※本レポートは、以下の3つの動画の内容を基に作成されています:
- 第214回国会における石破内閣総理大臣所信表明演説(令和6年10月4日)
- 衆院本会議 石破首相の所信表明演説に対する質疑(2024年10月7日)
- 10/7 玉木代表ぶら下がり(石破総理の所信表明に対する代表質問を終えて) 本レポートでは、これらの動画の内容を要約・分析しております。内容を正確に反映するよう努めておりますが、要約や解釈による誤りがある可能性もございます。正確な情報や文脈については、オリジナルの動画をご視聴いただくことをお勧めいたします。なお、本レポートの内容は、動画公開時点の情報に基づいています。その後の政策変更や新たな展開については反映されていない可能性がありますので、最新の情報については公式の発表をご確認ください。
1. 石破内閣の発足と所信表明演説
1.1 新内閣の基本方針
石破茂内閣総理大臣:私は、このたび第102代内閣総理大臣に就任いたしました。「全ての人に安心と安全を」を掲げ、私は日本国内閣総理大臣として全身全霊を捧げ、日本と日本の未来を守り抜いてまいります。
この決意を申し述べるにあたり、まずは政治資金問題などにより政治不信を招いた事態について、深い反省と共に触れねばなりません。政治資金問題に際し、岸田総理は自由民主党内の派閥解消や政治資金規制法改正などに取り組まれ、その後、所属議員が起こした事態について組織の長として責任を取るために退任されました。これらは全て政治改革を前に進めるとの思いを持って決断されたものです。また、岸田内閣の3年間は、経済、エネルギー政策、子供政策、安全保障政策、そして外交政策など幅広い分野において具体的な成果が形になった3年でありました。岸田総理のご尽力に敬意を表します。
1.2 政治信頼回復への決意
石破茂内閣総理大臣:私は政治資金問題等により失った国民の皆様からの信頼を取り戻し、そして全ての人に安心と安全をもたらす社会を実現してまいります。年単位で見ても類を見ない人口減少、生成AI等の登場による急激なデジタルの変化・進化、約30年ぶりの物価上昇など、我が国は大きな時代の変化に直面しております。この変化に対し、政治は十分に責任を果たしてきたでしょうか。
政治資金問題で失われた政治への信頼を取り戻すとともに、これまで以上に我が国が置かれている状況を国民の皆様に説明し、納得と共感をいただきながら安全安心で豊かな日本を再構築する、それが政治の責任です。そのために私は、ルールを守る、日本を守る、国民を守る、地方を守る、若者女性の機会を守る、これらの5つの方針で日本の未来を作り、そして未来を守ります。
1.3 主要政策の概要
石破茂内閣総理大臣:国民の皆様からの信頼を取り戻すために、政治家のための政治ではなく、国民のための政治を実現してまいります。政治資金収支報告書への記載の問題については、まず問題を指摘された議員1人1人と改めて向き合い、反省を求め、ルールを守る倫理観の確立に全力を上げます。それぞれの政治家が国民1人1人に対して、法の定める限り明らかにして国民に向けて公開することを確立しなければなりません。国民の皆様がもう一度政治を信頼していただくため、私自身も説明責任を果たし、さらに透明性を高める努力を最大限してまいることを固くお約束申し上げます。
2. 旧優生保護法に関する決議と補償法案
2.1 旧優生保護法に関する決議案の内容と採決過程
議長井野敏郎氏:議事日程追加の緊急動議を提出いたします。田村典久君他7名が提出した旧優生保護法に基づく優生手術等の被害者に対する謝罪とその被害の回復に関する決議案は、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。ご異議ありませんか。
(「異議なし」の声)
議長井野敏郎氏:ご異議なしと認めます。よって日程に先立ち追加されました旧優生保護法に基づく優生手術等の被害者に対する謝罪とその被害の回復に関する決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。
田村典久氏:私は、ただいま議題となりました決議案につきまして、提出者を代表いたしまして提案の趣旨をご説明申し上げます。以下、決議文の朗読を持ちまして趣旨の説明に代えさせていただきます。
(決議文の内容は前述のものと同じため省略)
以上であります。何卒議員各位のご賛同をお願い申し上げます。
議長井野敏郎氏:採決いたします。本案を可決するにご異議ありませんか。
(「異議なし」の声)
議長井野敏郎氏:ご異議なしと認めます。よって本案は可決いたしました。
この際、三原国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国務大臣三原じゅん子君。
三原じゅん子国務大臣:ただいまのご決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして、努力してまいる所存でございます。
2.2 旧優生保護法被害者への補償法案の主要ポイント
議長井野敏郎氏:私は、議事日程追加の緊急動議を提出いたします。地域活性化子供政策デジタル社会形成に関する特別委員長提出、旧優生保護法に基づく優生手術等を受けたもの等に対する保障金等の支給等に関する法律案はその委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。ご異議ありませんか。
(「異議なし」の声)
議長井野敏郎氏:ご異議なしと認めます。よって日程に先立ち追加されました旧優生保護法に基づく優生手術等を受けたもの等に対する保障金等の支給等に関する法律案を議題といたします。委員長の趣旨弁明を許します。地域活性化子供政策デジタル社会形成に関する特別委員長谷孝一君。
地域活性化子供政策デジタル社会形成に関する特別委員長 谷孝一氏:私は、ただいま議題となりました法律案につきまして、提案の趣旨及び内容をご説明申し上げます。本案は、旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者等に対する保障金等の支給に関し必要な事項等を定めようとするものであり、その主な内容は次の通りであります。
第1に、法律案の前文に特別の条分を設け、国会及び政府は最高裁判所大法廷判決において旧優生保護法の規定は日本国憲法に違反するものであり、当該規定にかかる国会議員の立法行為は違法であると判断されたことを真摯に受け止め、特定疾患等にかかる方々を差別し、優生手術等を強制してきたことに関し、深くその責任を認め、深く謝罪するとともに、これらの人々が人工妊娠中絶を強いられたことについても深く謝罪し、障害や疾患を有する方々に対する偏見と差別を根絶する決意を新たにしつつ、この法律を制定する旨を規定することとしております。
第2に、国は優生手術等を受けた者等及び特定配偶者等に対して保障金を支給することとしております。
第3に、国は優生手術等を受けた者及び人工妊娠中絶等を受けた者に対し一時金を支給することとしております。
その他、請求の期限及び手続き、並びに調査検証等について定めるものであります。
本案は本日、地域活性化子供政策デジタル社会形成に関する特別委員会におきまして、内閣の意見を聴取した後、全会一致を持って委員会提出の法律案とすることに決した次第であります。何卒速やかにご賛同くださいますようお願い申し上げます。
議長井野敏郎氏:私は採決いたします。本案を可決するにご異議ありませんか。
(「異議なし」の声)
議長井野敏郎氏:ご異議なしと認めます。よって本案は可決いたしました。
2.3 旧優生保護法被害者への対応と今後の取り組み
石破茂内閣総理大臣:私は、旧優生保護法にかかる新たな保障の仕組みにつきまして、まさに先ほど議員立法として可決されましたこの法律案において、国は旧優生保護法に基づく優生手術等が行われた原因及び再発防止措置の検証等を行うこととされており、国会ともご相談しながら適切に対応いたしてまいります。
また、政府において原告団等との定期的な協議を行うとともに、当事者の方々からご意見を伺いながら、障害者に対する偏見差別、優生思想の根絶に向け、政府一丸となって取り組んでまいります。
この問題は、被害者の方々の人権と尊厳に関わる重要な課題であり、政府として真摯に向き合い、適切な対応を行っていく所存です。今後も、被害者の方々の声に耳を傾け、必要な支援策を講じていくとともに、社会全体での理解促進に努めてまいります。
3. 政治改革と信頼回復
3.1 政治資金規制法改正の実効性
石破茂内閣総理大臣:私は、政治資金規制法改正の実効性について、以下のように考えています。先の通常国会において成立した改正政治資金規制法は、政治資金収支報告書の記載にかかる政治家の責任の強化、政治資金パーティーのパーティー券の購入者にかかる公開基準の引き下げ等を内容とするものであり、政治資金収支報告書の記載の再発防止や政治資金の透明性向上が図られたところです。
まずは、この改正政治資金規制法を徹底的に遵守することが重要です。その上で、政治資金に関する独立性の担保された機関のあり方など、残された課題の検討を着実に進め、その課題についての結論を得ていくことが重要であると考えています。
3.2 政策活動費の廃止を含めた更なる改革
石破茂内閣総理大臣:政策活動費につきましては、将来的な廃止も念頭に、そのあり方の検討や透明性の確保に取り組んでまいります。政策活動費のあり方は我が党のみならず、各党の政治活動のあり方にも関係する事柄であることから、共通のルールに則って透明性を高めていくことが必要と考えており、今後各党各会派との真摯な議論も経て、最終的な結論を得てまいる所存です。
調査研究広報滞在費、いわゆる旧分Y費につきましては、我が党の岸田前総裁と議員との間において、衆参議長の元に置かれる協議の場において前向きに議論を行い、使途公開と残金返納を義務付ける立法措置を講ずることについて文書で合意がかわされたものと認識をいたしております。私も自民党総裁としてその合意を引き継いでまいります。
現在、衆参両院の議員運営委員会による有識者へのヒアリングが進められているところと承知をいたしておりますが、今後、制度の詳細等について各党各会派での合意を早期に得て、必要な立法措置が講じられるよう、政府としても誠心誠意対応をいたしてまいります。
3.3 調査研究広報滞在費の使途明確化と公開
石破茂内閣総理大臣:調査研究広報滞在費、いわゆる旧分Y費につきましては、我が党の岸田前総裁と議員との間において、衆参議長の元に置かれる協議の場において前向きに議論を行い、使途公開と残金返納を義務付ける立法措置を講ずることについて文書で合意がかわされたものと認識をいたしております。私も自民党総裁としてその合意を引き継いでまいります。
現在、衆参両院の議員運営委員会による有識者へのヒアリングが進められているところと承知をいたしておりますが、今後、制度の詳細等について各党各会派での合意を早期に得て、必要な立法措置が講じられるよう、政府としても誠心誠意対応をいたしてまいります。
3.4 各党からの批判と提案
野田佳彦議員(立憲民主党):自民党が2月に報告書をまとめましたが、その10ページ目には裏金について政治活動費以外に用いたまたは違法な用途に使用したと述べたものは1人もいなかったと記載されています。しかし、公職選挙法違反で東京地検特捜部に強制捜査を受けた安倍派の元議員堀さんですが、派閥から還流された裏金数百万円をスーツ代やサウナ利用料などに使用したと特捜部に証言しています。これは新たな事実です。さらに、調査報告書では裏金がなかったとされた麻生派についても、閣僚経験者の麻生元議員が2017年以前の裏金作りを証言しています。これも新たな事実です。
石破総理は総裁選中にあるいは総理就任会見で、新しい事実が出てくれば再調査をすると言っていましたが、今指摘した流用と報告書にない裏金という新しい事実について総理の認識をお聞かせください。2月のいい加減な自民党の調査をやり直すべきではありませんか。
3.5 石破首相の対応と今後の展望
石破茂内閣総理大臣:自民党における旧派閥の政治資金収支報告書の記載に関する一連の問題につきましては、ご指摘があった選挙法違反の件も含め、第3者である検察による厳正な捜査が行われ、法と証拠に基づき刑事事件として取り上げるべきものは立件されてきたものと承知をいたしております。
また、様々な報道等があることを承知しておりますが、自民党における外部の弁護士を交えた聞き取り調査などでは、捜査権がなかったり書類の保存期間を経過していたりという制約の中でも、可能な限りの事実関係の把握・解明の努力が進められてきたものと認識をしております。
国民の信頼を回復するために今後さらに行うべきことにつきましては、これまでの取り組みの経緯等を踏まえつつ適切に判断をいたしてまいります。
4. 経済政策
4.1 デフレ脱却と成長戦略
石破茂内閣総理大臣:私は、日本経済のデフレ脱却を確実なものとするべく、岸田内閣の経済政策を引き継ぎ、さらに加速させ、賃上げと投資が牽引する成長型経済の実現を図ってまいります。
デフレ脱却を最優先に実現するため、「経済あっての財政」との考え方に立って経済財政運営を行います。賃上げと投資が牽引する成長型経済を実現しつつ、財政状況の改善を進め、力強く発展する危機に強靭な経済財政を作っていきます。
具体的には、イノベーションを促進すること等による付加価値創出や生産性の向上、意欲ある高齢者が活躍できる社会を実現し、我が国GDPの5割長を占める個人消費を回復させ、消費と投資を最大化する成長型経済を実現します。このため、コストカット型経済から付加価値創出型経済へ移行しながら、半導体へ加え、地域経済の活性化にもつながる蓄電池、洋上風力、バイオ等の成長分野へ集中投資していまいります。
適切な価格転嫁と生産性向上支援により、最低賃金を着実に引き上げ、2020年代に全国平均1500円という高い目標に向かって着実な努力を続けてまいります。
また、個人のリスキリングなど人への投資を強化し、事業者のデジタル環境整備も含め官民挙げての思い切った投資を実現いたします。農林水産業につきましては、輸入肥料価格の高騰を踏まえ、国産肥料資材の積極活用を支援するとともに、施設園芸や水産分野への燃油高騰対策を着実に実施いたしてまいります。
こうした取り組みにより、賃上げと投資が牽引する成長型経済を実現し、日本経済の未来を作り、日本経済を守り抜いてまいります。
4.2 物価高対策
石破茂内閣総理大臣:私は、物価上昇を上回って賃金が上昇し、設備投資が積極的に行われる成長と分配の好循環が回り出すまでの間、足元で物価高に苦しむ方々への支援が必要であると考えています。当面の対応として、物価高の影響を特に受ける低所得者世帯向けの給付金や地域の実情に応じた決め細かい対応のための重点支援地方交付金を始め、総合的な対応を図ります。
エネルギーコストを含めた物価高対策につきましては、状況を丁寧に見極めながら、これらの給付金や地方交付金を含め、今後経済対策について議論していく中で総合的に検討いたします。
電気・ガス料金支援につきましては、国民生活を乗り切る緊急支援として8月から10月の使用分について支援を実施しており、10月末で終了することといたしております。
燃料油価格激変緩和対策につきましては、年内に限って支援を継続することとされ、岸田前総理は経済対策の策定と合わせて骨太方針2023を踏まえ、早期の段階的終了に着手すべく取り組むと表明しております。
再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)につきましては、カーボンニュートラルを実現する観点から、国民負担を抑制しつつ再生可能エネルギーの最大限の導入を図ることが政府の基本方針として重要であります。引き続きこの方針に沿って制度を着実に運用してまいります。
4.3 財政健全化への取り組み
石破茂内閣総理大臣:私は、財政健全化への取り組みについて、「経済あっての財政」との考え方に立って経済財政運営を行います。賃上げと投資が牽引する成長型経済を実現しつつ、財政状況の改善を進め、力強く発展する危機に強靭な経済財政を作っていきます。
4.4 各党からの批判と提案
野田佳彦議員(立憲民主党):私は、石破内閣の経済政策について、以下の批判と提案を行います。電気代ガス代補助は国民生活乗り切り緊急支援と名前が変わりましたが、11月以降も続けますか?上がっているのは電気代ではなく、電気代に上乗せされている再エネ付加金です。国民民主党が主張するように再エネ付加金の徴収をやめて電気代を引き下げるべきではありませんか?
4.5 石破首相の回答と具体的施策
石破茂内閣総理大臣:野田議員のご質問にお答えいたします。電気・ガス料金支援につきましては、国民生活を乗り切る緊急支援として8月から10月の使用分について支援を実施しており、10月末で終了することといたしております。
エネルギーコストを含めた物価高対策につきましては、状況を丁寧に見極めながら、低所得者世帯向けの給付金や重点支援地方交付金を含め、今後経済対策について議論していく中で総合的に検討いたします。
再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)につきましては、カーボンニュートラルを実現する観点から、国民負担を抑制しつつ再生可能エネルギーの最大限の導入を図ることが政府の基本方針として重要であります。引き続きこの方針に沿って制度を着実に運用してまいります。
5. 社会保障制度改革
5.1 全世代型社会保障の構築
石破茂内閣総理大臣:私は、社会保障制度について、様々な境遇にある国民の方々に安心を提供するセーフティネットだと考えています。将来不安を取り除き、皆が安心して充実して暮らせる社会を実現することによって、未来を守り、次の時代に負担を先送りしないことが、今を生きる我々の責任であります。
医療、年金、子育て、介護など社会保障全般を見直し、国民の皆様に安心していただける社会保障制度を確立します。その際、今の時代にあった社会保障へと転換し、多様な人生のあり方、多様な人生の選択肢を実現できる柔軟な制度設計を行います。
人口減少時代を踏まえ、意欲のある高齢者、女性、障害者などの就労を促進し、誰もが年齢に関わらず能力や個性を最大限発揮できる社会を目指します。政府としては、全ての世代の方がその状況に応じて支え合い、必要な支援が必要な方に適切に提供される全世代型社会保障の構築に取り組んでまいります。
5.2 医療・介護制度の見直し
石破茂内閣総理大臣:介護及び障害福祉については、令和6年度の報酬改定において処遇改善を進めております。また、保育等については子供未来戦略に基づき処遇改善を進めております。ベースアップを含め、施策の効果について確認点検を行いながら、福祉等の現場で働く方々の処遇改善に誠実、着実に取り組み、国民の皆様に安心していただける社会保障制度を整備してまいります。
5.3 年金制度の持続可能性確保
石破茂内閣総理大臣:年金制度については、昨年7月に公表した令和6年財政検証では、近年の女性や高齢者の労働参加の進展等により、前回の検証に比べ将来の給付水準の改善が確認されました。加えて今回は新たに個人単位でも推計を行い、若年世代において年金額が増加する傾向にあることが確認されました。
今後はこうした結果も踏まえ、さらに被用者保険の適用拡大などを通じた働き方に中立な制度の構築や、所得保障・再分配機能の強化を図る観点からの基礎年金水準の検討といった観点から、年末に向けて制度見直しの議論を進めてまいります。
公的年金の財政検証におきましては、出生率等の前提についてこれまでの実績に基づきながら、専門家による検討を経た上で、幅広い複数のケースを設定しており、適切なものと考えております。今後、今回の財政検証の結果も踏まえ、次期年金制度改正に向け丁寧に議論を進めてまいります。
5.4 子育て支援と少子化対策
石破茂内閣総理大臣:私は、少子化とその結果生じる人口減少は国の根幹に関わる課題、いわば静かな有事だと考えています。このため、子供未来戦略を着実に実施し、子育て支援に全力を上げます。支援金制度は子育て世代を全世代全経済主体が支える仕組みであり、子育て支援のための加速化プランの実施に必要なものです。これを導入しても歳出改革等により社会保険料の上昇を確実に抑制します。
今月から拡充されている児童手当などは、物価上昇を上回る賃金上昇の定着に向けた取り組みと相まって、若い世代の所得を増やしていくこととなります。政府としましては、支援金制度の令和8年度の施行に向け、こうした制度の趣旨について国民の皆様に説明を尽くしてまいります。
5.5 各党からの質問と提案
野田佳彦議員(立憲民主党):私は、子育て支援と少子化対策について質問します。石破総理は子供子育て支援金は少子化対策を掲げながらも現役世代の手取りを減らし、また防衛財源とするための法人税、所得税、タバコ税の増税は、見直し改革なくして負担を国民に押し付ける増税そのものです。自民党の茂木前幹事長が総裁選でゼロ増税を打ち出し、いずれも実施せずに財源は確保できると主張されました。政策決定時に当時幹事長であった方の発言には重みがあります。この意見を受け入れ、社会保険料増額や増税を一旦凍結し、予算の精査や事業の見直しをやり直すべきではないでしょうか。お答えください。
5.6 石破首相の回答と今後の方針
石破茂内閣総理大臣:野田議員のご質問にお答えいたします。少子化とその結果生じる人口減少は国の根幹に関わる課題、いわば静かな有事であります。このため、子供未来戦略を着実に実施し、子育て支援に全力を上げます。
支援金制度は子育て世代を全世代全経済主体が支える仕組みであり、子育て支援のための加速化プランの実施に必要なものです。これを導入しても歳出改革等により社会保険料の上昇を確実に抑制します。今月から拡充されている児童手当などは、物価上昇を上回る賃金上昇の定着に向けた取り組みと相まって、若い世代の所得を増やしていくこととなります。
政府としましては、支援金制度の令和8年度の施行に向け、こうした制度の趣旨について国民の皆様に説明を尽くしてまいります。
6. 教育改革
6.1 教育費負担の軽減策
石破茂内閣総理大臣:私は、高等教育の修学支援について、本年度から授業料の減額等の対象を中間層等に拡充し、令和7年度から無償化の対象となる多子世帯の所得制限をなくすことといたしております。まずはこうした拡充を着実に実施に移してまいります。その上で、教育の機会均等や少子化対策の観点から、その効果を見極めつつ取り組んでまいります。
学校給食費の無償化につきましては、学校給食の実態を踏まえつつ、関係省庁が連携をし、児童生徒間の公平性や国と地方との役割分担、政策効果、法制面等の課題を整理した上で検討いたしてまいります。
6.2 教育の質の向上への取り組み
石破茂内閣総理大臣:教師に優れた人材を確保するためにも、教師を取り巻く環境の整備は重要な課題であります。教師の担う業務のさらなる厳選・見直しなどの働き方改革や、給与面を含む教師の処遇改善、学校の指導・運営体制の充実、教師の育成を一体的に進め、公教育の再生に全力を上げてまいります。
学校の業務量削減につきましては、働き方改革やデジタル技術の活用により、学校や教師が担う業務を適正化し、教師の時間外在校等時間を削減します。指導・運営体制につきましては、様々な教育課題に対応するための各自治体の権限と責任のもとで任用される支援スタッフと教職員との連携・協働を進めます。
いじめ・不登校対策につきましては、教師のみに負担させるのではなく、専門スタッフによる教育相談や学校内における多様な学びの場の活用等による対策を進めてまいります。
6.3 GIGAスクール構想の推進
石破茂内閣総理大臣:私は、GIGAスクール構想の推進を教育改革の重要な柱の一つと位置づけています。この構想は、すべての子どもたちに個別最適化された学びを提供し、教育のICT化を進めることを目的としています。
具体的には、全国の小中学校の児童生徒一人一人に1台のタブレット端末を配布し、高速大容量の通信ネットワークを整備することを目標としています。これにより、デジタル教材を活用した授業や、オンライン学習の環境が整備され、子どもたちの学習機会が拡大されることが期待されます。
また、教員のICTスキル向上も重要な課題です。そのため、教員向けの研修プログラムを充実させ、ICTを活用した効果的な授業づくりをサポートしていきます。さらに、ICT支援員の配置を進め、学校現場でのサポートを強化します。
課題としては、地域間や学校間での整備状況の格差を解消することが重要です。そのため、地方自治体への財政支援を強化するとともに、ICT環境整備のガイドラインを策定し、全国均一の水準を目指します。
また、セキュリティ対策も重要な課題です。児童生徒の個人情報保護や、サイバー攻撃への対応など、安全面での配慮も行います。
GIGAスクール構想は、単にICT機器を導入するだけでなく、教育のあり方そのものを変革する可能性を秘めています。例えば、遠隔教育の充実により、離島や過疎地域の子どもたちにも質の高い教育を提供できるようになります。
このように、GIGAスクール構想は、日本の教育を変革し、子どもたちの可能性を引き出す重要な取り組みです。私は、この構想を着実に推進し、日本の教育の質を向上させることで、将来を担う人材の育成に全力を尽くす所存です。
6.4 高等教育の無償化拡大
石破茂内閣総理大臣:私は、高等教育の無償化拡大を重要政策の一つとして位置づけています。現在の制度では、年収380万円未満の世帯を対象に授業料等の減免と給付型奨学金の支給を行っていますが、これを年収590万円未満の世帯まで拡大する方針です。
具体的には、以下の施策を実施します:
- 授業料等減免の対象拡大:
- 国公立大学:年間約54万円までの授業料等を免除
- 私立大学:年間約70万円までの授業料等を免除
- 給付型奨学金の拡充:
- 自宅通学者:月額最大約7万円
- 自宅外通学者:月額最大約9万円
この拡大により、対象となる学生数は現在の約70万人から約90万人に増加する見込みです。
財源については、既存の高等教育予算の見直しと効率化を行うとともに、新たに約1,500億円の予算を確保する予定です。これは決して小さな額ではありませんが、日本の未来を担う人材育成への投資として必要不可欠だと考えています。
6.5 各党からの質問と提案
枝野幸男議員(立憲民主党):石破総理の高等教育無償化拡大の方針は評価しますが、まだ不十分です。我が党は、全ての学生を対象とした完全無償化を提案します。また、給付型奨学金については、返済不要の給付額をさらに増額し、学生がアルバイトに頼らずに学業に専念できる環境を整備すべきだと考えます。財源については、大胆な富裕層への増税と法人税改革によって確保することを提案します。
松井一郎議員(日本維新の会):高等教育の無償化は重要ですが、単に対象を拡大するだけでは不十分です。我々は、大学の統廃合や運営の効率化を同時に進め、教育の質を向上させながらコストを抑制する必要があると考えます。また、奨学金については、卒業後の所得に応じて返済額が変動する所得連動返還型奨学金の拡充を提案します。
山口那津男議員(公明党):我が党は、これまでも高等教育の無償化拡大に取り組んでまいりました。今回の拡大方針を支持しますが、支援を受ける学生の学習成果や卒業後の進路にも注目する必要があります。例えば、一定の成績基準を設けることや、卒業後の地域貢献を条件とするなど、支援と責任のバランスを取る仕組みが必要だと考えます。
志位和夫議員(日本共産党):我が党は、高等教育の完全無償化を主張しています。石破総理の提案は不十分です。全ての若者に等しく教育を受ける機会を保障するためには、所得制限なしの完全無償化が必要です。また、給付型奨学金についても、全学生を対象に最低限の生活費を保障する額を支給すべきです。これらの財源は、大企業や富裕層への適正な課税、そして軍事費の削減によって確保できると考えます。
玉木雄一郎議員(国民民主党):高等教育の無償化は重要ですが、同時に職業教育や社会人の学び直しにも注目すべきです。我が党は、大学だけでなく、専門学校や職業訓練校も含めた幅広い教育機関を対象とした無償化政策を提案します。また、社会人のリカレント教育支援も強化し、生涯を通じた学びの機会を保障する必要があります。
6.6 石破首相の回答と具体的施策
石破茂内閣総理大臣:各党の皆様から貴重なご意見とご提案をいただき、ありがとうございます。それぞれのご質問に対して、私の考えと具体的な施策をお答えいたします。
まず、財源の問題について申し上げます。高等教育の無償化拡大には確かに多額の財源が必要となりますが、私はこれを単なる支出ではなく、日本の未来への投資だと考えています。具体的な財源としては、既存予算の見直しと効率化を徹底的に行います。また、経済成長による税収増も見込んでいます。
枝野議員がご提案の富裕層への増税や法人税改革については、慎重に検討する必要があります。経済活動を萎縮させずに、いかに公平な負担を実現するか、与党内でも議論を重ねてまいります。
給付型奨学金の増額については、現在の制度でも自宅外通学者には月額最大約9万円を支給しており、これは相当な額だと考えています。ただし、今後の物価動向や学生の生活実態を注視し、必要に応じて見直しを検討します。
松井議員ご指摘の大学改革との連動については、全くその通りだと考えています。無償化と同時に、大学の質の向上と運営効率化は不可欠です。大学の統廃合や産学連携の強化、オンライン教育の積極的導入などを通じて、教育の質を向上させながらコストの抑制を図ります。
所得連動返還型奨学金については、既存の制度をさらに改善し、より柔軟で利用しやすい仕組みにしていきます。
山口議員ご提案の支援と責任のバランスについては、重要な視点だと認識しています。支援を受ける学生に対する最低限の成績基準の設定や、地域貢献活動への参加奨励など、具体的な施策を検討してまいります。
志位議員ご主張の完全無償化については、理想としては理解できますが、現実的には段階的なアプローチが必要だと考えています。まずは経済的に厳しい状況にある学生への支援を手厚くし、その効果を見極めながら対象を拡大していく方針です。軍事費の削減については、現在の国際情勢を考慮すると慎重に検討する必要があります。
玉木議員ご指摘の職業教育や社会人の学び直しについては、非常に重要な視点だと考えています。高等教育の無償化は、大学だけでなく専門学校や職業訓練校も対象とする方針です。また、リカレント教育の支援強化については、社会人向けの短期集中プログラムの開発支援やオンライン教育を活用した柔軟な学習環境の整備などを進めてまいります。
これらの施策を通じて、生涯を通じた学びの機会を保障し、日本の人材力強化と経済成長の両立を図ってまいります。高等教育の無償化拡大は、単に経済的負担を軽減するだけでなく、日本の未来を担う人材育成の根幹を成す政策です。与野党の枠を超えて、建設的な議論を重ね、より良い制度設計を目指してまいりたいと思います。
7. 外交・安全保障政策
7.1 日米同盟の強化
石破茂内閣総理大臣:私は、日本の外交・安全保障政策の要となる日米同盟の強化を最重要課題の一つと位置づけています。日米同盟は、我が国の安全保障の礎であり、地域の平和と安定にとっても不可欠な存在です。
具体的には、以下の施策を実施してまいります:
- 日米安全保障条約に基づく協力体制のさらなる深化
- 在日米軍の抑止力維持と地元負担の軽減の両立
- 日米間の防衛装備品の共同開発・生産の推進
- インド太平洋地域における「自由で開かれたインド太平洋」構想の推進
特に、在日米軍の駐留経費負担(いわゆる思いやり予算)については、日本の安全保障にとっての重要性を踏まえつつ、適切な水準を維持します。同時に、沖縄県をはじめとする基地負担の軽減に向けた取り組みを継続し、地元住民の理解と協力を得ながら、日米同盟の安定的な運用を目指します。
また、経済安全保障の観点から、重要技術の保護や戦略物資の安定供給確保などについて、米国との連携を一層強化してまいります。
7.2 近隣諸国との関係改善
7.2.1 中国との関係
石破茂内閣総理大臣:中国との関係については、「建設的かつ安定的な関係」の構築を目指します。世界第2位と第3位の経済大国である両国が、地域と世界の平和と繁栄にどのように貢献できるかを常に考え、行動していく必要があります。
経済面では、中国は日本にとって最大の貿易相手国であり、引き続き互恵的な経済関係を維持・発展させていく方針です。一方で、知的財産権の保護や公正な競争環境の確保など、国際ルールに基づいた対応を求めていきます。
安全保障面では、東シナ海や南シナ海における一方的な現状変更の試みに対しては、毅然とした態度で臨み、国際法に基づく秩序の維持を訴えてまいります。特に尖閣諸島周辺海域における中国公船の頻繁な侵入に対しては、日本の主権を守るため、海上保安庁の体制強化や自衛隊との連携を一層緊密にしてまいります。
同時に、気候変動問題や感染症対策など、グローバルな課題に対しては中国との協力も不可欠です。これらの分野における建設的な対話と協力を推進し、地域の安定と繁栄に寄与する関係構築を目指します。
7.2.2 韓国との関係
石破茂内閣総理大臣:韓国とは、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的価値を共有する最も重要な隣国の一つです。しかしながら、近年、歴史認識の問題や徴用工問題をめぐり、両国関係は厳しい状況が続いています。
私は、これらの問題に関する日本の立場を明確に説明しつつ、対話を通じた解決を粘り強く追求してまいります。特に徴用工問題については、1965年の日韓請求権協定に基づく日本の立場を堅持しつつ、韓国側の理解を求めていく考えです。
一方で、北朝鮮の核・ミサイル開発や拉致問題など、両国が直面する共通の課題に対しては、緊密に連携して対応していく必要があります。また、経済面や文化交流においても、未来志向の関係構築に向けて努力を続けてまいります。
7.2.3 ロシアとの関係
石破茂内閣総理大臣:ロシアとの関係については、現在のウクライナ侵攻という極めて深刻な状況を踏まえつつ、日本の国益を最大化する形で対応してまいります。
まず、ウクライナ侵攻に対しては、G7をはじめとする国際社会と緊密に連携し、ロシアに対する制裁措置を継続します。同時に、ウクライナへの人道支援や復興支援にも積極的に取り組んでまいります。
北方領土問題については、我が国の一貫した立場を堅持しつつ、ロシア側の理解を粘り強く求めていく考えです。現在の国際情勢を考慮すると、交渉の進展は容易ではありませんが、平和条約締結に向けた対話の糸口を探っていきたいと思います。
エネルギー分野においては、ロシアへの依存度を段階的に低減させる方針です。具体的には、サハリンプロジェクトについては慎重に対応しつつ、代替供給源の確保や再生可能エネルギーの導入促進など、エネルギー安全保障の観点から総合的に判断してまいります。
以上の方針に基づき、日本の国益を最大限確保しつつ、地域の平和と安定に寄与する外交を展開してまいります。同時に、国際社会の責任ある一員として、グローバルな課題の解決にも積極的に貢献していく所存です。
7.3 北朝鮮問題への対応
7.3.1 拉致問題解決への取り組み
石破茂内閣総理大臣:私は、拉致問題を我が国の最重要課題の一つと位置付けています。全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現するため、あらゆる機会を捉えて北朝鮮に対して具体的な行動を求めていく所存です。
具体的には、以下の取り組みを進めてまいります:
- 日朝首脳会談の実現に向けた外交努力の強化
- 米国、韓国、中国、ロシアなど関係国との連携強化
- 拉致被害者家族への支援の継続と拡充
- 国際社会における拉致問題の理解促進
特に、バイデン政権との緊密な連携を図り、米朝関係の進展に合わせて日朝対話の機会を模索してまいります。また、拉致被害者家族の高齢化を踏まえ、一刻も早い問題解決に向けて全力を尽くす所存です。
7.3.2 核・ミサイル問題への対応
石破茂内閣総理大臣:北朝鮮の核・ミサイル開発は、我が国の安全保障に対する重大かつ差し迫った脅威です。この脅威に対して、以下の方針で臨んでまいります:
- 国連安保理決議に基づく制裁措置の完全履行
- 日米韓三カ国の緊密な連携による抑止力の維持・強化
- 「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」の実現に向けた外交努力
- 我が国の防衛能力の強化
具体的には、北朝鮮の弾道ミサイル発射に対する監視・警戒態勢を強化するとともに、ミサイル防衛システムの整備を加速させます。また、北朝鮮の完全な非核化に向けて、六者会合の枠組みの活用も視野に入れつつ、関係国との協議を続けてまいります。
7.4 防衛力の強化
7.4.1 防衛費のGDP比2%への増額
石破茂内閣総理大臣:我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、防衛力の抜本的強化は喫緊の課題です。そのため、私は2027年度までに防衛費をGDP比2%程度に引き上げる方針を打ち出しました。
この増額により、以下の分野に重点的に投資してまいります:
- 統合防空ミサイル防衛能力の強化
- スタンド・オフ防衛能力の強化
- 無人装備の活用
- 宇宙・サイバー・電磁波領域における能力強化
- 自衛隊員の待遇改善
防衛費の増額に当たっては、その使途の透明性確保と効率的な執行が不可欠です。そのため、防衛装備品の調達方式の見直しや、米国との共同開発・共同生産の推進によるコスト削減にも取り組んでまいります。
7.4.2 自衛隊の体制強化と装備の近代化
石破茂内閣総理大臣:防衛費の増額と並行して、自衛隊の体制強化と装備の近代化を進めてまいります。具体的には、以下の施策を実施します:
- 新領域における能力強化
- 宇宙領域:宇宙状況監視(SSA)システムの整備、早期警戒機能の強化
- サイバー領域:サイバー防衛隊の増強、サイバー攻撃対処能力の向上
- 電磁波領域:電子戦能力の強化、電磁波利用の優位性確保
- 従来領域における能力強化
- 海上自衛隊:イージス・システム搭載艦の8隻体制の実現
- 航空自衛隊:F-35戦闘機の追加調達、次期戦闘機の開発加速
- 陸上自衛隊:島嶼防衛能力の強化、機動力の向上
- スタンド・オフ防衛能力の強化
- 長距離巡航ミサイルの開発・導入
- 高速滑空弾の研究開発の加速
- 総合ミサイル防空能力の向上
- イージス・システム搭載艦の建造
- 地対空誘導弾ペトリオットの能力向上
- 持続性・強靭性の強化
- 弾薬や燃料の備蓄増強
- 基地の分散・防護の強化
これらの施策により、我が国の防衛力を質・量ともに強化し、あらゆる事態に対応できる体制を構築してまいります。同時に、自衛隊員の処遇改善や働き方改革にも取り組み、人的基盤の強化も図ってまいります。
また、防衛産業の基盤強化も重要な課題であり、国内企業の技術力向上や、防衛装備移転三原則に基づく適切な防衛装備品の海外移転にも取り組んでまいります。
これらの取り組みを通じて、我が国の安全保障環境の安定化に寄与するとともに、国際社会の平和と安定にも貢献してまいる所存です。
7.5 各党からの質問と批判
枝野幸男議員(立憲民主党):私は、石破内閣の外交・安全保障政策に関して、いくつかの懸念を表明します。まず、防衛費のGDP比2%への増額について、その必要性と具体的な使途をより明確に説明すべきではないでしょうか。この増額が他の重要な政策分野、特に社会保障や教育にどのような影響を与えるのか、国民に対して丁寧な説明が必要です。
また、中国との関係改善について、人権問題や領土問題にどのように対処していくのか、より具体的な方針を示すべきです。特に、尖閣諸島周辺海域における中国公船の頻繁な侵入に対し、どのような対応を取るのでしょうか。
最後に、北朝鮮の拉致問題について、具体的な進展が見られていない現状をどのように打開していくのか、首相の見解をお聞かせください。
松井一郎議員(日本維新の会):私は、防衛力強化に関連して質問します。自衛隊の体制強化と装備の近代化は重要ですが、同時に既存の装備品や施設の維持管理コストも増大しています。このバランスをどのように取っていくのでしょうか。
また、サイバーセキュリティの強化は喫緊の課題です。政府としてどのような体制を構築し、民間企業との連携をどのように進めていくのか、具体的な方針をお聞かせください。
山口那津男議員(公明党):私は、日米同盟の強化と地域の平和維持の両立について質問します。在日米軍の抑止力維持と地元負担の軽減、特に沖縄の基地問題について、石破内閣はどのようなアプローチを取るのでしょうか。
また、「自由で開かれたインド太平洋」構想の推進について、具体的にどのような施策を考えているのか、お聞かせください。
志位和夫議員(日本共産党):私は、石破内閣の外交・安全保障政策に強く反対します。防衛費のGDP比2%への増額は、軍拡競争を助長し、地域の緊張を高めるだけです。むしろ、外交努力を通じて地域の緊張緩和を図るべきではないでしょうか。
また、核兵器禁止条約への参加について、被爆国である日本がリーダーシップを発揮すべきだと考えますが、首相の見解をお聞かせください。
玉木雄一郎議員(国民民主党):私は、経済安全保障の観点から質問します。重要技術の流出防止や戦略物資の安定供給確保について、具体的にどのような法整備や体制構築を考えているのでしょうか。
また、日本の防衛産業の国際競争力強化について、どのような支援策を検討しているのか、お聞かせください。
7.6 石破首相の回答と今後の方針
石破茂内閣総理大臣:各党の皆様から貴重なご意見とご質問をいただき、ありがとうございます。順次、お答えしてまいります。
まず、防衛費のGDP比2%への増額について、その必要性と使途を明確にすべきとのご指摘がありました。我が国を取り巻く安全保障環境が急速に厳しさを増す中、国民の生命と財産を守るためには、防衛力の抜本的強化が不可欠です。具体的な使途としては、ミサイル防衛システムの強化、サイバー・宇宙・電磁波領域における能力向上、自衛隊員の待遇改善などを想定しています。
他の政策分野への影響については、財政健全化との両立を図りつつ、重要施策には必要な予算を確保してまいります。行政改革による歳出の効率化や、経済成長による税収増を通じて財源を確保し、社会保障や教育などの分野にも十分な予算を配分する考えです。
中国との関係改善については、「対話と圧力」のバランスを取りながら進めてまいります。人権問題については、国際社会と連携しながら改善を求めていく方針です。尖閣諸島周辺海域における中国公船の侵入に対しては、海上保安庁の体制強化や自衛隊との連携を一層緊密にし、毅然とした対応を取ってまいります。
北朝鮮の拉致問題については、あらゆる機会を通じて北朝鮮に対して具体的な行動を求めていく所存です。日朝首脳会談の実現に向けて外交努力を強化するとともに、米国など関係国との連携を密にし、問題解決に向けた環境整備を進めてまいります。
自衛隊の装備品や施設の維持管理コストについては、新規調達と既存装備の維持管理のバランスを取りつつ、長期的視点に立った効率的な装備計画を策定してまいります。また、民間のノウハウを活用したPFI(民間資金等活用事業)の導入なども検討し、コスト削減と効率化を図ってまいります。
サイバーセキュリティの強化については、2024年度までにサイバー防衛隊を約1,000名体制に拡充する計画です。また、防衛省・自衛隊と民間企業との情報共有体制を強化し、官民一体となったサイバーセキュリティ対策を推進してまいります。
日米同盟の強化と沖縄の基地負担軽減の両立については、在日米軍の抑止力維持の重要性を踏まえつつ、沖縄の負担軽減に向けた取り組みを着実に進めてまいります。普天間飛行場の辺野古移設を進めるとともに、訓練の分散化や騒音対策の強化など、地元の要望を丁寧に聞きながら対応してまいります。
「自由で開かれたインド太平洋」構想の推進については、日米豪印(QUAD)の枠組みを活用しつつ、地域のインフラ整備支援や海洋安全保障協力、経済連携の強化などを進めてまいります。
核兵器禁止条約への参加については、現時点では困難であると考えていますが、核軍縮・不拡散に向けた取り組みは継続してまいります。NPT(核拡散防止条約)体制の強化や、CTBT(包括的核実験禁止条約)の発効促進に向けた外交努力を続けてまいります。
経済安全保障については、重要技術の流出防止や戦略物資の安定供給確保に向けて、新たな法整備を進めてまいります。「経済安全保障推進法(仮称)」の制定を目指し、重要インフラの安全性確保や、サプライチェーンの強靭化、技術革新の促進などを図ります。
防衛産業の国際競争力強化については、防衛装備移転三原則の下で適切な海外移転を進めるとともに、官民連携による研究開発の促進や、中小企業の参入支援などを通じて、産業基盤の維持・強化を図ってまいります。
8. 地方創生と地域活性化
8.1 地方創生推進交付金の拡充
石破茂内閣総理大臣:私は、地方創生を我が国の最重要課題の一つと位置付けています。人口減少と東京一極集中という課題に対応し、地方の活力を取り戻すためには、地方自治体の自主的・主体的な取り組みを支援することが不可欠です。そのため、地方創生推進交付金の拡充を決定いたしました。
具体的には、2025年度までに交付金の総額を現行の1,000億円から1,200億円に増額します。これにより、より多くの地方自治体が独自の地方創生策を実施できるようになります。また、交付金の使途についても柔軟性を持たせ、地域の実情に合わせた効果的な施策の実施を可能にします。
さらに、交付金の申請手続きの簡素化や、成果指標の見直しなども行い、地方自治体の負担軽減と事業の効果検証の充実を図ります。例えば、これまで複雑だった申請書類を3分の2程度に簡素化し、オンライン申請システムを導入することで、自治体職員の事務負担を軽減します。
また、交付金の効果を最大化するため、各省庁の地方創生関連施策との連携を強化します。内閣官房の既存の組織を活用し、各省庁の施策を横断的に調整・連携させる体制を強化します。これにより、例えば農林水産省の農村振興策と国土交通省の地域公共交通施策を組み合わせた、より効果的な地方創生策の実施が可能になります。
8.2 農林水産業の振興策
石破茂内閣総理大臣:農林水産業は地方の基幹産業であり、その振興は地方創生の要です。私は、農林水産業の成長産業化と所得向上を目指し、以下の施策を実施してまいります。
まず、スマート農業の推進です。AIやIoTを活用した農業の効率化・省力化を図るため、2025年度までに全国の主要な農業地域に高速通信網を整備します。これにより、ドローンやAI搭載の農業機械の活用が可能になり、生産性の向上が期待できます。具体的な数値目標として、スマート農業の導入により、2030年までに農業の労働生産性を1.5倍に引き上げることを目指します。
次に、農林水産物の輸出促進です。2025年までに農林水産物・食品の輸出額を2兆円に拡大することを目標とします。そのため、海外の規制に対応した生産体制の構築、物流・商流の改善、ブランド化の推進などを総合的に支援します。例えば、輸出向け農産物の生産拡大支援や、海外での日本産食品の販路拡大支援などを行います。
さらに、林業の成長産業化も推進します。国産材の利用拡大を図るため、新たな木材製品の開発・普及を支援するとともに、公共建築物の木造化・木質化を積極的に進めます。2030年までに国産材の自給率を50%まで引き上げることを目指します。
水産業については、漁業の成長産業化と資源管理の両立を図ります。ICTを活用した資源管理システムの導入や、養殖業の生産性向上、水産物の高付加価値化などを支援します。具体的には、2025年までに主要な漁港にICTを活用した水揚げ情報システムを導入し、効率的な資源管理を可能にします。
これらの施策により、農林水産業の担い手の所得向上と、若者にとって魅力ある産業への転換を図ってまいります。
8.3 観光産業の復興と発展
石破茂内閣総理大臣:新型コロナウイルス感染症の影響で大きな打撃を受けた観光産業の復興と発展は、地域経済の活性化にとって極めて重要です。私は、以下の施策を通じて観光産業の復興と新たな成長を支援してまいります。
まず、国内観光の需要喚起策として、「新たな旅行支援策」を実施します。これは、従来の施策の課題を踏まえ、より効果的かつ公平な制度設計を行ったものです。具体的には、平日の利用や長期滞在にインセンティブを設けるとともに、地方部への誘客を強化します。また、デジタル技術を活用し、混雑状況の可視化や予約の分散化を図ります。
次に、インバウンド需要の回復に向けた取り組みです。段階的な入国制限の緩和と並行して、日本の安全・安心をアピールする国際的なプロモーションを展開します。特に、個人旅行者向けの体験型観光や、地方の魅力を活かした旅行商品の開発を支援し、多様なインバウンド需要の獲得を目指します。
さらに、観光地の魅力向上と受入環境の整備を進めます。具体的には、文化財や国立公園などの観光資源の更なる活用、多言語対応の強化、キャッシュレス決済の普及などを推進します。特に、地方の観光地については、その地域ならではの体験型コンテンツの開発を重点的に支援します。例えば、農村での農業体験や、伝統工芸の制作体験など、地域の特色を活かした観光プログラムの造成を後押しします。
また、観光産業のデジタル化も推進します。観光地全体でのデータ活用を促進し、観光客の行動分析や効果的なマーケティングを可能にするプラットフォームの構築を支援します。2025年までに、全国の主要観光地に観光関連データを活用したシステムを導入することを目指します。
これらの施策を通じて、2030年までに訪日外国人旅行者数6,000万人、旅行消費額15兆円という目標の達成を目指すとともに、観光を通じた地域経済の活性化と雇用創出を実現してまいります。
8.4 地方分権の推進
石破茂内閣総理大臣:私は、地方創生を実現する上で、地方分権の推進が不可欠だと考えています。これまでの中央集権型の行政システムでは、地域の多様性や独自性を活かした施策の展開が困難でした。そこで、以下の施策を通じて地方分権を一層推進してまいります。
まず、国から地方への権限移譲を加速させます。具体的には、地方自治体からの提案を踏まえ、農地転用の許可権限や、一部の国道・河川の管理権限などを、都道府県や政令指定都市に移譲します。これにより、地域の実情に応じたよりきめ細かな行政サービスの提供が可能になると考えています。
次に、地方税財源の充実を図ります。地方交付税の総額確保はもちろんのこと、地方税の充実強化にも取り組みます。例えば、地方消費税の配分割合の見直しなども視野に入れて検討を進めます。
さらに、地方自治体の行政改革を支援します。デジタル技術の活用による行政手続きの効率化や、自治体間の広域連携の促進などを通じて、行政の効率化と住民サービスの向上を図ります。
これらの施策により、地方自治体の自主性・自立性を高め、地域の特色を活かした地方創生の実現を目指します。
8.5 各党からの質問と提案
枝野幸男議員(立憲民主党):私は、地方分権の推進自体には賛成ですが、いくつか懸念点があります。まず、権限移譲に伴う財源措置が不十分ではないでしょうか。また、地方間格差が拡大する恐れはないのでしょうか。さらに、国の責任放棄につながらないか、という点も危惧しています。これらの点について、首相の見解をお聞かせください。
松井一郎議員(日本維新の会):私は、より大胆な地方分権改革を求めます。例えば、道州制の導入や、国と地方の役割分担の抜本的な見直しなどが必要だと考えます。また、地方自治体の課税自主権の拡大も重要です。これらの点について、首相はどのようにお考えでしょうか。
山口那津男議員(公明党):私は、地方分権を進める上で、住民自治の強化が重要だと考えます。例えば、住民参加型の政策決定プロセスの拡充や、地域コミュニティの活性化支援などが必要ではないでしょうか。また、都市部と地方部の連携強化についても、具体的な施策をお聞かせください。
志位和夫議員(日本共産党):私は、地方分権の名の下に、国の責任が放棄されることを危惧しています。特に、福祉や教育などの分野で、国の責任をどのように担保するのでしょうか。また、大企業誘致に依存しない、地域に根ざした経済発展の道筋について、首相の見解をお聞かせください。
玉木雄一郎議員(国民民主党):私は、デジタル化時代における地方分権のあり方について質問します。例えば、マイナンバーの活用や、自治体のデジタル化推進など、デジタル技術を活用した地方分権の具体策をお聞かせください。また、テレワークの普及を踏まえた、新たな地方創生の方向性についてもご説明いただきたいと思います。
8.6 石破首相の回答と具体的施策
石破茂内閣総理大臣:各党の皆様から貴重なご意見とご質問をいただき、ありがとうございます。順次、お答えしてまいります。
まず、枝野議員のご指摘について、権限移譲に伴う財源措置は極めて重要だと認識しています。具体的には、移譲される事務・権限の実施に必要な財源を、地方交付税や国庫補助負担金などを通じて確実に措置します。地方間格差については、地方交付税による財政調整機能を維持しつつ、地域の独自性を活かした発展を支援することで、健全な競争と協調のバランスを取ってまいります。国の責任放棄については、決してそうならないよう、国と地方の適切な役割分担を明確にし、国としての責務はしっかりと果たしてまいります。
松井議員ご提案の道州制については、現時点では導入の予定はありませんが、将来的な統治機構のあり方として、引き続き検討を進めてまいります。地方自治体の課税自主権の拡大については、法定外税の活用促進や、超過課税の弾力的運用などを通じて、段階的に進めていく考えです。
山口議員ご指摘の住民自治の強化は、地方分権を実効性あるものにする上で不可欠です。住民参加型の政策決定プロセスについては、パブリックコメント制度の拡充や、市民会議の活用などを推進します。地域コミュニティの活性化支援としては、自治会やNPOなどの活動を後押しする交付金制度の創設を検討しています。都市部と地方部の連携強化については、企業版ふるさと納税の拡充や、地域間連携プロジェクトへの支援強化などを行います。
志位議員のご懸念について、福祉や教育などの分野における国の責任は引き続き堅持します。具体的には、全国一律の最低基準の設定と財源保障を通じて、全国どこでも一定水準のサービス提供を担保します。地域に根ざした経済発展については、地域資源を活用した産業育成や、地域内経済循環の促進などを通じて支援してまいります。
玉木議員ご指摘のデジタル化時代における地方分権については、「自治体デジタル化推進計画」を策定し、マイナンバーの活用拡大や、行政手続きのオンライン化などを強力に推進します。具体的には、2025年度までに、主要な行政手続きの大部分をオンライン化することを目指します。また、テレワークの普及を踏まえた新たな地方創生策として、「デジタル田園都市国家構想」を推進し、地方におけるサテライトオフィスの設置支援や、IT人材の地方移住促進などに取り組みます。
9. 環境・エネルギー政策
9.1 カーボンニュートラルへの取り組み
石破茂内閣総理大臣:私は、2050年カーボンニュートラル実現に向けて、具体的な道筋を示す必要があると考えています。そのため、以下の施策を実施してまいります。
まず、2030年度の温室効果ガス排出削減目標を、2013年度比46%削減から50%削減に引き上げます。この目標達成のため、産業、運輸、家庭部門など各分野での削減努力を加速させます。
具体的には、カーボンプライシングの導入を検討します。CO2排出削減のインセンティブを高めつつ、産業競争力への影響に配慮した制度設計を行います。
また、グリーン成長戦略を強化し、次世代太陽電池、カーボンリサイクル、水素など重点分野への投資を促進します。2030年までに官民で総額100兆円の投資を目指し、グリーン成長による経済と環境の好循環を創出します。
9.2 再生可能エネルギーの導入促進
石破茂内閣総理大臣:再生可能エネルギーの主力電源化は、カーボンニュートラル実現に不可欠です。2030年度の電源構成における再生可能エネルギーの比率を36〜38%に引き上げることを目標とします。
この目標達成のため、以下の施策を実施します:
- 洋上風力発電の導入拡大
- 太陽光発電の更なる普及
- 地熱発電の開発加速
- 水素・アンモニア発電の実用化
また、再生可能エネルギーの大量導入に向けて、送電網の増強や蓄電システムの導入支援など、電力系統の強靭化と柔軟化を進めます。
9.3 原子力発電の安全利用
石破茂内閣総理大臣:原子力発電については、安全性の確保を大前提に、エネルギー安全保障や脱炭素化の観点から、慎重に検討を進めます。
具体的には、以下の方針で臨みます:
- 既存の原子力発電所の再稼働:原子力規制委員会の新規制基準に適合し、地元の理解が得られた原発については、安全性を最優先に再稼働を進めます。
- 原子力発電所の新増設・リプレース:現時点では計画しませんが、将来的なエネルギー政策の選択肢として検討を続けます。
- 核燃料サイクルの推進:高レベル放射性廃棄物の処理に関する研究開発を継続します。
- 最終処分場の選定:科学的特性マップを踏まえ、地層処分に向けた取り組みを加速します。
これらの方針に基づき、2030年度の電源構成における原子力発電の比率を20〜22%程度とすることを目指します。
9.4 各党からの質問と批判
枝野幸男議員(立憲民主党):私は、カーボンニュートラルへの取り組みを評価しますが、その実現可能性に疑問があります。特に、原子力発電への依存は危険であり、再生可能エネルギーへのシフトをより加速すべきだと考えます。また、カーボンプライシングの導入に当たっては、低所得者層への影響をどのように緩和するのでしょうか。
松井一郎議員(日本維新の会):私は、原子力発電の活用には賛成ですが、安全性の確保と地元の理解を得ることが重要です。また、再生可能エネルギーの導入に当たっては、発電コストの低減が課題です。具体的なコスト削減策をお聞かせください。
山口那津男議員(公明党):私は、再生可能エネルギーの導入促進を強く支持します。特に、地域の特性を活かした分散型エネルギーシステムの構築が重要だと考えます。地方自治体と連携した具体的な取り組みについて、お聞かせください。
志位和夫議員(日本共産党):私は、原発ゼロ政策を主張します。福島第一原発事故の教訓を踏まえ、全ての原発を段階的に廃止すべきです。また、石炭火力発電所の新設中止と既存施設の段階的廃止を求めます。これらの点について、首相の見解をお聞かせください。
玉木雄一郎議員(国民民主党):私は、カーボンニュートラルの実現には、技術革新が不可欠だと考えます。特に、次世代エネルギー技術への投資をどのように進めていくのか、具体的な計画をお聞かせください。
9.5 石破首相の回答と今後の方針
石破茂内閣総理大臣:各党の皆様から貴重なご意見とご質問をいただき、ありがとうございます。順次、お答えしてまいります。
枝野議員のご指摘について、カーボンニュートラルの実現は確かに困難な課題ですが、技術革新と社会システムの変革により達成可能だと考えています。原子力発電については、安全性の確保を大前提に、エネルギー安全保障や脱炭素化の観点から慎重に検討を進めます。再生可能エネルギーへのシフトは、今後も加速させていきます。カーボンプライシングの導入に当たっては、低所得者層への負担軽減策を検討します。
松井議員のご質問について、原子力発電の安全性確保と地元の理解獲得は最重要課題です。再生可能エネルギーのコスト削減については、技術開発支援や規制改革、市場メカニズムの活用などを通じて進めます。
山口議員ご指摘の分散型エネルギーシステムについては、地域マイクログリッドの構築支援や、自治体主導の再エネ事業への支援など、具体的な施策を講じます。また、地域の再エネポテンシャル調査や人材育成支援なども行います。
志位議員の原発ゼロ政策については、現時点では採用しませんが、原子力依存度は可能な限り低減させる方針です。石炭火力については、非効率な発電所の廃止を進めるとともに、CO2回収・有効利用・貯留技術の開発・導入を促進し、脱炭素化を図ります。
玉木議員ご指摘の技術革新への投資については、グリーンイノベーション基金を活用し、重点分野への支援を行います。次世代エネルギー技術の研究開発にも継続的に取り組みます。
これらの方針に基づき、環境と経済の好循環を生み出すグリーン成長を実現し、2050年カーボンニュートラルの達成を目指してまいります。同時に、エネルギーの安定供給と経済性の確保にも十分配慮し、バランスの取れたエネルギー政策を推進してまいります。
10. 災害対策と防災・減災
10.1 能登半島地震からの復興
石破茂内閣総理大臣:私は、2024年1月1日に発生した能登半島地震からの復興を最重要課題の一つと位置付けています。被災地の一日も早い復旧・復興に向けて、以下の施策を実施してまいります。
まず、被災者の生活再建支援を最優先に取り組みます。具体的には、応急仮設住宅の迅速な提供、被災者生活再建支援金の支給、そして災害弔慰金の支給を行います。特に、仮設住宅については、被災地の実情に合わせて、できる限り迅速に提供できるよう努めます。
次に、地域の基幹産業である観光業と水産業の復興支援に力を入れます。観光業については、風評被害対策として、正確な情報発信と共に、観光需要喚起策を実施します。水産業については、漁港施設の復旧を急ぐとともに、水産加工施設の再建支援や販路回復支援を行います。
さらに、地震に強いまちづくりを進めます。建築物の耐震化支援を強化するとともに、地盤の液状化対策や津波に強い海岸保全施設の整備を進めます。また、災害時の孤立を防ぐため、道路や橋梁の強靭化にも取り組みます。
これらの施策を迅速かつ効果的に実施するため、復興特別措置法の制定を検討し、財政支援の拡充や復興事業の円滑化を図ります。また、現地に復興対策本部を設置して、きめ細かな支援を行ってまいります。
10.2 豪雨災害への対応
石破茂内閣総理大臣:近年、気候変動の影響により、豪雨災害が頻発化・激甚化しています。こうした状況を踏まえ、豪雨災害への対応を強化してまいります。
まず、ハード面の対策として、河川の堤防強化や遊水地の整備、ダムの洪水調節機能の強化を進めます。特に、中小河川の整備を加速させ、重要度の高い中小河川の整備を優先的に進めます。
同時に、ソフト面の対策も充実させます。具体的には、最新技術を活用した河川水位予測システムの導入や、より精緻な浸水シミュレーションの実施により、正確な避難情報の提供を目指します。また、住民一人ひとりの避難計画作成を支援します。
さらに、「流域治水」の考え方に基づき、河川管理者だけでなく、自治体や住民、企業など、流域全体で水害に取り組む体制を構築します。具体的には、雨水貯留施設の設置や、農地・ため池の活用による流出抑制、浸水リスクを考慮した土地利用規制などを、総合的に推進します。
これらの対策を通じて、人的被害の最小化と経済被害の軽減を図ります。
10.3 防災庁の設置に向けた取り組み
石破茂内閣総理大臣:私は、我が国の防災・減災対策をより一層強化するため、防災庁の設置に向けた検討を進めてまいります。
現在、防災に関する業務は内閣府を中心に、国土交通省、総務省消防庁など複数の省庁に分散しています。これを一元化し、平時の備えから発災時の対応、そして復旧・復興までを一貫して担う組織として、防災庁の設置を検討します。
防災庁の主な役割としては、以下を想定しています:
- 災害予測・早期警戒システムの構築と運用
- 自治体や民間セクターとの連携強化
- 防災・減災に関する研究開発の推進
- 国際防災協力の推進
特に、最新のテクノロジーを活用した災害予測・早期警戒システムの構築に力を入れます。より精度の高い災害予測と迅速な警報発令を実現することを目指します。
また、防災庁の設置に合わせて、地方自治体における防災体制の強化も支援します。具体的には、防災専門職員の育成・配置を促進するとともに、自治体間の広域連携体制の構築を支援します。
防災庁の設置には、法改正や組織再編など様々な課題がありますが、国民の生命と財産を守るため、慎重に検討を進めてまいります。
これらの取り組みにより、我が国の防災・減災体制を抜本的に強化し、災害に強い国づくりを推進してまいります。
10.4 国土強靭化計画の推進
石破茂内閣総理大臣:私は、国土強靭化計画を我が国の防災・減災対策の根幹として位置付け、その推進に全力を尽くしてまいります。具体的には、以下の施策を重点的に実施します。
まず、インフラの老朽化対策を加速させます。建設後50年以上経過した橋梁やトンネルの割合が急増していることを踏まえ、点検・診断を徹底し、計画的な修繕・更新を進めます。
次に、地震・津波対策を強化します。南海トラフ地震や首都直下地震等の大規模地震に備え、建築物の耐震化や密集市街地の解消、津波避難施設の整備等を進めます。
さらに、気候変動に伴う水害・土砂災害対策も強化します。河川の堤防強化や遊水地の整備、砂防ダムの設置等のハード対策に加え、ハザードマップの高度化や避難計画の充実等のソフト対策も併せて推進します。
これらの施策を着実に実施するため、国土強靭化関係予算を安定的に確保します。また、民間投資を促進するため、PPP/PFIの活用や税制優遇措置の拡充を図ります。
10.5 各党からの質問と提案
枝野幸男議員(立憲民主党):私は、国土強靭化計画の重要性は認識していますが、その実効性に疑問を感じています。特に、地方自治体の財政状況を考えると、計画の実施が困難な自治体も多いのではないでしょうか。また、ハード整備に偏重しすぎているのではないかと懸念しています。ソフト対策の充実についてどのようにお考えでしょうか。
松井一郎議員(日本維新の会):私は、国土強靭化計画の推進には賛成ですが、より効率的な予算執行が必要だと考えます。例えば、新技術を活用したインフラ管理の効率化や、民間企業のノウハウを活用したPPP/PFIの更なる推進などが重要ではないでしょうか。これらの点について、政府の見解をお聞かせください。
山口那津男議員(公明党):私は、国土強靭化計画の推進に当たっては、地域の特性を考慮することが重要だと考えます。特に、過疎地域や離島などにおける防災・減災対策をどのように進めていくのか、具体的な施策をお聞かせください。また、自助・共助の観点から、地域コミュニティの防災力強化についてもお考えをお聞かせください。
志位和夫議員(日本共産党):私は、国土強靭化計画が大型公共事業の推進に偏重していることを危惧しています。本当に必要な対策に予算を集中すべきではないでしょうか。また、原子力発電所の存在自体が国土の脆弱性を高めていると考えますが、この点についての見解をお聞かせください。
玉木雄一郎議員(国民民主党):私は、国土強靭化計画と地方創生を連携させることが重要だと考えます。例えば、防災・減災対策を地域の雇用創出や産業振興にどのようにつなげていくのか、具体的な構想をお聞かせください。また、デジタル技術を活用した新たな防災・減災の取り組みについてもお考えをお聞かせください。
10.6 石破首相の回答と具体的施策
石破茂内閣総理大臣:各党の皆様から貴重なご意見とご質問をいただき、ありがとうございます。順次、お答えしてまいります。
枝野議員のご指摘について、地方自治体の財政状況については十分認識しています。そのため、国土強靭化地域計画に基づく事業に対しては、防災・減災、国土強靱化のための対策等を通じて重点的に支援を行っています。ソフト対策については、ご指摘の通り重要であり、防災教育の充実や地域防災リーダーの育成、避難訓練の高度化など、ソフト面の取り組みも強化してまいります。
松井議員のご提案について、新技術の活用は重要な課題だと認識しています。具体的には、センサーやドローンを活用したインフラの点検・診断などを進めています。PPP/PFIについては、地方自治体向けの支援や、民間提案制度の活用促進などを通じて、さらなる推進を図ります。
山口議員ご指摘の地域特性の考慮は非常に重要です。過疎地域や離島については、例えば、通信インフラの強化など、孤立防止対策を重点的に進めます。また、地域コミュニティの防災力強化については、自主防災組織の活性化支援や、防災士の育成・活用促進などを通じて、自助・共助の基盤づくりを支援します。
志位議員のご懸念について、国土強靭化計画は単なる大型公共事業の推進ではなく、真に必要な対策を科学的・客観的に評価した上で実施しています。原子力発電所については、新規制基準に基づく厳格な安全対策を講じるとともに、防災対策の充実・強化を図ることで、安全性の確保に努めています。
玉木議員ご提案の国土強靭化と地方創生の連携は重要な視点です。例えば、防災・減災インフラの整備に当たっては、地元企業の参画を促進し、技術力向上や雇用創出につなげています。また、多目的利用を進めることで、地域の魅力向上にも寄与しています。デジタル技術の活用については、例えば、スマートフォンアプリを活用した避難誘導システムの構築や、SNSデータを活用した被災状況の把握など、新たな取り組みを推進しています。
11. 憲法改正への取り組み
11.1 憲法改正に向けた議論の促進
石破茂内閣総理大臣:私は、憲法改正に向けた議論を促進することが重要だと考えています。現行憲法は制定から75年以上が経過し、社会情勢や国際環境が大きく変化している中で、新たな時代に即した憲法のあり方を議論する必要があります。
具体的には、以下の取り組みを進めてまいります:
- 国会における憲法審査会の活性化:与野党の枠を超えて、建設的な議論を行える環境を整備します。
- 国民的議論の喚起:憲法改正に関する情報提供や、公開討論会の開催などを通じて、国民の皆様の関心を高め、幅広い議論を促進します。
これらの取り組みを通じて、国民的な議論を深め、憲法改正に向けた機運を醸成してまいります。
11.2 自衛隊の明記等に関する見解
石破茂内閣総理大臣:自衛隊の憲法明記については、私は長年にわたりその必要性を主張してきました。自衛隊の存在と役割を憲法に明記することで、その正当性を明確にし、隊員の皆様の誇りと使命感を高めることができると考えています。
具体的には、現行憲法第9条を維持しつつ、自衛隊の存在を明記する条項を追加することを提案しています。これにより、専守防衛の原則を堅持しながら、自衛隊の位置付けを明確化することが可能になると考えています。
また、緊急事態条項の新設についても検討が必要だと考えています。大規模災害や有事の際に、政府が迅速かつ効果的に対応できるよう、必要最小限の範囲で緊急事態に関する規定を設けることを提案しています。
11.3 各党の立場と質問
枝野幸男議員(立憲民主党):私たちは、現行憲法の基本原則、特に平和主義と基本的人権の尊重を堅持すべきだと考えています。自衛隊の明記については、現状でも自衛隊の合憲性は確立しており、あえて改正する必要はないのではないでしょうか。また、緊急事態条項については、権力の濫用につながる危険性があると懸念しています。これらの点について、首相の見解をお聞かせください。
松井一郎議員(日本維新の会):私たちは、憲法改正の必要性を認識しています。特に、教育の無償化や統治機構改革などの項目を憲法に盛り込むべきだと考えています。自衛隊の明記については賛成ですが、同時に、国会の機能強化なども検討すべきではないでしょうか。これらの点について、政府の見解をお聞かせください。
山口那津男議員(公明党):私たちは、加憲の立場から、現行憲法の基本原則を維持しつつ、必要な条項を追加することを提案しています。自衛隊の明記については、慎重に検討する必要があると考えています。また、環境権や国民の知る権利など、新しい人権の明記も重要だと考えますが、これらの点について、首相のお考えをお聞かせください。
志位和夫議員(日本共産党):私たちは、現行憲法、特に9条の改定に強く反対します。自衛隊の明記は、実質的に9条を空文化し、海外での武力行使を可能にする危険性があると考えています。また、緊急事態条項も、国民の権利制限につながる恐れがあります。憲法改正ではなく、憲法を守り、生かす政治こそが必要ではないでしょうか。
玉木雄一郎議員(国民民主党):私たちは、憲法改正の議論を建設的に進めるべきだと考えています。自衛隊の明記については、その必要性を認識していますが、同時に、シビリアンコントロールの強化や、自衛隊の行動範囲の明確化も必要ではないでしょうか。また、地方自治の強化や、新しい人権の明記なども重要な論点だと考えますが、これらの点について、首相のお考えをお聞かせください。
11.4 石破首相の回答と今後の方針
石破茂内閣総理大臣:各党の皆様から貴重なご意見とご質問をいただき、ありがとうございます。順次、お答えしてまいります。
枝野議員のご指摘について、現行憲法の基本原則を尊重することは当然であり、平和主義と基本的人権の尊重は今後も堅持してまいります。自衛隊の明記については、その存在と役割を明確にすることで、むしろ自衛隊の民主的統制を強化できると考えています。緊急事態条項については、権力の濫用を防ぐための厳格な歯止めを設けることを前提に検討を進めてまいります。
松井議員のご提案について、教育の無償化や統治機構改革は重要な論点だと認識しています。これらの項目についても、憲法改正の議論の中で検討してまいります。国会の機能強化については、統治機構のあり方全体の中で議論を深めていく必要があります。
山口議員ご指摘の加憲の考え方は、現行憲法の基本原則を維持しつつ必要な改正を行うという点で、私の考えと近いものがあります。環境権や知る権利などの新しい人権の明記については、社会の変化に対応する上で重要な論点だと認識しています。今後の憲法改正の議論の中で、これらの点についても検討を進めてまいります。
志位議員のご懸念について、自衛隊の明記は決して9条を空文化するものではなく、むしろ専守防衛の原則を明確にするものだと考えています。海外での武力行使を可能にする意図は全くありません。緊急事態条項についても、国民の権利を不当に制限するものではなく、国民の生命と安全を守るために必要最小限の措置を可能にするものです。
玉木議員ご指摘の点について、シビリアンコントロールの強化や自衛隊の行動範囲の明確化は重要な論点だと認識しています。これらの点についても、自衛隊明記の議論と併せて検討を進めてまいります。地方自治の強化や新しい人権の明記についても、重要な検討課題だと考えており、今後の憲法改正の議論の中で取り上げていく所存です。
今後の方針としては、まずは国会における憲法審査会での議論を活性化させ、各党の意見を丁寧に聞きながら、合意形成に向けた努力を続けてまいります。同時に、国民的な議論を喚起するため、憲法改正に関する情報提供や公開討論会の開催などを積極的に行ってまいります。
憲法改正は国民主権の下で行われるものであり、最終的には国民投票で国民の皆様の判断を仰ぐことになります。そのため、拙速な改正は避け、十分な議論と国民的な理解を得ながら、慎重かつ着実に進めてまいる所存です。
12. 政治資金問題と自民党の対応
12.1 裏金問題の経緯と現状
石破茂内閣総理大臣:私は、自民党の政治資金問題、特に裏金問題の経緯と現状について説明いたします。この問題は、我が党の一部の議員が政治資金パーティーの収入を適切に報告せず、裏金として管理していたことが発覚したものです。
2023年末から2024年初頭にかけて、複数の自民党議員が政治資金収支報告書に記載されていない現金を保管していたことが明らかになりました。現在、検察当局による捜査が進められており、自民党としても内部調査を行っています。
12.2 再調査の必要性に関する議論
石破茂内閣総理大臣:裏金問題の全容解明と再発防止に向けて、再調査の必要性が議論されています。私は、この問題の徹底的な解明が、政治への信頼回復のために不可欠だと考えています。
再調査については、第三者委員会の設置や調査範囲の拡大、全議員の協力などが議論されています。これらの方針に基づき、再調査の実施について党内で検討を進めているところです。
12.3 公認・非公認問題
石破茂内閣総理大臣:裏金問題に関与した議員の処遇、特に次期選挙での公認・非公認の問題は、党として慎重に判断すべき重要な課題です。
現時点では、刑事責任が問われた議員や裏金の保管が確認された議員については、個別に状況を精査した上で判断する方針です。これらの判断に当たっては、法的責任の有無だけでなく、政治倫理の観点からも審査を行います。
12.4 各党からの批判と提案
枝野幸男議員(立憲民主党):私は、自民党の裏金問題は政治の根幹を揺るがす重大な問題だと考えています。第三者委員会による徹底的な調査と、関与した議員の厳正な処分を求めます。また、政治資金規正法の更なる厳格化や、政党助成金制度の見直しなど、制度面での改革も必要ではないでしょうか。
松井一郎議員(日本維新の会):私たちは、この問題を政治不信の象徴と捉えています。自民党には、全ての議員の資金管理状況を洗い出し、その結果を公表することを求めます。また、政治資金パーティーの収支報告の義務化や、政治団体の会計監査の厳格化など、具体的な再発防止策を提案します。
山口那津男議員(公明党):我が党は、与党の一員として、この問題の重大性を認識しています。自民党には徹底的な調査と情報公開を求めるとともに、再発防止に向けた具体的な制度改革を共に進めていく所存です。特に、政治資金規正法の見直しや、会計責任者の資格要件の厳格化などを検討すべきだと考えます。
志位和夫議員(日本共産党):私は、この問題が自民党の体質に根ざした構造的な問題だと考えています。単なる個人の問題ではなく、政党としての責任を明確にすべきです。また、企業・団体献金の全面禁止や、政党助成金制度の廃止など、政治とカネの関係を根本から見直す改革が必要だと主張します。
玉木雄一郎議員(国民民主党):私たちは、この問題を政治改革の契機とすべきだと考えています。自民党には、徹底的な調査と情報公開を求めるとともに、全政党が参加する形での政治資金制度改革協議会の設置を提案します。また、政治資金の透明化に向けたデジタル技術の活用など、新たな視点からの改革も必要ではないでしょうか。
12.5 石破首相の対応と自民党の方針
石破茂内閣総理大臣:各党の皆様から厳しいご指摘とご提案をいただき、その重みを真摯に受け止めています。政治資金問題は、国民の政治不信を招く重大な問題であり、徹底的な調査と再発防止策の実施が不可欠だと認識しています。
自民党としての対応と方針は以下の通りです:
- 第三者委員会の設置を検討し、全容解明に努めます。
- 党所属の全議員に対して、過去の政治資金管理状況の報告を求めます。
- 政治資金パーティーの収支報告の義務化や、会計責任者の資格要件の厳格化など、具体的な再発防止策を検討します。
- 与野党協議の場を設け、政治資金規正法の改正に向けた議論を進めます。
- 政治資金の透明化に向けて、収支報告のデジタル化やオンライン公開の拡充を検討します。
これらの取り組みを通じて、政治への信頼回復に全力を尽くす所存です。同時に、この問題を政治改革の契機とし、より透明で公正な政治の実現に向けて、各党の皆様とも建設的な議論を重ねてまいりたいと考えています。
国民の皆様に対しては、この問題で大きな不信感を抱かせてしまったことをお詫びするとともに、二度とこのような事態を繰り返さないよう、党を挙げて再発防止に取り組むことをお約束いたします。今後は、より高い倫理観と透明性をもって政治活動を行い、国民の皆様の信頼回復に努めてまいります。
13. 野党共闘の可能性と選挙戦略
13.1 一本化の意義と課題
枝野幸男議員(立憲民主党):私は、野党共闘、特に選挙区での候補者一本化の意義は大きいと考えています。自民党政権に対抗するためには、野党が結束して戦うことが重要です。一本化によって、より多くの議席を獲得できる可能性が高まります。
しかし、一本化には課題もあります。政策の違いをどう調整するかという点や、支持者の理解を得ることも重要です。これらの課題を克服しつつ、一本化の実現に向けて努力を重ねていく必要があります。
13.2 立憲民主党との関係
玉木雄一郎議員(国民民主党):私たち国民民主党と立憲民主党との関係は、野党共闘の重要な要素です。両党は理念や政策に共通点もありますが、完全な合流や統一会派の結成には至っていません。
政策の違いや党の運営方針の違いなど、課題が残されています。特に、エネルギー政策や安全保障政策などについては、両党の間に違いがあります。
今後は、これらの違いを率直に議論しながら、可能な範囲で協力関係を築いていくことが重要だと考えています。選挙協力についても、個別の選挙区ごとに協議を重ねていく必要があります。
13.3 世論調査結果の分析
志位和夫議員(日本共産党):最近の世論調査結果を見ると、野党共闘への期待が一定程度あることがわかります。特に、政治資金問題などで自民党への批判が高まっている中、野党に対する期待も見られます。
しかし同時に、「野党に期待できない」という声も依然として多いのが現状です。野党としての対案提示力や発信力を高めていく必要があります。
13.4 各党の立ち位置と戦略
松井一郎議員(日本維新の会):私たち日本維新の会は、既存の野党とは異なる「第三極」としての立場を取っています。自民党政権に対しては批判的な姿勢を取りつつも、政策によっては協力する姿勢も示しています。
我々の戦略は、既存の政党の枠にとらわれない改革志向の政策を打ち出し、無党派層や改革を求める有権者の支持を得ることです。そのため、他の野党との全面的な共闘には慎重な姿勢を取っています。
具体的には、大阪都構想の実現や教育改革、行政改革などを重点政策として掲げ、独自色を出していく方針です。
山口那津男議員(公明党):私たち公明党は、与党の一員として自民党と連立を組んでいますが、同時に独自の政策も打ち出しています。特に、社会保障や教育、外交などの分野では、自民党とは異なる主張を展開しています。
我々の戦略は、連立与党の一翼を担いつつも、公明党ならではの政策を実現していくことです。具体的には、年金制度の改革や子育て支援の充実、平和外交の推進などを重点政策として掲げています。
枝野幸男議員(立憲民主党):私たち立憲民主党は、野党第一党として政権交代を目指す立場にあります。そのためには、他の野党との連携が不可欠だと考えています。
我々の戦略は、憲法擁護や民主主義の回復、格差是正などを柱とする政策を打ち出し、幅広い層からの支持を得ることです。同時に、他の野党との政策協議を進め、可能な限り共通政策を形成していく方針です。
選挙戦略としては、野党候補の一本化を進めつつ、政権交代への現実的な選択肢を示すことを目指します。特に、一人区での勝利が鍵となるため、他の野党との調整を丁寧に行っていく考えです。
14. 予算委員会開催を巡る問題
14.1 石破首相の公約と現実のギャップ
石破茂内閣総理大臣:私は、就任時に「開かれた国会運営」を公約として掲げました。しかし、現実には予算委員会の開催が遅れており、この点について国民の皆様にお詫びしなければなりません。政治資金問題への対応や、能登半島地震への対応が要因ではありますが、これらは言い訳にはなりません。
今後はできる限り早期に予算委員会を開催し、国民の皆様の負託に応える議論を行っていく所存です。
14.2 国会延長の必要性
石破茂内閣総理大臣:予算委員会の開催が遅れたことにより、当初予定していた国会会期内での審議が困難になっています。そのため、国会の会期延長が必要不可欠であると判断しました。
会期延長については、野党の皆様のご理解とご協力をお願いしたいと思います。
14.3 被災地支援との関連
石破茂内閣総理大臣:国会の会期延長を検討する中で、能登半島地震の被災地支援との兼ね合いが重要な課題となっています。被災地の復興は喫緊の課題であり、国会審議と並行して迅速な支援を行っていく必要があります。
被災地支援のための補正予算案を早急に編成し、予算委員会での審議と並行して成立を目指します。国会審議の遅れが被災地支援の遅れにつながることのないよう、最大限の注意を払って対応してまいります。
14.4 各党からの批判と要求
枝野幸男議員(立憲民主党):私は、石破首相の「開かれた国会運営」という公約と現実のギャップに強い懸念を表明します。予算委員会の開催遅延は、国会の機能を著しく低下させるものです。
我々は、以下の要求を行います:
- 予算委員会を直ちに開催すること
- 政治資金問題に関する徹底した調査報告を行うこと
- 被災地支援のための具体的な計画を早急に示すこと
これらの要求が満たされない限り、国会延長には応じられません。
松井一郎議員(日本維新の会):私たちは、予算委員会の開催遅延は政府の責任逃れだと考えます。国会で十分な議論を行わずに、政策を進めようとしているのではないでしょうか。
我々の要求は以下の通りです:
- 予算委員会での首相の徹底した説明責任の遂行
- 政治資金問題に関する調査委員会の設置
- 国会審議の効率化に向けた改革案の提示
これらの点について、政府の誠意ある対応を求めます。
山口那津男議員(公明党):我々公明党は、与党の一員として石破内閣を支えていく立場ですが、予算委員会の開催遅延については遺憾に思います。しかし、現在の状況を考えれば、国会延長はやむを得ないと考えます。
ただし、延長期間中は以下の点に留意すべきだと考えます:
- 被災地支援を最優先課題として取り組むこと
- 政治資金問題について、与党としての対応策を明確に示すこと
- 重要法案の審議時間を十分に確保すること
志位和夫議員(日本共産党):私たちは、予算委員会の開催遅延は民主主義の軽視であり、断じて認められないと考えます。石破首相の責任は重大です。
我々は以下の要求を行います:
- 予算委員会を即時開催し、首相自らが全ての疑惑について説明すること
- 政治資金問題に関与した議員の処分を明確にすること
- 被災地支援のための大型補正予算を直ちに編成すること
これらの要求が満たされない限り、国会審議に応じることはできません。
玉木雄一郎議員(国民民主党):私たちは、予算委員会の開催遅延は国民への背信行為だと考えます。しかし、現状を踏まえれば、建設的な対応も必要です。
我々の提案は以下の通りです:
- 予算委員会の集中審議日程を設定し、十分な質疑時間を確保すること
- 政治資金問題に関する特別委員会を設置し、継続的な調査を行うこと
- 被災地支援と予算審議を並行して進める体制を構築すること
これらの提案を真摯に検討いただき、生産的な国会運営を行うよう求めます。
石破茂内閣総理大臣:各党の皆様から厳しいご指摘とご要求をいただき、その重みを真摯に受け止めています。予算委員会の開催遅延について、改めてお詫び申し上げます。
いただいたご意見を踏まえ、以下の対応を行ってまいります:
- 予算委員会を早期に開催し、十分な審議時間を確保します。
- 政治資金問題については、調査委員会の設置を検討し、徹底した調査を行います。
- 被災地支援のための補正予算案を早急に編成し、予算委員会での審議と並行して成立を目指します。
- 国会の会期延長については、野党の皆様のご理解を得ながら、必要な期間で調整いたします。
15. 石破内閣に対する各党の評価
15.1 期待と現実のギャップ
枝野幸男議員(立憲民主党):私は、石破内閣に対する国民の期待と現実のギャップに強い懸念を抱いています。石破首相は「政治改革」や「地方創生」を掲げて就任されましたが、実際の政策では従来の自民党政権と大きな違いが見られません。
特に、政治資金問題への対応や予算委員会の開催遅延など、「開かれた政治」という公約とは裏腹に、閉鎖的な政治運営が続いていると言わざるを得ません。国民の期待に応えるためには、より透明性の高い政治と、実効性のある改革が必要です。
松井一郎議員(日本維新の会):私たちは、石破内閣の発足時に、従来の自民党政権とは異なる改革志向の政治を期待していました。しかし、現実には既得権益の打破や行政改革などの面で、大胆な政策が見られません。
特に、地方分権や教育改革などの分野で、我々が提案してきた施策が十分に取り入れられていないことは残念です。国民の期待に応えるためには、より大胆な改革と、スピード感のある政策実行が必要だと考えます。
15.2 官僚答弁への批判
志位和夫議員(日本共産党):私は、石破内閣の国会答弁、特に官僚による答弁に強い不満を感じています。重要な政策課題について、首相自らが明確な見解を示すべきところを、官僚に答弁を委ねる場面が多々見られます。
これでは、政治主導を掲げる石破内閣の姿勢が問われかねません。国民の代表である国会議員の質問に対しては、政治家である大臣自らが責任を持って答弁すべきです。官僚依存の姿勢を改め、政治家としての説明責任を果たすよう強く求めます。
玉木雄一郎議員(国民民主党):私たちは、石破内閣の官僚答弁への依存度の高さに疑問を感じています。確かに、専門的な内容については官僚の知見が必要な場合もありますが、政策の基本方針や重要な判断については、政治家自らが説明すべきです。
特に、予算委員会などの重要な場で、官僚答弁が目立つことは、政治主導の観点から問題があると言わざるを得ません。石破首相には、より積極的に自らの言葉で政策を説明し、国民の理解を得る努力をしていただきたいと思います。
15.3 岸田内閣との類似性
山口那津男議員(公明党):私たち公明党は、連立与党として石破内閣を支えていますが、前の岸田内閣との政策の継続性についても注視しています。確かに、多くの政策で岸田内閣からの継続性が見られますが、これは決して悪いことではありません。
しかし、一方で石破内閣独自の色彩を出すことも重要です。特に、地方創生や行政改革の分野では、石破首相の持論を反映したより踏み込んだ政策を期待しています。岸田内閣との連続性を保ちつつ、新たな挑戦も行うバランスの取れた政権運営を望みます。
枝野幸男議員(立憲民主党):私は、石破内閣と岸田内閣との類似性が高すぎることに懸念を抱いています。確かに、政策の継続性は重要ですが、問題のある政策まで踏襲する必要はありません。
特に、経済政策や社会保障政策において、岸田内閣時代の課題がそのまま引き継がれているように見受けられます。石破首相には、これらの課題に対する独自の解決策を示し、真の意味での「新しい資本主義」を実現していただきたいと思います。
15.4 政策の継続性と変革のバランス
石破茂内閣総理大臣:私は、政策の継続性と変革のバランスの重要性を十分に認識しています。確かに、岸田内閣から引き継いだ政策も多くありますが、これは国政の安定性を保つために必要な面があります。
一方で、私の内閣では特に地方創生や行政改革の分野で新たな取り組みを始めています。例えば、地方創生推進交付金の拡充や、デジタル技術を活用した行政効率化などは、私の内閣ならではの政策です。
また、政治改革の面では、政治資金規正法の見直しや、国会改革などにも着手しています。これらは、従来の自民党政権では十分に取り組めなかった課題です。
今後も、必要な政策の継続性を保ちつつ、時代の要請に応じた新たな改革にも果敢に取り組んでいく所存です。各党の皆様からのご指摘やご提案を真摯に受け止め、よりよい政策立案と実行に努めてまいります。
16. 今後の政治課題と展望
16.1 政治改革の必要性再確認
石破茂内閣総理大臣:私は、政治改革の必要性を改めて強く認識しています。最近の政治資金問題や予算委員会の開催遅延などの課題を踏まえ、政治への信頼回復は喫緊の課題です。
具体的には、以下の点に重点的に取り組んでいきます:
- 政治資金規正法の更なる厳格化
- 国会改革による審議の活性化
- 情報公開の徹底と透明性の向上
これらの改革を通じて、国民の皆様の政治への信頼を取り戻し、より開かれた政治を実現していく所存です。
16.2 経済成長と社会保障の両立
石破茂内閣総理大臣:経済成長と社会保障の両立は、我が国が直面する最大の課題の一つです。人口減少と高齢化が進む中、持続可能な経済成長と充実した社会保障制度の構築が不可欠です。
そのために、以下の政策を推進していきます:
- イノベーション促進による生産性向上
- 働き方改革の更なる推進
- 全世代型社会保障制度の構築
- 財政健全化との両立
これらの政策を通じて、経済成長と社会保障の好循環を生み出し、全ての世代が安心して暮らせる社会を目指します。
16.3 外交・安全保障環境の変化への対応
石破茂内閣総理大臣:国際情勢が急速に変化する中、我が国の外交・安全保障政策も適切に対応していく必要があります。特に、以下の点に注力してまいります:
- 日米同盟の更なる強化
- 自由で開かれたインド太平洋の実現
- 近隣諸国との関係改善
- 防衛力の強化と抑止力の向上
これらの取り組みを通じて、我が国の安全と繁栄を確保するとともに、国際社会の平和と安定に貢献してまいります。
16.4 地方創生と人口減少問題への取り組み
石破茂内閣総理大臣:地方創生と人口減少問題への対応は、我が国の将来を左右する重要な課題です。東京一極集中を是正し、地方の活力を取り戻すために、以下の政策を推進します:
- 地方創生推進交付金の拡充と効果的活用
- テレワークの推進による地方移住の促進
- 地方大学の機能強化と若者の地方定着支援
- 地方の特色を活かした産業振興
これらの政策を通じて、地方の魅力を高め、バランスの取れた国土発展を目指します。同時に、少子化対策にも力を入れ、人口減少問題にも積極的に取り組んでまいります。
枝野幸男議員(立憲民主党):私は、石破首相が掲げる政策の方向性には一定の理解を示しますが、その実効性には疑問を感じます。特に、政治改革については、より具体的かつ踏み込んだ施策が必要だと考えます。
政治資金規正法の改正については、より厳格な措置を講じるべきです。また、国会改革については、政治家の責任をより明確にする仕組みが必要です。
経済成長と社会保障の両立については、我々は「分配なくして成長なし」という考えのもと、より積極的な所得再分配政策を提案します。
地方創生については、単なる財政支援だけでなく、地方の自主性を尊重した権限移譲など、より抜本的な改革が必要だと考えます。
松井一郎議員(日本維新の会):私たちは、石破内閣の政策には物足りなさを感じています。特に、政治改革と地方創生の分野では、より大胆な改革が必要だと考えます。
政治改革については、国会議員の定数削減や、選挙制度改革によるマニフェスト選挙の徹底など、政治の効率化と責任の明確化を図るべきです。
地方創生については、我々が大阪で実践してきた二重行政の解消や、特別区制度の導入など、行政の効率化と住民自治の強化を全国に広げるべきだと考えます。
経済成長については、法人税のさらなる引き下げや、成長分野への大胆な投資促進策など、より積極的な成長戦略が必要だと考えます。
山口那津男議員(公明党):我が党は、連立与党として石破内閣の政策を支持しつつ、さらなる充実を求めていきます。特に、社会保障の分野では、我が党が提唱してきた「全世代型社会保障」の理念をより具体化していく必要があります。
外交・安全保障については、我が党の理念である「人間の安全保障」の観点から、ソフトパワーを活かした外交を推進すべきだと考えます。
地方創生については、デジタル化による地方の競争力強化や、関係人口の拡大による地方活性化など、新たな視点からの政策も必要だと考えます。
志位和夫議員(日本共産党):私たちは、石破内閣の政策の多くに反対の立場です。特に、経済政策については、大企業や富裕層優遇ではなく、国民の暮らしを守る政策への大転換が必要だと考えます。
外交・安全保障政策については、「専守防衛」の原則を堅持し、防衛費増額や敵基地攻撃能力の保有などに反対します。
地方創生については、地方交付税の拡充や、農林水産業の再生、中小企業支援の強化など、地域経済を支える政策の充実が必要だと考えます。
玉木雄一郎議員(国民民主党):我が党は、現実的な改革路線を掲げており、石破内閣の政策には一定の理解を示しつつ、さらなる改善を求めていきます。
政治改革については、政治資金規正法の厳格化に加え、国会のデジタル化や、行政のムダ削減など、より効率的で透明性の高い政治の実現を目指すべきだと考えます。
経済政策については、「中間層の復活」を掲げ、積極的な財政出動による景気刺激策と、成長戦略の両立を提案します。
外交・安全保障政策については、日米同盟を基軸としつつ、「自主防衛力の強化」を掲げ、防衛費のGDP比2%への増額や、サイバー・宇宙分野での防衛力強化などを提案します。
地方創生については、デジタル田園都市国家構想の具体化や、関係人口の拡大、農林水産業のスマート化支援など、技術革新を活かした地方の競争力強化策を推進すべきだと考えます。
石破茂内閣総理大臣:各党の皆様から貴重なご意見とご提案をいただき、ありがとうございます。いただいたご指摘を踏まえ、今後の政策運営に活かしてまいります。
政治改革については、より具体的な施策の検討を進め、国民の皆様の信頼回復に全力を尽くします。特に、政治資金規正法の見直しや、国会改革については、与野党の枠を超えた議論の場を設け、実効性のある改革を目指します。
経済政策については、成長と分配の好循環を生み出すべく、イノベーション促進策と所得再分配政策のバランスを取りながら、着実に実行してまいります。
外交・安全保障政策については、日米同盟を基軸としつつ、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、同盟国・友好国との連携を強化してまいります。
地方創生については、地方の自主性を尊重しつつ、デジタル技術の活用や、関係人口の拡大、農林水産業の高度化支援など、多角的なアプローチで地方の活性化を図ります。
17. 総括
17.1 石破内閣の課題と展望
石破茂内閣総理大臣:私は、就任以来、様々な課題に直面してきました。政治資金問題への対応、予算委員会の開催遅延、そして能登半島地震からの復興など、多くの難題に取り組んでまいりました。これらの経験を踏まえ、今後の課題と展望について述べさせていただきます。
まず、政治への信頼回復が最重要課題です。政治資金規正法の更なる厳格化や、情報公開の徹底など、政治改革を着実に進めてまいります。
経済面では、デフレ脱却と持続的な成長の実現が課題です。賃上げの促進や投資の活性化、生産性向上など、具体的な施策を通じて、経済の好循環を生み出してまいります。
外交・安全保障面では、激動する国際情勢の中で、日本の立場を強化することが課題です。日米同盟の更なる強化を図りつつ、近隣諸国との関係改善にも取り組んでまいります。
地方創生と人口減少対策も重要な課題です。地方の特色を活かした産業振興や、若者の地方定着支援などを通じて、東京一極集中の是正と地方の活性化を図ります。
これらの課題に真摯に取り組み、国民の皆様の期待に応える政権運営を行ってまいります。
17.2 各党の主張と対立点
枝野幸男議員(立憲民主党):私たちは、石破内閣の政策の多くに不十分さを感じています。特に、政治改革については、より踏み込んだ施策が必要だと考えます。政治資金規正法の抜本的改正や、国会改革の徹底など、より具体的な改革案を提示しています。
経済政策については、「分配なくして成長なし」の考えのもと、より積極的な所得再分配政策を主張しています。
松井一郎議員(日本維新の会):我々は、石破内閣の改革の遅さに不満を感じています。特に、行政改革や教育改革の分野で、より大胆な施策が必要だと考えます。二重行政の解消や、教育改革など、具体的な改革案を提案しています。
また、経済政策については、大胆な規制緩和や成長志向の政策をより強く推進すべきだと主張しています。
山口那津男議員(公明党):我が党は、連立与党として石破内閣の政策を支持しつつ、特に社会保障や教育の分野でより充実した施策を求めています。全世代型社会保障の構築や、教育の充実など、具体的な政策の実現を目指しています。
また、平和外交の推進や、環境・エネルギー政策の強化など、我が党の理念に基づいた政策の実現も求めています。
志位和夫議員(日本共産党):私たちは、石破内閣の政策の多くに反対の立場です。特に、経済政策については、大企業や富裕層優遇ではなく、国民の暮らしを守る政策への大転換を求めています。
また、外交・安全保障政策については、平和外交の推進を主張しています。
玉木雄一郎議員(国民民主党):我が党は、現実的な改革路線を掲げており、石破内閣の政策には一定の理解を示しつつ、さらなる改善を求めています。特に、経済政策については、「中間層の復活」を目指し、積極的な財政出動と成長戦略の両立を提案しています。
また、外交・安全保障政策については、日米同盟を基軸としつつ、「自主防衛力の強化」を主張しています。
17.3 今後の国会運営と政策決定プロセス
石破茂内閣総理大臣:今後の国会運営と政策決定プロセスについて、私の考えを述べさせていただきます。
まず、国会運営については、与野党の建設的な議論を促進し、より実質的な政策論争を行える場にしていきたいと考えています。
また、政策決定プロセスについては、より透明性を高め、国民の皆様の声を反映させる仕組みを強化していきます。
野党の皆様とも建設的な対話を重ね、国民のための政策実現に向けて協力していく所存です。特に、国家的な課題については、与野党の枠を超えた協議の場を設け、幅広い合意形成を目指してまいります。
これらの取り組みを通じて、より開かれた、そして国民の皆様の期待に応える政治を実現してまいります。引き続き、各党の皆様のご協力をお願いいたします。
枝野幸男議員(立憲民主党):我々は、国会運営の抜本的な改革を求めます。特に、野党の質問時間の確保や、閣僚の答弁責任の明確化など、国会の監視機能を強化する必要があります。
松井一郎議員(日本維新の会):我々は、国会運営の効率化と、政策決定プロセスの迅速化を求めます。特に、国会審議のオンライン化や、行政のデジタル化を通じて、より効率的な政策立案と実行を実現すべきだと考えています。
山口那津男議員(公明党):我が党は、与党の一員として、国会運営の円滑化と政策の着実な実現を目指します。特に、与野党協議の充実や、超党派での政策連携など、建設的な政治の実現に向けて努力してまいります。
志位和夫議員(日本共産党):我々は、国民の声を真に反映する国会運営と政策決定プロセスを求めます。特に、労働者や中小企業の声を重視した政策立案が必要だと考えています。
玉木雄一郎議員(国民民主党):我が党は、建設的な野党として、政策提案型の国会運営を目指します。特に、各党間の政策協議の場を増やし、より実効性のある政策の実現に向けて努力してまいります。