このレポートは東京都の『東京の川を考えるシンポジウム2024 前編』『東京の川を考えるシンポジウム2024 後編』の動画を元に東京都の政策PRが出来る記事のデモとしてまとめました。
はじめに
1. シンポジウム開催の背景
東京都知事の小池百合子は、冒頭のビデオメッセージで次のように述べています。
「7月は河川愛護月間です。今回は潤いと賑わいのある水辺空間の創出に焦点を当てております。東京の川はかつて人や物を運ぶ船が行き交い、賑わいと活気に満ち溢れていました。東洋のベネチアと称されるほど水辺を中心に栄えてきたのが、この東京なんですね。近年、生活に憩いや安らぎ、楽しさを求めるニーズは一層高まっています。水辺空間は都市の貴重なオープンスペースです。」
この言葉が示すように、東京の川は都市の発展を支えてきた重要なインフラであると同時に、都民の生活に潤いをもたらす貴重な資源でもあります。
しかし、気候変動の影響により、数十年に1度と言われる豪雨災害が世界各地で発生しています。一見安全に見える川も、大雨が降ると様相を一変させることがあります。このような状況下で、川の性質や潜む危険を十分理解した上で、安全・安心に楽しむことが求められています。
2. 東京都の河川政策の方向性
東京都は、住民の生活を守りながら川の魅力を最大限に引き出す取り組みを進めています。具体的には、隅田川を中心にスーパー堤防やテラスを整備し、オープンカフェなども設置するなど、水辺空間の活用を推進しています。
同時に、気候変動による災害リスクの増大に対応するため、治水対策も強化しています。花井建設局長が述べたように、「7月20日から21日にかけての豪雨では、奥多摩町における時間雨量77mmをはじめ、都内各所で50mmを超える非常に激しい雨が降り、白子川などでは氾濫危険情報が発表されました。幸いにして、これまで整備してきた調節池などが着実に効果を発揮し、河川の氾濫には至りませんでした。」
3. 開催概要
本シンポジウムは、2024年7月24日に都民ホールで開催され、オンラインでも同時配信されました。「潤いと賑わいのある水辺空間の創出」をテーマに、以下の二名の専門家による講演が行われました。
基調講演では、政策研究大学院大学教授の知花武佳氏が「川を知り、川に関心を持って、川を見て、そして川と関わる」と題して、東京の川の地理的特性や歴史的背景、そして今後の活用可能性について講演しました。知花氏は、河川工学の専門家として、特に都市における川の役割と安全な活用方法について研究を重ねてきました。
特別講演では、気象予報士・防災士の片山美紀氏が「川と安全に付き合うために 増加する気象災害から命を守る方法」について講演しました。片山氏は、NHKの気象情報番組に定期的に出演し、気象災害から命を守るための情報発信を行っている専門家です。
本シンポジウムは、都民の皆様に川を知り、考えるきっかけを提供し、安全で豊かな水辺空間の創出に向けた理解を深めることを目指して開催されました。
第1章 都民の誇りとなる東京の川
1. 東京の川の多様性と特徴
知花教授は、東京の川の多様性について、次のように説明しています:
「東京の川について考えるということなんですが、東京の川と言われて皆さんがイメージする川ってどんな川でしょうか。結構違うんじゃないでしょうか。」
5つの地形区分による川の特性
東京の川は、地形的特徴から大きく5つに分類されます:
- 山の川 「1番西の山の川、ざっくり言うとこの青梅、五日市、高尾の辺りをまっすぐ縦の線で引いていただいてその西の川、これ山の川です。」
- 多摩川本流 「次大事な線になってくるのが多摩川です。」
- 丘陵地の川 「多摩川の南そして山の川の東側にあるのが丘陵地の川。丘陵地の川だけじゃないんですけれども、穏やかな山の中を流れる川です。」
- 武蔵野台地の川 「多摩川よりその北、北であり東ですね。1番いいのが京浜東北線、これに挟まれているところがいわゆる武蔵の台地になりますので台地を流れる川です。」
- 低地の川 「京浜東北線より東側、これが低地の川です。」
それぞれの川が持つ魅力
各地域の川には、その地形に応じた特徴的な魅力があります。例えば、山の川について知花教授は次のように述べています:
「御岳渓谷の辺り、これも東京都ももちろん東京都の川です。これは休日にハイキングに行ったり、あるいはカヌーをしたり、こういった顔を想像される方もいるかもしれません。」
特に山地と丘陵地の違いについて、教授は地質学的な観点から興味深い説明を加えています:
「山と言った時の岩は硬い岩です。丘陵地って言ったのは比較的年代が若い、若いって言っても100万年とかですよ。100万年オーダーでできた岩ですので削れちゃうんです。」
東京の発展と川の歴史
東京の川は都市の発展とともに変化してきました。玉川上水について知花教授は次のように説明しています:
「玉川上水というのはもちろん川ではなくて、1653年に正徳・清徳の兄弟が四谷までこうずっと水を引いたわけなんですけれども。土木技術的な、あるいはブラタモリみたいなのが好きな方から言うと、これ2‰なんです。1/500勾配、1/500勾配でほぼ一定でいっています。なんでかと言うとそうしないと四谷まで到達しないんですね。」
このような精緻な技術は、当時としては驚異的なものでした。教授は「すごい技術ですよね」と評価しています。
東京の川は、このように地形的な多様性を持ちながら、それぞれが独自の特徴と魅力を備えています。こうした多様性こそが、東京の水辺空間の豊かさを生み出す源となっているのです。
2. 東京都の河川整備実績
スーパー堤防と水辺空間の整備
小池都知事は、東京の川の整備について次のように述べています: 「東京都は隅田川を中心にスーパー堤防やテラスを整備しておりまして、オープンカフェなども設置されています。」
これらの整備は、防災機能の向上と水辺空間の活用を両立させる取り組みとして進められています。
調節地の整備効果
花井建設局長は、最近の豪雨への対応について、具体的な事例を挙げて調節地の効果を説明しています:
「7月20日から21日にかけての豪雨では、奥多摩町における時間雨量77mmをはじめまして、都内各所で50mmを超える非常に激しい雨が降り、白子川などでは氾濫危険情報が発表されました。幸いにいたしまして、これまで整備してまいりました調節池などが着実に効果を発揮いたしまして、河川の氾濫には至りませんでした。」
さらに、調節地の効果について次のように補足しています: 「氾濫危険情報が発表されていない石神井川や谷沢川などの河川におきましても、川から調節池に流入したことによりまして、河川の水位上昇を抑えることができました。」
地下調節池の先進的な取り組み
知花教授は、環状七号線地下調節池について次のように説明しています:
「一般向けの見学会やっているので、是非もし機会あればですね、皆さん行かれるといいかと思います。内径12.5mのトンネルがあってですね、ここに水が溜まるわけです。洗面所のあれと一緒ですね。ここに穴が空いていて、そこまで水が溜まるとそっから入るっていう、あれと同じ仕掛けになっています。」
これらの整備効果について、花井建設局長は次のように総括しています:
「しかし、さらに雨が降り続いておりましたら、内水による被害などが発生していたかもしれません。気候変動などに伴いまして、今後こういった豪雨はより頻繁に、そして強くなっていくことが予想されております。」
このように、東京都は着実に治水施設を整備し、その効果を発揮していますが、さらなる気候変動への対応を見据えた取り組みを継続しています。
3. 都民に親しまれる水辺づくり
知花教授は、水辺空間の活用について、水辺と人々の関わり方の変遷を踏まえながら説明しています。
水辺利用の現状と可能性
「近年生活に憩いや安らぎ、楽しさを求めるニーズは一層高まっています。水辺空間は都市の貴重なオープンスペースです」と小池都知事が指摘するように、東京の川は新たな価値を創出する場として注目されています。
知花教授は、学生との関わりから興味深い観察を共有しています:
「私は東京大学にいた時に、大学の1、2年生を相手に理想の川の絵を書いてくださいというのをよくやったんです。レポート始めた当初は、隅田川が大人気でした。隅田川というのは理想系だって言うんです。なんでだって言うと、東京都のその江戸の歴史を感じられる親水壁模様の護岸があるじゃないか。で川に近いところを歩けるじゃないか。」
水辺空間の整備と活用
水辺空間の整備について、知花教授は以下のような重要な視点を提示しています:
「近づけるところと近づけないところで見ているものが全然違うんです。水辺に近づかないところで何で評価してるかというと、ここの水が綺麗に見えるからいいんじゃないか。もうそれで評価が決まっちゃう。」
このような知見を活かし、東京都では以下のような整備方針を採用しています:
- 水辺への近づきやすさの確保
- 景観に配慮した護岸整備
- オープンカフェなどの賑わい施設の設置
イベント活用と地域との関わり
知花教授は、水辺の活用について次のような提言をしています:
「意外とその街道と川の交点、昔、舟の歌詞があったところというのは今も水辺の活動が活発な傾向にあります。やはりおじいさんとかから聞いているんでしょうね。そんな特徴もありますが、今やっぱりですね、河川管理者だけじゃなくて民間の力を得て、いい水辺を作ってもらえたらと思います。」
このように、歴史的な背景を活かしながら、新しい形での水辺の活用が進められています。都民の様々なニーズに応えながら、安全で魅力的な水辺空間を創出する取り組みが続けられているのです。
第2章 安全・安心を支える東京都の取り組み
1. 気象災害への備え
気象予報士・防災士の片山美紀氏は、近年の気象災害の特徴と、それに対する備えについて詳しく解説しています。
気象観測と予測システム
「今日の東京は本当に暑くなっていますけども、雷雨も起こっています。今日も午後中ですね、新宿で急に雨が降ってきたということがあったんですけども、これからの季節はそういった急な雨ですとか台風などの災害も増える季節です」と片山氏は指摘します。
特に警戒が必要な気象現象として、以下の3つが挙げられています:
- 局地的大雨(ゲリラ豪雨)
- 線状降水帯
- 台風
東京都の警戒態勢
花井建設局長は、最近の具体的な対応事例について説明しています:
「7月20日から21日にかけての豪雨では、奥多摩町における時間雨量77mmをはじめまして、都内各所で50mmを超える非常に激しい雨が降り、白子川などでは氾濫危険情報が発表されました。」
このような状況下での東京都の対応について、次のように述べています:
「これまで整備してまいりました調節池などが着実に効果を発揮いたしまして、河川の氾濫には至りませんでした。また、氾濫危険情報が発表されていない石神井川や谷沢川などの河川におきましても、川から調節池に流入したことによりまして、河川の水位上昇を抑えることができました。」
情報発信の体制
片山氏は、防災情報の活用について具体的なアドバイスを提供しています:
「気象情報の活用方法として、私たちが天気予報で使う言葉にも注目をしていただけますと幸いです。例えば『上空に寒気が入る』、これは先ほど積乱雲のできる仕組みのところで見ていただきましたけども、上空に寒気が入ってきて地上が温かいと大気の状態が不安定になってきて、雷雲が発達しやすくなります。」
さらに、重要な気象用語について次のように説明しています:
「湿った空気が流れ込む、これもですね急な雷雨がある時によく使っています。なぜかというと湿った空気というのは水蒸気をたくさん含んだ空気なんですけど、水蒸気というのは雨雲を作る元になるものですので、こういった言葉を使う時も危険です。」
このように、東京都は気象観測システムによる監視、迅速な対応体制の整備、そして都民への分かりやすい情報発信を通じて、気象災害への備えを強化しています。
2. 先進的な治水対策
地下調節池の整備と効果
知花教授は、環状七号線地下調節池について詳しく説明しています:
「一般向けの見学会やっているので、是非もし機会があればですね、皆さん行かれるといいかと思います。内径12.5mのトンネルがあってですね、ここに水が溜まるわけです。あのあれ洗面所のあれと一緒ですね。ここに穴が空いていて、そこまで水が溜まるとそっから入るっていう、あれと同じ仕掛けになっています。」
花井建設局長は、この調節池の実際の効果について、具体的な事例を挙げて説明しています:
「氾濫危険情報が発表されていない石神井川や谷沢川などの河川におきましても、川から調節池に流入したことによりまして、河川の水位上昇を抑えることができました。」
各河川での対策事例
河川の安全対策について、知花教授は以下のような分析を示しています:
「1度手を入れちゃった川っていうのはですね、元には戻らない。なんか手を入れ続けなきゃいけないという、なんかそういう運命にあります。どうしても掘っては埋め、掘っては埋めみたいな話です。」
花井建設局長は、この点について具体的な成果を報告しています:
「7月20日から21日にかけての豪雨では、奥多摩町における時間雨量77mmをはじめまして、都内各所で50mmを超える非常に激しい雨が降り、白子川などでは氾濫危険情報が発表されました。幸いにいたしまして、これまで整備してまいりました調節池などが着実に効果を発揮いたしまして、河川の氾濫には至りませんでした。」
最新技術の活用
知花教授は、浸水対策の新しい取り組みについて説明しています:
「カミソリ堤防、パラペット堤防、上そ堤防って聞いたことありますよね。このなんかこの垂直に立ってるあのコンクリート薄いペラペラの壁なんです。えっと軟弱地盤に、軽くて強いコンクリートの壁を立てた。」
さらに、こうした技術の歴史的背景にも触れています:
「これいつから誰が言い出したかというのはよく分かってなくて、この論文によると1984年の東京新聞都内版のカミソリ護岸というのが、なんかこの人たちが見つけた最初らしいんです。」
このように、東京都は伝統的な治水技術と最新の技術を組み合わせながら、効果的な治水対策を実施しています。特に、地下調節池のような大規模施設から個別の河川での対策まで、様々なレベルでの取り組みを進めることで、都民の安全を確保しています。
3. 都民の命を守る情報発信
水防災情報の提供システム
片山氏は、川の状況を確認する際の重要な注意点を示しています:
「川の様子は直接見に行かないということですね。意外にですね、川の様子を直接見に行ってそのまま流されてしまうということが、毎年のようにですね、全国のどこかでは起きることがあるんですよね。」
その上で、安全に川の状況を確認する方法として、以下のシステムを紹介しています:
「例えば川の防災情報というウェブサイトで確認できます。それから東京都水防チャンネルという動画チャンネルもありますので、これで川の様子がですねライブカメラで分かります。」
リアルタイム情報の活用
川の防災情報システムの具体的な使い方について、片山氏は次のように説明しています:
「国土交通省が運営するウェブサイトなんですけれども、地図があり、川の流れているイラストがあるんですけれども、自分の見たい川の近くにカーソルを当てます。カメラがついているところなどあるんですけれども、そこをクリックしてもらいますと現在の川の様子と、平常時の川の様子が分かるようになっているんですね。」
防災情報の理解促進
防災情報の理解を深めるため、片山氏は気象用語の意味についても丁寧に解説しています:
「私たちが天気予報で使う言葉にも注目をしていただけますと幸いです。『上空に強い寒気が入る』、『湿った空気が流れ込む』、『大気の状態が非常に不安定』、これはさっきの動画で見ていただいたように、上空に冷たくて重い空気が入っていて、地上で軽くて温かい空気が入っているそういった状態の時に使う言葉です。」
さらに、防災情報を正しく理解することの重要性について、次のように強調しています:
「特別警報って何なのかと言いますと、これはですね気象庁からの最後通告です。一言で言うともう最後のメッセージですよという意味です。ですので、この特別警報が発表された時点でまだ避難ができていないともう手遅れ、逃げ遅れになるということになってしまうんですね。」
このように、東京都は様々な手段を通じて防災情報を発信するとともに、その情報の意味を正しく理解してもらうための取り組みも進めています。これらの情報システムとその活用方法を知ることで、都民一人一人が自身の安全を守るための適切な判断を行うことができます。
第3章 都民と共に進める川づくり
1. 河川情報の入手方法
片山氏は、河川情報の入手方法について、具体的な活用例を交えながら解説しています。
川の防災情報の確認方法
「川の防災情報というウェブサイトで推移確認できます」と片山氏は説明し、その具体的な使い方について次のように解説しています:
「国土交通省が運営するウェブサイトなんですけれども、地図があり、川の流れているイラストがあるんですけれども、自分の見たい川の近くにカーソルを当てます。そうするとカメラがついているところなどあるんですけれども、そこをクリックしてもらいますと現在の川の様子と平常時の川の様子が分かるようになっているんですね。」
水防災チャンネルの活用
特に、リアルタイムでの状況確認について、片山氏は次のように述べています:
「東京都水防災チャンネルという動画チャンネルもありますので、これで川の様子がですねライブカメラで分かります。直接見に行かずにですね、こうしてライブカメラなど使っていただけると嬉しいです。」
ハザードマップの活用方法
ハザードマップの重要性について、片山氏は以下のように説明しています:
「重ねるハザードマップ、これをですね検索してもらえますと、まず出てくるのがこの日本付近の地図になります。ここにですねあの検索窓が上の方にあるんですけども、検索窓のところに自分の家の住所ですとか、職場の住所だったり、知りたい場所の名前をですね入れてください。」
さらに、具体的な確認方法について次のように続けています:
「災害の絵が書いているアイコンがあるんですけども、そこで知りたい災害のリスクのものを選んでください。洪水だったり、土砂災害、高潮、津波と色々あるんですけども、今回は洪水を選ばせてもらいます。」
そして、この情報の重要性について次のように強調しています:
「これからま川のそばで何かをしようという方は、まずですね事前にハザードマップを確認しておいてもらいたいなと思います。ハザードマップというのは、自宅ですとか職場などの周辺でどんな災害のリスクがあるのかというのを確認するための地図です。」
片山氏は、これらの情報システムを活用する際の重要なポイントとして、事前の確認と定期的な情報更新の必要性を挙げています。特に、上流の状況も含めた広域的な視点での情報確認の重要性を強調しています。
2. 地域での取り組み支援
知花教授は、水辺の活動と地域コミュニティの関係について詳しく説明しています。
水辺の楽校プログラムの展開
「子供の水辺というのはありますが、水辺の楽校と言った方が分かりやすいかもしれませんが、たくさん作られています。今もう全国で340箇所以上あるんです」と知花教授は説明します。
しかし、活動の継続性については課題もあることを指摘しています:
「ホームページだなんだを調べて、はっきりと活動されてるって分かるのって3割ぐらいなんですね。あとどうなったかよく分からないし、もうなんかやぶとかした元『水辺の楽校』みたいなところいっぱい見てきました。」
活動の継続性と成功要因
知花教授は、活動が継続する条件について、具体的な分析を示しています:
「どういうところでちゃんと活動が続いているのかというと、簡単なのは人口密度です。6,000人/平方kmって相当ですよね。だから要は東京だから、多摩川沿いの水辺の楽校なんてどこも活発で、こんなんだったらあんまり川幅のことなんか気にしなくていい。みんな工夫してあの手この手でやるので、あんまりいいんですけど、だんだんだんだんこう地方になっていくと活動しやすいところしかやらない。」
環境学習と地域との関わり
水辺の活動を通じた環境学習について、知花教授は次のような観点を示しています:
「街道と川の好転、その舟の歌詞があったところというのは今も水辺の活動が活発な傾向にあります。やはりおじいさんとかから聞いているんでしょうね。そんな特徴もありますが、今やっぱりですね、河川管理者だけじゃなくて民間の力をとお金で、いいの作ってですね、特にこういう低平地は低地だけじゃないですけどね、いい水辺を作ってもらえたらと思います。」
このように、水辺の活動は単なる環境学習の場としてだけでなく、地域の歴史や文化を継承する場としても重要な役割を果たしています。東京都は、この地域特性を活かした取り組みを支援することで、持続可能な水辺の活用を推進しています。
3. 安全な川の楽しみ方
片山氏と知花教授は、河川を安全に楽しむための具体的な注意点について説明しています。
季節による危険の変化
片山氏は、夏場の急な天候変化について警告しています:
「今の時期なぜこういった積乱雲の発生が多いのかというと、よく晴れていて日差しの力が強いですよね。なので地上が温められてしまって、どんどん上昇気流が発生しやすいので積乱雲ができやすくなる。」
家族でできる安全確認
知花教授は、川の安全を確認する具体的な方法を示しています:
「この水に浸かっていない部分の石って当然藻が付いてないから白いんですけれども、水に浸かってる部分って抹茶色なんですね。これ藻が付いてるんです。これ増水してない状態ですけれども、増水するとこの白い部分が水没し始めるんですね。そうなると、ああ普段より3cmぐらい上がってるなとか、ああ5cmぐらい上がってるなというのが分かるんです。」
緊急時の対応
片山氏は、危険が迫った際の対応について明確な指示を示しています:
「川の水が濁ってきたりですとか、枝が流れてきたりする時というのは川の流れが急激に変わってきていまして危険になっているサインになっています。どうしてもいなきゃいけない時はそれずっと見ててですね、今3cmか、でいいかと。でも5cmになった、7cmになったっていうと、もうじゃあ今日はやめちゃって帰ったりする。」
特に重要な注意点として、次のような指摘があります:
「皆さんもちろんこれていてくださってると思うんですけれども、意外にですね川の様子を直接見に行ってそのまま流されてしまうということが、毎年のようにですね、全国のどこかでは起きることがあるんですよね。」
また、上流の状況確認の重要性についても強調しています:
「自分がいるところが川の下流だったとしても、ここは天気が晴れているから大丈夫だということではなくてですね、川の上流の方で積乱雲が発達して大雨になっている時というのはですね、上流で降ったその雨が下流に流れてきて急に水かさが増える恐れがあります。」
これらの注意点を踏まえ、東京都は気象情報や河川の状況をリアルタイムで確認できるシステムを整備し、都民の安全な水辺活動をサポートしています。特に、直接の目視確認に頼らず、ライブカメラや水位計の情報を活用することを推奨しています。
第4章 未来に向けた東京の川づくり
1. 気候変動への適応策
花井建設局長は、気候変動に対する東京都の取り組みについて、次のように説明しています。
気候変動への対応
「気候変動などに伴いまして、今後こういった豪雨はより頻繁に、そして強くなっていくことが予想されております。身近に潜む水害リスクにつきまして十分に理解を深めていただきますとともに、安全・安心に川の利用を進めていただければと存じます。」
片山氏は、この状況について具体的なデータを示しながら説明しています:
「気温が上がっていって温暖化が進んでいくと、その空気中に含むことのできる水蒸気、雨雲の元になるものが増えていってしまうんですよね。で水蒸気が増えていくと当然のことながら雨雲が増えていきますので、発達しやすくなって大雨も増えるというわけなんです。」
総合的な治水対策
知花教授は、これまでの治水対策の実績を踏まえつつ、今後の展望について言及しています:
「私いろんな川見て思いますけど、1度手を入れちゃった川っていうのはですね、元には戻らない。なんか手を入れ続けなきゃいけないという、なんかそういう運命にあります。どうしても掘っては埋め、掘っては埋めみたいな話です。」
この認識のもと、東京都は以下のような総合的な治水対策を展開しています:
- 調節池の効果的な運用 花井建設局長は次のように報告しています: 「これまで整備してまいりました調節池などが着実に効果を発揮いたしまして、河川の氾濫には至りませんでした。また、氾濫危険情報が発表されていない石神井川や谷沢川などの河川におきましても、川から調節池に流入したことによりまして、河川の水位上昇を抑えることができました。」
- 流域全体での対策 片山氏は、上流域も含めた総合的な観点の重要性を指摘しています: 「下流が大丈夫でも、上流の方から大雨になって流れてくる水というのもありますので、上流も含めて知っておいてもらいたい。」
このように、東京都は気候変動による水害リスクの増大に対して、ハード・ソフト両面からの対策を進めています。特に、これまでの治水施設の整備効果を最大限に活かしながら、新たな気象条件に対応できる体制づくりを推進しています。
2. にぎわいのある水辺空間の創出
小池都知事は、水辺空間の新しい可能性について次のように述べています:
「近年、生活に憩いや安らぎ、楽しさを求めるニーズは一層高まっています。水辺空間は都市の貴重なオープンスペースです。東京都は隅田川を中心にスーパー堤防やテラスを整備しておりまして、オープンカフェなども設置されています。」
水辺のにぎわい創出事例
知花教授は、水辺空間の活用について興味深い観察を示しています:
「東京大学にいた時に、大学の1、2年生を相手に理想の川の絵を書いてくださいというのをよくやったんです。レポート始めた当初は、隅田川が大人気でした。なぜかって言うと、東京都のその江戸の歴史を感じられる親水壁模様の護岸があるじゃないか。で川に近いところを歩けるじゃないか。」
この観察は、水辺空間に対する若い世代のニーズを示唆しています。
民間活力の導入
知花教授は、水辺の活性化における民間の役割について次のように提言しています:
「今やっぱりですね、河川管理者だけじゃなくて民間の力を得て、いい水辺を作ってもらえたらと思います。」
特に、地域の歴史的背景を活かした取り組みの可能性について言及しています:
「街道と川の交点、昔、舟の歌詞があったところというのは今も水辺の活動が活発な傾向にあります。やはりおじいさんとかから聞いているんでしょうね。」
新しい水辺の過ごし方
水辺空間の活用について、知花教授は利用者の視点からの重要な指摘をしています:
「水辺に近づけるところと近づけないところで見ているものが全然違うんです。水辺に近づかないところで何で評価してるかというと、ここの水が綺麗に見えるからいいんじゃないか。もうそれで評価が決まっちゃう。」
この知見を活かし、東京都では以下のような方針で水辺空間の創出を進めています:
- 水辺への近づきやすさの確保
- 景観への配慮
- にぎわい施設の戦略的配置
- 地域の歴史や文化を活かした空間づくり
これらの取り組みにより、都民一人一人が自分なりの水辺との関わり方を見つけられる環境づくりを目指しています。
3. SDGsへの貢献
知花教授は、川の環境保全と活用の関係について具体的な事例を挙げながら説明しています。
生物多様性の保全
知花教授は、河川環境の重要性について次のように指摘しています:
「山の川でもすごく上流とちょっと緩いところで2種類あります。こうやってその山の川というのはとどの深みがあってですね、深みこう魚がこう待機してるんです。この早い流れに乗ってきて虫が落ちてきた虫とかをこうパクッと食べる。」
このような自然の営みを保全しながら、河川整備を進めることの重要性を強調しています。
環境に配慮した河川整備
河川環境の変化について、知花教授は次のような観察を示しています:
「川幅が日本一広い場所ね。この堤防から堤防ですから。意味あるんですよ、あれ水貯めるあの遊水地ですからね。あの遊水地じゃない、有効地ですからね。」
このように、治水機能と環境保全の両立を図りながら、河川整備を進めています。
持続可能な川づくり
花井建設局長は、持続可能な川づくりの方向性について次のように述べています:
「気候変動などに伴いまして、今後こういった豪雨はより頻繁に、そして強くなっていくことが予想されております。身近に潜む水害リスクにつきまして十分に理解を深めていただきますとともに、安全・安心に川の利用を進めていただければと存じます。」
知花教授は、この課題に対する具体的なアプローチについて言及しています:
「オーバーユースは困りますね。確かにあのバーベキューしまくってみんなが洗い物するとかそういうことされると困るんですけれども、特にこういう渓流とかになってくると人が来てくれないと道が荒れてだんだんだんだん行けなくなっちゃうんですね。野になったりとか。一定割はやっぱり使うっていうことも大事だなと思います。」
このように、東京都は以下の3つの視点で持続可能な川づくりを進めています:
- 生態系の保全と河川機能の両立
- 治水機能の確保と環境への配慮の調和
- 適切な利用促進による環境の維持管理
これらの取り組みを通じて、将来世代に向けて豊かな水辺環境を継承していくことを目指しています。
おわりに
1. 都民への期待とメッセージ
東京の川は、かつて「東洋のベネチア」と呼ばれるほど、水運を中心とした賑わいと活気に満ち溢れていました。江戸時代から現代に至るまで、川は東京の発展を支える重要な社会インフラとして機能してきました。現代においても、都民の生活に憩いや安らぎ、楽しさを提供する貴重な水辺空間として、その価値は一層高まっています。
しかし、近年の気候変動の影響により、数十年に1度と言われるような豪雨災害が世界各地で発生しています。一見安全に見える川も、大雨が降ると様相を一変させることがあります。このような状況下では、川の性質や潜む危険を十分に理解した上で、安全に楽しむことが重要です。特に、上流での降雨による水位上昇など、目に見えない危険に対する理解を深めることが必要です。
東京都では、隅田川を中心にスーパー堤防やテラスを整備し、オープンカフェなども設置するなど、都民が安全に楽しめる水辺空間の創出を進めています。同時に、最新の気象観測システムや情報発信体制を整備し、都民の安全確保に努めています。特に、水防災情報システムやライブカメラによる河川監視など、最新技術を活用した情報提供の充実に力を入れています。
2. 東京が目指す水辺の未来像
東京都は、治水対策と水辺空間の活用を両立させる取り組みを進めています。7月の豪雨では、奥多摩町で時間雨量77mmを記録するなど、各地で50mmを超える非常に激しい雨が観測されましたが、これまで整備してきた調節池が着実に効果を発揮し、河川の氾濫を防ぐことができました。白子川などでは氾濫危険情報が発表されましたが、調節池の効果により大きな被害を防ぐことができました。
加えて、石神井川や谷沢川など、氾濫危険情報が発表されていない河川においても、調節池への流入により水位上昇を抑制することができました。このように、これまでの治水対策は着実に効果を上げています。しかし、さらなる雨が降り続いていれば内水による被害が発生した可能性もあり、今後も対策の強化が必要です。
今後も気候変動の影響により、豪雨はより頻繁に、そしてより強くなることが予想されます。東京都は、このような変化に対応しながら、都民の皆様に安全・安心に川を利用していただけるよう、施設整備と情報提供の両面から取り組みを進めてまいります。特に、地下調節池などの治水施設の整備や、水防災情報の発信体制の強化を重点的に実施していきます。
本シンポジウムが、東京の川について考え、理解を深めるきっかけとなり、より多くの都民の皆様に水辺空間の魅力を感じていただける契機となることを期待しています。東京都は、世界に誇れる安全で魅力的な水辺空間の実現に向けて、今後も積極的に取り組みを進めてまいります。また、地域の皆様との協働による川づくりを推進し、次世代に向けて、より豊かで安全な水辺環境を創出してまいります。