※本記事は、Future Investment Initiative Institute (FII Institute) が2024年10月29-30日にサウジアラビア・リヤドのKing Abdulaziz International Conference Centerで開催した第8回Future Investment Initiative(FII8)での下記のインタビューとパネルディスカッションの内容を基に作成されています。
「Elon Musk and Dr. Peter Diamandis #FII8 Conversation on the Future of #AI」 「Barrault, Grosser, Özdemir & Yeung Discuss Women’s Role in the 5th Industrial Revolution #FII8」 「Dr. Attali, Dr. Ammous, Angermayer, Rosenkranz, Sorrell & Wickett on #Money #Truth & #Power」
FII Instituteは、人類への影響(Impact on Humanity)を重点課題とするグローバルな非営利組織で、人工知能(AI)とロボティクス、教育、医療、持続可能性の4つの重要分野において、世界中の優れた知見をアイデアから実践的なソリューションへと転換することを目指しています。 なお、本記事の内容は登壇者の見解を正確に反映するよう努めていますが、要約や解釈による誤りがある可能性もありますので、正確な情報や文脈については、オリジナルの講演映像をご覧いただくことをお勧めいたします。 Future Investment Initiativeの詳細情報は https://www.fii-institute.org でご覧いただけます。また、各登壇者の発言は、講演時点での見解であり、その後の状況変化により、異なる見解が示される可能性があることをご了承ください。
1. Elon Musk and Dr. Peter Diamandis: AIの未来に関する対話
登壇者: Elon Musk xAI創設者、テスラCEO、SpaceX創設者兼CEO
Dr. Peter H. Diamandis(モデレーター) XPRIZE財団 創設者兼エグゼクティブチェアマン
1.1. AIの進化速度
1.1.1. 年間10倍の性能向上予測
AIの進化速度を定量的に把握することは困難な課題ですが、少なくとも年間10倍のペースで性能が向上していると確信しています。この進化速度を時間軸で考えると、今から4年後には現在の10,000倍の性能に達する可能性があります。さらに、その先には100,000倍という飛躍的な性能向上も視野に入ってきます。
この急速な進化の背景には、コンピューティングパワーの向上、アルゴリズムの改善、そしてデータ量の増加があります。特に注目すべきは、この進化が単なる理論上の予測ではなく、実際の技術開発や実装を通じて確認されている点です。私たちxAIでは、日々この進化速度を実感しています。
このような指数関数的な成長は、人工知能が人間の能力を超える時期を急速に前倒しする可能性を示唆しています。年間10倍という進化速度は、私たちが想像する以上に急激な変化をもたらす可能性があります。このペースを維持できれば、AIは近い将来、あらゆる人間の能力を超えることが予想されます。これは単なる予測ではなく、現在の技術進化の延長線上にある現実的なシナリオとして捉えるべきです。
1.1.2. 2028-2029年までの人類超越シナリオ
AIの進化が非常に速いペースで進んでおり、人類の能力を超える時期が急速に近づいていると考えています。具体的には、おそらく1~2年以内に、AIは個々の人間ができることすべてを実行できるようになるでしょう。そこからさらに3年程度で、つまり2028年から2029年頃には、AIは地球上の全人類が持つ能力を組み合わせた以上のことができるようになると予測しています。
この予測は、現在のAIの進化速度と、私たちxAIでの開発経験に基づいています。重要な点は、これが単なる漸進的な進歩ではなく、指数関数的な成長を示しているということです。AIが人間の能力を超えるというのは、特定の分野だけでなく、あらゆる分野においてです。これには創造性、問題解決能力、意思決定能力など、これまで人間特有と考えられてきた能力も含まれます。
このシナリオは、一見すると非常に挑戦的な予測に思えるかもしれませんが、現在のAI開発の進捗状況と技術的なブレークスルーを考慮すると、十分に現実的なタイムラインだと考えています。特に、年間10倍という進化速度を考慮すると、2028-2029年というタイムフレームは、むしろ控えめな予測かもしれません。
1.1.3. 良好なシナリオの80-90%確率
AIの未来について、80-90%の確率で良好なシナリオになると考えています。これは、Geoffrey Hintonも同様の見解を示しており、私たちは比較的楽観的な展望を持っています。
しかし、同時に10-20%の確率で望ましくない方向に進む可能性も存在します。このリスクは決してゼロではありません。私はこの状況を「コップが80%満たされている」という前向きな見方で捉えています。さらに言えば、最近の技術発展や安全性への取り組みを考慮すると、良好なシナリオの確率は90%にまで上昇している可能性があります。
ただし、この楽観的な見通しは、適切な対策や準備を怠ってよいということではありません。AIは依然として重大な実存的脅威であり、近い将来における最も重要な課題の一つとして、私たちは細心の注意を払って開発を進めていく必要があります。これは、AIの発展がもたらす恩恵を最大限に活かしながら、同時にリスクを最小限に抑えるためのバランスの取れたアプローチを必要としています。
1.2. xAIの展開計画
1.2.1. 世界最大規模のトレーニングクラスター
xAIにおいて、すでに世界最大規模のAIトレーニングクラスターを構築・運用しています。このクラスターは、AIモデルの開発と学習において極めて重要な役割を果たしています。特に、最近発表したColossusは、その規模と性能において世界をリードする存在となっています。
Colossusの開発にあたっては、122日という短期間で立ち上げを実現しました。これは、テキサス工場での開発において、当初の予定よりも大幅に早い14ヶ月での完成を実現したことによるものです。このような迅速な展開は、私たちの技術力と実行力を示すものです。
私たちは過去にも、上海工場を予定の1年半から11ヶ月に短縮し、ギガファクトリーを2年の予定から18ヶ月で完成させるなど、常に予定を上回るスピードで開発を進めてきました。このような実績は、メディアではあまり報道されませんが、私たちの技術開発能力と実行力を示す重要な事例です。私たちは予測を立てる際、50パーセンタイルを目標にしており、これは半分の確率で予定より早く完了することを意味しています。このような挑戦的な目標設定が、世界最大規模のトレーニングクラスター実現の原動力となっています。
1.2.2. クラスターの倍増計画
xAIにおいて既に世界最大規模のAIトレーニングクラスターを保有していますが、さらなる拡大を計画しています。具体的には、現在のColossusネットワーククラスターの規模を倍増させる計画を進めています。これは、AIの急速な発展に対応し、より高度な学習と処理能力を実現するための重要な戦略です。
この倍増計画は、単なる規模の拡大ではありません。私たちは、AIの性能が年間10倍のペースで向上していることを踏まえ、それに見合う計算能力の確保を目指しています。クラスターの倍増は、この急速な進化に対応するための必要不可欠な投資です。
この拡大計画には、技術的な課題だけでなく、インフラストラクチャーの整備も含まれています。特に、電圧変圧器の設置や施設の拡張など、物理的なインフラの整備が重要な要素となっています。これらの課題に対しては、私たちの過去の工場建設での経験を活かし、効率的な展開を進めています。
1.2.3. チップ制限とエネルギー需要の課題
現在のAIトレーニングクラスターの拡大において、主に3つの重要な制限要因に直面しています。第一にチップの供給制限、第二に電圧変圧器の設置制約、そして第三にエネルギー供給の課題です。
現状では、チップの供給制限が主要な課題となっていますが、これはすぐに電圧変圧器と設置の問題へと移行していくでしょう。そして最終的には、エネルギー供給が最大の制約要因となっていくと予測しています。特にデジタルインテリジェンスの発展と輸送の電化が進むにつれて、莫大なエネルギーが必要となってきます。
これらの課題に対応するためには、大規模なインフラ整備が必要です。特に注目すべきは、将来的にAIの処理に必要なエネルギー量が急増することです。私たちは現在、地球の持つエネルギーポテンシャルの1%も活用できていない状況です。この状況を改善し、必要なエネルギーを確保することが、AIクラスター拡大の鍵となります。
このエネルギー制約は、単なる技術的な課題ではなく、文明の発展段階を示すカードショフスキースケールとも関連しています。現在の人類は、惑星のエネルギーを完全に活用するレベル1にも達していない状況です。AIの発展とともに、このエネルギー利用の効率化と拡大が重要な課題となっています。
1.3. エネルギーの未来
1.3.1. デジタルインテリジェンスのエネルギー需要
デジタルインテリジェンスの発展に伴うエネルギー需要の急増を重要な課題として認識しています。現在、AIトレーニングクラスターの拡大は、主にチップの供給制限に直面していますが、これは順次、電圧変圧器の設置の問題へと移行し、最終的にはエネルギー供給が最大の制約要因となっていくでしょう。
デジタルインテリジェンスに必要なエネルギー量は、既存の電力インフラの容量を超えて増加していく傾向にあります。特に、高度なAIモデルのトレーニングには莫大な計算能力が必要であり、それに比例してエネルギー消費も増大します。私たちのxAIでは、世界最大規模のトレーニングクラスターを運用していますが、その電力需要は既に大きな課題となっています。
この状況は、カードショフスキースケールで見ると、私たちはまだレベル1(惑星のエネルギーを完全に活用するレベル)にも達していない状況を示しています。地球の持つエネルギーポテンシャルのわずか1%未満しか活用できていない現状で、デジタルインテリジェンスの急速な発展に対応するためには、エネルギー供給システムの抜本的な革新が必要となっています。
1.3.2. 輸送の電化に必要なエネルギー量
デジタルインテリジェンスの発展と並んで、輸送の電化に必要となるエネルギー量が今後急増していくと予測しています。これは、テスラをはじめとする電気自動車の普及、そして将来的な自動運転ネットワークの展開に必要不可欠なインフラ整備に関わる重要な課題です。
特に、2025年以降に予定している完全自動運転システムの展開と、2026年までに900万台以上に増加する電気自動車フリートの運用には、現在の電力インフラをはるかに超える規模のエネルギー供給が必要となります。この電化の進展は、従来の化石燃料ベースの輸送システムからの大きな転換を意味し、それに伴うエネルギーインフラの整備が不可欠です。
私たちは現在、地球のエネルギーポテンシャルのごくわずかしか活用できていない状況です。輸送セクターの電化を成功させるためには、このエネルギー利用効率を大幅に向上させる必要があります。これは単なる技術的な課題ではなく、エネルギーインフラ全体の再構築を必要とする社会的な課題でもあります。
1.3.3. 太陽エネルギーの将来性
長期的に見て、ほぼすべてのエネルギーは太陽から得られることになると確信しています。これは数字で見ると明白です。太陽系におけるエネルギーの99.9999...%以上が太陽からのものであり、太陽以外のエネルギー源は太陽系全体のエネルギーの1兆分の1にも満たない規模です。
具体的に地球に到達する太陽エネルギーについて見ても、現在私たちが利用しているのは地球の表面に到達する太陽エネルギーのわずか8,000分の1です。さらに、地球の表面に到達する太陽エネルギー自体が、太陽が生成する全エネルギーの1,000分の1以下なのです。
このような状況を文明の発展段階を示すカードショフスキースケールで見ると、私たちはまだレベル1(惑星のエネルギーを完全に利用する段階)にも到達していません。レベル2は恒星のすべてのエネルギーを利用する段階を指しますが、現状では地球に届く太陽エネルギーのごく一部しか活用できていない状況です。
将来的には、太陽エネルギーの利用は100%に近づくと考えられます。四捨五入すると、将来のエネルギー源の100%が太陽エネルギーになるでしょう。これは、デジタルインテリジェンスの発展や輸送の電化に必要な膨大なエネルギー需要を満たす上で、最も現実的で持続可能な解決策となります。
1.4. ヒューマノイドロボット
1.4.1. 2040年までの100億台展開予測
2040年までにヒューマノイドロボットの数が人間の数を超えると予測しています。具体的には、少なくとも100億台のヒューマノイドロボットが展開されることになるでしょう。これは単なる数値目標ではなく、技術の進化速度と社会のニーズを考慮した現実的な予測です。
このような大規模な展開が可能になる背景には、いくつかの重要な要因があります。第一に、AI技術の急速な発展により、ロボットの知能と自律性が飛躍的に向上することです。第二に、製造技術の革新により、大量生産が可能になることです。特に、テスラでの自動車製造の経験は、複雑な機械の効率的な大量生産のノウハウとして活かされることになります。
また、この予測は世界の人口動態の変化も考慮に入れています。多くの国で出生率が低下しており、労働力の確保が重要な課題となっています。ヒューマノイドロボットは、この労働力不足を補完する重要な解決策となります。この展開は、単なる技術的な進歩ではなく、社会的なニーズに応える形で実現されていくと考えています。
1.4.2. 25,000ドルの価格目標
ヒューマノイドロボットの価格を、かなり早い段階で25,000ドル程度まで引き下げることが可能だと考えています。この価格設定は、一般の人々がアクセス可能な水準を目指したものです。テスラでの自動車製造の経験から、大量生産による製造コストの低減と、技術の成熟化による部品コストの削減が、この価格目標の実現を可能にすると確信しています。
この価格帯は、多くの人々がロボットを購入し、日常生活やビジネスで活用できる水準です。重要なのは、この価格設定が単なる目標ではなく、実際の製造コストと市場の需要を考慮した現実的な数字だということです。私たちは、製造プロセスの最適化と規模の経済を活用することで、この価格目標を達成できると考えています。
このような価格設定は、ヒューマノイドロボットが特別な存在ではなく、一般的な消費財として普及することを意味します。25,000ドルという価格は、多くの人々が利用できる水準であり、これによって社会全体がロボット技術の恩恵を受けることができるようになります。
1.4.3. 豊かな社会実現への貢献
ヒューマノイドロボットの普及が、豊かな社会の実現に大きく貢献すると確信しています。AIとロボット技術の発展により、私たちは豊かさの時代に向かっています。特に注目すべきは、誰もが望むあらゆる商品やサービスを手に入れられる社会が実現することです。
この未来において、物やサービスの実際の限界費用は極めて低くなります。ユニバーサルベーシックインカム(UBI)という考え方がありますが、私たちが向かう未来はそれを超えて、ユニバーサルハイインカムの時代になると考えています。これは、すべての人々が高い生活水準を享受できる社会を意味します。
この変革は、単なる経済的な豊かさだけではありません。ヒューマノイドロボットの普及により、人々は単調な労働から解放され、より創造的で有意義な活動に時間を費やすことができるようになります。これは、資本主義後の社会への移行を示唆しており、従来の経済概念を超えた新しい社会システムの構築につながると考えています。このような未来において、お金の意味自体が現在とは大きく異なるものとなるでしょう。
1.5. 火星計画とスターシップ
1.5.1. 2026年までの無人ミッション
次の火星の公転周期に合わせて、つまり約26-27ヶ月後に、最初の無人スターシップを火星に向けて打ち上げる計画を持っています。これは2026年に該当する火星の通過窓に向けた計画です。現在は火星への通過窓の始まりの時期にあたりますが、次の機会までに準備を整える予定です。
この無人ミッションは、火星有人飛行に向けた重要なステップとなります。私たちは、最近のスターシップの打ち上げと、特にブースターの回収に成功しており、これは人類のエンジニアリングによる驚くべき成果です。特筆すべきは、これらの成功がAIの支援なしに、完全に人間の知能とスキルによって達成されたことです。
この無人ミッションの成功は、後続の有人ミッションの実現可能性を大きく左右します。私たちは、「クレーターの数を増やさない」という表現を使っていますが、これは火星着陸の難しさと、慎重なアプローチの必要性を示唆しています。火星への無人探査ミッションは、後の有人ミッションのための重要な技術実証と経験の蓄積となります。
1.5.2. 2028年までの有人ミッション
最初の無人ミッションが成功した場合、その2年後、つまり2028年頃に最初の有人火星ミッションを実施することを計画しています。これは火星の公転周期による通過窓に合わせた計画であり、無人ミッションでの経験と成果を活かした次のステップとなります。
この有人ミッションの実現可能性は、先行する無人ミッションの成功に大きく依存しています。「クレーターの数を増やさない」という目標を達成できれば、つまり、安全な着陸と必要なインフラの設置が確認できれば、有人ミッションへと移行する予定です。
政権との関係も、この計画の実現に重要な要素となっています。トランプ政権下での実現の方が、規制の観点から見て可能性が高いと考えています。これは、現在のバイデン政権下で増加している官僚主義的な規制が、プロジェクトの進行を遅らせる可能性があるためです。火星への有人ミッション実現には、効率的な規制環境が不可欠であり、これは政権の政策方針に大きく影響されます。
1.5.3. 規制上の課題
火星計画の実現における最大の障壁が規制であると認識しています。現在、米国における最も深刻な問題は、年々増加する過剰な規制です。特にバイデン政権下では、官僚主義が著しく強化され、大規模プロジェクトの実行が increasingly困難になっています。
具体的な例を挙げると、巨大ロケットの打ち上げに必要な許可を取得するのに、ロケットを製造するよりも多くの時間がかかるという状況に直面しています。これは明らかに非効率的であり、イノベーションの妨げとなっています。米国では規制による官僚主義的な遅延が年々深刻化しており、このままでは最終的にほぼすべての大規模プロジェクトが実質的に違法となってしまう危険性があります。
そのため、私は規制緩和に向けた取り組みが不可欠だと考えています。トランプ政権下での実現の方が可能性が高いと考えているのは、規制に対するアプローチの違いによるものです。過剰規制による「ゆっくりとした窒息」を避け、イノベーションを促進するためには、規制の合理化と簡素化が必要です。これは火星計画だけでなく、あらゆる大規模な技術革新プロジェクトの実現に影響を与える重要な課題となっています。
1.6. 自動運転技術
1.6.1. 2025年Q2までの安全性目標
テスラの自動運転技術について、2025年第2四半期までに人間の運転を上回る安全性レベルを達成することを目標としています。具体的には、まずModel 3とModel Yにおいて、無人での完全自動運転(unsupervised full self-driving)が可能となる技術を実現します。
この安全性目標は、単なる目標値ではなく、実際のデータに基づいた達成可能な数値です。私たちは既にテスラの自動運転イベントで、50台の車両(30台のModel Yと20台のサイバーキャブ)による無人走行を実現しており、この成功は目標達成への確かな一歩となっています。
2025年第2四半期以降は、人間の運転よりもさらに高い安全性を実現し、その後も継続的に安全性を向上させていく計画です。これは段階的な改善ではなく、飛躍的な安全性の向上を目指すものです。テスラの車両に搭載されているハードウェアは既にこの目標を達成できる能力を持っており、あとはソフトウェアのアップデートによって実現していきます。
1.6.2. テスラの自動運転ネットワーク
テスラの自動運転ネットワークについて、2025年半ばから米国でのサービス開始を予定しています。具体的には、カリフォルニア州とテキサス州から開始し、無人での完全自動運転(unsupervised full self-driving)を実現します。これは特別な車両ではなく、既存のModel 3とModel Yから展開していく計画です。
この展開は、テスラの既存の車両ネットワークを活用します。現在、テスラは700万台の車両を路上で運用しており、2025年末までには950万台に達する見込みです。最終的には1億台以上の車両がネットワークに接続され、すべてが自律走行可能となります。
特筆すべきは、これがソフトウェアのアップデートによって実現される点です。既存の車両は必要なハードウェアを搭載済みであり、ソフトウェアの更新だけで自動運転ネットワークへの参加が可能です。また、ステアリングホイールやペダルのない完全自動運転車両(サイバーキャブ)については、2026年から量産を開始する予定です。これらの展開により、テスラは世界最大の自動運転ネットワークを構築することになります。
1.6.3. 年間100万人の命を救う可能性
テスラの自動運転技術が完全に展開されることで、世界中で年間100万人以上の命を救える可能性があると考えています。この予測は、自動運転車が人間の運転よりも10倍安全になるという目標に基づいています。
現在、世界中で交通事故による死亡者数は年間約120万人に上ります。テスラの自動運転システムが人間の運転よりも10倍安全になれば、これらの死亡事故の大部分を防ぐことができます。私たちの目標は、単なる運転の自動化ではなく、交通安全の根本的な改善です。
この安全性の向上は、2025年第2四半期以降、テスラの自動運転技術が人間の運転を上回る安全性を達成し、その後も継続的に改善されることで実現されます。これは単なる技術的な進歩ではなく、人命を救うという社会的な使命を帯びた取り組みです。950万台以上の車両がネットワークに接続される予定であり、この規模での展開が、交通事故による死亡者数の劇的な削減につながると確信しています。
2. 第5次産業革命における女性の役割(パネルディスカッション)
登壇者: Rima Assi(モデレーター) McKinsey & Companyのシニアパートナー。第5次産業革命における女性の役割について、パネルディスカッションを主導。
François Barrault Digiworld Instituteの会長。1982年からAIに携わってきた経験を持ち、技術革新とビジネスの融合について深い知見を有する。特に女性の役割について、自身の取締役会での経験(男女同数の構成で最高の成果を達成)を基に積極的な意見を展開。
Adam Grosser UP.Partnersの会長兼マネージングパートナー。MITで女性がわずか8人(男性2,000人)だった時代に学んだ女性物理学者を母に持ち、その後キャリアの初期段階で女性物理学者をメンターとして持つなど、STEM分野における女性の活躍を支援してきた経験を持つ。
Ebru Özdemir Limak Holdingsの会長。土木技術者として、50人中5人(10%)という少数の女性エンジニアの一人として経験を積み、現在はインフラストラクチャー分野での女性エンジニアの育成に注力。サウジアラビアのPrincess Noura大学との協力など、具体的なプログラムを推進。
Edith Yeung Race Capitalのゼネラルパートナー。シリコンバレーを拠点に、エンタープライズインフラストラクチャーに特化した投資活動を行う。特にAIの発展がホワイトカラー職に与える影響について、実践的な知見を持つ。
2.1. AIの労働力への影響
2.1.1. ホワイトカラー職への影響拡大
Edith Yeung(Race Capitalゼネラルパートナー):シリコンバレーのRace Capitalでは、エンタープライズインフラストラクチャーに焦点を当てています。過去12ヶ月間で、私たちのもとに来るすべての企業がAIに関連するものとなっています。現在見られる大きな変化は、10年前のUberのような「Xのためのプラットフォーム」から、特定の役割に対する「コパイロット」へと移行していることです。
François Barrault(Digiworld Institute会長):私は、ホワイトカラー職への影響について、1982年からAIに関わってきた経験から見解を述べさせていただきます。AIは現在、朝から夜まで私たちの生活に浸透しています。これは単なるエコシステムではなく、ハードウェア、技術、通信技術、ソフトウェアの統合的な進化の結果です。これらのどれか一つでも欠ければ、システム全体が機能しなくなります。
Edith Yeung:特に注目すべきは、これまでブルーカラー職の代替が懸念されていましたが、ChatGPTの登場以降、その影響はホワイトカラー職にも急速に広がっています。数学の専門家でさえ、複雑な問題をChatGPTに入力すれば数秒で解答が得られる状況になっています。このような変化は、従来の職業の在り方を根本的に変えつつあります。
Ebru Özdemir(Limak Holding会長):エンジニアリング分野から見ると、この変化は非常に重要です。私たちの業界では女性が極めて少なく、例えば私が学んでいた時代は、50人中わずか5人(10%)しか女性がいませんでした。このAIの波を、むしろSTEM分野での女性の活躍を促進する機会として捉える必要があります。
2.1.2. マーケティング・営業分野での変化
Edith Yeung(Race Capitalゼネラルパートナー):私たちが日々目にしているのは、マーケティングや営業分野でのAIの急速な浸透です。特に注目すべきは、誰もが10倍以上の生産性を実現できる可能性です。これは単なる業務の効率化ではなく、AIエージェントを活用することで、一人で企業全体の機能を担えるような変革が起きています。
Adam Grosser(UP.Partners会長兼マネージングパートナー):私は、この変化について異なる見解を持っています。確かにAIは意思決定支援やプロセスの改善には大きな役割を果たしますが、物理的な世界に触れる仕事、例えば車の組み立てや建物の建設、公共芸術の創造などは、AIやソフトウェアだけでは実現できません。この境界線は現在非常に流動的であり、将来の機会を定義する重要な要素となるでしょう。
Edith Yeung:その通りですが、私が強調したいのは、今日では平均的なマーケターや営業担当者でも、AIツールを使用することで生産性を飛躍的に向上させることができるという点です。特に遠隔地での仕事において、名前や性別による先入観なしに、純粋な成果で評価される機会が増えています。
Ebru Özdemir(Limak Holding会長):私は、この変化を女性のエンパワーメントの機会として捉えています。技術的なスキルと感情的インテリジェンスを組み合わせることで、より効果的なマーケティングや営業活動が可能になります。ただし、そのためには適切なトレーニングとサポート体制の構築が不可欠です。
2.1.3. カスタマーサービス・法務分野での変革
Edith Yeung(Race Capitalゼネラルパートナー):私たちが投資先で観察しているのは、特にカスタマーサービスと法務分野での劇的な変化です。現在、あらゆる業界で、これらの分野に特化したAIコパイロットの開発が進んでいます。これは医療、製造業、ソフトウェア企業、フィンテックなど、業界を問わず広がっている現象です。
François Barrault(Digiworld Institute会長):私は、これらの変革がより広い文脈で捉えられるべきだと考えています。AIの進化により、タスク指向の仕事は徐々に自動化されていきますが、同時に感情、共感、ケアといった右脳的な機能がより重要になってきています。この点で、女性は非常に有利な立場にあります。
Edith Yeung:その通りです。しかし、私が特に懸念しているのは、多くの同僚や友人が「5年後に自分の仕事は存在しているのか」という不安を抱えていることです。コンプライアンスが必要ない業務から順次、AIによる代替が進んでいくことは避けられない現実です。
Adam Grosser(UP.Partners会長兼マネージングパートナー):私も付け加えたいのですが、確かにAIは意思決定支援において強力なツールとなりますが、最終的な判断や人間的な接触が必要な場面では、依然として人間の役割が重要です。特に法務分野では、AIは情報の整理や分析を支援するものの、複雑な判断や倫理的な決定は人間が行う必要があります。
2.2. STEM分野の課題
2.2.1. エンジニアリングでの女性比率
Ebru Özdemir(Limak Holding会長):私がインフラストラクチャー業界で経験してきた現実は、女性があまりに少ないということです。私が土木工学を学んでいた当時、クラスの50人中女性はわずか5人、つまり10%しかいませんでした。現在でも、私たちが大規模プロジェクトを世界中で展開する中で、エンジニアの女性比率は約5%程度に留まっています。この数字は、私たちが直面している深刻な課題を如実に示しています。
Adam Grosser(UP.Partners会長兼マネージングパートナー):私の最初のメンターは、MITに在籍していた時代、2,000人の男性学生に対してわずか8人しか女性がいなかった時代を経験した女性物理学者でした。現在、状況は改善されつつあり、例えばMITでは男女比が50:50になっています。私の娘が通う優れた大学でも、STEM分野の学生の30%が女性です。
Ebru Özdemir:その変化は歓迎すべきですが、まだ十分ではありません。特にプリンセス・ヌーラ大学のような世界最大の女子大学での私たちのグローバル・エンジニア・ガールズ・プロジェクトを通じて、素晴らしい女子学生たちと接する機会がありますが、彼女たちが業界に入ってくるまでには、まだ多くの障壁が存在しています。
François Barrault(Digiworld Institute会長):私の経験では、取締役会での男女比を意図的に同数にすることで、より良い結果が得られています。私の監督委員会では女性が男性を上回っていますが、これは最高の委員会となっています。この経験は、エンジニアリング分野でも同様の変革が必要であることを示唆しています。
2.2.2. パイプライン構築の重要性
Ebru Özdemir(Limak Holding会長):私たちが直面している最大の課題は、パイプラインが全く変化していないことです。科学や数学が得意な女子学生たちが、まだ十分に技術分野に進出できていない現状があります。多くの場合、家族や周囲の環境が、彼女たちを医師や教師になるよう導いてしまいます。このパイプラインの問題を解決しなければ、私たちは行政職や法律職と同じように、技術分野からも女性が消えていってしまう危険性があります。
Adam Grosser(UP.Partners会長兼マネージングパートナー):私の経験では、機会を少し増やすだけでも大きな変化をもたらすことができます。例えば、デューク大学の事例では、シリコンバレーでSTEM分野の仕事をする女性がいないという問題に直面していましたが、ただ単純に住宅の問題を解決するだけで、大きな変化が生まれました。
Ebru Özdemir:その通りです。私たちは特に中東地域で、インフラプロジェクトにおいてより多くの女性エンジニアを採用したいと考えていますが、このためには教育段階からのパイプライン構築が不可欠です。プリンセス・ヌーラ大学との協働は、まさにこのパイプライン構築の具体的な取り組みの一つです。
Edith Yeung(Race Capitalゼネラルパートナー):技術分野でのパイプライン構築には、AIの発展がむしろ追い風になる可能性があります。遠隔での仕事が増えることで、性別による偏見なく、純粋な能力で評価される機会が増えているからです。しかし、そのためにも早期段階からの教育と支援が重要です。
2.2.3. 教育システムの改革必要性
Ebru Özdemir(Limak Holding会長):現在の教育システムでは、女性が技術分野で成功するために必要な自信を育てることができていません。私たちの経験から、女性は科学や数学で優れた能力を持っているにもかかわらず、自身の能力を過小評価する傾向があります。教育システムは、技術的能力だけでなく、自己信頼を育む仕組みも必要です。
Adam Grosser(UP.Partners会長兼マネージングパートナー):私は少し違う視点から見ています。教育機関は、もっと積極的に機会を提供する必要があります。単に教育内容を変えるだけでなく、実践的な経験を積める場を作ることが重要です。シリコンバレーでの経験が示すように、実際の職場環境での経験が、教育効果を大きく高めます。
Edith Yeung(Race Capitalゼネラルパートナー):私は、AIの時代における教育改革の必要性を強調したいと思います。今や論理的思考とプロンプトエンジニアリングの能力が、コーディングスキル以上に重要になってきています。教育システムは、これらの新しいスキルセットを育成する方向に進化する必要があります。
François Barrault(Digiworld Institute会長):教育システムの改革には、若い才能の早期発掘と育成も含まれるべきです。私の経験では、若い女性たちは自己プロモーションが苦手な傾向にあります。「あなたが受けるべきものを得るのではなく、交渉したものを得る」という現実を考慮した教育アプローチが必要です。
2.3. 成功事例と解決策
2.3.1. Duke女性奨学生プログラム
Adam Grosser(UP.Partners会長兼マネージングパートナー):デューク大学の取締役会から相談を受けたとき、シリコンバレーでSTEM分野で働くデューク大学出身の女性が全くいないという問題に直面していました。そこで私たちは「Duke Women Scholars」というプログラムを立ち上げ、最初の年は2人の女性をシリコンバレーに招きました。
Ebru Özdemir(Limak Holding会長):それは興味深い取り組みですね。私たちも同様の課題に直面していますが、具体的にはどのような成果が得られたのでしょうか?
Adam Grosser:実は、最大の障壁は技術的なものではありませんでした。ベイエリアの高額な住居費が主な障壁だったのです。そこで、デューク大学の同窓生に働きかけ、夏季インターンシップ期間中の住居を提供してもらうことにしました。その結果、現在では150人以上の女性がこのプログラムに参加し、Google、Apple、そして様々なスタートアップ企業で活躍しています。プログラムは大きな成功を収めています。
Edith Yeung(Race Capitalゼネラルパートナー):このような具体的な解決策は、技術分野での女性の活躍を促進する上で非常に重要です。特に、実践的な経験を積める機会を提供することは、単なる教育以上の価値があります。シリコンバレーの実際の職場環境に触れることで、参加者たちは自信を持ち、より大きな目標に向かって進むことができるようになります。
2.3.2. ロールモデルの育成
Ebru Özdemir(Limak Holding会長):私たちは、技術分野でのロールモデル不足が深刻な問題だと認識しています。成功している女性エンジニアは確かに存在しますが、その数が限られているため、影響力を広げていく必要があります。特に中東地域では、実際に成功を収めている女性エンジニアの存在を示すことが、若い世代の意欲向上に直接つながります。
Adam Grosser(UP.Partners会長兼マネージングパートナー):私の最初のメンターは、MITで8人しか女性がいなかった時代に物理学を学んだ女性でした。その後、私の最初の技術メンターも女性の物理学者でした。このような先駆者たちの存在が、現在のSTEM分野での女性の活躍を支える基盤となっています。
Ebru Özdemir:その通りです。私たちのグローバル・エンジニア・ガールズ・プロジェクトでは、プリンセス・ヌーラ大学の学生たちに、実際に成功している女性エンジニアとの交流機会を提供しています。技術的な能力があることを示すだけでなく、女性がエンジニアとして成功できることを実例で示すことが重要です。
François Barrault(Digiworld Institute会長):私の経験からも、才能のある若い女性たちを特定し、その成長を支援することが極めて重要だと感じています。ただし、単に機会を提供するだけでなく、交渉力や自己主張の能力も含めた総合的な育成が必要です。
2.3.3. シスターフッドの構築
Ebru Özdemir(Limak Holding会長):私たちが直面している大きな課題の一つは、職場でのシスターフッドの欠如です。男性は互いに支援し合う傾向がありますが、女性の場合、そのような相互支援の文化がまだ十分に確立されていません。インフラ業界で30年以上働いてきた経験から、この課題は特に技術分野で顕著だと感じています。
Edith Yeung(Race Capitalゼネラルパートナー):私もその観察に同意します。男性が集まると、それは往々にしてエンパワーメントとは異なる方向の会話になりがちです。一方、女性が集まる場合、互いを支援し合おうとする傾向が強く、これは大きな強みとなり得ます。
Ebru Özdemir:その通りです。そのため、私たちは意図的にシスターフッドを構築する取り組みを行っています。プリンセス・ヌーラ大学での取り組みでは、技術的なスキルの向上だけでなく、女性同士のネットワーク構築も重要な要素として位置づけています。
François Barrault(Digiworld Institute会長):私の取締役会での経験からも、意図的な取り組みの重要性を実感しています。男女同数の取締役構成を実現し、さらに監督委員会では女性が多数を占めていますが、これにより会議の質が向上し、より良い意思決定が可能になっています。シスターフッドの構築は、単なる支援ネットワークではなく、組織全体のパフォーマンス向上にも貢献するのです。
2.4. AIにおける女性の貢献
2.4.1. トレーニングデータの多様性
Edith Yeung(Race Capitalゼネラルパートナー):私たちは、AIのトレーニングデータにおける女性の視点の重要性を強く認識しています。通常、女性はより懐疑的な視点を持っており、それはAIの開発において非常に重要です。特に、大規模言語モデルのトレーニングデータに女性の声が反映されることは、バランスの取れたAIの開発に不可欠です。
François Barrault(Digiworld Institute会長):私も同意見です。AIの発展において、右脳的な機能、つまり感情、共感、ケアといった要素がますます重要になってきています。これらの分野で女性は特に優れた視点を持っており、その貢献は非常に重要です。
Edith Yeung:実際の例を挙げると、最近Microsoftが発表した研究では、Redditのデータを除外することで、LLMの応答がより適切になることが示されています。これは、トレーニングデータの多様性とバランスが、AIの出力の質に直接影響を与えることを示しています。
Ebru Özdemir(Limak Holding会長):私たちの経験からも、15-16歳程度の発達段階にあると言われる現在のLLMには、ティーンエイジャーの男子の視点だけでなく、女子の視点も必要です。特に、思いやりや共感といった要素を組み込むためには、女性の視点からのトレーニングデータが不可欠です。
2.4.2. プライバシーポリシーへの参画
Edith Yeung(Race Capitalのゼネラルパートナー):「私たち女性は通常、物事に対してより懐疑的なアプローチを取りますが、それは大きな強みになります。LLMのトレーニングデータに女性の視点が確実に含まれるようにする必要があります。私たちはデータプライバシーポリシーの策定に積極的に参画し、このAIの『脳』が適切に訓練されることを確保しなければなりません。」
François Barrault(Digiworld Institute会長):「その通りです。私の経験では、取締役会で男女同数の構成を実現したところ、最高の成果を上げることができました。プライバシーに関する議論においても、女性役員は特に慎重かつ建設的な視点を提供してくれます。」
Ebru Özdemir(Limak Holdings会長):「私たちは単にデータポリシーを監視するだけでなく、積極的に方向性を示していく必要があります。私の会社では、エンジニアリング分野でジェンダーバランスの改善に取り組んでいますが、同様にAIの開発においても、プライバシーの観点から女性の声を反映させることが重要です。」
Race CapitalのYeungは、特に15-16歳相当とされる現在のLLMのトレーニングにおいて、「ティーンエイジャーの男子の視点だけでなく、女子の視点も同様に重要」と強調。プライバシーポリシーの策定過程に女性が参画することで、より共感性の高い、バランスの取れたAIの開発が可能になると指摘しています。これはMicrosoftの最近の研究でも、特定のソーシャルメディアプラットフォームのデータを除外することで、AIの応答がより適切になったという結果とも整合性があります。
2.4.3. 倫理的な AI 開発への視点
Edith Yeung(Race Capital):「AIの倫理的な開発において、女性の視点は不可欠です。現在のLLMの多くは、サンフランシスコベイエリアで開発されており、その地域の価値観が強く反映されています。例えば、Google Geminiの初期の応答では、『ミスジェンダリング』と『核戦争』の深刻度を比較した際に、明らかに倫理的判断を誤る結果となりました。私たちは、このようなAIの倫理的な偏りを正すため、開発段階から積極的に関与していく必要があります。」
François Barrault(Digiworld Institute):「その通りです。将来的には、人間の右脳的な機能の多くが機械に委ねられていくでしょう。しかし、共感性、感情、ケアといった領域では、女性が持つ特有の視点が非常に重要になってきます。特に医療分野では、テクノロジーと人間性のバランスが重要で、女性の視点がより良い成果をもたらすと確信しています。」
Ebru Özdemir(Limak Holdings):「私たちの経験から、技術的な能力だけでなく、感情的知性も重要です。サウジアラビアのPrincess Noura大学での取り組みでは、女性エンジニアたちが技術的な側面だけでなく、倫理的な考慮も含めた総合的なアプローチを実践しています。このような事例は、AIの倫理的開発における女性の重要性を示しています。」
Adam Grosser(UP.Partners):「私も同意見です。MITの例を挙げると、現在では男女比が50:50になっています。このような多様性は、AIの倫理的な開発において極めて重要です。技術的な能力と倫理的な判断の両方を備えた人材を育成することが、今後のAI開発の鍵となるでしょう。」
このように、AIの倫理的な開発において、女性の参画は単なる多様性の問題ではなく、より優れたAIシステムを構築するための本質的な要素として認識されています。特に、人間性とテクノロジーのバランス、倫理的判断、共感性の観点から、女性の視点を積極的に取り入れていく必要性が強調されています。
3. お金・真実・権力に関する討論
登壇者: John Donvan(モデレーター) Open to Debate のモデレーター主任。異なる視点を持つ知的リーダーたちの議論を、文明的かつ建設的な形で進行。3つのテーマ(お金、真実、権力)について、各テーマ2名のスピーカーによる短時間での議論を主導。
Dr. Saifedean Ammous 経済学者、ベストセラー作家。最新著書は「Principles of Economics」。ビットコインと従来の通貨システムに関する深い知見を持ち、特にビットコインの価値保存機能と経済的意義について専門的な視点を提供。
Robert Rosenkranz Delphi Capital Management会長。Open to Debateの創設者兼会長も務める。伝統的な金融システムの視点から、ビットコインの通貨としての問題点を指摘。
Sir Martin Sorrell S4 Capital Groupの創設者兼エグゼクティブ会長。AIと真実の関係について、特にデータの質と大手テクノロジー企業の役割の観点から議論を展開。
Xenia Wickett Wickett Advisoryの創設者。エグゼクティブコーチおよび国際アドバイザーとして、AIによる真実への影響について独自の視点を提供。
Dr. Jacques Attali Attali Associates会長。欧州復興開発銀行の初代総裁を務めた経験を持つ。テクノロジーと権力の関係、特にAIとバイオテクノロジーの融合がもたらすリスクについて警鐘を鳴らす。
Christian Angermayer Apeiron Investment Groupの創設者。政府規制とイノベーションの関係について、特に欧州の過剰規制に対する批判的な視点を提供。
3.1. 通貨の未来:ビットコイン vs フィアット
3.1.1. 通貨供給量と経済成長の関係
Dr. Saifedean Ammous(経済学者、ベストセラー作家):「過去15年間のビットコインの台頭は、政府が推進してきた通貨に関する2つの重要な神話を打ち砕きました。その第一が、経済活動の成長に合わせて通貨供給を拡大する必要があるという神話です。過去10年間を見ると、ビットコインの供給量は約50%しか増加していないにもかかわらず、ビットコイン経済の規模は約10,000%も成長しています。これは、通貨供給を増やすことなく、経済は十分に成長できることを実証しています。」
Robert Rosenkranz(Delphi Capital Management会長):「しかし、その論理には重大な欠陥があります。ビットコインの価値は、ピカソの絵画のように単に供給が限られているだけです。供給制限があることは、それが優れた通貨であることを意味しません。政府は、法定通貨を法的な支払い手段として定め、税金の支払いを可能にすることで、その価値を確立しているのです。」
Dr. Ammous:「あなたの主張は、政府が通貨を選択するという二つ目の神話に基づいています。しかし歴史を見れば、金は世界のすべての政府よりも古い通貨として存在していました。政府は市場が選択した通貨を受け入れざるを得なかったのです。現在、ビットコインは世界で10番目に大きな通貨となっていますが、これは国家の承認なしに達成されました。」
この議論は、通貨供給量と経済成長の関係について、従来の経済理論とビットコインが示す新たな可能性との対立を浮き彫りにしています。Dr. Ammousは、固定供給のビットコインの成功が、通貨供給拡大の必要性という従来の経済理論に疑問を投げかけていると主張する一方、Rosenkranzは、通貨の価値は政府の法的承認に基づくものだと反論しています。
3.1.2. 価値保存機能の比較
Robert Rosenkranz(Delphi Capital Management会長):「通貨として機能するためには、3つの基準を満たす必要があります。価値の保存機能、信頼できる仲介者の存在、そして取引の容易さです。ビットコインはこれらすべての点で著しく失敗しています。価値の保存という観点では、2011年以降、ビットコインは4回にわたって80%以上の価値を失っています。確かに法定通貨も時間とともに価値が低下しますが、それは通常、利子収入によって相殺されます。」
Dr. Saifedean Ammous(経済学者):「その分析は表面的です。たとえ80%の価値の下落があったとしても、ビットコインは過去5-10年間、あらゆる金融資産をアウトパフォームしています。実際、過去5-10年間でビットコインの単純な購入と保有を上回るパフォーマンスを達成した資産運用マネージャーは存在しません。なぜでしょうか?それは、彼らが価値が常に低下するように設計された通貨システムの中でゲームをプレイしているからです。通貨の価値が維持されず、現状を維持するためにも常に走り続けなければならない状況なのです。」
Rosenkranz:「しかし、供給が限られているという事実だけで、それが優れた通貨になるわけではありません。ピカソの絵画も供給は限られていますが、だからといってそれが通貨になるわけではありません。さらに、ビットコインの匿名性は、ランサムウェアの支払い、麻薬取引、テロリストネットワークへの資金提供など、不正な活動を可能にしています。政府は税金の支払いや債務の決済手段として法定通貨を確立することで、その価値を保証しているのです。」
この議論は、価値保存機能に関する従来の経済理論とビットコインの実績との対立を鮮明に示しています。Rosenkranzが伝統的な金融システムの安定性と制度的保証を強調する一方、Dr. Ammousは、固定供給のビットコインが長期的に優れた価値保存手段となっていることを実績で示そうとしています。
3.1.3. 取引効率とエネルギー消費
Robert Rosenkranz(Delphi Capital Management会長):「取引の効率性という観点から見ると、ビットコインの問題点は明らかです。例えば、MasterCardは2分間で30万件の取引を処理できます。一方、ビットコインの台帳は同じ30万件の取引を処理するのに丸一日を要します。さらに深刻なのは、その処理にポーランド一国の電力使用量に匹敵するエネルギーを消費するという、信じられないほどの非効率性です。これは持続可能な通貨システムとは言えません。」
Dr. Saifedean Ammous(経済学者):「それは誤った比較です。私の著書で詳しく説明していますが、ビットコインは単なる支払いシステムではありません。MasterCardの取引と比較すること自体が的外れです。ビットコインは最終決済プラットフォームとして機能します。また、取引所に関する懸念についても、ビットコインの本質を理解していません。ビットコインの真の強みは、取引所を必要としないことにあります。暗号技術と数学に基づいて、各個人が自分の通貨を完全にコントロールでき、誰もそれを奪うことができないのです。」
Rosenkranz:「しかし、その匿名性こそが問題です。ビットコインの匿名性は、ランサムウェアの支払いや麻薬取引、テロ組織への資金提供といった不正な活動を可能にしています。政府には、このような通貨を規制するか禁止する十分な理由があります。結論として、ビットコインは通貨ではありませんし、将来も通貨になることはないでしょう。」
この議論は、通貨システムの効率性と安全性に関する根本的な見解の相違を表しています。Rosenkranzが取引処理速度とエネルギー効率の観点から従来の決済システムの優位性を主張する一方、Dr. Ammousは、ビットコインを単なる決済手段ではなく、個人の金融主権を保証する新しい経済システムとして捉えるべきだと主張しています。
3.2. AIと真実の本質
3.2.1. データの質と管理責任
Sir Martin Sorrell(S4 Capital Group創設者兼会長):「AIやAGIの本質を理解する上で、最も重要なのは『ガーベージ・イン・ガーベージ・アウト』の原則です。AIモデルに供給されるデータの質が絶対的に重要です。そのデータの管理と影響力の所在が、今後の重要な課題となります。現在、データの大部分は巨大企業によって提供されています。これらの企業の市場価値をGDPに換算すると、時価総額3兆ドルの企業はフランスやドイツ、イタリア、スペイン、あるいはイギリスに匹敵する規模となります。こうした『国家規模の企業』が、データの収集、取り込み、使用方法に関して莫大な責任を負うことになるのです。」
Xenia Wickett(Wickett Advisory創設者):「しかし、真実とは客観的で不変の存在です。AIはそれを歪めたり操作したりする可能性はありますが、根本的な事実を変えることはできません。例えば、連合国が第二次世界大戦で勝利したという事実や、2+2=4という真理は、データの質や管理方法に関係なく、常に真実として存在します。」
Sir Martin:「その認識は甘いと言わざるを得ません。新聞界の大物たちは常に真実に影響を与えてきました。現在の米国選挙でも、メディアオーナーたちは候補者を支持するか否かによって、世論に影響を与えています。月面着陸を例に挙げられましたが、それが映画のセットで撮影されたものだと信じている人々も存在するのです。残念ながら、AIやAGIの文脈では、悪意のある行為者が存在し、そうした者たちによる不適切な影響力の行使を制御または阻止する必要があります。」
この議論は、データの質と管理責任に関する根本的な見解の相違を浮き彫りにしています。Sir Martinがデータの質とその管理の重要性を強調する一方、Wickettは真実の不変性を主張し、AIによるデータ操作の影響は表面的なものに過ぎないと反論しています。この対立は、デジタル時代における「真実」の本質に関する深い問いを投げかけています。
3.2.2. 大手テクノロジー企業の役割
Sir Martin Sorrell(S4 Capital Group創設者):「大手テクノロジー企業の役割と責任は、今後ますます重要になっていきます。これらの企業は事実上、一つの国家に匹敵する規模の存在となっています。時価総額3兆ドル規模の企業は、フランスやドイツといった主要国のGDPに匹敵する経済力を持っています。このような巨大企業は、データの収集、処理、活用に関して、これまでにない責任を負うことになります。特に重要なのは、これらの企業がAIの開発に必要な莫大な資本需要、特にエネルギーやコンピューティングパワーに関する投資を担っていることです。」
Xenia Wickett(Wickett Advisory):「しかし、テクノロジー企業がどれだけ巨大化しようとも、彼らは真実そのものを変えることはできません。技術は真実へのアクセス方法を変えることはできても、真実の本質を変えることはできません。歴史を振り返れば、印刷機やインターネット、ソーシャルメディアなど、それぞれの時代の技術革新が真実へのアクセス方法を変えてきましたが、真実そのものは不変でした。」
Sir Martin:「しかし、現実の世界では、特に東ヨーロッパや中東での現在の紛争に見られるように、ソーシャルメディアを通じて『真実』は様々な形で影響を受けています。大手テクノロジー企業は、自社のプラットフォームを通じて、意図的であれ非意図的であれ、人々の真実の認識に大きな影響を与えているのです。そのため、これらの企業には政府との協力の下で、適切な自主規制を行う責任があります。政府の規制当局は、これらの企業の動きに追いつくだけの能力や資源を持ち合わせていないのが現状です。」
この議論は、デジタル時代における真実の性質と、それを形作る上での大手テクノロジー企業の役割について、根本的な見解の相違を示しています。巨大テクノロジー企業の影響力とその責任について、より深い議論が必要とされています。
3.2.3. 規制と自主規制のバランス
Sir Martin Sorrell(S4 Capital Group):「テクノロジー企業の規制において最も重要なのは、自主規制と政府との協力関係です。なぜなら、政府機関には、これらの巨大企業が持つような能力やリソース、専門知識がないからです。規制当局は、これらの企業の進化のスピードについていけません。特に、エネルギーやコンピューティングパワーに関する莫大な資本需要を考えると、政府による直接的な規制には限界があります。AT&Tタイプの分割や、かつての石油産業で見られたような規制の破滅的なシナリオを避けるためにも、政府とテクノロジー企業の協力的な自主規制が不可欠です。」
Xenia Wickett(Wickett Advisory):「しかし、自主規制に過度に依存することには危険が伴います。AIは真実を歪めたり、誤った情報を生成したりする可能性がありますが、根底にある事実自体は変えることができません。技術がどれだけ進歩しても、真実へのアクセス方法が変わるだけで、真実そのものは不変です。この観点から、一定の規制の枠組みは必要不可欠です。」
Sir Martin:「その通りですが、現実を見てください。現在の紛争地域では、ソーシャルメディアを通じて真実が様々な形で歪められています。悪意のある行為者による影響を制御するためには、政府による規制だけでは不十分です。テクノロジー企業自身が、自社のプラットフォームでの情報の流れを適切に管理する必要があります。これは、規制と自主規制のバランスを取りながら、効果的なガバナンスを確立することの重要性を示しています。」
この議論は、急速に進化するテクノロジー産業において、従来型の政府規制と企業の自主規制のバランスをいかに取るべきかという本質的な問題を提起しています。特に、真実の性質とその保護について、異なる視点からのアプローチが必要とされています。
3.3. テクノロジーと権力構造
3.3.1. 政府規制とイノベーション
Christian Angermayer(Apeiron Investment Group創設者):「政府規制とイノベーションの関係について、一つの重要な観点を提起したいと思います。ドイツ人として、私が朝目覚めて最も恐れるのは、テクノロジー企業やイーロン・マスクではなく、政府が税金で私の財産を奪うことです。ロシアに住んでいれば、Googleを恐れるのではなく、政府が新たな戦争を始めることを恐れるでしょう。世界的に見て、私たちは政府の専制に対して過度に寛容になりすぎています。」
Dr. Jacques Attali(Attali Associates会長):「その観点は理解できますが、バランスが重要です。テクノロジーは確かに不可欠です。今日の生活水準の向上、平均寿命の延伸、私たちの周りにあるすべての利便性は、テクノロジーなしには実現できませんでした。しかし、テクノロジーは単なるツールであり、それ自体が価値ではありません。最悪の場合にも最善の場合にも使用できるのです。」
Angermayer:「その通りですが、政府の過剰規制がイノベーションを阻害している現状を見てください。例えばヨーロッパ連合を見てください。最近の主要な規制と言えば、ペットボトルのキャップを完全に取り外せないようにするものでした。一方で、イーロン・マスクはロケットを宇宙に打ち上げ、安全に地球に帰還させています。より多くの規制緩和された起業家精神が必要です。」
Dr. Attali:「ヨーロッパの例は、確かに規制過剰の一例かもしれません。しかし、市場と規制のバランスは依然として重要です。市場は技術を発展させるのに適していますが、政府が適切な環境を整備しない限り、技術は繁栄できません。特に、AIのような新技術に関しては、適切な規制の枠組みが不可欠です。」
この議論は、イノベーションを促進しながら、同時に社会の安全と秩序を維持するという、政府規制の複雑な役割を浮き彫りにしています。特に、急速に発展するテクノロジー分野において、この課題は一層重要性を増しています。
3.3.2. 国際協力の必要性
Dr. Jacques Attali(Attali Associates会長):「AIやバイオテクノロジーなどの新技術に関して、世界規模での規制の枠組みが必須です。特にAIは人類を破滅させる可能性があり、この脅威に対して国際的な規制の枠組みを早急に構築する必要があります。私たちは国際的な憲章を策定し、AIを制御する仕組みを確立しなければなりません。」
Christian Angermayer(Apeiron Investment Group):「確かに国際協力は重要ですが、それは官僚的な規制ではなく、より実践的なアプローチが必要です。ここサウジアラビアや、例えばルワンダなどでは、イーロン・マスクのような起業家精神を模範としています。ヨーロッパ連合型の過度な規制は、むしろ侮辱的とさえ見なされています。」
Dr. Attali:「しかし、AIとバイオテクノロジーの融合は、人類に対する深刻な脅威となる可能性があります。この30年間、私たちはこの分野での規制の必要性を認識してきました。政府の専門家と市場参加者が協力して、次世代の利益を考慮した規制の枠組みを構築する必要があります。これは一国だけでは解決できない課題です。」
Angermayer:「その点には同意します。完全な規制緩和ではなく、バランスの取れたアプローチが必要です。特にAIに関しては、真実の歪曲や操作の可能性があるため、賢明な規制が必要です。ただし、それは革新を阻害するものであってはなりません。むしろ、国際協力を通じて、イノベーションを促進しながら、適切な安全策を講じることが重要です。」
この議論は、急速に発展する技術革新と、それに対する国際的な規制の枠組みの必要性のバランスをどう取るかという、現代の重要な課題を浮き彫りにしています。特に、AIやバイオテクノロジーのような革新的技術が持つ潜在的なリスクに対して、効果的な国際協力の仕組みをいかに構築するかが重要な論点となっています。
3.3.3. バイオテクノロジーとAIの融合リスク
Dr. Jacques Attali(Attali Associates会長):「バイオテクノロジーとAIの融合は、人類にとって最も深刻な脅威の一つとなる可能性があります。AIだけでも人類を破壊する可能性があるのに、バイオテクノロジーとの組み合わせは更なるリスクをもたらします。過去30年間、私たちはこの分野での規制の必要性を認識してきましたが、十分な対策が取られていません。」
Christian Angermayer(Apeiron Investment Group):「私も、AIとバイオテクノロジーの分野こそ、最も慎重な規制が必要だと考えています。他の分野では規制緩和を支持していますが、この分野は例外です。なぜなら、真実の歪曲や操作の可能性が最も高く、その影響が取り返しのつかないものとなる可能性があるからです。」
Dr. Attali:「この問題に対処するためには、研究者、政府の専門家、市場参加者が協力して、明確な国際的な規制の枠組みを構築する必要があります。私の夢は、テクノロジー企業と政府が次世代の利益のために協力し、共通の未来を構築することです。両者が持続可能な社会の実現に向けて、健康、教育、文化、リサイクル、再生可能エネルギーなどの分野で協力することが重要です。」
このように、バイオテクノロジーとAIの融合がもたらすリスクについては、通常は規制に慎重な立場をとる識者たちも、厳格な規制と国際協力の必要性を認めています。これは、この技術の融合が持つ潜在的な危険性の大きさを示唆しています。また、このリスクに対処するためには、単なる規制だけでなく、持続可能な社会の実現に向けた包括的なアプローチが必要とされています。