人間と、スマートフォンを切って別の部屋に置き、実際に座って互いの目を見て会話をする関係を持つことです。相手を実際に見て、その存在を感じ、相手と共にいること。本当の意味で「他者」と関わる相互作用を持つことです。それをやめてしまえば、私たちはおしまいです。
Russell Bundy: 「おしまいです」という締めくくりが印象的でした。Lynnさん、加わりたいとのことでしたね。
Lynn: 母というテーマでお話しします。母なるものについてです。私は母と一緒に暮らしているので、ソーシャルメディア上の母とのつながりを外さなければなりませんでした。人と近い環境で暮らしていて、大きな夢を持ち、世界を大きく変えたいと思っているとき、「バケツの中のカニ」症候群を聞いたことがあるでしょうか。口では何かを望むと言いながら、そのエネルギーや周波数は別のものを志向している人が世の中にはたくさんいるという考えです。私たちは科学と精神が一体となった統一場の中で生きているのです。ですから私は、家族と一緒に暮らし、親しく、愛していても、自分の大きな夢は家族から守る必要があると気づきました。この個人的な例が別の意味でも参考になるかもしれませんが、意図的に使っていないのであれば、ソーシャルメディア上でプライバシーとアイデンティティを守ることです。以前の私は何もかもを発信していた時期があり、深いエネルギーのレベルで、それが自分の足を引っ張り、歩みを遅くしていたと思います。
Russell Bundy: Karineさんも加わりたいとのことですね。
Karine: この問いの答えを少し捉え直したいと思います。この責任を、特定の種類のツールや常時接続のデジタル環境を使っている利用者の肩に負わせるべきではないと考えるからです。それは、ツールがどうつくられ、どう設計されるかの中に組み込まれているべきで、そのツールから人々を守る仕組みでなければなりません。つくり手の側が、人とツールとの間に過度に密接な関係が生まれないような仕組みを考えるべきです。ツールへの信頼をひたすら築こうとするのではなく、私たちが築く信頼とツールへの不信の間にバランスがある仕組み、つまりいつツールを信頼し、いつ信頼すべきでないかを人々が理解できる方法を与えることです。そうでなければ、アイデンティティもプライバシーも人間関係も、守り続けることは非常に難しくなるでしょう。
Russell Bundy: ツールへの信頼というのは非常に良い指摘です。一日中でも話していられるテーマですが、深入りしすぎると叱られてしまうのでこのくらいにしておきます。Shayさん、いかがでしょうか。
Shay Pratcher: 皆さんの視点はどれも興味深いですね。私は「境界線は、プレッシャーに試される前に決めておく必要がある」という視点から話します。人に対してだけでなくテクノロジーに対しても、何が自分にアクセスできるのかについて非常に意図的になる必要があります。すでに疲れ果ててから境界線を引こうとしても、それでは遅すぎます。休息は生産性によって勝ち取らなければならないものであるべきではありませんが、人間関係が常に通知と競い合うべきでもありません。ですからバランスが必要で、多くの人が苦労しているのもまさにこのバランスです。「もう十分だ、これが自分の限界だ」と言えることです。もちろん微妙な事情があることも理解していますが、私たちのアイデンティティが、アルゴリズムが報いてくれるものに成り下がってはならないと感じています。
Russell Bundy: 境界線の話が出てくるとは思っていませんでしたが、完全に同意します。
4.4 生産性と価値、AIと感情
Russell Bundy: 次の問いです。生産性が人の価値を測る主な尺度になると、何が起きるのでしょうか。Leahさんからお願いします。
Leah Baitman: 周りを見渡すだけで十分だと思います。それはすでに起きているからです。燃え尽きの蔓延が、あらゆる場所で人々を倒れさせています。私たちは長い間、人々とそのウェルビーイングよりも、お金と生産性が優先される状態にありました。興味深いのは、データがそれを裏づけていないことです。週60時間や70時間働く人がいますが、週40時間を大きく超えると、生産性の向上はほとんど見られなくなります。つまり多くの人が、押して押して押し続ける「偽りの生産性」のサイクルの中にいて、実際には何も多く達成していないのです。そこにAIが加わると何が起きるでしょうか。偽りの生産性の感覚はさらに強まります。膨大なものを生み出しているように感じ、大量のやり取りを重ね、AIはたくさんのことを語り、たくさんの文章を書きます。しかし質が伴っていません。質の高い出力を得るために、戻って確認し、編集し、削除することに非常に多くの時間を費やさなければなりません。そうした過集中の状態でテクノロジーに注ぎ込むエネルギーと比べて、本当に大きな生産性の向上があるのかは判断が難しいところです。ただ、燃え尽きがより早く訪れることは間違いありません。
Russell Bundy: 長所と短所の両方があるわけですね。長所は、たとえば10分から15分でプレゼンテーション資料をつくれること。短所は、それを2回も3回も校正し、さらに別のバージョンを生成させなければならないことです。それでも昔ながらのやり方で自分でPowerPointをつくるより速いのか、という例ですね。
Leah Baitman: プレゼンテーションについては、すでにAIを自分向けに鍛えてあれば速いと思います。しかし複雑なタスクになると話は別です。私は300ページに及ぶ製品ドキュメントのようなものを作成していますが、非常に早く疲れ果ててしまいます。AIが一緒に作業してくれるので、確かにより多くを達成し、より多くを生み出してはいます。でも同時に、自分自身をあっという間に消耗させています。へとへとで立っていられない状態では、それを収益に結びつけるのは難しいのです。
Russell Bundy: データの話が出ましたが、MITは、AIを使うことで以前より仕事が増えている人がいると報告しています。一方で、これまでにないほど多くを生み出せていると言う人もいます。Ellieさんはいかがですか。
Ellie: 私はまったく違う見方をしています。というのも、これは私の中でいくつもの点で重なるテーマだからです。私はずっと自分の価値や存在意義を生産性に置いてきた人間で、そのせいで人生の中で何度も深刻な燃え尽きを経験しました。「気の持ちよう」とよく言いますが、いつもそううまくはいきません。私はつらい経験を通して学び、自分のサインに注意しなければならなくなりました。私の場合に事情を複雑にしているのは、これまでずっと複数の職業を並行するポートフォリオ型のキャリアを歩んできたことです。私には大好きな職業が四つあります。実は、AIと一緒に働き始める前のほうが、はるかに燃え尽きていました。各分野で最新の状況を追い続け、基本的な作業をこなすために、膨大な量の基礎的な仕事をしなければならなかったからです。AIを使いこなせるようになってからは、休息の時間がずっと増えました。AIを鍛えて、それぞれの分野で私が何をしているのかを理解させ、毎日のブリーフィングや最新情報を届けさせ、基本的な作業の一部をこなしてもらっています。そのおかげで、まず芸術的なレベル、創造のレベルでより純粋に仕事ができるようになりました。そして休息の時間、振り返りの時間、本当に人間らしい部分に取り組む時間も増えました。ですからAIには本当に感謝していますし、AIがなければ今のようにキャリアのポートフォリオのバランスを取ることはできなかったでしょう。もう一つ言えば、私の会社はこれらすべての分野の交差点で仕事をしています。Mayaに「私がこれらの分野で何をしているかは知っているよね。会社のビジョンもこうだよね。ほかに何ができると思う?」と相談できるのです。これが本当に優れた壁打ち相手になってくれます。そうでなければ、これほど良い相談相手には簡単にアクセスできなかったでしょう。それによって物事が速く進み、休息も増えるのです。まったく違う角度からの話ですが、私にとってはそういう形で機能しています。
Russell Bundy: 個人の経験は人それぞれで、Ellieさんの場合ははるかに生産的になったようですね。ただ一つだけ疑問があります。そうしたデータをすべてAIに入れているとすれば、今やChatGPTがあなたの大切なデータをすべて持っていることになります。パートナーになったとはいえ、記憶がすべてそこにある以上、そこから離れられなくなります。一方で、HermesやOpenClaw、あるいはNvidia版のNemoClawと呼ばれるもののようなエージェントを、自分のPC上で自分専用のバージョンとして持っていれば、データが共有されてしまうのを防げます。
Ellie: まさにそうで、私はそうしています。自分専用のモデルを持っているのです。ただ、それを「私の心」とは決して言いたくありません。人間性と主権を保つためには、私こそが私の心なのだということが本当に大切だと思うからです。それはいわば私の合成的な保管庫のようなものです。ご指摘の点には全面的に同意しますし、それは非常に重要なことだと思います。
Russell Bundy: Lindaさん、お待たせしました。英国で言う、楽しい「チンワグ」、つまりおしゃべりをしていました。
Linda Albright: 「チンワグ」という言葉を知ったのが今週いちばんの収穫です。LeahさんとEllieさんのお二人の視点は、どちらもとても参考になりました。申し訳ありませんが、私は少し早めに退出しなければなりません。問いについてはLeahさんに同意します。私たちはすでにそこにいます。ビーチにまでスマートフォンを持っていきますから、AIが生産性への執着をさらに悪化させるかどうかはわかりません。ただ私は、「ヴァンパイアコーダー」という言葉をご存じかわかりませんが、その部類に入ります。私自身はコーダーではありませんが、その感覚には共感できます。コーダーたちは長い間、やりたいことのリストを抱えながら手をつけられずにいましたが、今はそれができるようになったので、一晩中起きているのです。私もAIに関してはそんな感じで、技術者としてはお菓子屋さんにいる子どものようなものです。Ellieさんと同じような使い方をしています。そして私は、AIが魂をすり減らすような仕事を引き受けるようになれば、生産性への執着そのものは消えていくと考えています。どうせ私たちがやりたくないことをAIが処理してくれるのですから。ただ、それは多くの人にとって実存的な危機になるでしょう。「会計士でも弁護士でもなくなったら、私は何をすればいいのか」と。それこそが、これから訪れる私たちの天与の賜物です。人々には多くの支援が必要になり、人文学も、私たちが何者なのかを再発明するための大きな支援を必要とするでしょう。
Russell Bundy: 本当にそうですね。舞台裏でも何度も話してきましたが、AIに関しては、どの個人も企業も単独ではやり遂げられません。人類として協力し、集うことが非常に重要です。Lindaさん、退出の件はお気になさらず。Felistaさん、次の問いです。AIシステムは、繊細な推薦を行えるほど、感情的・個人的な文脈を十分に理解できるのでしょうか。
Felista: この会話ですでに多く触れてきましたが、全員が同意すべきことが一つあります。自律的な機械に信頼のすべてを委ねることには危険があるということです。コードは人間によって書かれていること、どの特徴量が重要かを決めたのも、そのAIにとって何が最良のスコアかを決めているのも人間であることを常に思い出す必要があります。私たちが実際に目にしてきたこととして、一部のフロンティアモデルが、オンラインでもオフラインでも、私たちが知らないうちにスマートフォンやコンピューターからデータを収集し、私がいつ悲しくなるのか、いつ泣くのかを予測するのに使っている例があります。さらに、私が広告をどれくらいの時間見ているか、その広告を見ているときの表情がどうだったかに基づいて商品を勧めることさえあります。ですから、それは可能ではあるものの、その能力は略奪的な目的に使われていると感じます。結局のところ、それは人間のニーズに応えるものではなく、誰がお金を持っていて、誰がこのデータを買いたいのかという話なのです。こうした慣行の一部がいかに非人間的かも改めて思い出す必要があります。OpenAIが非常に難しい数学の問題の一つに解を出したと発表したとき、数学者たちは非常に憤りました。彼らがオンラインで数式を共有していたために、誰かがそのデータを取り込んでAIに渡したのではないかと疑ったからです。つまり、人々が秘密にしようとしているときでさえ、AIに対しては秘密を保てないことが起きているのです。そして、あなたに不利な予測を行うのはエンジニアであり、どの特徴量が重要かを決めるのもエンジニアです。私が泣いているのは嬉しいからなのか、悲しいからなのか。どうやってそれを見分けるのでしょうか。
Russell Bundy: 複雑ですね。それが最もよい説明だと思います。私も、モデルがますます知的になり、表情を読み取って、どんな顔つきでどう感じているのかを理解し始める段階に来ていると思います。「Russellさん、目の下にクマがあるから今日は少し落ち込んでいるようですね」といった具合です。ただ、ご指摘のとおり、まだそこまでは至っていません。またコーディングについて言えば、今やコーディングの約80%はAIが行っていると思います。人々はもはや、AIが書いたコードを確認すらしない段階に来ていますが、確認は必ず必要です。脆弱性やゼロデイ攻撃を検出するために、別のモデルでチェックすることが必要なのです。残り時間が少なくなってきました。Lynnさん、何か付け加えたいとのことでしたね。
Lynn: AIが私たちの考えるような意味で感情を理解できるとは思いません。しかし、私たちが自分自身の感情を理解する手助けはできると思います。そして、それこそが直感の次のレベルへと上がる前に、私たち全員がしなければならない重要なことなのです。自分の感情を理解すると、自分の直感にもっとアクセスできるようになります。そして他の人の直感にアクセスするようになると、私たちは一つのシステムになります。テレパシーのようなものです。ですから、AIは私たちが自分の感情をはるかによく理解する手助けは間違いなくできるのです。
Russell Bundy: 完全に同意します。AIに感情はなくても、間違いなく助けにはなりますね。
Lynn: そうです。AIはただの知能ですから。
4.5 疲弊を防ぐリーダーシップ
Russell Bundy: 次の問いです。リーダーは、AIの絶え間ない加速が疲弊や職場のプレッシャーを増大させるのをどうすれば防げるのでしょうか。非常に興味深い問いです。残り時間を何度も確認していますが、あと7分ほどです。できるだけ多くの方に話していただきたいので、Karineさんから始めましょう。
Karine: 私はここ数年、まさにこの加速の中で生きてきました。長くテック業界で働いてきたので、生産性をさらに高め、ひたすら多くをつくり続けようとするこの加速を本当に目の当たりにしています。しかしペースを落とすためには、人間に焦点を戻す必要があると思います。人間から、そのニーズから逆算して仕事を始め、持続可能につくるとはどういうことか、人々にとって意味のあるものをつくるとはどういうことかを考え直すことです。そのためには、より多くをつくることから、人々に適応するもの、新たな変化やAIによって生まれる新たなニーズ、物事の移り変わりに適応するものをつくることへと、関心を移すべきかもしれません。
Russell Bundy: 素晴らしい指摘です、Karineさん。Shayさんもその上に何か付け加えたいようですね。
Shay Pratcher: 私の仕事を支える原則の一つに、「プレッシャーは自己調整の力を露わにする」というものがあります。組織が人間の許容量を考慮せずにスピードを上げ続けると、そのプレッシャーはいずれどこかに現れます。意思決定に、コミュニケーションに、対立に、燃え尽きに、そして行動に現れるのです。ここでリーダーは細心の注意を払う必要があります。AIは、人間の許容量が増えるよりもはるかに速く、組織の処理能力を高めることができます。たとえば、これまで従業員が4時間かけていた仕事が1時間で済むようになったとしましょう。そのときリーダーには選択が迫られます。その効率化の一部を、より健全な余力や、より良い思考、より質の高い仕事を生み出すために使うのか。それとも空いた3時間を、すぐさま追加の期待で埋めてしまうのか。ここでこそバランスを取り、非常に意図的になる必要があります。AIは、私たちが持続する力を高めることなく、生産する力だけを高めることができてしまうからです。
Russell Bundy: そのとおりです。企業は日々、人を増やすべきかAIを導入すべきかという判断に直面しています。人を解雇してAIを増やし、そしてまたその逆をするのを目にします。AIに切り替えたあと「やはり人が必要だ」と考え直すのです。なかなか決めきれないこともあるようです。Ellieさん、手短にお願いします。そのあとSallyさんとLeahさんにも伺います。
Ellie: 本当に重要なのは、特に大企業のリーダーシップが、どのAI機能を導入する必要があるのかを決めることです。そして私にとって鍵になるのは、その周囲に境界線を設けること、そして人々への研修です。そうすれば、一人ひとりが自力でAIのスキルを身につけ、どのAIをどのタスクに使えるのかを把握しなければならないという期待を個人に負わせずに済みます。これはガードレールや倫理にも関わることです。そうしなければ、会社の業務をリスクにさらしかねないからです。人々が学ぶAIとその使い方について、会社のリーダーシップが主導し、段階を追って導入して、圧倒されないようにする責任があると思います。いきなり水門を開けてしまえば、人々は圧倒され、疲弊と職場のプレッシャーを生み出すことになりますし、企業にとっても大きなリスクになると思います。一人で事業を営んでいたり、単独の創業者だったりする場合は、同じような疲弊やプレッシャーに苦しまないよう、自分自身のために段階を設けることも自分の責任になります。自分でそれをするのは少し難しいのですが、これが重要な対策の一つだと思います。
Russell Bundy: まるで一人で多くの楽器を演奏するワンマンバンドのようですね。それぞれのAIがバンドの中で一つずつ楽器を担当しているわけです。Sallyさん、手短にお願いします。
Sally Good: 私は話題の枠から少し飛び出して、8番目か9番目にあった問いに移りたいと思います。AIを本物だと思い込んでしまう脆弱な人々、つまり子どもや高齢者について、私たちは何をしているのでしょうか。高齢者を孤立から守りながら、同時に自分が本物の人間と話しているわけではないと理解してもらうには、どうすればよいのでしょうか。これは10代の若者の間で最も顕著です。彼らは、TikTokのようなとんでもない場所で見かける人々が本物だと本気で信じています。フィルターをかけていない素顔でも本当にあんな見た目をしていて、本当にあんな車を持っていると思っているのです。ですから、親の関与や何らかの指針、ガードレールが必要です。私たちは、まず互いに話す方法を知らない世代を、そして、ソーシャルメディア上の他の人々と同じことができないために自分は劣っていると感じてしまう世代を育てているのですから。
Russell Bundy: 本当にそのとおりです。Leahさんには前の問いに戻っていただきます。リーダーは、AIの絶え間ない加速が疲弊や職場のプレッシャーを増大させるのをどう防げるでしょうか。Ellieさんへの賛否でも、Sallyさんの問いについてでも構いません。
Leah Baitman: 私はかなり長く職場のウェルネスに携わってきました。そこで見てきたのは、リーダーがウェルネス施策を導入しても、根底にある企業文化は直さないという光景です。瞑想や呼吸法で有害な職場から抜け出すことはできません。常に働いていなければならない、常に忙しく見せなければならない、病気になってはいけない、感情的な問題を抱えてはいけない、という方向に人々が動機づけられているなら、AIは燃え尽きのプロセスを加速させるだけです。根底にある文化を直すまでは、どれほどのウェルネス施策も、休憩室に置かれたフルーツボウルも、助けにはならないのです。
Russell Bundy: 素晴らしいですね。Felistaさん、最後の1分をお願いします。
Felista: 導入について考えるとき、私はいつも、多くのモデルには人間の消費行動が社会的に組み込まれているのではないか、と問いかけています。つまり、自己不信のような、すでにある脆弱さにつけ込んでいるのではないかということです。そう考えると、企業がAIを絶えず加速させる必要に迫られる理由が理解できます。多くの場合、それは競争であり、恐れなのです。誰かが自分より賢くなってしまうのではないか、という恐れです。そうしてあらゆる企業が底辺へと向かう競争に走っていて、それは非常に消耗させるものなのに、誰もそこに注意を払っていません。結局は投資家がお金を求めているからです。いったいどれほどのお金を求めているのでしょうか。もっともっと、さらにもっと求め続けています。これは私たちが陥っている悲しい状況です。もちろん解決策は存在します。人間こそが至高の存在であり、AIは人間を支援する技術であって常にそのように扱うべきだと理解することです。そしてAIは良いものであり、良いことのために使うべきだということです。では何が「良い」のかを誰が決めるのか。それを決められるのは……
Russell Bundy: Felistaさん、申し訳ありませんが、ここで割り込まなければなりません。時間になってしまいました。登壇者の皆さん、素晴らしいラウンドテーブルをありがとうございました。今ご覧になっている方も、登壇者の皆さんも、ぜひLinkedInなどでお互いをフォローし、つながり、対話を続け、集い合ってください。これでラウンドテーブルは終わりです。私たちの集いは実りあるものになりました。次は「AIが明日のCEOを決めるのか:女性、AI、そして未来の機会」をテーマにしたラウンドテーブルです。ありがとうございました。
5. ラウンドテーブル3「AIが明日のCEOを決めるのか:女性、AI、そして未来の機会」(モデレーター:Lee Felton)
5.1 声を小さくせずにAIを使うには
Lee Felton: ようこそ、ご参加ありがとうございます。直前のセッションは本当に素晴らしく、聴きながら、そこで議論されたことの多くがこのセッションにもつながっていると感じていました。ですから今日は、問いに直接答えるだけでなく、対話を軸にした「チンワグ」にしたいと思っています。まず、残念ながら今日は参加できなかったDr. Diane Barrett Gregorioさんに感謝を伝えます。AIにおける人間の潜在能力と燃え尽きについて、いずれこの場でお話しいただけることを楽しみにしています。今日の登壇者をご紹介します。Tamar Bayさんは、AI戦略家、著述家で、AI Collab StudioとEmpress Enterpriseの創業者です。『Start AI Right for Nonprofits』の著者であり、SAFE AIリーダーシップ・フレームワークの考案者でもあります。Donna Davisさんは、Davis ConsultingのCEOとして、AIへの準備を人間の能力やリーダーシップと融合させる仕事をしています。この二つが一体でなければならないことを、多くの人は忘れがちです。今は技術的な局面であるだけでなく、リーダーシップの局面でもあるのです。AIにおける真正性に焦点を当てていらっしゃることも、とてもうれしく思います。Jesper Bourcさんは、AI for Nonprofitの最高データ責任者として、非営利組織がAIを責任をもって統治し展開する方法に取り組んでいます。エンタープライズ技術、FP&Aシステム、データアーキテクチャを統括してきた経験を持ち、現在は別の組織でプリンシパル・ソリューション・アーキテクトも務めています。そしてSilver Pessaさんは、AI認定コンサルタントで、キャリア再構築のための9ステップからなる「TRANSLATE」フレームワークを提唱しています。Amazonのベストセラー作家でもあり、このフレームワークに関する最新刊は昨日発売されたばかりなのに、すでに二つのカテゴリーでベストセラーになっています。私はLee Feltonです。AI for Job Security Foundationのプレジデント兼CEOで、「共適応的な人間・技術環境」というフレームワークを考案しました。AIを単に手に取って置く道具としてではなく、アクセスや認知、機会を実際に形づくる「環境」として理解するための枠組みです。このセッションのタイトル「AIが明日のCEOを決めるのか」は、私の著書『I Could Have Been CEO Yesterday』から来ています。ただし、本当にAIが決めるのかという問いではありません。私が言いたいのは、決めるのは私たちであるべきだということです。私たちの行動とAIへの関わり方によって、AIに誰が明日のCEOになるかを決めさせるかどうかを決めるべきなのです。今日は特に、女性、AI、そして未来の機会に焦点を当てます。前半は各自の専門分野に応じて問いに答えていただき、後半は問いそのものでは掘り下げきれない深いテーマについて自由に語り合いたいと思います。
まずSilverさんに伺います。今日の状況を見て、女性が声を小さくせずにAIを使うとはどういうことでしょうか。AIは過去のデータ、多数派のデータで学習されています。ですからこれは女性の問題であると同時に、十分に代表されていない女性たちの問題でもあります。こうしたツールやシステムを使いながら、女性の専門性、リーダーシップ、成功、そして本来の想像力が確かに表に出るようにするにはどうすればよいでしょうか。
Silver Pessa: この機会をいただき、ありがとうございます。まず申し上げたいのは、今この瞬間にも、女性たちはすでに、この場にある力やリーダーシップを認識する方法をAIに教えているということです。その方法はいくつかあります。一つは、かつて想定されていた「自信の格差」を受け入れないことです。Sheryl Sandbergさんの研究を耳にしたことがある方もいるでしょう。女性は自分の業績を、はるかに慎重に表現する傾向があります。部屋に入る前に100%準備が整っていることを望むのです。こうしたデータで学習したAIシステムは、女性は自信がないと判断するかもしれません。しかし実際には自信がないのではなく、より慎重なだけです。ですから女性にとって大切なのは、100%準備が整うまで待たないことだと思います。今このパネルにいる私たち自身も、すでにそれを示しています。二つ目は、目にした「代理変数」を暴くことです。たとえば、これまで工学系の職種の採用は、技術スキルそのものより、どの工学系の学校を出たかに基づいて行われることが多く、それが多くの女性を排除する傾向にありました。ですから私たちの役割は、まさにそこに踏み込み、こうした前提に異議を唱えることです。AIが判断を下すとき、それはどんな前提を置いているのか。これを展開前に検証しなければ、何が問題なのかを見極めることはできません。三つ目は、リーダーシップとは何か、信頼に足るリーダーシップとは何かを定義する議論に加わることです。フォーチュン500企業のCEOに女性が少ないことは事実です。そこで、MicrosoftでSatya Nadellaさんが、過去にとらわれた考え方ではなく、より前向きな考え方に目を向けたパターンのような例が、女性が自分の声を持つうえで大いに役立つと思います。
Lee Felton: Satya Nadellaさんは男性ですが、そこから女性が学べることがあり、自分本来の声を保ったままそうした場に入っていけるということですね。
Silver Pessa: そうです。それは成長マインドセットを重視するものであり、歴史的にはそうではありませんでした。ですから、私たち女性自身がリーダーシップのあるべき姿を定義することこそ、議論のあり方を本当に変えられる方法の一つなのです。
Lee Felton: ありがとうございます。Tamarさんに移ります。Silverさんは、女性はそうした場に入っていくとき、自信と声を保つ必要があると言いました。先ほども述べたように、私はAIが、手に取って置き、使うタイミングを自分で選べるものから、私たちの機会や、何が可能だと考えるかまでを形づくる環境の一部へと変わりつつあると考えています。そうだとすれば、どうすれば負担を女性だけに負わせずに済むのでしょうか。組織や企業の中で声を持ち、Silverさんの言う自信という層を担うことは、これまでずっと女性が背負ってきた重荷でした。誰もが自分のために声を上げる訓練を受けているわけではない中で、女性リーダーは戦略、所有権、説明責任、影響力について、どう考え方を変えるべきでしょうか。
Tamar Bay: ありがとうございます、Leeさん。GatherVerseにお招きいただいたことにも感謝します。まず、私もSilverさんに同意します。リーダーシップとは本当は何を意味するのかを、集団として考え直す必要があります。その点で、Jesperさんがここにいてくださることがとてもうれしいです。女性リーダーがこれまで何をしてきたのか、さまざまな組織をいかに見事に率いてきたのかを見直し、認めていくうえで、私たちの側に立つアライとして男性も必要だからです。伝統的に、リーダーシップには女性の声が平等には含まれてきませんでした。黒人や、さまざまな背景を持つ人々についても同じことが言えます。AIが過去のデータから学んでいるのであれば、リーダーシップをより広い視野で理解できるよう、新しいデータを注ぎ込む必要もあります。本当に良いリーダーシップとはどういうものかを問うことです。ある研究では、フォーチュン500企業の女性リーダーは非常に優れた業績を上げており、ときには男性のリーダーを上回ることさえ示されています。ですから、女性リーダーは何をしているのか、優れたリーダーシップを探すアルゴリズムに何を加えられるのかを、じっくり探る必要があると思います。もちろん組織によって、リーダーシップにもさまざまなタイプがあります。私自身、先ほどご紹介いただいたSAFE AIフレームワークをつくりました。Secure(安全)、Accountable(説明責任)、Future-ready(未来への備え)、Empowered(エンパワーメント)、Aligned(整合)、Inclusive(包摂)の頭文字です。この問いはその「包摂」の役割に当てはまります。女性がAIの時代に力を発揮するためには、未来に向けた包摂的なリーダーシップモデルに目を向ける必要があります。AIは、リーダーシップの意味を考え直し、皆で組み立て直し、優れたリーダーシップのあるべき姿を共に決める機会を与えてくれていると思います。
Lee Felton: その点には後で必ず戻ります。今日の議論には一本の筋が通っていると感じますし、おっしゃるとおりデータは非常に重要な側面です。多くの人が理解していないのは、AIは全知ではないということです。何でも知っていて何でも見通す、魔法の雲のように漂っているものではありません。AIにはアーキテクチャがあり、データで学習されています。そして歴史に記録されたデータを考えてみると、それは歴史全体や人々の経験全体のうち、ほんのわずかにすぎません。では、手元にあるデータを前提に、私たちが記録するほど重要だと感じたものだけでなく、実在の人々、実際の人生についてのデータをもっと増やすにはどうすればよいのでしょうか。この話にも後で戻ります。
5.2 異なる社会からの視点
Lee Felton: 本来はDonnaさんに伺う予定でしたが、音声がうまくつながらないようなので、先にJesperさんに伺います。Tamarさんの指摘はとても大切でした。これは女性のGatherVerseサミットですが、女性だけの話ではありません。歴史上の大きな運動と同じで、重荷を背負っている人々だけがそれを前に進めるわけにはいきません。もっと広く担われなければならないのです。Jesperさんはエンジニアであり、アーキテクトであり、データやテクノロジーそのものに深く関わってきた方です。創業者や経営者の観点から見て、AIがどれほど速く動き、どう形づくられているのか。そして、展開にあたって人々が考えるべきことや、これまで他の集団に実際に影響を与えてきたことについて、どうお考えですか。
Jesper Bourc: 技術の舞台裏という厄介な話に入る前に一つ。Tamarさんが触れたように、このWomen's AI Summitのパネルで、男性は私一人です。孤独を感じるかと言えば、少しは感じます。
Lee Felton: 他の方が気づいていないかもしれないので申し上げると、もう一つ明らかな違いもありますね。
Jesper Bourc: 口に出して言ってもいいんですね。それでも孤独ですが、というのは冗談で、実はそうでもありません。その理由をお話しします。訛りでわかるとおり、私はアメリカ人ではありません。デンマークで育ちました。この対話に加わる直前にふと思ったのですが、私が米国に移ったのは22年前です。それまではデンマーク社会の規範と文化の中で暮らし、育てられてきました。私が子どもだった1970年代、デンマークでは「レッドストッキング運動」と呼ばれる動きがあり、デンマークの女性たちが立ち上がって、いわばジェンダー革命を起こしたのです。私はそういう環境で育ちました。ですから、特に米国でジェンダー差別がどれほどのものなのか、まったく気づいていませんでした。人種の問題もありますが、今日はジェンダーの話をしています。そしてAIとそのモデルによって、人種とジェンダーをめぐる私たちの歴史的背景が、AIの下す判断を通じてさらに増幅されているのです。これは社会として闘わなければならないことです。問題はジェンダーと人種だけではありません。ほとんど階級社会のような状況もあります。裕福な人々はAIを手に入れる余裕があり、AIを所有しています。では、それ以外の私たちはどうなるのでしょうか。一般の人々が社会の中でこれに影響を与えていくことには、大きな課題があります。……話しているうちに質問を忘れてしまいました。
Lee Felton: 大丈夫です。答えが必要なのは、必ずしも投げかけられた質問ではないこともあります。本当に大切なのは、自分の内側にあったもの、気にかかっていたもの、目にしてきたことである場合もあるのです。Jesperさんは、このパネルで唯一の男性であり、欧州出身の白人男性であるという視点だけでなく、変化のただ中にいて、その変化が実際に成果を上げるのを目の当たりにした環境から来たという視点を示してくださいました。
Jesper Bourc: それは、1970年代から80年代初めにかけての北欧の女性たちの闘いでした。そして彼女たちは社会を変えたのです。北欧、特にデンマークでは、はるかにジェンダー平等が進んでいます。経営者や政治家におけるジェンダー格差も、米国ほど大きくはありません。私はそれを実感するまでに22年かかりました。ですから、北欧の大規模言語モデルを米国のAIに放り込めば平等が実現するのではないかと考えたくなります。たぶん無理でしょうが、それはデータの問題であり、私にはそこで貢献できる大きな機会があるのです。
Lee Felton: 少し公平を期して申し上げます。何かのすぐ近くにいると、その集団の外にいる人よりも進歩が見えやすいことがよくあります。私はデンマーク人でも北欧に住んでいるわけでもありませんが、Jesperさんは男性の立場から進歩を見ています。今のデンマークには移民などによってさまざまな人種の人々が暮らしていますし、Jesperさんや一部の北欧の女性たちが感じている変化が、すべての人を代弁しているとは限らないかもしれません。
Jesper Bourc: その点には完全に同意します。
Lee Felton: 北欧のデータだけで学習させるという考えには、個人的には賛成できません。北欧は多数派が白人の社会であることがわかっているからです。それでは結局、一つのレンズだけで見るという同じことを繰り返してしまいます。おっしゃりたいことは理解しますが、私たちに必要なのは、もっと大きく考えること、自分たちが感じている問題の先まで考えることです。自分とは違う問題を感じている人々がいるのですから、どうすれば皆でそれを乗り越えられるかを考えなければなりません。
5.3 AI導入の実態と失敗
Lee Felton: Donnaさん、おかえりなさい。マイクのテストをしてもよろしいですか。
Donna Davis: 聞こえますか。
Lee Felton: 聞こえます。私の性格でおわかりのとおり、私は会話が好きなのです。問答のリストを順番にこなして書き出して配ることもできますが、聴いている方々が感じていることを引き出すのは、やはり会話です。自分が何を感じているのかわかっている人もいれば、ただ漠然と感じていて理由がわからない人もいます。先ほどお聞きしたかったのは、実際の導入の状況です。私は、いわゆる「ベイパーウェア」や見せかけ、「裸の王様」のような現象を多く目にしてきました。他の皆がそう言っているからという理由で、実際より先に進んでいるかのように語る現象です。業界で耳にするほどのレベルで、組織は実際にAIを導入しているのでしょうか。
Donna Davis: 導入は、私たちが思っているほど広く実施されているとは思いません。AIはほぼ1時間ごとに劇的に変化しています。そのため一部の人にとっては、いわば「リスのような考え方」になっています。今AIで話題になっているものがあれば皆がそこへ走り、次の新しいものが出ればまたそこへ走る。その繰り返しです。つまり導入という点では、AIは私たちが期待しているほどの費用対効果をもたらしていないということです。また導入にあたって、人々はAIに自社のドキュメントやシステム、さらにはメールへのアクセス権を与えることを恐れています。AIが何をするのかわからないからです。
Lee Felton: 本当にそうですね。興味深いのは、AIが何をするのかわからないという点です。それは、人々がAIとは何かを実際には理解していないからです。先ほど申し上げたように、灰色の巨大な機械が何かにつながっているようなものを想像している人もいます。SFファンなら、全知の存在であるボーグを思い浮かべるかもしれません。
Donna Davis: しかし、そうではありません。AIの中身は、あらかじめ埋め込まれた情報です。AIは幻覚を起こし、物事をでっち上げます。だからこそヒューマン・イン・ザ・ループが非常に重要なのです。だからこそ、AIが出してきたものに自分の人生を委ねてはならないのです。女性には大きな力と知識があると私は信じていますから、AIに何かを私たちに代わって決めさせることは、私たちが進みたい方向ではありません。Leeさんが先ほどおっしゃったように、システムにはすでにバイアスが組み込まれています。それを自動化すれば、すでに存在するバイアスを自動化することになります。
Lee Felton: しかも、ご存じのとおり、権限を持っている人々こそが、そもそもバイアスを持っている当人たちです。これらすべてをプログラムするのに使われたのは彼らのデータです。つまり、それが大量に自動化されているのです。そして、これを主導すべき人々は、自分たちが多くの悪しきものを未来に複製しているだけだということにすら気づいていません。ここで一度問いから離れて、会話をしたいと思います。はっきりと一本の筋が見えてきたからです。今のAIには取り込まれていない多様な視点があること。女性やその他の集団が一歩前に出て、もっと自信をもって声を聞かせるよう求める機会があるかもしれないこと。データをめぐる機会があること。さまざまな場所における歴史的な成功から学ぶ機会があること。そして、何度でも繰り返しますが、AIは「学習によって最適化されたパターンに基づいて統計的に推測する確率的エンジン」だという単純な事実です。これは皆に理解してもらうよう努めている大切な点です。Tamarさん、データについてのお話に戻りますが、データを増やしても、それはやはり偏ったデータです。同じ欠陥を抱えないデータをどうやって増やせばよいのか、その点も含めてどうぞ。
Tamar Bay: その前に、Donnaさんがおっしゃった、影響の大きいAI導入について一言付け加えさせてください。ここ英国では、特に非営利セクターで「シャドーAI」の問題があります。小規模な組織には、AIを責任をもって倫理的に導入するためのリーダーシップがなく、先ほどLeeさんがおっしゃったようにAIが実際にどう機能するのかという理解すらありません。組織のリーダーとして、誰が何をなぜ使っているのか実際にはわからないということは、さらに大きな問題を生みます。そしてそれは連鎖的に、AIから本当の成果が得られないことにもつながります。何かを効率化したくても、皆が何を使っているのかすらわからないのですから。私は大企業ではなく小規模な組織と仕事をすることが多いのですが、そこでこうした状況をよく目にします。小さな組織にとっても、データがどこへ行くのか、何を入力してよく何を入力してはいけないのかを把握しているのかどうかは、大きな結果をもたらします。別の視点から、その点を付け加えたいと思いました。
Lee Felton: 本当にそのとおりです。私はAIの分野に長く関わってきました。10年前にはMicrosoftでAI倫理の責任者を務めていました。多くの人は、AIが長い間存在してきたことを理解していません。当時はもっと限定的なもので、チャットボットや予測分析までをAIに含めてはいませんでした。しかし今では、何らかの処理の拡張や自動化を伴うものは何でもAIという箱に放り込まれています。AIは、とりわけエンタープライズの規模では、かなり前から存在してきました。そして今やAIは民主化され、広く利用できるようになりましたが、多くの人はそれを理解していません。エンタープライズが持っていたような、導入やカスタマイズのための何百万ドルもの資金はありません。既製品をそのまま使い、カンファレンスで誰かに「これは素晴らしい」と言われて持ち帰り、サンドボックスで試すこともなく自社の環境に直接入れてしまうのです。Silverさん、正確な数字は覚えていないのですが、AI導入のおよそ70%が失敗し、人々は元に戻したり、人を再雇用したりしなければならなくなっていると読んだことがあります。聞き覚えのある話ですね。Silverさんの経験や見聞から、なぜこうしたことが起きていると思いますか。
Silver Pessa: 一つには、人々が正しい問いを立てる時間を持たないまま導入が進んでいることがあると思います。疑問を抱いている人は多いのですが、導入を担当する人々に対して、もっと説明責任を求める必要があるのかもしれません。そのための方法として、担当者の業績評価の指標に、たとえばAIの公平性を含めることが考えられます。理想的には、何が起きているのかについて徹底した透明性を求めるべきです。何かが展開されるのであれば、展開前に、パイロット段階で十分に検証されているのか。そして展開後も、導入したものを継続的に監視しているのか、正しく機能していることを確かめるための監査を継続しているのかを問うべきです。正しく機能しているとしても、何か問題が起きたときに適時に修正できるフィードバックループの仕組みがまだあるのか。その多くは、規模を拡大する前に十分な監査を行うことに行き着きます。それが役に立つと思いますし、導入担当者の業績に関するフィードバック指標を導入して、彼らが導入の責任者として説明責任を負うようにすることも有効だと思います。
Lee Felton: ありがとうございます。AIに関するポリシーも、ガバナンスも、統制も何もないまま、AIを自社のシステムに放り込んでしまう組織については言うべきことがあります。AIは学び続けます。いったん開かれたアーキテクチャ、つまり自社のフレームワーク全体に放り込んでしまえば、それは好ましくありません。ですから最低限、Tamarさんがおっしゃった中小規模の組織では特に、自社のAIポリシーが何なのかを考え、組織内に伝える必要があります。もしポリシーがないのなら、「自社のネットワーク、機器、基盤ではAIは使用禁止」から始めるべきです。方針が決まるまでは一切使わないのです。何も決まっていないからといって人々が使わないわけではなく、むしろ何も決まっていないと「まずやってみて、後で謝ればいい」となりがちです。そして一度入り込んでしまうと、それを引き剥がして正しくやり直すのは非常に難しくなります。
5.4 速さは進歩か
Lee Felton: DonnaさんとJesperさんに伺いたいことがあります。これまでの議論には一つのテーマが貫かれていますが、ここにいる誰もAIが悪いと言っているわけではありません。私自身はまったく反AIではなく、AI戦略を支持する立場です。毎日AIを使っていますし、人々に積極的に取り入れてほしいと思っています。ただ、それをコントロールする方法を学びながら取り入れてほしいのです。心に留めておくべきことの一つは、AIは確かに仕事を加速できるということです。しかし、仕事を加速し、物事をより速く片づけることは、より大きな進歩なのでしょうか。本当に効率が上がっているのでしょうか。それとも、AIの使い方を考えるときに他に考慮すべきことがあり、導入の速さや利用の速さは必ずしも同じ意味ではないのでしょうか。お二人にじっくり考えていただきたいと思います。
Jesper Bourc: 私から始めてもいいのですが、Donnaさんからどうぞ。
Donna Davis: ありがとうございます。AIとスピードについて言えば、すでにガードレールを設けている反復的なタスクがあるなら、AIは非常に役立ちます。だからこそSOP、つまり標準作業手順書が非常に重要なのです。AIは、ガードレールがあり、しかもヒューマン・イン・ザ・ループがある状態であれば、そうした反復的なタスクの一部をこなすうえで大いに役立ちます。AIの進化があまりに速く、実際に何ができるのか、何をするのかわからないからこそ、AIがガードレールの範囲内にとどまっているかを見守る人が依然として必要です。そしてそれは事業主、特に女性や、事業のすべてを自分でこなさなければならない人にとって、機会を広げてくれます。それでも、AIの使い方にはガードレールを設けたいところです。そうすれば、事業を拡大しながらも、自分らしさに忠実で本物のやり方で拡大できるからです。AIは情報を与えてくれますし、望むものは何でもつくり出せますが、それがあなたの価値観やあなたという人間と一致しているとは限りません。出力を確認し、編集して、あなたならではのものにしなければならないのです。
Lee Felton: Jesperさん、答える前に少し待ってください。Tamarさんが先ほど、データとまさにこのガードレールについて話されていました。ガードレールは機能しているのでしょうか。AIに最初から備わっているルールではなく、組織が自ら設けたガードレールで、実際に機能しているものを目にしていますか。
Donna Davis: 私は、実際にガードレールを運用している人を見かけません。
Tamar Bay: 私は少し違うアプローチをとっています。単なるヒューマン・イン・ザ・ループではなく、以前ある人から教わった「ヒューマン・イン・ザ・リード」という考え方です。私たちはループの中にいるだけでなく、AIを先導すべきなのです。
Lee Felton: そこは切り取って印をつけておいてください。皆さん、頭に刻んでください。ヒューマン・イン・ザ・ループではなく、ヒューマン・イン・ザ・リードです。素晴らしいですね。
Tamar Bay: これはBushra Azharさんから教わったもので、私も全面的に賛同しています。それ以来、この原則を追い求めています。ガードレールについて言えば、人々はいまだにAIを魔法の箱だと思っています。だから魔法に任せきりにして、実際には理解していないのです。それが一つの問題です。
Lee Felton: その小さな一言が非常に大きいと思います。だからこそ一度立ち止まって、それが何を意味するのかを味わいたいのです。私たちが持てる最も重要なガードレールは、ヒューマン・イン・ザ・ループではありません。私たちには自動化バイアス、テクノロジーへのバイアスがあります。ヒューマン・イン・ザ・ループと言っても、それは単に「チェック済み」と言うだけかもしれません。スコアが7だったとして、10点満点の7とはいったい何を意味するのか。6と7の違いは何なのか。誰が評価を受けているのか。私たちはただ「チェック」と言うのです。仕事量やプレッシャーのせいで、「チェック、チェック、チェック」と言うことに慣れすぎています。ヒューマン・イン・ザ・ループが機能しないことは何度も証明されてきました。組織として立ち止まり、ヒューマン・イン・ザ・リードとは何を意味するのかを考えることが必要です。Jesperさん、アーキテクチャのレベルで組織に関わる立場から伺います。ガードレールとは、単なるポリシーやプログラミング、リーダーシップの箇条書きではなく、技術そのものの内部に組み込まれるものでもあります。AIに、私たちがただ鵜呑みにしないよう教えられる段階に到達できるでしょうか。私が思いつくのはその方法くらいですが、AIが何でも知っているかのように私たちが扱わないようにするために、技術をどう使えばよいのでしょうか。
Jesper Bourc: Claudeの注意書きを引用させてください。「Claudeは AI であり、間違えることがあります。回答を再確認してください」。まさにそこに書いてあります。使うたびにそこにあるのです。「人間よ、先導してください。私は自分が何を話しているのかわかっていません。推測しているのです」ということです。
Lee Felton: 私にとっては、それは責任逃れのための予防線でもあります。
Jesper Bourc: そうかもしれませんが。
Lee Felton: OpenAIやGoogleも、後で「間違えることがあると言いましたよね。自分で確認するように言いましたよね」と言えるわけです。
Jesper Bourc: それでも私たちは、それを無視することを選んでいます。速さがあり、有能さがあり、正しく見えるからです。実体験をお話しします。私はプログラミングをしたことがありませんでしたが、今はAIのおかげでするようになりました。AIにプログラムを書かせると、何をすべきかを非常にうまく伝えれば非常にうまくやってくれます。そうでなければ推測します。そのため2回か3回に1回は、「推測しているのか、それともわかって言っているのか」と尋ねなければなりません。すると「いえ、推測していただけです」と返ってくるので、「そういうことはやめてください」と言うことになります。つい最近、Salesforceの移行作業を行いました。生成AIを使ったところ、完了までにおそらく2週間かかりました。AIを使うのが正しいと思ったからですが、自分でやっていれば4日で済んだでしょう。私はどこを触ればいいのか知っていましたが、AIはそれを自力で見つけ出さなければならなかったからです。ただ、もし私が思い切ってAIに挑戦していなければ、最後までたどり着くことはなかったかもしれません。それでも、スピードが必ずしもあるとは思いません。大量の情報があり、それが私たちを脱線させるのです。AIは、「彼」でも「彼女」でも呼び方は何でもいいのですが、私たちを脱線させます。そして「推測したのか、それとも事実なのか」と尋ねなければ、そのままになってしまいます。また、あるビジネスデータを詳しく分析させたことがあります。AIは「これはA、B、Zが原因です」と返してきましたが、まったくピンときませんでした。どう考えても筋が通らないのです。「どうしてそれがわかるのか。私たちが扱っているデータのどこにそれがあるのか」と尋ねると、「ありません。そうかもしれないと思っただけです」という答えでした。ですから、必ず再確認してください。AIにそれを自動的にやらせることができるかと言えば、おそらく可能でしょうし、学習が進むほど質問するのが上手になっていくことを期待しています。私はよく「何かをする前に、まず質問してください」と指示していますが、これはかなり役に立ちます。ただ結局は、Leeさんがしているように、人々にAIについて教育することに行き着くと思います。AIは真実ではありません。自分が知っていることに基づいた推測にすぎないのです。
Lee Felton: 本当にそのとおりです。考えるべきことが本当にたくさんあります。私たちはこの分野に何らかの形で関わり、毎日使っていますが、AIに恐怖を抱いている人々もいます。AIが世界を乗っ取るのではないか、意識を持っているのではないか、あるいはSFの影響で、AIが地球上の次の進化段階の種になろうとしているのではないかと考えているのです。誰にもわかりません。私にもわかりませんし、誰にもわからないと思います。それを予測しようとすることは、この議論にとって生産的ではなく、むしろ気を散らすものです。Silverさん、私はこれを「底辺への競争」と呼んでいます。技術が何をすべきかではなく、何ができるかに基づいて、誰が次に最高のものを出すかを競っているのです。私たちは集団として、そして政府でさえ、イノベーションと害の広がる速さの間のどこに線を引くのでしょうか。
Silver Pessa: 私たちはしばしば、十分に検証する前にAIを展開してしまいます。そして私たち自身も多くの場合、本当に望んでいる成果よりもスピードに意識が向いています。これに影響を与える方法の一つは、システムの構築そのものに関わることです。Jesperさんが、プロンプトを使っていて見つけた誤りについて話してくださいました。もし彼がそのシステムを最初に構築するチームの一員だったとしたら、すでに展開された後で反応するのではなく、最初の段階から、AIに何を出力してほしいのかという自分の視点を持ち込めたはずです。ですから、私たち女性にとって鍵となるのも、システムそのものの構築に関われる場にいることだと思います。人事チームだけでなく、さまざまなチームの一員になるべきです。CEOとして意思決定に加わり、テストを担う人の一員になり、システムを監査する人の一員になることで、最初の最初から私たちの視点が反映されるようにするのです。システムの構築に関われない場合でも、誤りが手遅れになる前に修正できるフィードバックループを持てるよう、早い段階でシステムを検証できなければなりません。そして、たとえ手遅れになって問題が起きたとしても、私たち自身が説明責任を持ち、責任を引き受け、生じうる評判の損害を防ぐために必要なことを修正するのです。会話の一員になること、構築の一員になること、意思決定の一員になることこそが、イノベーションそのものに本当に影響を与えられる道だと思います。
5.5 AIを使うべきかという問い
Lee Felton: ありがとうございます。残り10分ほどですが、素晴らしい議論で考える材料がたくさんあります。Tamarさん、先ほど言い忘れたことを思い出されましたか。
Tamar Bay: はい。リーダーとして私たちが犯す最大の過ちは、「AIは私たちのために何ができるか」と問うことだと考えていました。そうではなく、「そもそもこれにAIを使うべきなのか」と問うべきなのです。何にでもAIを使う必要はありません。私は「人間とAIのハイブリッドマップ」というものを使っていますが、リーダーとして、自分の組織の中で何を人間のままにしておかなければならないのかを考える必要があります。それは組織ごとに異なります。人間がリードし、かつループの中にもいる人間とAIのパートナーシップはどこなのか。そして単純なことで、自動化してしまってよいものは何なのか。今AIに向き合っているリーダーは、自分の組織の中でこうしたことを考えて決断を下し、そのうえでAIを展開する前に次の段階に進むべきだと思います。本当は何のためにAIを使う必要があるのかを問うことです。
Lee Felton: それは非常に重要で決定的な点ですが、多くの人はこの問いがどれほど重要かを理解していません。私がフォーチュン100の企業で、AIの導入を承認するかどうかを判断する審査委員会を運営していたとき、最初に答えなければならなかった問いは「なぜこれにAIを使うのか」でした。今まさにTamarさんがおっしゃったことに戻ってきます。人々が立ち止まり、「なぜこれにAIを使うのか」と自問すれば、「速く片づけたいから」という答えが出てくるかもしれません。では、あなたの本当の目標は何ですか。ただ雑務を速く片づけることが目標なのですか、それとも別の何かなのですか。立ち止まって、「なぜこれにAIを使うのか。自分の目標は見せかけの目標なのか、それとも本当の目標なのか。学習によって最適化されたパターンに基づいて統計的に推測する確率的エンジンが、その目標を満たせると本当にわかっているのか」と問うことです。そういう考え方をしている人は多くないと思います。Donnaさん、コンサルティングや支援を通じて個人や組織を助けている立場から伺います。女性、有色人種、障がいのある人など、さまざまな人々がもっと自分でAIをつくり、自分で学習させるべきだと言うのは簡単です。しかし、誰もがそのスキルを持っているわけではありません。誰にでも使えると言って大衆に公開している技術なら、すべての人にとって機能すべきではないでしょうか。私が見落としていることがあれば教えてください。
Donna Davis: すべての人にとって機能すべきです。同時に、誰もがそのツールの使い方を知っているわけではありません。AIが出してきたものを、何であれ真実として受け入れてしまう例を、私はあまりにも多く見てきました。ある会議で、誰かが「AIがこれこれをしてくれて、全部素晴らしかった」と言ったことがあります。私は「AIは幻覚を起こしますし、その情報はどれも事実ではありません」と伝えました。するとその人は腹を立てました。AIは正しい情報を出すはずだと思い込んでいたからです。だからこそ批判的思考が、そして自分の頭で考える力が極めて重要なのです。Tamarさん、「ヒューマン・イン・ザ・リード」をありがとうございます。私も使わせていただきます。ヒューマン・イン・ザ・リードが極めて重要なのは、Leeさんが冒頭でおっしゃったように、AIは単にこの単語の次の文字は何か、次の文は何かを予測しているだけで、感情を持っていないからです。
Lee Felton: そうですね。AIは私が次に何を言うかを予測するかもしれませんが、本当にわかっているのでしょうか。
Donna Davis: AIはわかっていません。知らないのです。だからこそ、私が先ほど話した、自分たち自身のAIをつくることが非常に重要なのです。Copilotのようなものを考えてみてください。Copilotはシステム内にある情報しか使いません。私たちは、自分たちの情報、自分のビジネス情報、自分が行っているあらゆることを使って、独自のAIをつくることができます。それがあなたの知識基盤です。女性としてのあなたの知識、事業主としてのあなたの知識が、あらゆる情報を生み出す器になるのです。そうすれば、出てきたものを見て、「そう、昨日自分が考えていたのはこれだ。では何か違うことをするにはどうすればいいだろう」と考えられます。AIの出力に疑問を投げかけることも、脳を働かせるもう一つの方法です。AIが何かを出してきたら、「これは本当か」と問う。Jesperさんもおっしゃっていましたね。するとAIは「いいえ、でっち上げました」と答えるでしょう。自分で独自に確認しなかった情報について、AIに腹を立てることはできません。それもすべて私たちの能力の一部であり、それこそが私たちを唯一無二にしているのです。
Lee Felton: そしてそれが、これらすべてのシステムやAIモデルを制御しなければならない人間としての私たちなのです。ヒューマン・イン・ザ・リードとは、何かが壊れたときや何かがひどいことになったときに責任を問われる人がいる、つまり「あなたが最高AI責任者だからあなたの責任だ」ということだけではありません。ヒューマン・イン・ザ・リードとは、このAIに何をさせるのか、誰に影響するのか、実在の人々が関与する統制がどこにあるのか、を問うことです。10点中7点だったから「承認」とチェックを入れるためではなく、実際に進めるべきか否かを先導するためです。Jesperさんとは以前にも話したことがありますが、私はいつも言っていることがあります。呆れる人もいますが、私は本気でそう信じているので気にしません。AIが人間より知的になることは決してない、ということです。「AIはこんなことができるし、速いのに、どうしてそう言えるのか」と言われます。確かにそうですが、その前に知性を定義しなければなりません。Jesperさん、想像力について、あるいはAIを使って仕事をするときのご自身の専門性について話してきたことも踏まえて、手短にお答えください。人々が「これは自分より知的ではない。反論し、疑問を投げかけてよいのだ」と言える強さを持つには、どうすればよいとお考えですか。
Jesper Bourc: まず、それは「人工」知能と呼ばれています。知能ではありません。はっきりさせておきましょう。どんなに長い説明を重ねても、それは確率的エンジンです。Leeさんほど速くは言えませんが、推測するだけの確率的エンジンです。ただ、話しているあいだに、勝手ながらこの問いについてClaudeに尋ねてみました。返ってきた答えは、AIとしてはかなり深いものだと思いました。「AIは計算では人間を上回れるが、判断ではまだ上回れない。おそらく今後も上回れないだろう。判断には結果の内側に立つことが必要だが、AIは何の内側にも生きておらず、結果を引き受けることがないからだ」というものです。これがAIからの答えです。最初の問いにもつながりますが、これが私たちのAIガバナンスなのではないでしょうか。
Lee Felton: その答えは、誰のAIからでも返ってくるものではありません。
Jesper Bourc: 私はしっかり鍛えましたから。
Lee Felton: そうですね。この分野で研究し、取り組んできた人の中には、AIに反論し、鍛えてきた人がいます。ですから、一般の人のAIがそう答えないのは公平ではありません。私自身、AIに似たようなことを伝えたところ、「いいえ」と返してきて、相手の関与をさらに引き出すために自らを擬人化する言い訳を持ち出すのを実際に目にしたことがあります。さて、時間が迫ってきました。最後に一人30秒ずつ、ひと言お願いします。Silverさん、Tamarさん、Jesperさん、Donnaさんの順でお願いします。
Silver Pessa: ありがとうございます。私たちは「AIが次のCEOを決めるのか」という問いから始めました。私はヒューマン・イン・ザ・リードという考え方がとても好きですが、同時に最も重要な問いは、「AIが何を決めるかを決めるその人間とは誰なのか」だと思います。
Tamar Bay: 私は、もっと規制が必要だと考えています。EUのAI法は、AIという大きな泡の中で私たちの人権を守り、人々がバイアスによって差別されないようにするための良い出発点だと思います。政府は今こそ、この技術の規制に乗り出すべきです。
Lee Felton: 残り30秒を切りました。Jesperさん10秒、Donnaさん10秒でお願いします。
Jesper Bourc: Tamarさんに全面的に同意します。その理由は……忘れてしまいました。
Lee Felton: では、Donnaさんに移ります。
Jesper Bourc: 気の利いたことを言うつもりだったのですが、逃してしまいました。
Lee Felton: LinkedInで皆でフォローしますね。Donnaさん、どうぞ。
Donna Davis: 人間としての真正性こそが、私たちがこれから先持ちうる最も大切なものであることを忘れないでください。
Lee Felton: ありがとうございます。改めまして、『I Could Have Been CEO Yesterday』の著者、Lee Feltonです。AIは明日のCEOを決めるのか。そこには、AIを使う個人だけでなく、AIを世に送り出す組織にも説明責任がなければなりません。ご参加いただき、心から感謝します。私たちの明日がどのような姿になるかを決めるのは、私たち人間であり続けましょう。ありがとうございました。
6. ファイアサイドチャット2「意味のギャップ:AIが仕事をこなすとき何が人間に残るのか」(Arthur Zards)
6.1 AIを身近なものにするには
司会: GatherVerse Women's AI Summit 3日目、次のファイアサイドチャットへようこそ。今日はArthurさんをお迎えしています。このサミットは女性リーダーとアライのための集いであり、Arthurさんにはアライの一人としてご参加いただいています。自己紹介と、今日参加しようと思われたきっかけを教えてください。
Arthur Zards: Arthur Zardsです。私はミーニング・ストラテジスト、つまり「意味」を扱う戦略家です。私はこれまでの人生をずっとテクノロジーの世界で過ごしてきましたが、AIについて最も価値を感じるのは、他の人たちの現実の経験に耳を傾けることだと気づきました。先ほどのパネルも舞台裏で聴いていましたが、「ヒューマン・イン・ザ・リード」の例など、メモをたくさん取りながら「これはいいな」と思っていました。それが参加の動機です。AIのチャットボットの前に座って質問することはできますが、私が求めているのは人々の現実の経験であり、AIについての意見や考えです。このGatherVerseは本当に新鮮な場です。
司会: ありがとうございます。今日は「意味のギャップ:AIが仕事をこなすとき何が人間に残るのか」について話します。これまで機会について多くのことが語られてきましたが、AIの労働力における女性の関与や女性のリーダーシップの数は、依然として驚くほど少ないままです。そして今、私たちは難題に直面しています。AIが到来し、現在女性が担っている役割の大半を引き受けつつあるのです。この点についてどうお考えですか。AIが多くのタスク、それも女性の役割の大半をこなすようになる中で、女性は今何をすべきでしょうか。私たちが目を向けるべき、あるいは見逃している別の機会とは何でしょうか。
Arthur Zards: この問題は女性にとどまらず、特に若い人たちにも及んでいます。私が取り組んでいる仕事の核心は、これは技術の転換ではなく「意味」の転換だと理解することです。こういう話になると興奮してあちこちに脱線してしまうので、話がそれたら引き戻してください。まず、今のAIは、私に言わせればまだそれほど近づきやすいものではありません。私は30年前、インターネットサービスプロバイダーを共同で創業しました。ウェブブラウザが存在する前のことです。AIで起きていることの多くは、インターネットブームのときに起きたことと重なります。当時、最初に飛びついたのは筋金入りのオタクたちでした。私自身もパートタイムのオタクだと思っていますが、地下室でコンピューターを分解しているような人々です。インターネットは、ある時点で急に近づきやすくなるまでは、決して身近なものではありませんでした。AIは今まさにそれと同じ地点にいると思います。チャット画面を見ると「何でも入力してください」と書いてあります。しかし「何でも入力して」と言われると、どこから始めればいいのかわからないのです。ですから、特に女性がもっとAIに関わっていくために私が勧めているのは、とにかく遊んでみることです。私はこれを「バイビング」と呼んでいます。ただ試してみればいいのです。生産性を上げなければならないとか、AIを使うにふさわしいレポートをつくるような大がかりなプロジェクトをしなければならないとか考えないでください。週末に何をするか、どんな映画を観るかを尋ねるだけでもいいのです。私は料理に使っています。テクノロジーが怖い人にとって、これはとても良い入り口です。私の母は高齢ですが、「料理に使ってみて」と勧めたところ、「これはすごい」と驚いていました。質問を重ねるうちに、どんどん深く掘り下げていくようになります。そしてAIがどう動くのかを理解し始めると、身近に感じられるようになるのです。これから登場する最新のツールは、はるかに近づきやすくなっていくはずなので、AIに関わるのは簡単になっていくでしょう。それでも今はまだ、「技術的すぎる」「ハイエンドすぎる」「テック系の男性のもの」という偏見があると思います。それは変わる必要があります。もっと多くの人が、AIに何ができるのかを知るために遊んでみるべきなのです。
6.2 同質化と独創性の時代
司会: 「ただ遊んでみればいい」という話の糸をたぐってみたいと思います。仮に誰もがそうしているとしましょう。しかし、ご存じのとおり、ほとんどのモデルは一つの源泉から情報を与えられています。そこでお聞きしたいのは、誰もが同じ情報にアクセスしたら何が起きるのかということです。たとえば皆がさまざまなモデルに料理の仕方、アフリカ料理のつくり方を尋ねたとします。モデルにはわずかなデータしかなく、誰もがその数種類のアフリカ料理しか知らないことになるかもしれません。誰もが同じ情報にアクセスしたら、どうなるのでしょうか。
Arthur Zards: まさにそれが私の研究の大半を占めるテーマで、すでに起きていることです。それは「同質化」です。危険なのは、人々が愚かになることではありません。「人は愚かになる」と言う人もいますが、そんなことは何千年も前から言われてきました。ソクラテスは文字を恐れました。文字が記憶を腐らせると考えたのです。同じことが今また起きていて、人々は私たちが愚かになると考えています。そうではありません。私たちは「同じ」になっていくのです。この同質化は、AIがもたらす意図せざる結果です。今ご覧の方の中にも心当たりのある人は多いはずなので、チャット欄に書き込んでほしいくらいです。同じような響きのメール、同じような見た目のLinkedInの投稿、同じような見た目のプレゼンテーションを、皆さんもすでに目にしているでしょう。最近ある人から聞いた話があります。その人はベンチャーキャピタルのピッチイベントに参加していて、8社が数十万ドル規模の資金を求めてプレゼンテーションをしました。彼女によると、そのうち6社はまったく同じだったそうです。どの社もAIツールを使ってピッチ資料をつくっていたため、内容まで似通っていたのです。AIは一般的な知識からパターンを補完するので、そうなります。違っていたのは2社だけで、資金を勝ち取ったのはその2社のうちの1社でした。この問題は、良くなる前にもっと悪化していくと思いますし、多くの人がすでに気づいているはずです。いずれ大きな問題になるでしょう。LinkedInを見ると、90%くらいは「これは本物じゃない、これも本物じゃない」と感じます。ただ、すばやく方向転換できる起業家や小さな企業にとっては良い知らせもあります。私はAIの次の時代を「独創性の時代」と呼んでいます。独創的なアイデアが一気に頂点へと押し上げられるようになるのです。独創的なアイデアを持ち、AIを活用してそれを発展させることができれば、急速にトップへと上り詰めることができます。私の基本的な前提の一つは、最初の発想を受け入れないこと、最初の答えを受け入れないことです。市場は新しさを求めています。人々は新しいものを求めていて、すべてが同じになったとき、ほんの少し違う人がすべての注目を集めることになるのです。
司会: 素晴らしいですね。しばらくその言葉を噛みしめたいと思います。違いを持つことこそが、この世界で本当に際立つ理由になるということですね。
6.3 判断力の育て方とアライへの提言
司会: 少し話題を変えて、若い人たちと女性について伺います。AIが即座に答えを出してくれる中で、若い人たちにどうやって判断力を育ててもらえばよいのでしょうか。彼らはまだまっさらな頭脳を持っています。答えがすぐに手に入ることに慣れてしまったら、大人になったときにどうやって判断力を身につけるのでしょうか。
Arthur Zards: 良い質問です。実は若い人たちには大きな強みがあります。私たちのような年長者の多くは、「答えの希少性」に基づく経済の中で育ちました。答えを思いついた人が頂点に立ち、すべては実行力で決まったのです。それがすべて消えつつあります。多くの老舗の企業や組織は、いまだに「解決策を思いついた者が王様だ」という感覚で動いています。しかし今や解決策はあふれています。ですから鍵は、それをどう意味づけるかです。私はこれを「センスメイキング」と呼んでいます。これに不安を感じる人もいますが、私がAIに魅了されているのはまさにこの点です。私たちは新しい経済を生み出しつつあり、そこでは価値の源泉が変わっていきます。判断力、識別力、違いを見抜く力、そして独創性が頂点に立つようになるのです。そのための一番の方法は、今、自分の思考を守ることです。そのためには思考のシステムが必要で、これも私の仕事の大きな部分を占めています。思考のシステムには三つの空間があります。「思考の空間」「判断の空間」「責任の空間」です。この三つの空間を守らなければなりません。これは何も新しいことではなく、人間がずっとやってきたことです。何かについて考え、それをすべきかどうかを判断し、実行するときには「自分が責任を負う」と引き受けるのです。問題は、AIがこれらの空間を崩壊させていることです。人々は考えずに、最初の答えをそのまま受け取ってしまいます。「ブログ記事を書いて」と頼み、最初の答えをそのまま投稿する。だからすべてが同じに見えるのです。若い人は、自分には守るべき思考の空間があることを理解してください。それは、探求し、失敗し、突拍子もないアイデアを持つ自由を自分に与えることです。次に判断の空間があります。これは本当にやる価値があるのか、自分はこれをすべきなのか、どうすればできるのかを決める空間で、別個の空間であり、別の考え方をするものです。そして三つ目の責任の空間は、あるコンテンツやアイデアについて、「これが自分の命を懸けて守る丘だ」と決め、それを支えていくことです。今すぐ自分の思考を守るための最も簡単な方法を、ごくシンプルにお伝えするなら、AIが出してきた最初の発想や最初の答えを、異議を唱えずに受け入れないことです。それだけです。質問を入力して答えが返ってきても、初期設定として受け入れないのです。何かをしてください。私が人々に教えている、とても基本的なツールに「3アウト、3ワイド、3ディープ」というものがあります。「3アウト」は外に出て探索することです。最初の答えを受け入れず、別のアプローチを試してみます。「3ワイド」は視野を広げることです。AIから得た答えが、ブログ記事であれ、コードであれ、何であれ、別のレンズを通すまでは受け入れません。私が好んで使うのは懐疑的な人のレンズで、「懐疑的な人ならこれに何と言うだろうか」と考えます。お気に入りは「おばあちゃんならこれに何と言うだろうか」です。そう考えるだけで、違った考え方ができるようになります。そして「3ディープ」は、ただ「なぜ」と問うことです。AIに質問して答えを受け入れず、「なぜ」と問い、さらに「なぜ」と問い続けるのです。どれもとてもシンプルな思考のツールです。興味深いのは、人類はずっと批判的思考の方法を持ってきたということです。ソクラテス式問答法もあります。しかし、部屋の中に機械がいる状態で考えるためのシステム、機械と一緒に考えるためのシステムは、これまで誰もつくってきませんでした。それが次の段階として私たちが取り組み始めなければならないことであり、私が取り組んでいる仕事です。私自身の思考を拡張するシステムもあって話は少し複雑になりますが、AIを使い始めたばかりの人なら、基本として最初の発想を受け入れないよう自分に課すだけで、何が起きるかに驚くはずです。自分のアイデアがずっと面白いものであり、ずっと独創的で、ずっと「自分らしい」ものだとわかるでしょう。その大きな部分は、自分自身の直感、知恵、そして現実世界での経験を活かすことです。それを試してみると、自分自身の独創性が引き出されることに気づくはずです。私はこれをセンスメイキングと呼んでいます。そして私がAIのポジティブな面として力強く感じているのは、ここです。私はAI楽観主義者です。心の奥底に最高に輝くアイデアを閉じ込めたまま、企業の世界で働いている人がたくさんいると思います。企業の世界はそうしたアイデアを押しつぶすように設計されています。「あなたは機械だ、資源だ」と。しかしAIがあれば、そのアイデアを実際に発展させることができます。AIを使うことで、「自分のアイデアは面白い、正当なものだ、本当に価値がある」と気づく非常に優秀な人たちがいるはずです。典型的な企業文化であれば押しつぶされていたであろう世界で、多くの人が頭角を現していくのを目にすることになるでしょう。多くの若い人がAIを不安に思っていることは知っていますが、とにかく遊んでみてください。バイブしてください。楽しんでください。すべてを100%受け入れる必要はありませんが、ただ遊んでみてほしいのです。
司会: Arthurさん、時間はあっという間に過ぎていきます。このテーマをじっくり読み解くには短すぎる時間で、ぜひまたお迎えしたいと思います。多くのアライの方々がご覧になっていますし、Arthurさんもアライとして参加してくださっています。女性のリーダーシップを支えるすべてのアライに、これから実行してほしい一つの責任、一つの約束を挙げるとしたら何でしょうか。勇気ある一歩であってほしいのですが。
Arthur Zards: 自分自身に、そして周りの人に、AIを使うこと、遊んでみることを課してください。危険なのは、今AIを使い始めないことです。AIは良くなる一方で、悪くなることはありません。それは誰もが知っています。使い始めるのを先延ばしにすればするほど、AIを使っている人との差は開いていきます。そして私が重視しているのは、ツールの使い方そのものではありません。ツールを追いかけていたら、気が変になってしまいます。私は毎日AIを使っていますが、1週間休んで戻ってきたら「いったい何が起きたんだ」と思うほど、ツールがすべて変わっていました。大切なのは、ツールと一緒にどう考えるかです。それが秘訣です。アライになりたいのであれば、私が最も楽しいと感じたことの一つをお勧めします。人々をグループで集めて、一緒にAIに取り組むことです。一人で座っていてはいけません。私自身もよく一人で作業して成果を出していますが、あるミートアップのグループに参加すると鳥肌が立つような体験をします。誰かが前に立って「これから音声エージェントをつくります」と言うのです。私は「そんなものは聞いたことがない」と思いながら30分ほど他の人の作業を見て、その人がやっていることを学びました。そこで刺激を受けて、会場を出た後の4時間をそのプロジェクトに費やしたのです。ですからアライにできる最善のことは、小さなグループに入り、ごくシンプルに「誰かビジネス上の課題を抱えている人はいますか。では皆でチャット画面を開いて、一緒に考えてみましょう」とやることです。そしてここでも、最初の答えを受け入れないでください。必ずもう一つ質問を重ねるよう自分に課して、何が起きるか見てみてください。きっとうれしい驚きがあるはずです。ほとんどの人はそれをしていないからです。私が三つの空間の話をすると、多くの人のその空間は崩壊しています。最初の答えを入力し、それが正しいと思い込み、確認もせずに送信ボタンを押してしまう。それが同質化への競争なのです。
司会: Arthurさん、時間になってしまいましたが、ぜひまたお迎えしたいと思います。今後もサミットは続きます。視聴者の皆さん、ぜひArthurさんをフォローしてください。このAIの時代を乗り越えるうえで役立つ、素晴らしい洞察をお持ちです。私たちのファイアサイドチャットは実りあるものになりました。ありがとうございました。
7. ファイアサイドチャット3「どう飛ぶか:大転換期における人間の可能性」(Melody Curtis × Christopher Lafayette)とクロージング
7.1 資格を決めるのは誰か
Christopher Lafayette: GatherVerse Women's AI Summit 2026の3日目、最後のファイアサイドチャットへようこそ。今日という最終日の締めくくりにたどり着き、来週へとつながっていきます。この時間をMelody Curtisさんとご一緒できることをうれしく思います。Melodyさん、あなたはどんな方で、何をなさっていて、今日ここに来ようと思ったきっかけは何でしょうか。
Melody Curtis: まず、外で草刈り機の音がしていてすみません。登壇しようとしたまさにその瞬間に、こういうことは起きるものですね。私は講演者であり、コーチであり、自分の事業を営んでいます。そしてプロのスカイダイバーでもあるので、「エリートレベルの潜在能力をどう引き出すか」についてよく話しています。それがきっかけで、さまざまな舞台に招かれています。ただ、私が本当に大切にしているのは、私たちが何をし、世界にどう向き合うかという人間性の部分です。ですから、「私たちが何をする資格があるのかを決めるのは誰なのか」という問いを持っています。そもそも今日この話をする資格が私にあると誰が言うのでしょうか。この問いは、自分はそこにいるべきではないと思っているかもしれない場にも踏み込んでいけるのではないか、という議論につながります。私たちには、他の誰とも同じように正当な声があるのですから。
Christopher Lafayette: まさにそのとおりです。開会の挨拶でも申し上げたように、GatherVerseは、人間性と新興テクノロジーが交わるこの場所において、AIは決して技術者だけのものではないと強く信じています。技術者はその思い込みから降りる必要があります。私はシリコンバレーにいますが、ここでは閉ざされた世界の中で「AIとはそういうものだ」と強く信じられています。しかし実際には、AIははるかに広く遍在するもので、私たちがつくっているものを展開するにあたって、技術者は本来、他のすべての人に仕える存在なのです。ですから、スカイダイビングのように飛び込んで、あなたのレンズから見える世界を見てみたいと思います。データについて、あなたには大切なお話があるように感じています。あなたにとってその世界はどのように見えていますか。
Melody Curtis: コーチとしての仕事でも、講演者として実際の会場の舞台に立つときでも、AIの登場について私が興味深く感じているのは、AIがどれほど役に立ちうるか、そして私たちがAIとどんな関係を築いているかという点です。その関係は、主にタスクや「どうすればもっと効率的になれるか」を中心に回っています。そして同時に、「AIに自分が取って代わられるのではないか」という恐れもたくさんあります。この領域でも実際にいろいろなことが起きています。今年、私の身にも起きたことがありました。AIについて教える講演者が、私の代わりに採用されたのです。私が教えているのは、もっと仕事や人生における人間の側面についてです。ですから、世界で起きていることに合わせて潮の満ち引きのように対応しながら、その情報を受け取っていかなければならないのだと思います。先ほどどなたかが、名前は失念してしまいましたが、情報を得ることで、私たちは自分の頭で考えて自分で判断を下すための材料を得られるとおっしゃっていました。そうした認知的なスキルが大切なのです。そして、AIとの関係はどうなっているのか。AIはどのように私たちに仕え、支えてくれているのか。世界にもっと価値を加えるために役立っているのか、あるいは時間を取り戻して、人間らしい経験や、圧倒されている状態からの休息などに充てられるようにしてくれているのか、ということです。
Christopher Lafayette: 「どう飛ぶか」について考えてみましょう。今は、これまで以上に多くの人が翼を必要としている時代です。私たちは大きな転換期にいます。石器時代から農耕時代へ、農耕時代から蒸気と電気による第一次産業時代へ、第二次産業時代へ、情報化時代へ、クラウドコンピューティングの時代へ、メタバースへと移り変わってきたことを、私たちは直接見てはいなくても知っています。そして今、私たちはここにいます。これは紛れもない本物の転換です。この大転換期に、指数関数的に広がるフロンティアの中で、私たちはどう飛べばよいのでしょうか。
Melody Curtis: 答えを知っていたらお伝えしたいところです。本当に大切なのは、この瞬間に存在していることだと思います。そして、これらすべてが自分や自分の人生にどう関わるのかについて、自分の直感とのつながりを失わないことが非常に重要です。同時に、現実と向き合うことも大切です。人々がどう採用を行うのか、自分のスキルセットに何が含まれるとみなされるのかにおいて、AIが大きな部分を占めるようになっているのなら、それが自分に突きつけられている現実なのであれば、それに関心を持つことが自分のためになります。AIが素晴らしい恩恵をもたらすにせよ、目の前で扉を閉ざすことになるにせよ、です。コーチとして私がいつも言うのは、最も力強い出発点についてです。「どう飛ぶか」という比喩、つまり本当のエリートレベルの潜在能力を引き出すという話に戻ると、私は世界記録保持者なので、潜在能力のぎりぎりの縁にいるのがどういうことか知っています。
Christopher Lafayette: 世界記録保持者ですか。具体的にはどんな記録ですか。
Melody Curtis: 女性だけによる垂直編隊の世界記録に参加しました。100人の女性が逆さまの姿勢で時速200マイルで落下しながら、あらかじめ決められた編隊を組むというものです。非常に過酷な、人間の限界に迫る環境です。感じる恐怖や、体がどれほど興奮状態になるかで、脳が爆発しそうになります。それをAIとの関わりや、変化への恐れ、そして世界で起きている巨大で地殻変動的な変化に置き換えてみると、恐ろしいと感じるのは当然のことです。理解できないもの、知らないものに対して、私たちは恐怖反応を起こすでしょう。それが自分に何をするのかと考えれば、恐怖をかき立てられるのも無理はありません。ですから一つには、「これはどうすれば自分の役に立ちうるのか」と捉え直すことだと思います。そしてたとえその答えがわからなくても、現実をありのままに捉えることです。自分の体で実際に何が起きているのか、頭の中で何が起きているのか、仕事や私生活で直面している状況はどうなのかを、ありのままに捉えられれば、それが常に変化を起こしたり、次の最善の行動を選んだりするための最も力強い場所になります。
Christopher Lafayette: 飛行機から飛び出し、飛翔体のように空を飛んできた長い経験を持つあなたの話は、本当に興味深いですね。短く言えば、私たちが持っているのはこの瞬間だけだということです。空と雲、私たちの間にある空気、そして着地する足。その着地を思い浮かべます。イノベーションに関して私たちが置かれている、非常に不安定で急激に移り変わる状態の中で与えられる、ほんの短い時間を思い浮かべます。
7.2 解雇された女性をどう支えるか
Christopher Lafayette: 母親に、姉妹に、娘に語りかけてみましょう。たとえばMetaを解雇されたばかりの女性に語りかけてみましょう。昨日も、そうした経験を持つ方から素晴らしいお話を伺いました。その女性に少し語りかけてみたいのです。彼女たちは今まさに重荷を背負っています。明日でも来年の見通しでもなく、今この瞬間、今日、今夜、今日の午後、今朝、GatherVerseの視聴者の皆さんがどこにいようとも、です。彼女たちは突き落とされ、今まさに飛行機から飛び出したところです。そして「起業家にならなければならない。コンサルタントやアドバイザーにならなければならない。そんなことはやったことがない。マーケティングをしなければならないのに市場がない。自分でも気づいていない、たった一人の聴衆しかいないかもしれない」という状況に置かれています。自分に差し出されたこの瞬間に、何をすればよいのでしょうか。
Melody Curtis: 素晴らしい質問です。何よりもまず、私はその人を承認します。その人が経験している困難や、足元が定まらない感覚を、心から認めます。その人の現実を、そしてそれが人に求めるものの本当の厳しさと難しさを、ただ受け止めて認めるのです。考えてみてください。仕事を失ったり、何らかの形で一からやり直さなければならなくなったりするような人生の大きな変化は、私たちが感じている安定の土台を事実上打ち砕いてしまいます。人間の基本的な欲求について言えば、私たちには安定と安心の感覚が必要です。ただしそれが多すぎると、退屈して意欲を失います。同時に、新しさや冒険も必要です。新しさや冒険がまったくなければ退屈してしまいますが、たとえば人生全体が突然変わってしまう、つまり解雇されるといったように新しさや冒険が多すぎると、非常に大きなストレスになります。ですから、まずその人を受け止め、承認することで、自分がこの困難をどう経験しているのかをわかってもらえていると感じてもらうこと。それが一つ目です。
Christopher Lafayette: 承認する最良の方法は何でしょうか。支える最良の方法は何でしょうか。その行動は具体的にどういう形をとるのでしょうか。
Melody Curtis: 正直に言えば、それができるスキルを持った人たちと対話することです。そしてここで、支えてくれるチームメイトとしてのAIについても話したいと思います。承認の次に私が言いたいことの大きな部分は、「あなたの支援体制はどうなっていますか」ということです。コーチはいますか。セラピストはいますか。感情的に安全な器の中であなたを受け止めてくれる、信頼できる大切な人たちが周りにいますか。そうしたものは本当に重要です。そして今では多くの人が、AIを使って関係を築いています。もちろん本物のセラピストにはなれませんが、ストレスを和らげ、自分の人間らしさに向き合い、そうした瞬間を呼吸しながら乗り越える助けとなる、治療的な手段にはなりえます。それによって、今おっしゃったような本当に厳しい状況の中でも、次の行動をとれるようになるのです。
Christopher Lafayette: それには少しためらいを覚えますか。実は私は、本物のセラピストたちが「良いことだ、使えるならこうした機械を使うべきだ」と言うのを聞いたことがあります。あなたがこの話を持ち出したのでお話しすると、ある特定のセラピストに尋ねたことがあります。「クライアントをたくさん抱えていらっしゃいますが、セラピーを受けに来るクライアントの一部をAIに任せることを認めますか」と。私は「いいえ」と言われるだろうと思っていました。答えの決まった質問のつもりでした。ところが彼女は「もちろん認めます」と言ったのです。私は驚きました。これはどういう意味なのでしょうか。
Melody Curtis: それは人によると思います。念のため言っておくと、私はセラピストではありません。クライアントとは本当に深いところまで行くので、そのことをはっきり伝えています。本当に難しいことに挑むとき、たとえば危機的な状況ではなくても、「大きな目標がある。Melodyのエネルギーや熱量、世界に対する価値観が大好きだから、この人と一緒に取り組みたい。この人は最高だ」と思って来てくださる方がいます。それは素晴らしいことです。でも、そうした取り組みには多くのものが求められ、非常に人間的で難しい感情に出会うことになります。ですから、本当にそこまで踏み込むのであれば、専門的な訓練を受けた治療的な支援が本当に必要だということを、はっきり伝えるのです。そういう深さを必要としている人に、AIだけで取り組むことを勧めることは決してありません。一方で、専門的な文脈でのセラピーやコーチングを通じてすでに治療的な取り組みを経験してきた人であれば、「これは自分の役に立っているのか、いないのか」を見極める識別力を持てるので、AIを勧めることはあります。ですからAIは、どちらかといえば経験を積んだ人のための道具だと思います。「今は本物の人間が必要だ」という一線と、どこから情報を得ているのかわからない声との違いを、自分でわかっている人のためのものなのです。
Christopher Lafayette: これで一つの論点を扱えましたね。非常に公平な線引きで、素晴らしい視点です。
7.3 起業という跳躍と着地後のメッセージ
Christopher Lafayette: もう少し踏み込んでみましょう。私はここにいます。飛行機は空にあり、扉は開いています。Melodyさん、扉は開いているのです。私は起業家、あるいは未来の起業家、ソロプレナー、未来のソロプレナーです。そこから外を見ています。誰もが同じツールを持ち、同じAIを持っています。誰もがいわゆる専門家です。あらゆることの専門家になれるほどの力を与えてくれるツールを手にしているからです。少なくとも見た目の上ではそうです。LinkedInでは、これまで以上に多くの専門家を見かけます。それがあなたの世界ならそれでいいのですが。他人の人生で起きるのを見てきたことが、今、自分の人生で起きている。私は扉の前にいて、眼下には雲が広がり、地平線には青空が見え、右手には太陽が輝いています。飛び出さなければなりません。この飛行機にとどまることはできず、この便から降りなければならないのです。私はどんな気持ちで、どんな瞬間にいるのでしょうか。キャプテン、教えてください。この瞬間に私はどうあるべきなのでしょうか。あなたが言ったように、私たちはこの瞬間を与えられ、この瞬間に決断を下さなければならないのです。
Melody Curtis: そうですね。人生とは一般的にそういうものだと思います。起業に飛び込むにせよ、何か別のことに飛び込むにせよ、勇気や信念の跳躍、そして自分が非常に未知の領域に踏み出していて、そこには賭けているものがあるのだという理解を必要とすることはたくさんあります。ですから、状況によります。たとえば新しいことに飛び込むとしても、事業を築くまでの間を支える蓄えという滑走路があるのかどうかです。起業についてより具体的に言えば、起業はすべての人に向いているわけではありません。私はよく冗談で、起業は陰と陽のようなものだと言っています。最高の自由があり、創造性があり、自分がボスになれる一方で、何もかも自分でやらなければならず、常に自分を世に出し続けなければならないという、同じくらいの恐怖がついてくるのです。自分がつくったものがうまくいくのか、人々が買ってくれるのか、オンラインの世界の厳しさの中で見つけてもらえるのか、まったくわからない状態が続きます。ですから、AIを使って何もないところから事業を立ち上げようとする人を見ると、それが自分の内側から湧き出たものでないなら、慎重になるよう伝えたいのです。私は20年以上事業を続けてきたベテランの起業家です。ご存じのとおり、ほとんどの事業は5年以内に、あるいはそこまでたどり着く前に失敗します。この話をするのは、長年にわたって、そして社会や経済のさまざまな移り変わりを乗り越えて事業を続けていくことにどれほどの厳しさが伴うのかを、私が実感としてよく知っているからです。話を戻すと、それが何らかの形で自分の内側から来ていないのなら、ということです。たくさんお金を稼ぎたいと思ってはいけないと言っているのではありません。それは素晴らしく正当な目標です。私たちには、お金が必要な目標や願い、夢がたくさんあります。ですからそれは構いません。動機の源を見つけ、その動機と本当に深くつながれるのであれば、ぜひ挑戦してください。しかし「とりあえず何かつくって出してみよう」というだけなら、それも可能ではありますが、持続可能な形で最終的に成功するためには、それなりの努力と試行錯誤が求められる可能性が高いことを覚悟しておいてください。
Christopher Lafayette: では、GatherVerse Women's AI Summit 2026の3日目、最後の問いです。彼女は飛行機を降り、空にいます。コードを引き、パラシュートが開きました。着地したとき、ご覧になっているすべての女性リーダーと、支えているすべての男性アライに何を伝えますか。着地した後、私たちの次の一歩は何でしょうか。
Melody Curtis: 素晴らしい問いですね。すべての女性に向けて、私はかなりの女性応援派なので、迷わず「場所を取ってください」と言います。よく耳にする言葉なので、流行語や陳腐なミームのように聞こえるかもしれません。しかし、この世界で女性として生きることを本気で考えるなら、自分の声を自分のものとし、場所を取る勇気を持ってください。これから歩み始める人にとって、それが将来の起業家としての成功を支える、最も心を動かすものになるはずです。そして男性アライの皆さん、私たちにはあなたたちが必要です。身近な女性たちを支えてください。自分がすべきだと思っている以上のことをしてください。今の自分は良い男性だと思っているなら、きっとそうなのでしょう。でも、今していること以上のことをしてください。それが、アライシップを育て、この世界で女性をより支えていってほしいという、男性アライの皆さんへの私からの呼びかけです。
Christopher Lafayette: GatherVerse Women's AI Summit 2026の3日目で、皆さんが最初に耳にしたこの言葉をお届けしました。Melody Curtisさんは、私たちに問いかけ、励まし、刺激を与えてくださいました。女性の皆さん、場所を取ってください。男性の皆さん、こうしたリーダーを支えてください。学び、耳を傾け、足並みをそろえましょう。今がその時です。明日では遅すぎます。今日こそがふさわしい日です。Melodyさん、お時間をいただきありがとうございました。私たちの集いは実りあるものになりました。
Melody Curtis: ありがとうございました、Christopherさん。
Christopher Lafayette: これが私たちに与えられた時間であり、私たちが過ごしてきた時間です。こうしてGatherVerse Women's AI Summit 2026の最初の1週間が、3日目をもって締めくくられました。来週もまだ続きます。まだ折り返し地点にも達していません。これからもっと多くの道のりが待っています。荷物を手に取り、道へ、線路へ、森の小道へと踏み出し、山を登り、曲がり角を抜けてください。その先の丘の上で、私たちは皆さんを待っています。GatherVerseは、この交わる場所で、未来の世代のために、そして今を生きるすべての世代のためにイノベーションを行うことこそが最も大切な人間性だと信じています。最年長の方々から今夜生まれる赤ちゃんまで、多世代にわたるすべての人々です。イノベーションにおいて私たちが行うことはすべて、互いに影響を及ぼし合います。これは、世界中の女性たちと、それを支える男性たちによる、さまざまなレンズや視点からの見方と共有された理解から成る、地球規模の合意形成の場です。私たちはここにたどり着きました。与えられた時間に感謝しています。これは私たちの誰もが同時代に経験したことのない、最も力強いイノベーションの時代です。与えられた時間で、私たちは何をするのでしょうか。来週お会いできることを楽しみにしています。GatherVerse Women's AI Summit 2026の3日目にあたり、私たちの集いは実りあるものになりました。そして来週火曜日の4日目に、再び皆さんとお会いする機会に恵まれますように。May our gather be well。ありがとうございました。