この記事はテレビ東京のテレ東BIZの『政治改革に関する与野党協議 初会合【ノーカット】』を元に作成しています。内容は発言者の見解を正確に反映するよう努めていますが、要約や解釈による誤りがある可能性もございます。正確には出典元の動画をご参照ください。もし問題のある記述を見つけた場合には、お問い合わせからご連絡いただけると非常に助かります。
エグゼクティブサマリー
2024年11月26日、政治改革をめぐる与野党7党による初めての協議会が開催されました。自由民主党の呼びかけにより実現したこの会合は、立憲民主党からの要請を受け、例外的に全面公開形式で実施されました。
主要な合意点
- 政策活動費の廃止の必要性について全党が認識を共有
- 第三者機関の設置による監督強化の重要性を確認
- 年内の法改正実現を目指す方向性で一致
主な争点
- 政策活動費廃止の方法
- 完全廃止か一部例外を認めるか
- プライバシーへの配慮の程度
- 第三者機関の位置づけ
- 設置場所(国会内、三条委員会、独立機関)
- 権限の範囲と強さ
- 企業・団体献金の規制
- 規制範囲と方法
- 政治団体を通じた献金の取り扱い
今後の進め方
- 28日からの国会で政治改革特別委員会を設置
- 実務者レベルでの具体的な制度設計の協議
- オープンな形式での与野党協議の継続
各党は政治への信頼回復という共通の目標に向けて、具体的な制度設計と実務的な調整を進めていくことを確認しました。特に政策活動費の廃止と第三者機関の設置について、年内の法改正実現を目指して議論を加速させることで合意しています。
政党 | 政策活動費 | 第三者機関 | 企業・団体献金 | 実施時期 | その他の重要主張 |
自民党 | ・廃止を決定
・プライバシー配慮と公表方法に工夫必要 | ・国会内に設置
・国会事故調をモデル | ・外国人・外国法人による政治資金パーティーの対価支払い禁止 | ・熟議の必要性を強調 | ・政党交付金の一部停止制度
・収支報告書のオンラインDB化 |
公明党 | ・使用経験なし
・シンプルな法律上の廃止 | ・三条委員会として設置
・罰則付き立入調査権限
・相談機能付与 | ・政治がゆがめられることへの懸念
・専門家の意見聴取必要 | 明確な言及なし | ・歳費法の見直し
・旧文通費改革の優先 |
立憲民主党 | ・きちんとした廃止
・議員個人への寄附禁止 | ・第三者機関設置
(詳細な言及なし) | ・禁止法案の提出
・個人献金の促進 | ・年内の決着 | ・連座制の明定
・政治家本人の責任強化 |
日本維新の会 | ・例外なき完全廃止
・抜け道のない制度設計 | ・詳細は別途検討を提案 | ・党として10年以上受け取り拒否
・テーブルに議論を乗せるべき | ・年内決着を強く要求 | ・各論を分離して議論
・期限を区切った合意形成 |
国民民主党 | 言及あるも詳細不明 | ・国会下の独立機関
・包括的な権限付与
・年度内設置 | ・政治団体の扱いを含めた包括的議論必要 | ・年内の再改正
・年度内の機関設置 | ・入りと出のガラス張り化
・政党のガバナンス強化 |
共産党 | ・廃止 | ・政治改革特別委員会での議論重視 | ・パーティー収入含む全面禁止
・選挙権のない企業の影響力排除 | ・国会での十分な審議時間確保 | ・裏金問題の全容解明
・政党助成法廃止 |
れいわ新選組 | ・廃止 | ・FCCをモデルとした強力な権限
・検挙権限付与 | ・パーティー券含めた禁止 | 明確な言及なし | ・供託金引下げ
・野党への政策立案支援 |
※空欄や「明確な言及なし」は、トランスクリプト内で明確な発言が確認できなかった項目です。
この表は各党の主張の主要なポイントを簡潔にまとめたものです。実際の議論ではより詳細な条件や留意事項が示されています。
1. 会議の概要
2024年11月26日、自由民主党の呼びかけにより、政治改革に関する与野党協議の初会合が開催されました。この会合は、政治改革における重要課題について与野党間の認識共有と議論を深めることを目的として設定されました。
開催日時・場所
- 日時:2024年11月26日
参加政党・出席者
以下の7党から、各党の政治改革担当責任者が出席しました:
与党:
- 自由民主党:渡海紀三朗 政治改革本部長
- 公明党:西田実仁 政治改革本部長
野党:
- 立憲民主党:大串博志 政治改革本部長
- 日本維新の会:藤田文武 幹事長
- 国民民主党:古川元久 政治改革推進本部長
- 共産党:塩川鉄也 政治改革担当
- れいわ新選組:高井たかし 幹事長
会議の目的と形式
本会合は、以下のような特徴と目的を持って開催されました:
- 開かれた議論の場の設定
- 通常このような協議会では冒頭の撮影のみが公開されますが、立憲民主党からの強い要請により、例外的に全面公開形式で開催されることとなりました。
- 議事録を残し、国民に開かれた形で議論を進めることが重視されました。
- 議論の進め方
- 各党がそれぞれの現状認識や考え方を共有し、相互理解を深めることが主眼とされました。
- 特定の結論を出すことを目的とせず、共通認識の形成と論点整理に重点が置かれました。
- 基本的な姿勢
- 渡海本部長は冒頭で、政治改革を「我が国の民主主義を支えるインフラ」と位置づけ、政党間での率直な意見交換の重要性を強調しました。
- 多様な意見の共有と相互理解の深化が重視され、一方的な発信ではなく、双方向のコミュニケーションを重視する姿勢が示されました。
- 今後の展望
- この協議会は、28日から始まる国会での特別委員会における議論に向けた準備的な位置づけとされました。
- 各党の立場や考え方を尊重しながら、建設的な議論を進めていく方針が確認されました。
この会合は、政治改革という重要課題に対して、与野党が共に認識を深め、実効性のある改革案を模索するための第一歩として位置づけられました。特に、開かれた形式での開催という点で、政治の透明性向上への意思が示された会合となりました。
2. 主要議題
本会合では、政治資金規正法の再改正を中心に、以下の主要な改革課題について議論が行われました。
政策活動費の廃止
政策活動費の廃止は、全党が必要性を認識する最重要課題として位置づけられました。特に、渡し切りの支出で領収書が不要とされ、使途が不透明な現行制度の問題点が指摘されました。ただし、廃止の方法については、完全廃止を主張する意見と、一部の機密性を要する活動への配慮を求める意見に分かれました。
第三者機関の設置
政治資金の管理・監督を行う第三者機関の設置について、その必要性は広く認識されましたが、具体的な制度設計において以下の論点が提起されました:
- 設置場所(国会の下か、行政機関として設置か)
- 権限の範囲(監査権限、調査権限、制裁権限等)
- 組織構成と独立性の確保方法
企業・団体献金の規制
企業・団体献金の規制については、以下の観点から議論が展開されました:
- 完全禁止の是非
- 政治資金パーティーを通じた献金の取り扱い
- 政治団体を通じた寄付の規制方法
- 外国人・外国法人からの献金規制
政党交付金の見直し
政党交付金制度については、以下の改革案が提示されました:
- 不正事案発生時の交付停止・返還制度の創設
- 配分方法の見直し(特に小規模政党への配慮)
- 使途の透明性確保
その他の改革案
その他の主要な改革案として、以下が提起されました:
- 収支報告書のデータベース化とオンライン公開
- 政治家本人の責任強化(連座制の導入等)
- 供託金制度の見直し
- 旧文通費の改革
- 選挙制度全般の見直し
これらの議題は相互に関連しており、特に政策活動費の廃止と第三者機関の設置については、年内の法改正を目指して優先的に議論を進めることが確認されました。また、各改革案の実効性を確保するため、具体的な制度設計と実施時期についても検討が必要とされました。
3. 与党の改革案
3.1 自由民主党の改革案と主張
自由民主党は、政治改革本部でワーキンググループと全議員参加の協議会で議論を進め、6つの重点項目について改革案を提示しました。
政策活動費廃止の基本方針
自由民主党は、前国会での議論と有権者の選択を踏まえ、政策活動費の廃止を明確に決定しました。具体的には:
- 議員に対する渡し切りの支出を廃止
- 領収書不要の支出を廃止
- 使途が不明確な支出を廃止
ただし、政治資金収支報告書における組織活動費や調査研究費については、プライバシーへの配慮や対外活動の必要性から、公表方法に工夫が必要との見解を示しています。
第三者機関設置の具体案
自由民主党は、第三者機関について3つの設置案を検討しました:
- 国会内に設置
- 三条機関として設置
- 現行の政治資金管理委員会の改組
検討の結果、国会内に設置する案を推進する方針を示しました。具体的なモデルとして、東日本大震災後の原子力発電所事故調査委員会(国会事故調)を参考にすることを提案しています。
政党交付金制度の見直し
政治資金や選挙に関する犯罪で起訴された場合の対応として:
- 該当する政党への交付金の一部停止
- 交付金の返還制度の導入
ただし、政党の合併・分割などに対応する法的整理には、さらなる技術的検討が必要との認識を示しています。
外国人・外国法人規制案
政治資金パーティーの対価支払いについて:
- 外国人・外国法人による支払いの禁止
- 実効性確保のための方策を検討中
- 間接的な支払いへの対応など技術的課題の存在を指摘
収支報告書のデータベース化
以下の方針を示しました:
- 政党本部、国会議員、関係団体からのオンライン提出
- 検索可能なデータベースの整備
- 個人の寄附者やパーティー対価支払者の情報は、プライバシー配慮から対象外
その他の改革提案
選挙区支部への寄附に関する改革として:
- 公職候補者が代表を務める選挙区支部への寄附について、税制優遇措置の適用除外を決定
- 自らが代表を務める選挙区支部への寄附控除特例の適用除外
自由民主党の改革案は、政策活動費の廃止を明確に打ち出しつつ、実務的な観点からの配慮事項も含む包括的なものとなっています。特に第三者機関の設置や政党交付金制度の見直しについては、具体的な制度設計の提案を行っていますが、一部技術的な課題について継続検討が必要との立場を示しています。
3.2 公明党の改革案と主張
公明党は11月15日に政治資金規正法の再改正および第三者機関設置法に関する要綱を公表し、具体的な改革案を示しました。
政策活動費の完全廃止案
公明党は政策活動費について明確な立場を示しています:
- 政策活動費を使用した経験がないため、その必要性や機微に触れる使途について具体的な想定が困難
- シンプルに法律上の完全廃止を主張
- 政策活動費に関する附則第14条の削除を提案
三条委員会としての第三者機関案
公明党は、第三者機関として三条委員会の「政治資金監督委員会」の設置を提案しました。その理由と具体案は以下の通りです:
設置形態の理由:
- 罰則付きの立ち入り調査権限の必要性
- 国会に設置した場合の国政調査権の制約回避
具体的な権限:
- 国会議員関係政治団体の収支報告書の監査
- 不記載や虚偽記入の疑いがある場合の調査権限
- 資料提出要求、質問、立入調査の実施権限
- 訂正命令と公表権限
付加機能:
- 政治資金に関する相談機能
- 政策提言機能の付与を検討中
政治資金適正化委員会の改組提案
現行の政治資金適正化委員会を改組し、より強力な権限を持つ組織として再構築することを提案:
- 5名の委員による合議制
- デジタル化の進展に応じた対象範囲の拡大
- 国庫納付制度の導入
企業・団体献金への見解
企業・団体献金については、慎重な検討が必要との立場を示しています:
- 政治がゆがめられることへの強い懸念
- 憲法上の判断や司法判断の存在を考慮
- 学説における肯定説、否定説の両論を踏まえた検討の必要性
- 専門家の意見聴取の重要性を指摘
その他の改革提案
歳費法の見直しについても提案を行っています:
- 勾留された議員への歳費等支給停止
- 当選無効となった議員の歳費等返納義務
- 特に旧文通費改革の優先的な実施を主張
公明党の改革案は、特に第三者機関の設置について具体的な制度設計を示し、実効性のある監督体制の構築を重視する内容となっています。また、政策活動費については使用経験がないことを明確にした上で、シンプルな完全廃止を主張している点が特徴的です。
4. 野党の改革案
4.1 立憲民主党の改革案と主張
立憲民主党は「本気の政治改革の実現」をスローガンに掲げ、政治資金規正法の再改正を中心とした包括的な改革案を提示しました。
政治家本人の責任強化案
政治家本人の責任強化について、以下の具体案を示しました:
- 連座制の明確な法制化
- その他団体方式の規制強化(抜け穴となる公開基準の引き下げ防止)
- 登録政治資金監査人による監査対象を収支全般に拡大
企業・団体献金禁止法案
企業・団体献金の全面的な禁止を提案:
- 企業・団体による政治活動に関する寄附の禁止
- 政治資金パーティーの対価支払いの禁止
- 政治団体間における寄附の量的制限(上限3,000万円への引き下げ)
- 個人献金の促進と税額控除の拡充
政策活動費廃止の具体案
政策活動費について、以下の厳格な規制を提案:
- 政党から候補者個人への寄附の禁止
- 渡し切り方式による経費支出の全面禁止
- 寄附控除の特例適用除外
第三者機関設置提案
第三者機関の設置を提案し、以下の機能を想定:
- 政治資金の透明性確保のための監視機能
- 収支報告書の監査体制強化
- オンライン提出・公表システムの整備
- 検索可能なデータベースの構築
その他の改革提案
その他の重要な改革案として以下を提示:
- 旧文通費改革(残余金の国庫返納)
- 政治資金世襲制限法案の提出
- 雇用関係の不当利用による寄附等の制限
立憲民主党は、年内の法改正実現を強く主張し、特に政策活動費の廃止と企業・団体献金の禁止を重要な論点として位置づけています。また、与党案に対しては、政治団体を通じた抜け道への懸念を示しつつ、実効性のある改革の実現に向けて建設的な議論を進める姿勢を示しています。
4.2 日本維新の会の改革案と主張
日本維新の会は、政治改革について具体的な期限設定の重要性を強調し、特に政策活動費と企業・団体献金の問題に焦点を当てた改革案を提示しました。
政策活動費完全廃止案
政策活動費について、完全廃止を主張し、以下の理由と具体案を示しました:
- 金権政治の温床となっている現状への強い問題意識
- 例外規定を一切認めない完全廃止の必要性
- 科目変更による抜け道(交通費名目での支出等)の防止
- 企業会計に近い処理方法の導入
特に、前国会での与党との協議経験を踏まえ、以下の懸念事項への対応を提案:
- 50万円以下の支出容認案への反対
- 旅費交通費名目での渡し切り容認への反対
- 事務職員経費を含めた全ての渡し切り経費の廃止
企業・団体献金規制案
企業・団体献金について、以下の方針を示しました:
- 党として10年以上受け取らない方針を継続
- 政治資金規正法改正の重要論点として位置づけ
- 各党の明確な立場表明の必要性を主張
実施時期の提案
改革の実現について、以下の具体的な方針を提示:
- 年内の決着を強く要求
- 政策活動費廃止を優先的な課題として設定
- 第三者機関設置は別途検討を提案
その他の改革提案
その他の改革として以下を提案:
- 機密性への配慮は民間の商慣習を参考に対応可能
- 政治資金規正法の再改正における論点の明確化
- 実効性のある改革実現のための具体的工程表の作成
日本維新の会は、特に政策活動費の完全廃止について具体的な提案を行い、前国会での与党との協議経験を踏まえた実践的な改革案を示しています。また、改革の実現に向けて明確な期限設定の重要性を強調し、年内の決着を求める立場を明確にしています。
4.3 国民民主党の改革案と主張
国民民主党は、年初に策定した政治改革大綱に基づき、政治資金制度改革を最優先課題として位置づけ、包括的な改革案を提示しました。
政治資金透明化案
政治資金の透明化について、以下の具体策を提案:
- 政治資金の入りと出をガラス張りにする制度設計
- パーティー券購入に関する基準を寄附と同等に
- 外国人によるパーティー券購入の禁止
- オンライン公開システムの整備
独立第三者機関案
広範な権限を持つ独立した第三者機関の設置を提案:
- 国会の下に原発事故調査委員会をモデルとした機関を設置
- ルールの策定から監視・監督、制裁までの包括的権限付与
- 政治家はプレーヤーに徹し、第三者機関にルール設定を委ねる
- 年度内の立ち上げと来年度からの運用開始を目標
政党助成法改正案
政党のガバナンス強化の観点から以下を提案:
- 不祥事発生時の政党交付金減額・停止制度の導入
- 私学助成金の停止制度を参考にした制裁措置
- 政党交付金の使途透明化
企業・団体献金規制案
企業・団体献金について以下の課題を指摘:
- 政治団体を通じた迂回献金の問題
- 単純な禁止では抜け道が残る懸念
- 政治団体の取り扱いを含めた包括的な規制の必要性
- 国民の期待に応える実効性ある規制の設計
その他の改革提案
その他の重要な改革として以下を提案:
- 政治家本人の責任強化(連座制導入等)
- 政党の自浄能力向上のための制度設計
- 年内の政治資金規正法再改正の実現
- 第三者機関による継続的な制度見直し
国民民主党は、これまでの政治改革が抜け道を生み出してきた反省から、政治家自身による規制ではなく、独立性の高い第三者機関による制度設計と監督を重視する案を提示しています。特に、実効性のある改革の実現に向けて、具体的な工程表と実施時期の設定を強く求めています。
4.4 共産党の改革案と主張
共産党は、自民党の裏金問題を改革の出発点と位置づけ、政治改革特別委員会での議論を重視する立場から、以下の改革案を提示しました。
企業・団体献金全面禁止案
企業・団体献金の全面禁止について、以下の理由と具体案を示しました:
- 選挙権のない企業による政治への資金的影響を国民の参政権侵害と認識
- パーティー収入を含む企業・団体献金の全面的な禁止
- 1990年代の政治改革で残された二つの抜け穴(パーティー収入、政党支部経由の献金)の完全な封鎖
- 政治団体を通じた迂回献金の防止措置
政策活動費廃止案
政策活動費について以下の立場を表明:
- 完全廃止の必要性を主張
- 政治資金規正法改正案に廃止条項を盛り込む方針
- 前国会での与党案の問題点(短時間での採決)を指摘
政党助成法廃止案
政党助成法について、以下の主張を展開:
- 政党助成法の廃止を明確に要求
- 企業・団体献金禁止と一体的な改革として位置づけ
その他の改革提案
その他の重要な改革として以下を主張:
- 政治改革特別委員会での議論の重視(議事録の重要性を強調)
- 裏金問題の全容解明(証人喚問、政治倫理審査会での究明)
- 旧安倍派事務局長の裁判で明らかになった政治家幹部の発言との食い違いの解明
- 石破派の不記載・裏金疑惑の解明
共産党は、特に企業・団体献金の全面禁止を政治改革の根幹と位置づけ、国会での公開審議を通じた改革の実現を重視する立場を示しています。また、現在の政治資金をめぐる問題の背景にある構造的な課題の解決を求めています。
4.5 れいわ新選組の改革案と主張
れいわ新選組は、2024年4月26日に公表した声明に基づき、政治改革に関する包括的な提案を行いました。特に、政治資金規制の強化に加えて、選挙制度全般の構造的な改革の必要性を強調しています。
政治資金規制案
政治資金規制について、以下の具体案を提示:
- 政治家本人への処罰強化(連座制の導入)
- 独立した政府機関(三条委員会)の設置
- アメリカのFCC(連邦選挙委員会)をモデルとした強力な調査権限の付与
- 日本の公正取引委員会に近い検挙権限の導入
選挙制度改革案
金のかからない選挙制度の実現に向けて以下を提案:
- 選挙運動における資金負担の軽減
- 政党間の政策本位の競争環境の整備
- イギリスのショートマネー制度(野党への政策立案支援)の導入
- シンクタンク活動支援のための交付金制度の創設
供託金制度改革案
現行の供託金制度について以下の問題提起:
- OECD38カ国中、供託金制度があるのは13カ国のみ
- 日本(300万円、600万円)とイギリス(7万円)の金額差の指摘
- 全選挙区への候補者擁立に17億円必要な現状への批判
- 供託金の大幅な引き下げを提案
その他の改革提案
その他の重要な改革として以下を主張:
- 裏金問題に関与した議員の辞職要求
- 政策活動費の廃止
- 企業・団体献金およびパーティー券の禁止
- 政党交付金の配分方式の見直し(野党への傾斜配分)
れいわ新選組は、単なる政治資金規制の強化だけでなく、選挙制度全体の構造的な改革を求めています。特に、高額な供託金制度が政治参加の障壁となっている点を指摘し、より開かれた民主主義の実現に向けた制度改革を提案しています。また、野党の政策立案能力強化のための財政支援制度の導入など、政策本位の政治実現に向けた具体的な提案を行っています。
5. 主要論点における議論の展開
5.1 与党案への各党の反応
賛同が得られた点
各党から広く賛同が得られた点は以下の通りです:
- 政策活動費の廃止の必要性
- 全党が廃止の方向性で一致
- 現行制度の透明性の欠如への問題意識の共有
- 年内の法改正実現への意欲
- 第三者機関の設置
- 政治資金の監視体制強化の必要性について共通認識
- 実効性のある監督機関設置への賛同
- オープンな議論の場の設定
- 立憲民主党の要請により実現した全面公開形式
- 議事録を残す形での協議の実施
異論が出された点
- 政策活動費廃止の方法について
- 維新:例外規定を認めない完全廃止を主張
- 共産党:国会での審議を重視する立場から与党の進め方に異論
- 第三者機関の位置づけ
- 国民民主党:より広範な権限を求める
- 公明党:三条委員会としての設置を主張
- 共産党:国会での議論を優先すべきと主張
- 企業・団体献金の取り扱い
- 野党各党:より厳格な規制を求める
- 政治団体を通じた抜け道への懸念表明
修正提案の内容
- 政策活動費関連
- 維新:科目変更による抜け道防止の具体策提案
- 立憲:政党から候補者個人への寄附禁止の追加
- 第三者機関について
- 公明党:三条委員会化と罰則付き立ち入り調査権限の付与
- 国民民主党:より広範な権限と独立性の確保
- 実施時期について
- 維新:年内決着の明確化を要求
- 立憲:早期の法案提出と国会審議の開始を提案
各党は与党案を土台としながらも、より実効性のある改革の実現に向けて、具体的な修正提案を行っています。特に、政策活動費の完全廃止と第三者機関の権限設定について、詳細な議論が必要とされています。
5.1.1 賛同が得られた点
協議において、以下の点について各党から広く賛同が得られました。
政策活動費の廃止
立憲民主党の大串博志政治改革本部長は「政策活動費のきちんとした廃止」を重要論点として挙げ、賛同を示しました。日本維新の会の藤田文武幹事長も「私はやっぱりここまで来たら分かりやすい方がいいな」と述べ、政策活動費の廃止を支持。公明党の西田実仁政治改革本部長も「シンプルに法律上廃止するとしている」と明確な賛同を示しました。
協議の公開性
立憲民主党の大串本部長は「こうやって国民の皆さんの見える場で意見交換するというのは非常に有意義なこと」と評価。日本維新の会の藤田幹事長も「オープンな形でやるというのは非常に私は望ましいことだと思いますし、歓迎したい」と述べ、協議の透明性確保について賛同が得られました。
年内決着の方向性
国民民主党の古川元久政治改革推進本部長は「年内の政治資金規正法の再改正、そうしたことはやるという方向性はたしか総理も言っておられた」と指摘し、年内決着の目標設定について賛同。立憲民主党も「年内の今回の政治改革の決着をつけるということをずっと申してきております」と支持を表明しました。
データベース化の必要性
自民党が提案した政治資金収支報告書のデータベース化について、立憲民主党は「オンライン提出やインターネットによる公表、検索可能なデータベース等々」と具体的な提案を示し、賛同。他党からも異論は出されませんでした。
このように、特に政策活動費の廃止と協議の公開性について、各党から積極的な賛同が示される結果となりました。
5.1.2 異論が出された点
与党案に対して、各党から以下の点について異論が提示されました。
政策活動費の例外規定について
日本維新の会の藤田文武幹事長は、自民党案の例外規定について「科目を変えただけで同じじゃないかという議論をして、結局それもバツにさせてもらいました。そういった攻防があってですね、結局そういう抜け道みたいなものをなくして、シンプルに渡しきりのそういう見えないお金というのは一律」とすべきと強く反対しました。
審議の場について
共産党の塩川鉄也氏は「議論をするのであれば政治改革特別委員会で行うべき」と主張し、「国民の皆さんに開かれた形で行われる、いわゆる議事録を残すというのは非常に重要」と指摘。与党が提案する与野党協議の進め方に異を唱えました。
実施時期について
国民民主党の古川元久本部長は「第三者機関はですね、年度内、来年の3月までに立ち上げて、そして来年度からも動くようにしていきたい」と具体的な期限を示し、自民党の「予断を持っていつたら、なかなかちょっと今の段階では難しい」との慎重姿勢に反論しました。
企業・団体献金の規制について
立憲民主党の大串博志本部長は「企業・団体献金の禁止と政策活動費のきちんとした廃止、そして旧文通費の改革など」を重要論点として挙げ、与党案の規制範囲の不十分さを指摘。特に「政治団体を除く」という例外規定について、国民民主党の古川本部長も「かえって政治不信を強めることになる」と懸念を示しました。
このように、特に例外規定の設定と審議プロセスについて、野党各党から具体的な異論が提示される結果となりました。
5.1.3 修正提案の内容
各党から、与党案に対する具体的な修正提案が示されました。
政策活動費廃止の方法について
日本維新の会の藤田文武幹事長は「機密性の部分で公表に工夫とかっていうのはですね、民間の商慣習等を使えば乗り切れるところも多数あるし、ほとんど解消される」と具体的な代替案を提示。さらに「シンプルに廃止するということに行き着けるように、これ多分ほとんど全党が廃止という中で各論あるのかな」と、例外のない完全廃止への修正を提案しました。
第三者機関の設置形態
国民民主党の古川元久本部長は「政治資金に関するルールの設定や、策定や、またそのルールの遵守状況の監視、監督、そして違反があった場合、問題があった場合のペナルティーを科すとか、そういうところまでを含めた大きな権限を持った」機関の設置を提案。「国会のもとに原発事故調のような形で設置すべき」と具体的な修正案を示しました。
企業・団体献金の規制方法
立憲民主党の大串博志本部長は「政治団体を除くというところに関するご意見があったので、そこが論点になるということであれば非常に歓迎いたしますので、ぜひ企業団体献金の廃止をどういうふうにしてやるんだという案を示していただいて」と、より包括的な規制案の検討を提案しました。
スケジュールの具体化
公明党の西田実仁政治改革本部長は「共通しているところをいかに見出すかに注目しないと、これは話が分散するだけだと時間がかかって、何も結局いつまでにというのは何もできない」と指摘し、具体的な工程表の作成を提案。「政策活動費の廃止と第三者機関の設置について、まず合意できる部分から進める」との修正案を示しました。
これらの修正提案を受け、自民党の渡海紀三朗政治改革本部長は「我が党は当然今国民からいろいろな信を問われているわけでありますから、党としてどう対応していくかということについては、こういう意見があったということを伝えさせていただいて、しかるべき責任のある対応をとらせていただく」と応じる姿勢を示しました。
5.2 争点となった主要論点
政策活動費廃止の例外規定
政策活動費の廃止について、その方法と範囲で議論が分かれました:
- 自民党の立場
- 基本的な廃止は決定
- プライバシーへの配慮や対外活動の必要性から一部例外を検討
- 組織活動費や調査研究費での公表方法に工夫が必要と主張
- その他政党の反応
- 維新:例外規定を一切認めない完全廃止を主張
- 公明党:使用経験がないため具体的な必要性の判断が困難と指摘
- 立憲:完全な廃止と透明性確保を要求
第三者機関の位置づけ
第三者機関の設置形態と権限について、以下の対立点が浮上:
- 設置場所
- 自民党:国会内設置案(国会事故調をモデル)
- 公明党:三条委員会案(立ち入り調査権限の確保)
- 国民民主党:国会下の独立機関案(原発事故調査委員会型)
- 権限範囲
- 自民党:政治資金のチェック機能を重視
- 公明党:罰則付き調査権限と相談機能を要望
- 国民民主党:ルール策定から監視・制裁までの包括的権限を主張
企業・団体献金の規制範囲
企業・団体献金の規制について、以下の論点で対立:
- 規制の範囲
- 与党:既存の規制を基本に段階的な見直し
- 野党:全面的な禁止を求める
- 政治団体を通じた迂回献金への対応が課題
- 実効性の確保
- 間接的な献金ルートの把握方法
- パーティー券購入規制との整合性
- 政治団体の位置づけ
実施時期の設定
改革の実施時期について、以下の意見が示されました:
- 年内実現を求める立場
- 維新:具体的な工程表の作成を要求
- 立憲:年内の法改正実現を主張
- 国民民主党:第三者機関は年度内設置を提案
- 慎重な検討を求める立場
- 自民党:熟議の必要性を強調
- 公明党:専門家の意見聴取を重視
- 共産党:国会での十分な審議時間確保を要求
これらの論点について、各党は基本的な方向性では一致しているものの、具体的な制度設計や実施方法で意見の相違が見られます。特に政策活動費の完全廃止と第三者機関の権限設定については、詳細な制度設計に向けてさらなる協議が必要とされています。
5.2.1 政策活動費廃止の例外規定
政策活動費の廃止を巡って、特に例外規定の要否について活発な議論が交わされました。
自民党の渡海紀三朗政治改革本部長は、「政策活動費については明快に廃止ということを決定をさせていただきました」としながらも、「その抜け穴を残したというふうなことを言われる方がいらっしゃいますが、ここはいささか誤解がありまして」と前置きした上で、「プライバシーに配慮するとか、我々は当該後も必要だと思っていますから、場合によっては非常に公表の仕方に工夫が要る」との考えを示しました。
これに対し、日本維新の会の藤田文武幹事長は、「前回、協議をする中でですね、結構いろんな切り口で例外を御提示されてきました。例えば50万円以下はいいんだとかいう議論が最初ありましたね。私等はそれはやめてくれというふうに押し戻しました」と述べ、さらに「私、収支報告、自民党の確認しましたが、300万、200万、100万といった渡し切りの交通費という名目で、実際には制作活動費のような扱いが多数されていました」と具体例を挙げて批判しました。
国民民主党の古川元久政治改革推進本部長は、「佐々木毅先生が、今回問題が起こったのに対してのNHKのインタビューで、『悪魔は細部に宿る』というふうにおっしゃっている」と指摘し、例外規定の設定には慎重な検討が必要との立場を示しました。
公明党の西田実政治改革本部長は「我が党は政策活動費を使ったことはないものですから、どういう機微に触れる、どういう使い方なのかということは是非言える範囲で議論した上で、本当にそれが必要なのかはちょっと吟味してみたい」と述べ、シンプルな廃止を支持する立場を表明しました。
議論の結果、政策活動費の基本的な廃止については合意が形成されたものの、例外規定の要否と範囲については、さらなる協議が必要との認識で一致しました。特に「機微に触れる活動」の定義と、その透明性確保の方法について、具体的な制度設計が今後の焦点となっています。
5.2.2 第三者機関の位置づけ
第三者機関の設置については、その位置づけと権限を巡って活発な議論が展開されました。
公明党の西田実政治改革本部長は「三条委員会にしようとするのは、やはり罰則つきの立ち入り調査というものが、国会に置くとどうしても国政調査権の範囲でということになると難しくなる」と述べ、実効性のある監督権限の必要性を強調しました。
これに対し、国民民主党の古川元久政治改革推進本部長は、「我々政治家はプレーヤーに徹してですね、この第三者機関、政治資金に関するルールの設定やですね、策定や、またそのルールの遵守状況の監視、監督、そして違反があった場合、問題があった場合のペナルティーを科すとか、そういうところまでを含めた大きな権限を持った」機関の設置を主張。さらに「原発事故調のような形で設置すべき」と具体的なモデルを示しました。
れいわ新選組の高井たかし幹事長は「より強い権限をアメリカのFCCという連邦選挙委員会がモデルになる」と述べ、「日本の公取に近い」検挙権限まで含めた強力な権限付与を求めました。
一方、共産党の塩川鉄也氏は「政治改革特別委員会で行うべき」と主張し、「国民の皆さんに開かれた形で行われる、いわゆる議事録を残すというのは非常に重要」と指摘。第三者機関の設置より国会での議論を重視する立場を示しました。
自民党の渡海紀三朗政治改革本部長は、国会事故調をモデルとした国会内設置案を提示し、「さまざまな問題、ここでは細かく申し上げませんが、考慮して国会の中に置くのが一番いいのではないか」との見解を示しました。
このように、第三者機関の位置づけについては、三条委員会案、国会内設置案、独立機関案など、各党から異なる提案が示され、特に監督権限の範囲と実効性の確保方法について、今後さらなる協議が必要となっています。
5.2.3 企業・団体献金の規制範囲
企業・団体献金の規制範囲について、特に政治団体を通じた献金の取り扱いを中心に、活発な議論が展開されました。
国民民主党の古川元久政治改革推進本部長は、「企業団体献金禁止を言っておられる政党の皆さん方も、括弧書きで政治団体は除くとなっていますので、やはりここのところは、ではそうしたところはいいのかと」と指摘。さらに「一般的に皆さんが感じている企業団体献金禁止というのは、そこは禁止されたら、そうしたところからはお金は入ってこないというふうに考えているんじゃないか」と問題提起しました。
共産党の塩川鉄也氏は「選挙権のない企業が多額のお金で政治を動かして政策をゆがめることが、国民の選挙権、参政権を侵害するものなんだと、ここがやっぱり根本問題として問われている」と主張。さらに1990年代の政治改革で残された「パーティー収入などでの企業団体献金を認めること、また、政党政党支部を通じての企業団体献金を認めるという2つの抜け穴」の解消を求めました。
公明党の西田実政治改革本部長は「企業団体献金によって政治がゆがめられることはあってはならないという大前提」を示しつつ、「司法の判断も憲法上もあります。また、学説においても、弊害ということに着目して控除違反の行為とする否定説と、一方で社会的存在として法人格が献金することは必要または有用な行為とする肯定説と両説がございます」と慎重な検討の必要性を訴えました。
これに対し日本維新の会の藤田文武幹事長は「われわれは堂々とこういう公開の場で議論していくというのは、継次回からもですね、進めていただきたい」と述べ、党として10年以上受け取りを拒否してきた実績を踏まえ、規制強化に向けた具体的な議論を求めました。
このように、企業・団体献金の規制範囲については、特に政治団体を通じた献金の取り扱いと実効性のある規制方法について、さらなる議論が必要となっています。
5.2.4 実施時期の設定
実施時期について、年内決着を求める意見と慎重な審議を重視する意見が対立しました。
日本維新の会の藤田文武幹事長は「スケジュール感も大事にしながらですね、これからやっていく。さきの国会においては、政策活動費については自民党さんと我が党を協議させていただいて、時間差公文書の技術を使ってですね、10年後の公開ということを議論のテーブルに上げてきた」と述べ、年内の決着を強く求めました。
これに対し、自民党の渡海紀三朗政治改革本部長は「予断を持っていつたら、なかなかちょっと今の段階では難しいだろう」としつつも、「年内は様々な政治的な日程がございます。年が明ければ国民生活に最も大事な予算の審議も始まるわけでありますから」と、年内での一定の決着を目指す姿勢を示しました。
国民民主党の古川元久政治改革推進本部長は「この前の選挙でやはり一つ大きな争点が政治改革であるということからするとですね、やはりこの政治改革に、これは野党がですね、その立場を超えてちゃんと議論してですね、結論を得て前に進めていく」と述べ、さらに「年度内、来年の3月までに立ち上げて、そして来年度からも動くようにしていきたい」と具体的な時期を提案しました。
一方、共産党の塩川鉄也氏は「余りにも短時間でやったというのは前回の一番の問題点であるわけですから、国民の声も踏まえた丁寧な議論を行っていく」べきと主張し、拙速な結論を避けるよう求めました。
立憲民主党の大串博志政治改革本部長は「28日に国会が始まるわけですから、もう法律案ができれば、もうすぐそこで議論できる」と述べ、与党に対して早期の法案提示を求めました。
このように実施時期について、年内決着を目指す方向性では一定の共通認識が形成されつつも、具体的な工程と審議の進め方については、なお調整が必要な状況となっています。
5.3 制度改革の影響評価
政治資金の透明性への影響
- 肯定的影響
- 政策活動費の廃止により渡し切り資金が消滅
- 収支報告書のデータベース化による検索可能性の向上
- 第三者機関による監督強化で不正防止効果
- パーティー収入を含む企業・団体献金の規制による透明性向上
- 課題点
- プライバシーへの配慮と透明性のバランス
- 実効性のある監査システムの構築必要性
政党運営への影響
- 財政面への影響
- 企業・団体献金規制による収入減少の可能性
- 個人献金への依存度増加
- 政党交付金制度の見直しによる影響
- 小規模政党への特別な影響懸念
- 組織運営面での影響
- 政策立案活動への影響(特に野党)
- シンクタンク機能の強化必要性
- 事務職員への給与支払い方法の変更必要性
- 政党支部運営への影響
政治活動への実務的影響
- 資金管理面での変化
- 収支報告書作成の負担増加
- オンライン提出システムへの対応必要性
- 第三者機関による調査への対応体制整備
- 政治資金パーティーの運営方法の変更
- 活動面での調整
- 対外活動における経費処理の変更
- 調査研究活動の実施方法の見直し
- 政治団体を通じた迂回献金の監視体制
- 政党間交流における経費処理の変更
- 事務所運営方法の見直し
これらの影響を踏まえ、各党は実務面での対応策の検討と、円滑な制度移行のための準備が必要とされています。特に、政治活動の自由度を確保しつつ、透明性を高める具体的な方策の策定が求められています。
6. 今後の進め方
本会合での議論を踏まえ、以下の進め方が示されました。
法案作成のプロセス
- 与党案の具体化
- 自民党は検討中の項目について早期に方針を確定
- 特に政策活動費廃止の具体的方法と第三者機関の制度設計を優先
- 技術的な課題について実務者レベルでの検討を進める
- 野党との調整
- 各党協議会の継続開催
- 実務者レベルのワーキングチーム設置の検討
- オープンな形式での協議継続
国会での審議方法
- 特別委員会での審議
- 28日からの国会で政治改革特別委員会を設置
- 各党の意見表明から審議をスタート
- 衆参両院での連携した審議体制の構築
- 審議の進め方
- 政策活動費と第三者機関設置を優先的に審議
- 各党から提出された法案をベースに議論
- 公開性を重視した審議の実施
具体的なスケジュール
- 短期的な目標
- 28日からの国会での特別委員会設置
- 各党の法案提出準備の加速
- 年内の法改正実現を目指す
- 中期的な展望
- 第三者機関の年度内設置を検討
- 来年度からの新制度運用開始を目標
- 予算審議との調整を考慮
特に、法案作成と国会審議の進め方について、政治改革特別委員会での議論を基本としつつ、必要に応じて与野党協議の場を設けることで、実効性のある改革の実現を目指す方針が確認されました。また、衆参両院の特性を踏まえた審議体制の構築が重要な課題として認識されています。
7. 課題と展望
合意形成に向けた課題
- 制度設計の具体化
- 政策活動費廃止における例外規定の範囲について与野党間の調整が必要
- 第三者機関の設置形態と権限について、国会設置案と三条委員会案の調整
- 企業・団体献金規制における政治団体の取り扱いの明確化
- 実務的な課題
- 衆参両院での審議の進め方の調整
- 政党の実務者レベルでの具体的な制度設計の協議
- 国会内外での協議体制の整備
- 議事録を残す形での透明性の確保
実現可能性の検討
- 時期的な制約
- 年内の法改正実現に向けた時間的制約
- 国会審議の日程調整と予算審議との兼ね合い
- 政党内部での合意形成に要する時間
- 政治的な実現可能性
- 衆議院での与党過半数割れ状況下での合意形成の必要性
- 参議院での与党多数という状況を踏まえた調整
- 各党の基本的な方向性の一致を活かした合意形成
期待される効果
- 政治資金の透明性向上
- 政策活動費廃止による不透明な資金の排除
- 第三者機関による監督強化
- 収支報告書のデータベース化による検索性向上
- 政治への信頼回復
- 政治資金の透明性確保による国民の信頼回復
- 与野党共同での改革実現による政治の機能性の証明
- 政治資金規正の実効性向上
- 政治改革の継続的発展
- 第三者機関による継続的な制度改善の期待
- 政党のガバナンス強化
- より開かれた政治の実現
これらの課題に対して、各党は年内の法改正実現という共通目標に向けて、具体的な制度設計と実務的な調整を進めていく必要性を認識しています。特に、政治への信頼回復という観点から、実効性のある改革の実現が強く求められています。