※本レポートは、AWS re:Invent 2024で開催されたセッション「Reinventing entertainment (MAE203)」の内容を基に作成されています。セッションの詳細情報は https://www.youtube.com/watch?v=DhDjbnv3xog でご覧いただけます。本レポートでは、約1時間のセッション内容を要約しております。 なお、本レポートの内容は講演者の見解を正確に反映するよう努めていますが、要約や解釈による誤りがある可能性もありますので、正確な情報や文脈については、オリジナルの動画をご視聴いただくことをお勧めいたします。 セッション内で紹介された各種デモンストレーションや技術的な詳細については、AWSの公式ドキュメント(https://docs.aws.amazon.com/ )をご参照ください。また、AWSのイベント情報については、https://go.aws/3kss9CP にてご確認いただけます。 AWS re:Inventはクラウドコンピューティングコミュニティのための学習カンファレンスであり、本セッションはその一部として提供されています。AWS re:Inventの最新情報は、AWS公式チャンネル(http://bit.ly/2O3zS75 )でご覧いただけます。
登壇者:
セッションモデレーター:
- Samira - AWS Media & Entertainment部門のリーダー 豊富な業界知識と技術的な洞察を持ち、エンターテインメント業界のデジタルトランスフォーメーションを牽引しています。
パネリスト(第1パネル):
- Albert Changen - Prime Video Prime Videoに10年近く在籍し、Amazon MGM Studiosとの統合やグローバル展開を主導。200万以上のPrime会員にストリーミングサービスを提供する責任者として、パーソナライズされた視聴体験の革新に取り組んでいます。
- Leslie Silverman - United Talent Agency (UTA)新技術部門責任者 UTAで9年の経験を持ち、The Rapの2024年チェンジメーカーにも選出。デジタルコンテンツクリエイター、ポッドキャスト、デジタルアセット分野での新規ビジネス開発を主導しています。
パネリスト(第2パネル):
- Fraser - Comcast プロダクト部門 北米のComcast、欧州のSky、そしてグローバルなシンジケーションビジネスを統括。特にスポーツコンテンツのデジタル配信とユーザー体験の革新に注力しています。
- G Katkar - FanDuel データ部門責任者 FanDuelのデータインフラストラクチャ、分析フレームワーク、アルゴリズム開発を統括。顧客体験の最適化とデータドリブンな意思決定の推進に取り組んでいます。
1. はじめに
1.1. 業界における4つの主要な破壊的変化
エンターテインメント業界は現在、4つの主要な破壊的変化に直面しています。
第一の変化は、世代による消費者行動の大きな変化です。プレゼンテーションの冒頭でSamiraは「エンターテインメント業界は、若年層を中心とした消費者の嗜好の変化によって、大きな変革期を迎えています」と述べています。特にGenZの台頭により、ユーザー生成コンテンツやライブストリーミングへの需要が急速に高まっています。
第二の変化は、技術的な収束です。「クラウドコンピューティング、データ、生成AI、そしてゲームやメディアに特化した目的別サービスの相乗効果により、製品提案がかつてないスピードで市場に投入されるようになっています」とSamiraは説明しています。
第三の変化として、デジタルグラフィックス、ライブストリーミング、収益化ツールの劇的な進歩が挙げられます。具体例として、AWS顧客であるRobloxがデジタル世界でライブコンサートを実現したケースや、IMAXがNBAファイナルをアジア全域の劇場にライブストリーミングで21日以内に提供した事例が紹介されています。
第四の変化は、よりインタラクティブで個人化された体験へのシフトです。「顧客企業は自社の知的財産を複数のドメインにわたって拡大しています。ストリーミングサービス、ゲーム、音楽、ポッドキャスト、テーマパーク、ライブイベントなど、ネットワーク全体から得られる一次データの知見を活用して、AIによる連携した体験を創造しています」とSamiraは説明しています。
これらの変化について、Samiraは「これらの破壊的変化は、課題であると同時に、それを受け入れる準備のできた組織にとっては機会でもあります」と強調しています。特に注目すべき点として、モバイルユーザーの増加(58億人)とゲーム人口の拡大(週間アクティブユーザー35億人)を挙げ、これらの変化がエンターテインメント業界の未来をより魅力的なものにしていると述べています。
このように、業界における4つの主要な破壊的変化は、技術の進歩と消費者行動の変化が密接に関連しながら、エンターテインメント業界全体を大きく変革させているのです。
1.2. エンターテインメント業界の市場規模と成長予測
エンターテインメント業界は急速な成長を続けており、プレゼンテーションでSamiraは「これらの破壊的変化にもかかわらず、業界の収益は2024年に1兆ドルを超えると予測されています」と述べています。
市場構成について、具体的な内訳が示されており、「この成長の35%をオンラインビデオが占め、25%をゲームが占めています」と説明されています。これは、デジタルコンテンツへの需要シフトを明確に示しています。
成長要因として、以下の点が挙げられています:
- モバイルユーザーの急増:「58億人のモバイルユーザーが、いつでもどこでもコンテンツを消費しています」とSamiraは指摘します。
- 若年層の新しい消費傾向:「GenZのソーシャルビデオとライブストリーミングへの嗜好が、この変化を加速させており、これはGenAlphaでさらに広がっていくと考えています」
- ゲーミングの普及:「ゲームはグローバルな現象となり、毎週35億人、つまり地球上のほぼ2人に1人がゲームをプレイしています」という驚くべき統計が示されています。
市場動向の特徴的な傾向として、Samiraは「興味深いパラドックスが生まれています。私たちの注意力の持続時間は短くなっていますが、インタラクティブで没入型のコンテンツへの需要は強まる一方です」と指摘しています。
この状況に対応するため、メディア企業は多角的なアプローチを採用しています。「もはや一つのメディアに特化するだけでは不十分です。企業はライブイベント、映画制作、独自のストリーミングプラットフォーム構築、ゲーム開発を行い、重要なすべてのソーシャルメディアプラットフォームでプレゼンスを確立しています」とSamiraは説明します。
このように、エンターテインメント業界は技術革新と消費者行動の変化を背景に、大きな成長を遂げながら、同時に構造的な変革を迫られている状況が明確に示されています。
1.3. 現在の業界状況
エンターテインメント業界の現状について、Samiraは具体的なデータを示しながら、三つの重要な観点から分析を提示しています。
まず、モバイルユーザーの消費傾向について、「現在、58億人のモバイルユーザーがあらゆる場所で、常時コンテンツを消費しています」と述べています。この数字は、世界人口の大部分がモバイルデバイスを通じてエンターテインメントにアクセスしている現状を示しています。
世界のゲーマー人口については、特筆すべき統計が示されています。「35億人が毎週ゲームをプレイしており、これは地球上のほぼ2人に1人がゲーマーであることを意味します」とSamiraは強調しています。この驚くべき数字は、ゲーミングがもはやニッチな娯楽ではなく、グローバルな文化現象となっていることを示しています。
GenZの消費傾向については、特徴的な変化が見られます。「GenZのソーシャルビデオとライブストリーミングへの嗜好が、この進化を加速させており、この傾向はGenAlphaでさらに強まることが予想されます」とSamiraは説明しています。
この状況に対応して、メディア企業は従来の枠組みを超えた対応を迫られています。例えば、Robloxはデジタルワールドでライブコンサートを開催し、IMAXはNBAファイナルをアジア全域の劇場にライブストリーミングで配信するなど、新しい試みが次々と実現されています。
特に注目すべき点として、Samiraは「興味深いパラドックス」を指摘しています。「私たちの注意力の持続時間は短くなっているにもかかわらず、インタラクティブで没入型のコンテンツへの需要は増加の一途をたどっています」。この相反する傾向は、コンテンツ制作者に新たな課題を突きつけています。
このような状況を受けて、メディア企業は単一のメディアに特化するのではなく、ライブイベント、映画制作、独自のストリーミングプラットフォーム、ゲーム開発など、多角的なアプローチを採用し始めています。さらに、すべての重要なソーシャルメディアプラットフォームでのプレゼンス確立も不可欠となっています。
2. AWSのメディア・エンターテインメント向けサービス
2.1. AWSのメディア・エンターテインメント向けサービスのリリース歴
AWSのメディア・エンターテインメント向けサービスは、15年以上にわたる継続的な進化を遂げています。Samiraは、この進化の重要なマイルストーンを時系列で説明しています。
「2008年11月にAmazon CloudFront CDNをローンチし、その1年後には音声と動画のストリーミングに対応しました。これは業界とインターネットの需要に応えるものでした」とSamiraは説明します。
2015年10月には重要な転換点がありました。Elemental Technologiesの買収です。その2年後、AWS Elemental Media Servicesがローンチされ、業界に革新をもたらしました。「お客様は初めてクラウドでエンコーディング、トランスコーディング、パッケージングなど、放送品質のチャンネルを設定できるようになりました。これらは以前には実現できなかったことです」とSamiraは当時の革新性を強調しています。
2016年には、AWS GameLiftが登場します。「世界で最も要求の厳しいゲームをホスティングするために特別に設計された、目的別のゲームサーバーを市場に投入することができました」とSamiraは説明しています。
2020年から2024年にかけては、業界の主要な要求に応える形で、複数の重要なサービスがリリースされています:
- AWS Cloud Digital Interface
- AWS Elemental Media Tailor
- AWS Entity Resolution
これらのサービスにより、「非圧縮ビデオの超低レイテンシー転送、リアルタイムのインタラクティブストリーミング体験、高度な広告ソリューションが可能になりました」とSamiraは説明します。
2024年は特に活発な年となっており、以下のような重要なリリースがありました:
- AWS Deadline Cloud(レンダーファームのセットアップ時間を数週間から数分に短縮)
- フルマネージドコンテナをサポートするGameLiftの改善
- クロスリージョンフェイルオーバー機能を備えたMedia Packageの強化
- 国際放送ショーで発表されたMedia Live Anywhereによるクラウドコントロールエンコーディング
これらの進化を通じて、AWSは業界のニーズに応え続け、メディア・エンターテインメント分野における技術革新をリードしてきたことが示されています。
2.2. 現在のサービス概要
Samiraは、AWSが現在提供している240以上のフルフィーチャーサービスについて、メディア・エンターテインメント、ゲーム、スポーツ顧客向けに特別に設計されたものを中心に説明しています。
「あらゆる想定されるワークロードに対応する240以上のフルフィーチャーサービスを提供しています。背後にあるスライドには、メディアエンターテインメント、ゲーム、スポーツのお客様のニーズに特化して設計されたサービスの全体像が示されています」とSamiraは説明します。
これらのサービスは、以下の主要カテゴリーに分類されます:
メディア処理サービスでは、AWS Elemental Media Servicesを中核として、放送品質のライブストリーミング、ビデオオンデマンド、コンテンツ保護などの機能を提供しています。「放送品質のチャンネルのエンコーディング、トランスコーディング、パッケージングをクラウドで実現できます」とSamiraは強調しています。
ゲーム開発サービスについては、AWS GameLiftを中心に、「世界で最も要求の厳しいゲームをホスティングするための特別設計されたゲームサーバー」を提供しています。最新のアップデートでは、完全マネージド型コンテナのサポートも追加されました。
コンテンツ配信サービスでは、Amazon CloudFrontをベースに、グローバルな配信ネットワークを構築しています。「クロスリージョンフェイルオーバー機能を備えたMedia Packageの強化により、より安定した配信が可能になりました」とSamiraは説明します。
AI/ML関連サービスについては、特にメディア業界向けの特化した機能を提供しています。例えば、Amazon Bedrock、SageMakerなどを活用した生成AI機能、メタデータ抽出、コンテンツ分析などが可能です。
「このポートフォリオは、お客様のニーズに応えて継続的に拡大しています。過去の実績を見れば、今後もさらに多くのサービスを提供していくことは間違いありません」とSamiraは結びました。
このように、AWSは業界特有の要件に応える包括的なサービススイートを提供し、継続的な進化を続けています。
2.3. 顧客成功事例
AWSのサービス群は、多くの革新的なプロジェクトを支援してきました。Samiraは、特に印象的な成功事例をいくつか共有しています。
ストリーミングプラットフォームの立ち上げについて、「Prime VideoのThursday Night Footballの初回ストリーミングから、Disney+、Peacock、Maxの立ち上げまで、私たちは顧客の最前線でサポートを提供してきました」とSamiraは説明します。これらのプラットフォームは、AWSのインフラストラクチャを活用することで、大規模な視聴者に対して安定したストリーミングサービスを提供することができました。
VFXレンダリングの分野では、特筆すべき実績があります。「『ロード・オブ・ザ・リング』や『アバター』といったブロックバスター作品で、何千ものVFXショットのレンダリングを実現しました」とSamiraは述べています。これらの作品は、AWSの高性能コンピューティングリソースを活用することで、複雑なビジュアルエフェクトの処理を効率的に行うことができました。
大規模配信イベントの成功例として、特に印象的な記録が報告されています。「Hotstarでのクリケットワールドカップでは、約6,000万人の同時視聴者数を記録しました」とSamiraは言及しています。さらに、「2024年のパリオリンピックでは、複数の国際顧客向けにコンテンツの制作と配信を行いました」と付け加えています。
これらの成功事例の集大成として、Samiraは以下の印象的な統計を共有しています:
- 「10億人以上の消費者がAWSサービスを通じてストリーミングコンテンツを受信しています」
- 「世界中で7億5,000万人のゲーマーが、毎月AWSで構築されたゲームをプレイしています」
「私たちは常にお客様のニーズを起点に考え、エンターテインメントの可能性の限界に挑戦し続けています」とSamiraは締めくくっています。「AWSは業界をただサポートするだけでなく、その未来を形作る役割を担っています」
これらの事例は、AWSのサービスが業界全体のデジタルトランスフォーメーションを加速させ、より豊かなエンターテインメント体験の創造に貢献していることを示しています。
3. 第1パネルディスカッション
3.1. Prime Video戦略
Prime VideoのAlbert Changenは、現代のストリーミング環境における消費者の課題から議論を始めています:
「私たちは消費者の現状について調査を行い、彼らが非常にストレスを感じていることを発見しました。なぜストレスを感じているのかというと、ストリーミングサービスが多すぎるからです。異なるサブスクリプション、価格、バンドル、そして多くの異なるアプリを管理しなければならない状況に直面しています」
この課題に対するPrime Videoの解決策として、単一アプリ戦略を採用しています:
「消費者が本当に望んでいるのは、一つのアプリですべてを管理できることです。これが私たちのロードマップとビジョンの一部となっています。すべての異なるタイプのコンテンツ、すべての異なるオファーを1つのエクスペリエンスに統合し、Prime会員だけでなく、非Prime会員にも非常にパーソナライズされた没入型の関連性の高い体験を提供することを目指しています」
グローバル展開について、Changenは以下のように説明します:
「ストリーミングは極めてグローバルなビジネスです。成功するためには、本当にグローバルに拡張可能なストリーミングサービスである必要があります。そのようなカテゴリーに入れるのは、YouTube、Netflix、そしてPrime Videoのような、ごく少数のサービスだけです」
さらに、ストリーミングサービスの進化について興味深い観察を共有しています:
「ストリーミングは、コンテンツを得る主要な方法になっていくでしょう。すでに放送やケーブルを超え、これからもその傾向は続きます。メディア企業はこの移行をどう進めるかを理解することが重要です」
特に従来型のコンテンツのストリーミング展開について、興味深い知見を示しています:
「以前は、従来のテレビ向けに作られた番組や高齢者向けの番組はストリーミングでは通用しないと考えていました。しかし実際には、従来のメディアからストリーミングに移行したフォーマットも同様に成功を収めています。プラットフォームの年齢層に合わせて視聴者を見つけることができるのです」
このように、Prime Videoは単なるストリーミングプラットフォームから、統合的なエンターテインメント体験を提供するプラットフォームへと進化を遂げていることが理解できます。
3.2. UTAの取り組み
UTAのLeslie Silvermanは、業界の大規模な変革期におけるタレントエージェンシーの役割について、具体的な取り組みを共有しています。
まず、クリエイターエコシステムの構築について、Leslieは次のように説明します: 「UTAはハリウッドを拠点とするグローバルな大手タレントエージェンシーとして、アスリート、クリエイティブな個人、アーティスト、そしてブランドを代表しています。私たちの仕事は、エンターテインメントとビジネスの意味のある接点を見出すことです」
新技術導入における教育的アプローチについて、特徴的な取り組みを紹介しています: 「生成AIツールの台頭に伴い、過去1年半にわたって非公開のシンポジウムを開催してきました。これは私たちのクライアントだけでなく、同僚やコミュニティのために、ギルドのパートナーを含む業界の有識者を招いて、今後の業界の変化について議論する場となっています」
パートナーシップ戦略については、具体的な成功事例を挙げています: 「最近発表されたAquafinaとMetaの提携は、その好例です。彼女の象徴的な声を活用したAI音声製品の展開にあたって、業界標準を確立するためにSAG(Screen Actors Guild)と緊密に連携しました」
UTAの革新的なアプローチについて、Leslieは次のように補足します: 「イノベーションはUTAのDNAの一部です。私は9年間会社に在籍していますが、YouTubeの立ち上げ時のデジタルコンテンツクリエイター、ポッドキャスト、デジタルアセットなど、新しいビジネスの立ち上げを見てきました」
さらに、業界動向の把握と対応について: 「業界をリードするIQ部門を通じて、データとセンチメントを統合し、将来の方向性を把握し、クライアントが次の波に備えられるようにしています」
このように、UTAは単なるタレントマネジメントを超えて、テクノロジーとエンターテインメントの融合を積極的に推進し、クリエイターとテクノロジー企業の橋渡し役として重要な役割を果たしていることが分かります。
3.3. ジェネレーティブAI活用
UTAのLeslie Silvermanは、ジェネレーティブAIの活用について、特に興味深い調査結果を共有しています:
「私たちのIQ部門が夏に実施した創造産業の調査によると、クリエイティブの4人に3人がジェネレーティブAIはコンテンツを向上させると考えており、70%のクリエイティブプロフェッショナルが既に何らかの形でAIを自身のワークフローに取り入れています」
具体的な実装事例として、MetaとAquafinaのパートナーシップが挙げられます。Leslieは次のように説明します: 「Aquafinaには象徴的な声があります。そのため、Metaが新しいAI音声製品を展開する際に、彼女の声を通信プラットフォーム全体で利用できるようにしたいと私たちに申し出てきました。一見、単純な承認契約のように見えますが、実際にはより複雑なものでした」
権利処理の新しいアプローチについて、特に注目すべき点を指摘しています: 「私たちはMetaに『これは素晴らしいアイデアです。Aquafinaも興味を持っています。でも、まずはSAG(Screen Actors Guild)と話し合いましょう』と提案しました。業界のギルドと緊密に連携しながら、クライアントが新しい技術から恩恵を受けられるよう、業界標準の確立に取り組んでいます」
創造的表現の可能性については、UTAが代表するクリエイターの具体的な事例を挙げています: 「私たちはShy Kidsを代表していますが、彼らは生成AIツールを使用して『Airhead』という映画を制作し、大きな話題を呼びました。また、Nick KloffとNative Foreignも代表していますが、彼らはToys R UsのCMOと密接に協力して、初のジェネレーティブAIブランドフィルムを制作しました」
このように、UTAは新技術の導入において、クリエイターの権利保護と創造的可能性の拡大を両立させる取り組みを進めていることが分かります。Leslieは「私たちの目の前でイノベーションが起きており、クライアントがツールを採用する様子を見ながら、これらの革新的な思考者たちの周りにビジネスとリソースを構築しています」と締めくくっています。
4. 新技術とイノベーション
4.1. ローカライゼーション技術
Samiraは、ローカライゼーション技術の重要性とその最新の進歩について、具体的なデモンストレーションを交えながら説明しています。
「ローカライゼーションは極めて重要です。なぜなら、一つの言語や地域で制作されたコンテンツを、世界中の新しい視聴者に届けることを可能にするからです」とSamiraは説明を始めます。
特に生成AIによる革新的な進展について、実際のデモンストレーションを通じて紹介されました。デモでは、Deep Dugoというツールを使用して、以下の機能が示されました:
- リップシンク技術の進歩: 「生成AIにより、同じ声を複数の言語で使用することが可能になりました。さらに、高度なダビング技術により、俳優の口の動きと唇の動きを翻訳された音声と完璧に同期させることができます」
- 多言語対応の自動化: デモでは、次のような機能が紹介されました:
- コンテンツのグロッシー(用語集)作成
- 正確な発音の確保
- テキストの変更とリップシンクの調整
- キャラクターへのアクセント付与
- パフォーマンスの細かな調整
- 品質管理プロセス: 「システムは制御された環境で正確なパフォーマンスを提供し、品質管理のためのツールも備えています」とSamiraは説明します。
この技術の重要性について、Samiraは「より小規模な映画や番組、つまり他の国からのコンテンツが、翻訳やダビングが可能になったことで世界的なヒットとなる可能性が開かれました。これは才能ある人々が世界中に存在することを示しています」と強調しています。
このように、ローカライゼーション技術は、単なる言語の変換を超えて、グローバルなコンテンツ配信を可能にする重要な役割を果たしていることが示されました。
4.2. メディアtoクラウド
Samiraはデモンストレーションを通じて、AWS Media to Cloudの機能と実践的な活用方法を紹介しています。この技術は、Anthropicのクラウドモデルを活用してデジタルアセットのクラウド移行を容易にする画期的なソリューションです。
メタデータ抽出機能について、具体的なデモで示されました: 「Amazon Qを使用して自然言語でコンテンツを検索できます。この例では、Prime Videoのアーカイブからファッション関連のビデオコンテンツを検索しています」とSamiraは説明します。
AI/ML活用による効率化について、以下の具体的な機能が紹介されました: 「Media to Cloudは、AI/MLを活用してコンテンツの視覚要素と音声要素からメタデータを抽出します。Amazon BeddrockとAnthropic Claude経由でさらに豊富な情報が提供され、シーンレベルやカメラショットレベルでのIABタクソノミー、ブランド、ロゴ、センチメント、要約などのメタデータタグ付けが行われます」
実務での活用方法として、特に広告配置に関する革新的な機能が示されました: 「オペレーターが情報をログに記録するには何時間もかかる作業が、わずか数分で完了します。また、自動広告ブレーク検出機能により、ビデオ内で最も自然な広告配置ポイントを特定できます。これはショットの変更とビデオのコンテキストに基づいて数秒で生成され、従来のように動画全体を視聴して手動で配置を決める必要がありません」
さらに、各広告ブレークに関連するメタデータについて: 「広告ブレークをクリックすると、Media to Cloudが既に抽出した関連メタデータが表示されます。これには要約、既存のブランド検出、センチメントスコア、コンテンツトピック、そして広告主向けのコンテンツの適合性を理解するためのGARMやIABタクソノミーが含まれます」
このように、AWS Media to Cloudは、コンテンツ管理と収益化の両面で、従来の手作業による処理を大幅に効率化し、より精度の高い分析と活用を可能にしていることが示されました。
4.3. Formula 1事例
Formula 1でのAWS Media to Cloudの活用について、Samiraは具体的な実装事例を共有しています。
「Formula 1は、AWS Media to Cloudソリューションを活用して、4ペタバイトを超える歴史的な映像素材をAmazon S3に取り込むと同時に、将来のレースからのライブ映像を取り込むためのインフラストラクチャも構築しました」とSamiraは説明を始めます。
アーカイブ管理の具体的手法について、特筆すべき実績が報告されています: 「15万時間を超えるコンテンツが、数十年分のアーカイブとしてメタデータとともに管理されています。これにより、Formula 1の豊富なコンテンツ資産を効果的に活用することが可能になりました」
ライブ映像の取り込み基盤については、将来を見据えた設計が特徴です: 「過去のコンテンツだけでなく、これから行われるレースからのライブ映像を即座に取り込み、処理できる基盤を整備しています。これにより、最新のレース映像も歴史的なアーカイブと同様に効率的に管理・活用できるようになっています」
メタデータタグ付けの自動化については、AI/MLの活用が重要な役割を果たしています: 「メタデータの拡充と検索機能の強化により、制作チームは必要なフッテージに瞬時にアクセスできるようになりました。これは、過去の映像を活用した番組制作や、ライブ放送中の過去の映像の即座の引用などを可能にしています」
この事例は、AWS Media to Cloudが大規模なスポーツコンテンツのアーカイブ管理とライブコンテンツの統合的な管理を実現できることを示しています。Samiraは「このパートナーシップは、AWSがお客様と密接に協力して、業界横断的なソリューションを生み出せることを示す好例です」と締めくくっています。
5. NFLとの協業
5.1. NFLのNextGenStats
NFLとAWSの協業について、Samiraは特に注目すべき事例としてNextGenStatsの活用を紹介しています。
データベース検索の効率化について、次のような革新的な取り組みが報告されています: 「NFLの制作チームは、AWSのテクノロジーを活用して、重要な映像を素早く特定できるようになりました。これにより、何時間もかかっていた映像検索作業が数秒で完了できるようになっています」
自然言語クエリの実装については、特筆すべき進展が見られます: 「制作チームは自然言語を使ってNextGenStatsデータベースを検索し、特定のプレイを瞬時に見つけ出すことができます。例えば、『第4クォーターの逆転タッチダウン』といった自然な表現での検索が可能です」とSamiraは説明します。
具体的な利用シーンとして、以下のような活用例が示されました:
- ライブ放送中の即時プレイ分析
- 試合前の戦術分析資料の作成
- ハイライト映像の迅速な編集
さらに、このシステムの基盤となるデータ処理について、「NFLは毎シーズン5億ポイント以上のデータをAWSサービスで処理しています。これが、AIによる成果を生み出すための堅固な基盤となっています」とSamiraは強調しています。
このように、NFLとAWSの協業は、スポーツメディアとテクノロジーの融合による新しい可能性を示す先進的な事例となっています。特に、NextGenStatsの活用は、データドリブンなコンテンツ制作の未来を示唆するものとして注目されています。
5.2. コンテンツ修復・保存
NFLとの協業における重要な取り組みの一つとして、Samiraは歴史的なコンテンツの修復と保存について説明しています。
「NFLと協力して、ジェネレーティブAIを活用し、歴史的なコンテンツの修復と修繕を行っています。これは、リーグの豊かな視覚的歴史を保存するための重要な取り組みです」とSamiraは述べています。
AI活用による修復技術については、以下のような具体的な適用事例が示されました:
- 古いフィルムの劣化部分の修復
- 画質の向上
- フレームレートの最適化
- カラー映像の復元
アーカイブの価値向上について、Samiraは次のように説明します: 「修復されたコンテンツは、単なる保存を超えて、新しいコンテンツ制作の貴重な素材となっています。例えば、歴史的な試合のハイライトを現代の放送で使用したり、記念イベントでの展示に活用したりすることが可能になっています」
保存方法の最適化については、AWS上での統合的なアプローチが採用されています: 「修復されたコンテンツは、最新のデジタル形式で保存され、必要に応じて即座にアクセス可能な状態で管理されています。これにより、NFLの貴重な歴史的資産を効率的に活用することが可能になっています」
このように、AIを活用したコンテンツ修復・保存の取り組みは、単なるアーカイブの維持管理を超えて、コンテンツの価値向上と活用の可能性を広げる重要な役割を果たしていることが示されています。
5.3. Amazon Q活用
NFLとの協業における重要な技術革新として、Samiraは Amazon Q(AWSのAIパワードアシスタント)の活用について説明しています。
実務での具体的な活用例として、NFLのオペレーション全般にわたる支援が挙げられています: 「NFLは、Amazon Qを各種業務領域に展開して、即座に効率化を実現しています。特に、コンテンツ管理、データ分析、放送制作の分野で顕著な成果が表れています」とSamiraは説明します。
効率化されたオペレーションについて、特に以下の点で改善が見られています:
- コンテンツ検索の高速化
- 自然言語による複雑なクエリの処理
- リアルタイムでの情報アクセス
- ワークフローの自動化
これらの改善により、「制作チームは創造的な作業により多くの時間を費やすことができるようになりました」とSamiraは強調しています。
今後の展開計画については、主に以下の3つの方向性が示されています:
- AIモデルの継続的な改善
- 新しいユースケースの開発
- より深い業務統合
「このように、Amazon Qの活用は、NFLの業務効率化だけでなく、より良いコンテンツ制作とファンエクスペリエンスの向上にも貢献しています」とSamiraは締めくくっています。
このAmazon Qの導入事例は、スポーツビジネスにおけるAI活用の可能性を示す重要なマイルストーンとなっています。
6. AWSクリーンルーム
6.1. AWSクリーンルームのマルチクラウド対応
Samiraは、AWSクリーンルームの新機能として、マルチクラウド対応の発表を行いました。
「従来型の識別子が廃れつつある中、ユーザー認証なしでオーディエンスの360度ビューを得ることがこれまで以上に重要になっています」とSamiraは説明を始めています。「しかし、規模でインサイトを得るには、お客様は多くの場合、価値のあるインサイトを含むパートナーのデータセットと協力する必要がありました」
この課題に対応するため、2年前にAWSクリーンルームが導入され、その新機能としてマルチクラウド対応が発表されました: 「本日、AWSクリーンルームがマルチプルデータソースとクラウドをサポートすることを発表できることを嬉しく思います」
Snowflakeとの連携について、具体的な特徴が示されました:
- データのETL(抽出・変換・ロード)が不要
- AWSにデータを保存する必要がない
- クリーンルーム分析後のインサイトは自動的に削除
ユースケースとして、メディア企業の実践例が紹介されています: 「もしあなたがメディア企業で、広告キャンペーンのインサイトや結果をパートナーや測定会社から必要とし、そのデータセットがAWS上にない場合でも、今後は安全に協力することができます」
このように、AWSクリーンルームのマルチクラウド対応は、特にデータコラボレーションの新しい可能性を開くものとして位置づけられています。Samiraは「これは始まりに過ぎません。今後さらなる拡張が予定されています」と締めくくっています。
6.2. ゼロETL
AWSクリーンルームの新機能として発表されたゼロETLについて、Samiraは以下のように詳細を説明しています。
データ連携の仕組みについて、従来のETL(抽出・変換・ロード)プロセスと比較しながら説明がありました: 「このソリューションでは、データをAWSに移動したり、コピーしたり、共有したりする必要がありません。これにより、従来のETLプロセスで必要だった複雑な手順や時間を完全に省略することができます」
セキュリティ確保の方法については、特に重要な特徴が強調されました: 「クリーンルーム分析中に得られたインサイトは、クエリが完了すると自動的に削除されます。これにより、データのセキュリティとプライバシーを最大限に確保することができます」とSamiraは説明します。
運用上の利点として、以下の点が挙げられています:
- データ移動に伴うコストと時間の削減
- リアルタイムでの分析が可能
- 異なるクラウド環境間でのシームレスな連携
- 運用管理の簡素化
特にメディア企業にとっての具体的なメリットについて、Samiraは次のように説明しています: 「これにより、メディア企業は広告キャンペーンのインサイトや結果を、パートナーのデータがAWS上にない場合でも、安全かつ効率的に取得することができます。データの移動や変換に時間を費やすことなく、すぐに分析を開始できます」
このゼロETL機能は、AWSクリーンルームの重要な差別化要因として位置づけられており、今後のデータコラボレーションの新しい標準となることが期待されています。
6.3. 広告分析
AWSクリーンルームを活用した広告分析について、Samiraは具体的なユースケースを示しながら説明を行っています。
「メディア企業が広告キャンペーンのインサイトや結果をパートナーや測定会社から必要とする場合、そのデータセットがAWS上にないケースでも、安全に協力することができます」とSamiraは説明を始めています。
具体的な分析手法について、以下の機能が紹介されました:
- 複数のデータソースの統合分析
- チャネル横断的な視聴者行動の把握
- 機械学習モデルを活用したルックアライクセグメントの作成
- メディアプランニングとパフォーマンスの最適化
プライバシー保護の仕組みについては、特に重要な特徴が強調されています: 「データのコピーや共有を行うことなく、安全な環境で分析を実行できます。クエリ完了後はインサイトが自動的に削除されるため、データのプライバシーが確実に保護されます」
ROI最適化について、Samiraは以下のような具体的なメリットを挙げています:
- より多くのメディアにまたがるインサイトの獲得
- 顧客レコードのマッチングと拡充
- 統合的なオーディエンス像の構築
- パートナーとのデータコラボレーションによる効果測定の精度向上
「これは始まりに過ぎません」とSamiraは強調し、「今後さらなる拡張が予定されています」と締めくくっています。このように、AWSクリーンルームは広告分析の新しい可能性を開くプラットフォームとして位置づけられています。
7. 第2パネルディスカッション
7.1. ネットワークインフラ
第2パネルディスカッションでは、ComcastのFrasierが大規模イベントでのネットワークインフラ対応について、具体的な実績と知見を共有しています。
大規模イベント対応の実績について、特に印象的な例が示されました: 「今年初めのWild Cardイベントの夜、北米のインターネットトラフィックの30%がそのイベントによるものでした」とFrasierは説明します。「しかし同時に、残りの70%のインターネットは通常通り機能していたことも重要な点です」
トラフィック管理の方法について、Frasierは3つの重要な要素を強調しています:
- 入念な準備:「準備、準備、そして準備です。どんなテクノロジーも、準備を超えることはできません」
- パートナーシップ:「結局のところ、一つの企業や一つのチームだけでは実現できません。CDNプロバイダーを含む、すべてのパートナーとの協力が不可欠です」
- 変化への対応:「私の祖父がよく言っていたように、人生で唯一確実なのは変化だけです。アーキテクチャはその変化に対応できるように準備されていなければなりません」
今後の課題については、具体的な事例を挙げながら説明がありました: 「先週末だけでも、Call of Duty、Fortnite、そしてThursday Night Footballと、インターネットの大きな負荷が予想されるイベントが重なりました。このような予期せぬ状況にも対応できる準備が必要です」
さらに、Comcastのグローバルな展開について補足があり、「北米のComcast、ヨーロッパのSky、そして活発なシンジケーションビジネスを通じて、カナダ、オーストラリアなど世界中で製品とサービスを提供しています」と説明しています。特に、北米では2,300万のWi-Fiホットスポットを展開し、北米最大のWi-Fiネットワークを構築していることが強調されました。
このように、大規模イベントのネットワークインフラ対応には、技術的な準備だけでなく、パートナーシップと柔軟な対応能力が重要であることが示されています。
7.2. データ戦略
FanDuelのG Katkarは、データ戦略に関する具体的なアプローチについて説明しています。
セグメンテーション手法について、G Katkarは次のように述べています: 「FanDuelでは、顧客が様々なスポーツに対して異なる方法でベットを行い、それぞれが独自の方法でサービスと関わっています。各顧客グループの動機を理解することが重要です。セグメンテーションは、お客様に最高の体験を提供し、必要な場所に到達するための最適な方法を考える上で重要な役割を果たしています」
データ活用の優先順位付けについて、興味深い観察が共有されました: 「私が驚いたのは、メディア企業やeコマース企業で使用されているツールや技術が、この業界でも同様に転用可能だということです。私たちはこれらのツールを活用して、より良い顧客体験の創出に努めています」
プライバシー配慮については、データインフラストラクチャの設計段階からの考慮が強調されています: 「データ空間では、複雑なインフラストラクチャや複雑なデータの見方を構築することは簡単です。しかし、一歩下がって、データの流れやプロセスを本当に理解し、データインフラストラクチャをシンプルに保つことが重要です。これにより、より効率的で透明性の高い運用が可能になります」
このように、FanDuelのデータ戦略は、顧客理解の深化とプライバシーへの配慮のバランスを取りながら、効率的なデータ活用を実現することに焦点を当てていることが分かります。特に、既存の成功事例から学びつつ、業界特有のニーズに適応させていく柔軟なアプローチが特徴的です。
7.3. スポーツ視聴体験
ComcastのFrasierは、スポーツ視聴体験の革新について、具体的な実装例を交えながら説明しています。
パーソナライゼーションの実装について、Frasierは興味深い観察を共有しています: 「スポーツファンという単一の概念は存在しません。スポーツに深く没入し、結果に一喜一憂するファンがいる一方で、単に他の人々に取り残されたくないという理由で関わっているファンもいます。オリンピックはその典型的な例です」
視聴者エンゲージメント向上策について、Sky Sports Plusの事例が紹介されました: 「英国でSky Sports Plusを立ち上げ、EFLの試合を含む何千時間もの追加スポーツコンテンツを革新的な方法で提供しています。視聴者は自分のペースで、自分の好みに合わせてコンテンツを楽しむことができます」
技術的な実現方法については、特に以下の革新的な機能が紹介されました:
- ボクシングファン向けのインタラクティブな採点システム
- Sky Liveを通じた友人や家族とのライブ視聴体験の共有
- PGAトーナメントでの17番ホールでのショット予測機能
Frasierは、エンターテインメント性の重要性を強調しています: 「人々は楽しさを求めて集まり、実用性からは逃げ出します。ゲーミフィケーションという言葉は使いたくありませんが、重要なのは楽しさです。コアの視聴体験を損なうことなく、その『トップスピン』として楽しさを付加することが重要です」
このように、Comcastはテクノロジーをスポーツ視聴体験の向上に活用しながら、エンターテインメント性と実用性のバランスを慎重に取っていることが分かります。
8. 業界の未来展望
8.1. ゲーミフィケーション
ComcastのFrasierは、従来の「ゲーミフィケーション」という用語を超えた、より本質的なエンターテインメント体験の融合について論じています。
「ゲーミフィケーションという言葉は使いたくありません。本質的に重要なのは『楽しさ』なのです」とFrasierは述べ、さらに続けます:「私たちはお客様に毎日製品を使っていただきたいと考えています。人々は楽しさに向かって走り、実用性からは逃げ出します」
エンターテインメントとの融合事例として、特に印象的な実装が紹介されています:
- ボクシング中継での視聴者参加型採点システム
- Sky Liveを通じた友人や家族との共有視聴体験
- PGAゴルフでの17番グリーンでのショット予測ゲーム
実装上の課題について、Frasierは重要な指摘をしています: 「これらの機能は、コアとなる視聴体験を妨げてはいけません。むしろ、その体験に付加価値を与える『トップスピン』として機能する必要があります」
特に興味深い成功事例として、世代間をまたぐコンテンツの融合が紹介されました: 「先週末、11歳の息子ジョージと一緒にFortniteのイベントを見ました。スヌープ・ドッグとエミネムが登場するのを見て、世代を超えた共有体験が生まれています。これは素晴らしいエンターテインメントであり、実際に私も楽しみました」
このように、現代のエンターテインメントは、従来の「ゲーミフィケーション」という概念を超えて、より自然な形でインタラクティブ要素を組み込み、世代を超えた新しい体験を創造していることが示されています。
8.2. ジェネレーティブAI
ジェネレーティブAIの活用について、Frasierは技術的な効率性を超えた創造性の観点から議論を展開しています。
クリエイティブ領域での活用について、Frasierは斬新な見解を示しています: 「創造性に対する独占的なライセンスは誰も持っていません。ジェネレーティブAIへの注目は効率性や効果の向上に集中しがちですが、私は創造性の世界での爆発的な活用に注目しています」
具体的な活用例として、通常の映像からデータへの変換とその創造的な再利用が紹介されました: 「例えば、通常の映像をデータに変換し、そのデータをゲームエンジンで再利用することで、エリック・ハーランドのパスの素晴らしさを、彼の視点から見ることができます。データがあれば、パスがどれほど巧みだったかを視覚的に示すことができます」
効率化領域での活用については、G Katkarが補足的な視点を提供しています: 「新しいツールによって、より詳細なデータの分析が可能になり、より良い体験を生み出すための信号を作り出すことができます。ジェネレーティブAIは、その過程を開始したばかりです」
倫理的な考慮事項について、UTAのLeslie Silvermanの事例が参考になります。先に紹介されたAquafinaとMetaの協働では、SAG(Screen Actors Guild)との緊密な連携のもと、アーティストの権利保護と技術革新のバランスを取る取り組みが行われました。
このように、ジェネレーティブAIは単なる効率化ツールを超えて、新しい創造的表現の可能性を開くものとして位置づけられています。ただし、その活用には適切な権利管理と倫理的配慮が不可欠であることが、業界のコンセンサスとなっています。
8.3. 人材育成
Samiraは、次世代のビルダーとデベロッパーの育成に向けたAWSの包括的な取り組みについて説明しています:
「私たちは業界のあらゆる側面に投資する必要があります。AWSは900以上のパートナーと連携し、メディアエンターテインメント、ゲーム、スポーツ組織が日々必要とするすべてのツールとサービスを提供しています」
無料デジタルトレーニングについて、具体的な取り組みが紹介されました: 「基礎的な知識に焦点を当てた無料のデジタルトレーニングプログラムを立ち上げました。これは、Direct-to-Consumerとブロードキャストの進化、そしてコンテンツ制作全般に関心を持つお客様を対象としています」
業界団体との連携については、幅広いパートナーシップが強調されています:
- WICKネットワーク
- Female Quotientの台頭
- Women in Games
- America on Tech これらの組織との協力を通じて、次世代により多くの機会を提供することを目指しています。
さらに、業界標準の発展に向けた取り組みも紹介されました: 「Movie Labs、動画映像技術者協会(SMPTE)、C2PAを含む、十数の業界コンソーシアムや標準化団体をサポートしています」
このように、AWSは技術的なインフラストラクチャの提供だけでなく、業界全体の持続可能な発展を支える人材育成にも注力していることが示されています。特に、多様性と包括性を重視したアプローチは、次世代のエンターテインメント産業の発展に不可欠な要素として位置づけられています。
9. まとめと実践的リソース
9.1. デモ紹介
Samiraはセッションの締めくくりとして、参加者が実際に体験できるデモンストレーションについて案内しています:
「本日紹介した多くのユースケースは、Venetian Expo Hallの AWS Industries Pavilionで実際に体験していただくことができます」とSamiraは説明を始めます。
展示内容の詳細について、特に注目すべき展示が紹介されました: 「ライブクラウドプロダクションコントロールルームのデモンストレーションを用意しています。これは、本日お話したクラウドベースの制作ワークフローを実際に体験いただける機会です」
さらに、より創造的な体験も用意されています: 「AIエイリアンが皆様の似顔絵を描くという、ユニークな体験も提供しています。これは生成AIの創造的な活用の一例として、実際に体験していただけます」
場所と時間の案内については、2つの主要な展示会場が示されました:
- Venetian Expo HallのAWS Industries Pavilion
- ライブクラウドプロダクションコントロールルーム
- AIエイリアンの似顔絵デモ
- その他の技術デモンストレーション
- Caesars Forumのスポーツフォーラム
- 様々なスポーツリーグの展示
- 本日議論された技術の実際の活用例
- ライブデモンストレーション
「これらの展示を通じて、本日のセッションで紹介した技術やソリューションを、より具体的に理解していただけることを期待しています」とSamiraは締めくくっています。
9.2. Sports Forum
Samiraは、Caesars ForumのSports Forumについて、特別な注目を促しています: 「Caesars Forumで開催されるSports Forumでは、本日お話したスポーツリーグの多くが実際にデモを展開しています」
参加リーグについて、本セッションで紹介された主要なパートナーが出展していることが強調されました:
- Formula 1
- NFL
- PGAツアー
- Bundesliga これらのリーグが、それぞれのテクノロジー活用事例を実演しています。
展示内容については、本セッションの主要トピックとの関連性が示されています: 「本日議論した技術革新、特にNextGenStatsやリアルタイムデータ分析、ファンエンゲージメントの取り組みを、実際のユースケースとして体験していただけます」とSamiraは説明します。
ネットワーキングの機会については、業界のキープレイヤーとの交流の場としての価値が強調されました: 「Sports Forumは単なる展示会ではありません。スポーツとテクノロジーの融合に関心を持つ方々が集まり、アイデアを共有し、新しいコラボレーションの可能性を探る場となっています」
このように、Sports Forumは本セッションで紹介された概念や技術を実際に体験し、業界関係者との交流を深める貴重な機会として位置づけられています。
9.3. リソースアクセス
セッションの最後に、Samiraは2024年を通じて展開される様々なリソースへのアクセス方法を紹介しています。
「2024年を通じて、様々な業界イベントで新しいガイダンス、ネットワーク図、デモを公開してきました。これらのQRコードを通じて、本日お話した多くのユースケースに直接アクセスいただけます」とSamiraは説明を始めます。
QRコードの使用方法については、2つの主要なアクセスポイントが示されました:
- メディア・エンターテインメント・ゲームトラックのカタログへのアクセス
- 本日のセッションで紹介された顧客事例の詳細情報
- 技術的なディスカッションの詳細な資料
- より深い議論の展開
- 個別のユースケース資料へのアクセス
- ライブデモンストレーションの補足資料
- 技術仕様書
- 実装ガイドライン
フォローアップ方法について、Samiraは次のように締めくくっています: 「これらの資料は、皆様が組織でこれらの技術を展開する際の実践的なガイドとなるよう設計されています。QRコードを通じて必要な情報に即座にアクセスいただけます。さらに詳しい情報が必要な場合は、各資料に記載されている連絡先を通じて、専門チームに直接お問い合わせいただけます」
このように、セッション後のリソースアクセスは、参加者が実際の実装に移行する際のシームレスな支援を提供することを目的として設計されています。