※本記事は、AWS re:Invent 2024で発表された「Driving value with AI: Reimagining Toyota's supply chain with AI on AWS (AIM236)」セッションの内容を基に作成されています。このセッションはIBM(AWSパートナー)によって提供されました。セッションでは、AIと分析、データを組み合わせたデジタルファーストの運用を採用する企業が、競争優位性と成長をどのように実現できるかについて解説されています。価値を生み出すAIの導入の基盤や、トヨタのようなリーディング企業がIBMの業界専門知識とAI機能を活用してサプライチェーンなどのミッションクリティカルな領域をどのように再発明しているかを学ぶことができます。セッションの詳細情報はAWS re:Inventのウェブサイト(https://go.aws/reinvent )でご覧いただけます。本記事の内容はセッションの内容を要約しておりますが、正確な情報や文脈については、オリジナルのセッション動画をご視聴いただくことをお勧めいたします。
1. イントロダクション
1.1. セッション概要と登壇者紹介
Clay Sheriff(IBM、Toyota担当リードアカウントパートナー):皆さん、水曜日の遅い時間にお集まりいただきありがとうございます。私はClayで、IBMでトヨタ担当のリードアカウントパートナーを務めています。まず最初に、このセッションにお集まりいただき感謝申し上げます。今日はAudreyと共に登壇できることを嬉しく思います。Audrey Mitoはトヨタのサプライチェーン・フルフィルメントのグループマネージャーで、トヨタ自動車北米におけるサプライチェーン変革全体を担当しています。
Clay Sheriff:Audreyは、サプライチェーン変革の基盤としてAWSをどのように活用しているかについてお話しします。そしてAudreyの後には、IBMのwatsonx.governanceディレクターであるHeather Gentileが登壇し、今後エコシステム全体で見込まれる4.5兆ドル規模の生成AI事業について少しお話しします。
Clay Sheriff:少し私の経歴をお話しすると、私はPricewaterhouseCoopersからIBMに移りました。私たちIBMチームが熱心に取り組んでいるのは、クライアントのビジネス変革を支援することです。これは私にとって、ここ数年の取り組みの中心でした。
Clay Sheriff:今回のセッションのタイトルは「AIによる価値の推進:AWS上のAIによるトヨタのサプライチェーンの再構築」です。長いタイトルですが、私たちにとってこれは、AWSを基盤としてトヨタのサプライチェーンとフルフィルメントビジネスをどう変革するかという点に尽きます。Audreyが詳細に説明しますが、これは単なる技術の寄せ集めではなく、それらがどのように連携してビジネスを変革するかが重要なのです。トヨタのサプライチェーンの規模と広がりを考えると、本当に驚くべきものです。
1.2. IBMとAWSのパートナーシップについて
Clay Sheriff:IBMとAWSの関係は信じられないほど素晴らしく、過去5年間で驚くべき速さで成長してきました。IBMは、AWS上に構築した統合作業と私たちのすべてのソフトウェア製品を含め、最も急成長しているグローバルシステムインテグレーターおよびISVとなっています。これは驚異的な成長です。
Clay Sheriff:この成長は、私たちの上級幹部陣が立ち止まって考えたときに本当に始まりました。5〜10年前に誰かが「IBM」と言えば、「ああ、メインフレームと独自ソフトウェアね」と思われていました。しかし、私たちのビジネス、戦略、ビジョンは変化しました。現在は、ハイブリッドクラウド戦略、オープンシステム、そしてAWSのようなエコシステムパートナーが中心です。我々は完全にビジネスモデルを変革し、それは社内だけでなく、特に私たちのクライアントとAWSにとって驚くべき利益をもたらしています。
Clay Sheriff:IBMは信じられないほどオープンな企業になりました。これは実際に取り組み始めるまで気づかないことです。私が言ったように、PricewaterhouseCoopersから来ましたが、IBMよりもそこでのほうがメインフレーム関連の仕事をたくさんしていました。現在私たちが行っていることはすべてオープンシステムをベースにしています。それは驚くべきことでした。
Clay Sheriff:このスライドを見ると、私たちの経営陣のコミットメント、ベストプラクティスの推進など、多くの要素があります。現在、私たちは25,000のAWS認定資格を持っています。2001年頃、IBMはAWSエコシステムで「ライジングスター」を受賞しました。そして、今年の「グローバルデザインパートナー・オブ・ザ・イヤー」と「コラボレーションパートナー・オブ・ザ・イヤー」という賞が、トヨタとの協業を思い起こさせます。
Clay Sheriff:私たちがトヨタと行っていることは、未来のシステムを設計することです。彼らは40年間メインフレームシステムで作業してきましたが、私たちはそのプロセスを取り出し、AWSに移行し、データを公開し、そのデータ上でAIを実行しています。さまざまなエコシステムパートナー間のコラボレーションは素晴らしいものです。データベースパートナー、AWS、トヨタ、そして私たちすべてが協力し合っています。
Clay Sheriff:これはトヨタの文化に沿ったものでもあります。トヨタの文化は非常にインクルーシブで、パートナーシップ主導であり、誰もが発言権を持っています。「コラボレーション」に関する賞をもらったとき、それは過去4年間Audreyと行ってきた仕事を思い出させます。プログラムを開始し、協力し、共に学ぶことです。
Clay Sheriff:トヨタとこのプログラムを開始するのは驚くべき旅でしたが、変化を推進するためにAWSと毎日交流することも同様でした。私たちにとって、これはビジネスの変化と基盤を築くことです。
2. Toyota Motor North Americaの概要
2.1. 企業規模と事業概要
Audrey Mito:皆さん、こんにちは。Clayありがとう。始める前に、トヨタ自動車北米についての背景を少しお話しさせてください。皆さんはトヨタ株式会社についてはご存知かもしれませんが、北米では1958年に小さな米国トヨタ車ディストリビューターとして事業を開始しました。
Audrey Mito:それ以来、私たちは大幅に成長してきました。もはや単なる販売会社ではなく、製造、研究開発、そして金融サービスも行っています。こちらにいくつかの統計が示されていますが、私たちは米国の小売自動車販売で第1位のブランドです。北米には11の製造拠点があり、米国全土に1,400を超えるトヨタ・レクサス販売店を展開しています。
Audrey Mito:私たちの重要な基盤の一つは「トヨタウェイ」です。これは私たちのビジネスの進め方を導く中核的な価値観と原則です。私たちはトヨタウェイをあらゆることに適用しており、もちろんサプライチェーン変革の取り組みにも適用しています。
2.2. トヨタウェイ(基本理念)について
Audrey Mito:トヨタの最も重要な基盤の一つは「トヨタウェイ」です。これは私たちの核となる価値観と原則であり、ビジネスの進め方を導くものです。私たちは常にトヨタウェイをあらゆることに適用しています。もちろん、私たちが取り組んでいるサプライチェーン変革にも同様にトヨタウェイを適用しています。
Clay Sheriff:トヨタの文化は非常にインクルーシブで、パートナーシップを重視しています。誰もが発言権を持ち、意見を表明できる環境があります。私たちがAWSから「コラボレーションパートナー・オブ・ザ・イヤー」を受賞したとき、それは過去4年間Audreyと行ってきた取り組みを思い起こさせました。プログラムを開始し、協力し、共に学んでいくプロセスがトヨタの文化と非常に合致しているのです。
Audrey Mito:そうですね、Clay。私たちの文化的基盤があるからこそ、技術の変革も進めやすくなっています。トヨタウェイがなければ、このような大規模な変革は難しかったでしょう。私たちは常に改善し続けるという「カイゼン」の精神を持っていますが、サプライチェーン変革ではそれを超えた大きな飛躍が必要でした。トヨタウェイの価値観があったからこそ、チーム全体がその必要性を理解し、共に進むことができたのです。
3. レガシーシステムの課題と変革の必要性
3.1. 40年以上続くレガシーシステムの歴史
Audrey Mito:トヨタのレガシーシステムは40年以上にわたって当社に良いサービスを提供してきました。実際、変革を始める前にシステムを調査すると、1979年のCOBOLコードを見つけることができました。私たちはそのシステムを基に構築し続け、拡張してきました。輸入専用システムからスタートし、世界中のどこからでも車両を受け入れることができるシステムへと進化させました。
Clay Sheriff:Audreyが言及しているように、40年間運用してきたメインフレームシステムを扱っていました。私たちはそれらのプロセスを取り出し、AWSに移行し、データを公開し、そのデータ上でAIを実行しています。長期間稼働してきたシステムをいきなり切り替えることはできないのです。
Audrey Mito:そうです。その通りです。さらに、私たちは製造工場もシステムに追加してきました。大切なのは、これらのレガシーシステムが長年にわたって成長し、進化してきたという点です。それらは当社のビジネスを支えてきましたが、市場環境の変化に対応するためには、通常の「カイゼン」や継続的改善を超えた変革が必要だと認識するようになりました。
Clay Sheriff:PricewaterhouseCoopersにいたときの方が、IBMにいる今よりもメインフレーム関連の仕事をたくさんしていたというのは興味深い事実です。これは、IBMが現在いかにオープンシステム中心にシフトしているかを示しています。トヨタのシステムを見ると、40年間の蓄積があり、それを一気に変えることはできません。特に年間200万台の車両が米国中で移動している状況では、古いシステムを単純にオフにして新しいシステムをスタートさせることはできないのです。
Audrey Mito:そのため、私たちはシステムを徐々に近代化させる手法を取りました。長年にわたって構築されたビジネスロジックを尊重しながらも、新しい技術を活用できる方向へ進化させる必要があったのです。
3.2. サプライチェーンの広範な定義と複雑性
Audrey Mito:トヨタのサプライチェーンについて話すとき、それは一般的なサプライチェーンの概念とはかなり異なります。私たちのサプライチェーンは非常に広範で包括的です。サプライチェーンと言うとき、需要と供給の計画、発注、製造、価格設定、流通、完成品物流、車両構成、在庫管理など多岐にわたる領域を指しています。
Audrey Mito:さらに、これらの各領域を詳しく見ていくと、その下には恐らく10の異なるアプリケーションが存在します。ですから、サプライチェーン変革について話すとき、私たちは計画を立て始めてから顧客に車両を届けるまでの全工程のエンドツーエンドの変革を意味しているのです。
Clay Sheriff:トヨタのサプライチェーンの規模と広がりを考えると、本当に驚くべきものです。これは単なる技術の寄せ集めではなく、それらがどのように連携してビジネスを変革するかが重要なのです。
Audrey Mito:その通りです、Clay。サプライチェーンの専門家でないと、私たちのメインフレームが何を示しているのかを理解することさえ難しいのです。以前は、流通とサプライチェーンに精通している必要がありました。対照的に、私たちの新しいエンドツーエンドパイプラインでは、すべてが分かりやすい言葉で表示されます。一般の人でも見て「ああ、パイプラインを見てください。すべての車両がどこにあるか分かります」と言えるようになっています。
Clay Sheriff:サプライチェーンの複雑さを考えると、人々はその中で業務に精通するのに6ヶ月かかると言われています。それほど複雑で広範なものなのです。
Audrey Mito:おっしゃる通りです。実際、これまでは人々がサプライチェーンの専門家に来て「全体像はどうですか?問題はありますか?在庫レベルに問題はありますか?」と尋ねる必要がありました。今では誰でも見ることができます。組織全体に見える形になっています。これは私たちがこれまで決してできなかったことです。
3.3. 変革を促す市場環境の変化
Audrey Mito:なぜ変革に踏み切ったのか、なぜ変化が必要だったのかという点についてお話しします。私たちは市場環境の変化を目の当たりにしていました。これまでも対応してきましたが、通常の「カイゼン」や継続的改善を超えた取り組みが必要でした。それ以上の大きな飛躍が必要だったのです。
Audrey Mito:顧客の要求や期待が変化しています。顧客は車を購入する際に、自分で操作できる体験を期待しています。何を買いたいか、いつ買うか、どこで購入したいかを選択できることを望んでいます。顧客は車がどこにあるのかを知りたがり、まさに適切な車両を適切な場所で適切なタイミングで手に入れたいと考えています。
Audrey Mito:自動車業界自体にも変化が見られます。現代の車両はソフトウェアとデジタル技術への依存度が高まっています。ユーザー体験、機能、さらには車両自体の性能を向上させるためにこれらの技術が不可欠になっています。
Audrey Mito:チームメンバーもトヨタにとって重要です。Clayも言及したように、私たちは非常にインクルーシブな企業ですが、最高のチームメンバーを採用し、維持したいと考えています。そのためには、チームメンバーが付加価値のある仕事や楽しめる仕事をできるようにする必要があります。達成感を得られる環境が必要なのです。
Audrey Mito:私たちのシステムが彼らの最高のパフォーマンスを妨げるようなものであってはなりません。最適なワークフローをサポートするシステム、彼らがやりたいことをサポートするシステムが必要で、システムが強制するからという理由で何かをさせるべきではありません。
Audrey Mito:そしてもちろん、COVID-19パンデミックは私たちに俊敏性、対応力、柔軟性の必要性を示しました。変化する市場条件や環境に迅速に対応できなければならないからです。そして今日ではサプライチェーンの混乱は日常的な現実の一部となっています。
Clay Sheriff:Audreyが言うように、ビジネスはこれまで反応的でした。質問を受け、グリーンスクリーンにアクセスし、何が起きているのかを調査する必要がありました。現在ではデータを視覚化し、何が来るかを確認し、顧客の需要を把握できるようになっています。次の段階は、サプライチェーンをどのように積極的にするかです。データを配置し、そのデータの上にGenAIとAIを置くことで、人々が質問に答えるのではなく、顧客の需要を予測し、顧客が期待する車両を顧客の前に出すことができるようになります。
Audrey Mito:その通りです。市場環境の変化に対応するには、単に受け身ではなく、先を見据えた積極的なアプローチが必要なのです。
4. サプライチェーン変革の方向性
4.1. 効率性から価値創造への転換
Audrey Mito:サプライチェーンに関して私たちが目にしてきた大きな変化の一つは、主に運用効率に焦点を当てたサプライチェーンからの転換です。20年前は、それがサプライチェーンにおいて誰もが気にしていたことのすべてでした。すべての人が運用効率とコスト削減だけを見ていたのです。価値創造という観点ではサプライチェーンを見ていませんでした。
Audrey Mito:しかし、私たちはこの分野での変化とシフトを目の当たりにしています。特に私が今ここで示している領域においてです。サステナビリティ、アジリティ、そして顧客中心主義の観点から、サプライチェーンの役割が大きく変わりつつあるのです。
Clay Sheriff:私たちがトヨタとともに構築しているビジョンは、反応的なサプライチェーンから予測的で積極的なサプライチェーンへの移行です。データを活用して、顧客の需要を単に把握するだけでなく、予測し、それに基づいて行動できるようにすることが重要なのです。
Audrey Mito:そうですね。私たちのサプライチェーン変革の大きな原動力の一つは、顧客体験を向上させることです。私たちのサプライチェーンが、顧客の期待を超える最高の顧客体験を提供できるようにしたいのです。顧客が車を購入した後に「それは素晴らしい体験でした。何の不安もありません。もう一度やりたいです。またその会社と取引したいです」と思うようになることが重要です。
Audrey Mito:これが私たちが構築しているものです。これが私たちのサプライチェーン業務の大きな焦点であり、効率性だけでなく、価値を創造するという観点からサプライチェーンを再考しているのです。
Clay Sheriff:私はこの点を強調したいと思います。サプライチェーンはただの配送システムではありません。それは顧客価値を創造する重要なビジネス機能なのです。トヨタCEOのオガワさんは、このプログラムで何が起きているかを毎週知りたがっています。彼は新しいテクノロジーをどのように活用してビジネスに価値を還元しているかについて質問します。最終消費者への価値、ディーラー体験、そして重要なのは従業員体験についても質問します。
4.2. サステナビリティへの対応
Audrey Mito:サステナビリティの分野では、特に劇的な変化が見られます。車両の配布方法や配布先、配送可能な台数を指示・指導する規制法令の数が大幅に増加しています。私たちのサプライチェーンは、これらすべての制限や制約を考慮しながら、車両を最適に配布する方法を判断できるよう支援する必要があります。
Audrey Mito:例えば、特定の地域では排出ガス基準により、どのタイプの車両をどれだけ販売できるかに制限があります。また、物流面での環境影響を最小化するための規制も増えています。こうした複雑な規制環境の中で、私たちは効率的かつ環境に配慮した方法で車両を顧客に届ける必要があるのです。
Clay Sheriff:このような規制環境の複雑さは、従来の静的なシステムでは対応しきれません。データとAIを活用して、これらの制約の中で最適な意思決定ができるシステムが必要です。トヨタのCUBEプラットフォームは、まさにそのためのものです。
Audrey Mito:そうですね。サステナビリティへの対応は、単なる規制遵守の問題ではなく、ビジネスモデル全体に関わる重要な課題となっています。私たちのサプライチェーン変革は、環境への配慮と経済的な持続可能性の両立を目指しています。
Clay Sheriff:また、サステナビリティに対する顧客の期待も急速に高まっています。今日の顧客は環境に配慮した方法で製造・配送された製品を求めています。トヨタのサプライチェーン変革は、この期待にも応えるものです。
Audrey Mito:その通りです。サステナビリティは私たちのブランド価値にも直結しています。私たちは環境に配慮した方法で事業を行うことで、顧客や社会からの信頼を得ることができます。これは短期的なコスト増加を伴うかもしれませんが、長期的には私たちのビジネスを強化する重要な投資なのです。
4.3. アジリティと俊敏性の強化
Audrey Mito:アジリティについてはすでに少し触れましたので、詳しくは説明しませんが、これは非常に重要な要素です。市場の変化や環境の変化に迅速に対応できる能力が不可欠です。
Clay Sheriff:パンデミックは、サプライチェーンの俊敏性がいかに重要かを私たちに示しました。突然の需要変化や供給の混乱に対応するためには、リアルタイムデータと意思決定能力が必要です。
Audrey Mito:その通りです。以前のシステムでは、変化に対応するまでに何日もかかることがありました。現在では、私たちが構築しているシステムによって、数時間、場合によっては数分単位での対応が可能になっています。これは前例のない変化の速さです。
Clay Sheriff:私たちがトヨタと一緒に実現しているのは、運用効率だけでなく、運用の俊敏性です。年間500回ものプロダクションリリースを行っていることを考えてみてください。これは毎日のように新機能や改善がサプライチェーンシステムにもたらされているということです。
Audrey Mito:そうですね。通常なら2年かかるような構築を6ヶ月で本番導入できるようになったのは、この俊敏性への投資があったからこそです。速いだけでなく、品質も維持しながら変化に対応できることが重要です。
Clay Sheriff:俊敏性とは単に速いだけではありません。それは意思決定の質と速度の両方を高めることです。AWS上に構築されたCUBEプラットフォームは、大量のデータをリアルタイムで処理し、それに基づいて迅速に行動する能力を提供しています。
Audrey Mito:現在の環境では、サプライチェーンの混乱は日常的なものとなっています。港湾の混雑、天候の問題、地政学的な緊張など、様々な要因がサプライチェーンに影響を与えます。これらの課題に対して、迅速に調整し、顧客への影響を最小限に抑えることができるシステムが必要なのです。
Clay Sheriff:トヨタのサプライチェーン変革の成功は、この俊敏性の向上にも現れています。以前は変更を加えるのに数ヶ月かかっていたものが、今では数週間あるいは数日で実現できています。これはビジネスに大きな競争優位をもたらします。
4.4. 顧客中心のアプローチ
Audrey Mito:私たちのサプライチェーン変革の原動力、あるいは推進要因の一つは、顧客体験を向上させることです。私たちはサプライチェーンが顧客の期待を超える最高の顧客体験を提供できるようにしたいのです。顧客が車を購入した後に「それは素晴らしい体験でした。何の不安もありません。もう一度やりたいです。またその会社と取引したいです」と思うようになることが大切です。
Audrey Mito:これが私たちが構築しているものであり、私たちが行っているサプライチェーン業務の大きな焦点です。顧客中心のアプローチは、単に車両を配送するだけでなく、顧客が求める正確な車両を適切なタイミングで適切な場所に提供することを意味します。
Clay Sheriff:私は企業価値への影響という観点からこの点を強調したいと思います。トヨタのCEOであるオガワさんは、このプログラムで何が起きているかを毎週知りたがっています。彼が最も関心を持っているのは、新しいテクノロジーをどのように活用して最終消費者への価値、ディーラー体験、そして従業員体験を向上させているかという点です。
Audrey Mito:顧客中心のアプローチには、顧客が車両の場所を把握できるようにすることも含まれます。私たちのETA予測モデルを構築したとき、それは顧客満足度を向上させるための重要な一歩でした。適切な期待値を設定することで、顧客体験を大幅に改善することができました。
Clay Sheriff:私たちが構築したスマートフルフィルメントエンジンも顧客中心のアプローチの例です。顧客が車両を検索する際に、利用可能なオプションをインテリジェントに提示することで、購入プロセスをよりスムーズにします。
Audrey Mito:そうですね。私たちのスマートフルフィルメントエンジンは顧客の購入プロセスを支援するために設計されたAIとMLエンジンです。顧客の問い合わせに基づいてパイプライン内の車両のレコメンデーションを提供します。つまり、顧客がオンラインで何かを探し、車両をスペックアウトして「これが欲しい」と言った場合、スマートフルフィルメントエンジンはそれを調べ、顧客が求めているものを見て、完全に一致するものや最も近いものを探し、「ここにいくつかのオプションがあります。待ち時間や場所など、ご興味があればご覧ください」と提案します。
Audrey Mito:顧客体験の観点からは、顧客自身がそれを探す必要はありません。何が利用可能かを知り、私たちが手助けすることができます。これは実際に本番環境で利用されており、Toyota.comやLexus.comで実際に動作しているのを見ることができます。現在、顧客によって使用されているプログラムの一部です。
4.5. 継続的なイノベーション
Audrey Mito:もちろん、私たちは引き続きイノベーションを追求し、テクノロジーを活用し、これまで提供できなかった新しい機能やサービスを提供する機会を探しています。これはサプライチェーン変革の重要な側面です。テクノロジーは停滞していません。常に新しい可能性や機会が生まれています。
Clay Sheriff:イノベーションは単に技術を導入することではありません。それは新しい方法でビジネス価値を創出することです。トヨタとの取り組みでは、技術とビジネスプロセスの両方における継続的なイノベーションを追求しています。
Audrey Mito:私たちの変革の原則の一つはTech-Enabled(技術活用)です。私たちは常に私たちの取り組みをサポートするための最適な技術を探し求めています。関連性を保ち、私たちのサプライチェーン目標の達成を支援する最新の技術に常に目を向けています。
Clay Sheriff:Amazon Q、Bedrock、IBMのGraniteモデル、watsonx.governanceなど、新しいAI技術がサプライチェーンにもたらす可能性は計り知れません。これらの技術を活用することで、サプライチェーンから製造、アフターマーケットに至るまで、様々な領域での革新が可能になります。
Audrey Mito:その通りです。私たちのエンドツーエンドパイプライン可視化システムは、現在生成AIチャットボットの開発基盤となっています。これにより、組織内の誰もが「25年モデルのカムリの在庫レベルはどうなっていますか?」といった質問をすれば、システムが検索してレスポンスを返してくれるようになるでしょう。サプライチェーンに詳しくない人でも、必要な情報にアクセスできるようになります。
Clay Sheriff:継続的なイノベーションに取り組むためには、反復的な開発手法が不可欠です。私たちはMVP(最小限の実用的な製品)から始め、常に構築し続けています。仮説を立て、テストし、学び、そして素早く構築するというサイクルを繰り返すことで、イノベーションを継続的に推進しています。
Audrey Mito:私たちの目標は、サプライチェーンを通じて新しい価値を創造し続けることです。それは顧客だけでなく、ディーラー、チームメンバー、そして社会全体にとっての価値でもあります。継続的なイノベーションによって、私たちは市場の変化に対応するだけでなく、市場をリードすることができるのです。
5. トヨタのサプライチェーン変革の原則と進め方
5.1. People-Led(人材主導), Data-Driven(データ駆動), Tech-Enabled(技術活用)の原則
Audrey Mito:私たちの変革の原則は、People-Led(人材主導)、Data-Driven(データ駆動)、そしてTech-Enabled(技術活用)です。まず、People-Led(人材主導)とは、サプライチェーン領域で働くチームメンバーのスキル、専門知識、コラボレーション、そして福利厚生を優先し、重視するということです。これが私たちの目標です。何かを始めるとき、私たちは常に「これは私たちのチームメンバーにとって何を意味するのか?サプライチェーンで働く人々にとって何を意味するのか?」と考えます。
Clay Sheriff:人材主導という原則は、トヨタの文化そのものを反映していますね。トヨタの文化は非常にインクルーシブで、誰もが発言権を持っています。私たちがAWSから「コラボレーションパートナー・オブ・ザ・イヤー」を受賞したのもこの文化があってこそです。
Audrey Mito:そうですね。次にData-Driven(データ駆動)ですが、プロセスのあらゆる段階でデータの使用を最適化して、サプライチェーンにおける最適な決定を下すことが目標です。これによって効率性を高め、顧客体験を向上させることができます。
Clay Sheriff:データ駆動の重要性は強調してもしすぎることはありません。以前はビジネスが反応的で、質問を受け取り、グリーンスクリーンにアクセスして何が起きているかを調査する必要がありました。しかし今では、データを視覚化し、顧客需要を把握できるようになっています。次のステップは、そのデータの上にGenAIとAIを置いて、サプライチェーンを予測的で積極的なものにすることです。
Audrey Mito:まさにその通りです。そして最後にTech-Enabled(技術活用)ですが、これはすべての取り組みをサポートする中核的な技術です。私たちは常に、私たちの取り組みをサポートするための最良の技術を探し求めています。関連性を保ち、最新の技術を常に活用して、サプライチェーンの目標達成を支援したいと考えています。
Clay Sheriff:技術は目的ではなく手段だということですね。技術そのものが変革を推進するのではなく、ビジネスニーズを満たし、人とデータをサポートするために技術があるのです。
Audrey Mito:その通りです。これら3つの原則が互いにバランスをとりながら機能することが重要です。人を中心に置き、データによって意思決定を強化し、それらを最適な技術でサポートするという考え方です。これが私たちのサプライチェーン変革の基盤となっています。
5.2. 変革の歴史的経緯(2020年から現在まで)
Audrey Mito:2020年に、私たちは変革を始めました。それは非常に小さなグループの人々が集まり、理想的な顧客旅程がどのようなものになるかを特定する作業から始まりました。私たちが持っているものと、サプライチェーンに必要なものを調査しました。そして、サプライチェーンのごく一部、文字通り「車両のETAをどう追跡するか」という小さなPOC(概念実証)に取り組みました。それが私たちのPOCでした。
Clay Sheriff:その小さな始まりが、すべての基盤となりましたね。私が最初にこのプロジェクトに参加したとき、その規模の小ささに驚きましたが、同時にその可能性も感じました。
Audrey Mito:そうですね。そして2022年初頭までに、状況は一変しました。サプライチェーンプログラムは、非常に小規模なものから巨大なものへと移行または成長し、私が先ほど話したサプライチェーンのエンドツーエンド全体を含むようになりました。わずか1年強の間に、非常に小さいものからとても大きなものへと変わったのです。
Clay Sheriff:その拡大の速さは驚異的でした。通常、このような大規模な変革は何年もかけて徐々に行われますが、トヨタでは一気に加速したのですね。
Audrey Mito:確かにそうです。私たちは通常の2倍以上の速度で構築しています。通常2年かかるものを、6ヶ月で本番環境に投入しています。これは私たちのアプローチが機能している証拠だと思います。
Clay Sheriff:その成功の背景には、トヨタの文化とIBMのアプローチが合致したことがあると思います。変革に対する共通のビジョンと、実行に対するコミットメントが、このような急速な進化を可能にしたのではないでしょうか。
Audrey Mito:同感です。また、この変革は単なるITプロジェクトではなく、ビジネス変革であるという認識が全社的に共有されていることも重要でした。ITとビジネスが一緒になって、どのような顧客体験を提供したいのか、そのためにどのようなシステムが必要なのかを共同で定義しました。この共同アプローチが、短期間での大きな進展を可能にしたと考えています。
5.3. パートナーシップと共創アプローチ
Audrey Mito:ここまでの成功において、パートナーシップは私たちの成功の鍵となっています。パートナーとのコラボレーションなしでは、私たちはこれを実現できませんでした。まず共創という観点からチームを設定する際、私たちは実際にビジネス、IT、そしてビジネスパートナーすべてを巻き込んで、私たちの旅がどのようなものになるかを共に創り上げています。全員に発言権があります。誰でも手を挙げて「それには同意できません」と言うことができ、私たちは何を構築しようとしているかについて健全な議論を交わします。
Clay Sheriff:その共創アプローチは、IBM、AWS、そしてトヨタの関係の基盤となっていますね。先ほど言及した「コラボレーションパートナー・オブ・ザ・イヤー」賞は、まさにこのような取り組みが評価されたものです。私たちは単にシステムを提供するのではなく、トヨタと一緒に何を構築するかを考え、共に創り上げています。
Audrey Mito:もちろん、アクセラレーターも重要です。私たちは速いスピードで構築しています。通常の構築速度の2倍以上のスピードで間違いなく構築しています。通常2年かかるようなものを、私たちは6ヶ月で本番環境に投入しました。また、エコシステムパートナーは、どのプラットフォーム技術が私たちに最適かを判断する上で役立っています。私たちはパートナーに依存し、これらの決定を下すのを手伝ってもらっています。
Clay Sheriff:そのスピードと規模を考えると、強力なパートナーシップがなければ不可能だったでしょう。AWSチーム、IBMチーム、トヨタチーム、そして他のシステムインテグレーターがすべて毎日協力して、コードをリリースしています。昨年だけでも500回近いプロダクションリリースがありました。これは大変な量の作業です。
Audrey Mito:その通りです。そして最後に、私たち全員がデリバリーの卓越性に取り組んでいます。私たちは確実に提供します。私たちは常に、構築し提供しているものを改善する方法を探しています。これらすべての要素が、私たちの変革の成功に不可欠なのです。
Clay Sheriff:パートナーシップのもう一つの重要な側面は、各自がそれぞれの専門知識を持ち寄ることです。トヨタはビジネスとサプライチェーンの専門知識、IBMはシステム統合と変革の知見、AWSはクラウドインフラと先進技術の専門性を提供しています。これらの異なる視点が一緒になることで、より良いソリューションが生まれるのです。
Audrey Mito:全くその通りです。この共創アプローチは、単に技術的な成功だけでなく、ビジネス価値の創出にも直結しています。パートナー間の強力な連携があってこそ、私たちは市場の変化に素早く対応し、顧客体験を向上させることができているのです。
5.4. 反復的な開発手法による大規模デリバリー
Audrey Mito:規模でデリバリーするために、私たちは反復的なアプローチを採用しています。一緒に働くチームが集まり、私たちが何をしたいか、何をするかについての仮説や考えを素早く作り上げます。そして、すぐにイノベーションとテストのプロセスに入ります。テストし、POCを行い、何であれ素早く行って、何が機能し、何が機能しないかを確認します。何が気に入り、何を変えるべきだと思うかを検討します。チームは集まってそれを解決し、文字通り、私たちが構築しようとしていることについての概念を証明し始めるとすぐに構築を開始します。
Clay Sheriff:その反復的なアプローチは大きな違いを生み出していますね。従来のウォーターフォール方式では、すべての要件を最初に定義し、設計し、構築し、そしてようやくテストするというステップを踏みます。しかし、Audreyが説明しているアプローチでは、小さなイテレーションで素早く構築し、学び、調整することができます。
Audrey Mito:その通りです。私たちはMVP(最小限の実用的な製品)から始め、それから常に構築し続けています。このアプローチが、私たちが通常の2倍以上のスピードで構築できている理由の一つです。通常2年かかるものを6ヶ月で本番環境に投入しています。
Clay Sheriff:スピードだけでなく、柔軟性も重要ですね。市場や要件が変化したとき、反復的なアプローチでは迅速に方向転換することができます。これは特に今日のような急速に変化する環境では極めて重要です。
Audrey Mito:その通りです。また、この反復的なアプローチはチームメンバーの関与も高めています。早い段階から結果が見え始めるため、モチベーションの維持にも繋がっています。長期間開発を続けて結果が見えないというフラストレーションを避けることができます。
Clay Sheriff:そしてこのアプローチは、年間500回近いプロダクションリリースという驚異的なペースを実現しています。これは日々コードをリリースしているということです。このような頻度で品質を維持するには、自動化されたテストやデプロイメントプロセスなど、確固としたエンジニアリング基盤が必要です。
Audrey Mito:その点については、AWSプラットフォームが私たちに大きな力を与えてくれています。クラウドネイティブなアプローチで開発することで、従来の環境では考えられなかったスピードと柔軟性を実現しています。しかし最も重要なのは、この反復的な開発手法が私たちのビジネス価値に直結していることです。市場の変化に迅速に対応し、顧客体験を継続的に改善することができています。
6. CUBEプラットフォームと実装例
6.1. CUBEデジタル運用プラットフォームの概要
Audrey Mito:CUBEは、AWS上に構築された私たちのデジタル運用プラットフォームです。私たちが構築するすべてのものはCUBE上にあります。サプライチェーンで構築するものはすべて、AWS CUBE システム上に構築されています。
Clay Sheriff:Audreyが説明しているCUBEプラットフォームは、トヨタの変革の技術的中核です。データを一貫した単一のリポジトリに持つことが重要で、それによってGenAIやその他のAI技術をバックエンドで実行できるようになります。
Audrey Mito:そうですね、このプラットフォームによって、以前はバラバラだったデータやシステムを統合し、エンドツーエンドの可視性と分析が可能になりました。これは単なる技術プラットフォームではなく、ビジネス変革を実現するための基盤なのです。
Clay Sheriff:私が強調したいのは、CUBEはAWSを基盤としているという点です。AWSの拡張性、柔軟性、セキュリティがこのプラットフォームの根幹にあり、トヨタのような大規模な企業のニーズに応えることができています。
Audrey Mito:CUBEの素晴らしい点は、従来のグリーンスクリーンインターフェースから、より直感的で視覚的なインターフェースへの移行を可能にしたことです。以前は、流通とサプライチェーンに精通していないと、メインフレームが何を示しているのかを理解することが難しかったのです。しかし、CUBEでは誰でも簡単に情報にアクセスできるようになりました。
Clay Sheriff:このプラットフォームは、サプライチェーンを反応的なものから予測的で積極的なものへと変えるという私たちのビジョンの中核です。CUBEを通じて、Audreyと彼女のチームは意思決定と顧客体験を劇的に向上させることができました。
Audrey Mito:CUBEは単一のプラットフォームですが、その上に構築された多くの異なるアプリケーションやプロダクトがあります。これらはすべて統合され、相互に連携して機能しています。次に、これらのプロダクトのいくつかについて詳しくお話ししたいと思います。
6.2. 主要プロダクトの紹介
Audrey Mito:CUBEで構築した製品のほんの一部をここにリストアップしています。すべてを掲載することはできませんでした。エンドツーエンドのパイプライン可視性、コントロールタワー、需要マッチング、ETA予測、スマートフルフィルメントエンジン、車両コンフィギュレーターなど、様々な製品があります。いくつかの製品について詳しくお話ししましょう。
Audrey Mito:まず、これは私たちが構築した最大の製品で、IBMが構築を支援してくれたエンドツーエンドパイプライン可視化システムです。これは車両を注文した時点から小売顧客への販売まで表示します。重要なのは、これが以前サプライチェーンの可視化に使用していたグリーンスクリーンよりもはるかに優れているということです。しかも、以前のシステムではエンドツーエンドではありませんでした。メインフレームが何を示しているかを理解するには、流通とサプライチェーンに精通している必要がありました。
Clay Sheriff:その変化は劇的ですね。以前は専門家しか理解できなかった情報が、今では組織全体に透明になっています。
Audrey Mito:その通りです。現在のエンドツーエンドパイプラインでは、すべてが平易な言葉で表示されます。一般の人でも見て「ああ、パイプラインを見てください。すべての車両がどこにあるかがわかります」と言えるようになっています。これにより、エンドツーエンドパイプラインの可視性が組織全体にアクセス可能になりました。これは私たちが以前にはできなかったことです。以前は、サプライチェーンの専門家に来て「全体像はどうですか?問題はありますか?在庫レベルに問題はありますか?」と質問する必要がありました。今ではそれが誰にでも見えるようになっています。
Audrey Mito:しかし重要なのは、これが現在開発中のGenAIチャットボットの必要なフレームワークを提供していることです。これによってこのアプリケーションのアクセシビリティがさらに組織の残りの部分に拡張されるでしょう。なぜなら、人々はどこに行けばいいのかさえ知らなくても、ただ質問を入力して「カムリの25年モデルの在庫レベルはどうなっていますか?」と尋ねることができ、システムがそれを見つけて返答するからです。これは私たちにとって非常に刺激的な領域であり、これまで持っていなかったものです。サプライチェーンの人々にとって、これは本当に大きな変化です。
Clay Sheriff:次にETAモデルについても話してもらえますか?顧客体験において非常に重要な要素だと思います。
Audrey Mito:ETAについて説明します。車を買うとき、「車がいつ使えるようになるのか」を知ることができると期待しますよね。もし既にディーラーにない場合は。これは私たちが皆、慣れてきたことです。Amazonがそれを必須にしました。ETAは私たちの2番目に古い製品で、AIとMLモデルを使用して、車両がディーラーに到着する予定の推定時間枠を作成します。
Audrey Mito:最初のモデルは、レガシーシステムを置き換えるのに約4か月かかりました。それを行ったとき、私たちのETA精度は大幅に向上しました。場合によっては4か月で2倍になることもありました。それ以来、私たちはモデリングを継続的に改良し、より細かい粒度を組み込んできました。
Audrey Mito:画面に表示されている小さな図では、ドットがサプライチェーンを移動する車両を示しています。線は、私たちが持つすべての車両のETAを計算するのに役立つすべての異なるモデルを示しています。現在、私たちは生産ラインを開始する前でさえ、車両のETAを予測できるようになりました。つまり、車両が構築される前でも、ETAを予測し始めることができるのです。同時にETA精度も向上しています。顧客体験を向上させ、適切な期待値を設定することで顧客満足度を高めるための大きな成果です。
Audrey Mito:最後に紹介する製品は、スマートフルフィルメントエンジンです。これは、顧客の問い合わせに基づいてパイプライン内の車両のレコメンデーションを提供することで、購入プロセスを支援するAIとMLエンジンです。顧客がオンラインで何かを探し、車両をスペックアウトして「これが欲しい」と言った場合、スマートフルフィルメントエンジンはそれを調べ、顧客が求めているものを見て、完全に一致するものや最も近いものを探し、「ここにいくつかのオプションがあります。待ち時間や場所など、ご興味があればご覧ください」と提案します。
Clay Sheriff:この機能は既に顧客に使われているのですね?
Audrey Mito:はい、顧客体験の観点から、顧客自身がそれを探す必要はありません。何が利用可能かを知り、私たちが手助けできます。そして実際に、これは本番環境にあり、Toyota.comやLexus.comで実際に動作しているのを見ることができます。現在、顧客によって使用されているプログラムの一部です。