※本稿は、枝野幸男氏が2024年立憲民主党代表選への出馬表明会見の内容を要約したものです。
1. はじめに
1.1 出馬表明と背景
私、枝野幸男は、このたび9月に行われます立憲民主党代表選挙に立候補することを決意いたしました。2021年に代表を退いて3年、その間に日本社会は大きな変化を経験してきました。安倍元総理の痛ましい事件、統一教会や裏金の問題、そして能登半島での大きな地震など、歴史的な出来事が相次ぎました。
今、日本は大きな分岐点にあります。この10年、いや失われた30年と呼ばれるほど長期にわたる長いため、これを作り出した古い政治に終止符を打ち、新しい時代へ向かって進む時だと考え、今回の出馬を決意いたしました。
特筆すべきは、奇しくも与野党それぞれの第1党でほぼ同時に党首選挙が行われ、国民の皆さんの前で大きな議論を交わすという機会が訪れたことです。この機会に、立憲民主党が目指す社会像と具体的な政策を明確に示し、自民党に代わる選択肢として国民の皆さまの信頼を得たいと考えています。
1.2 日本の現状認識
現在の日本は、様々な課題に直面しています。まず、経済面では歴史的な円安と物価高が国民生活に大きな打撃を与えています。日銀が利上げに踏み切り、株価が史上最大の乱高下をするなど、経済も大きく混乱をしています。
同時に、政治に対する不信が高まり、歴史的な変化についていけていません。人口減少が進む中、アベノミクスの後の日本経済をどうやって立て直すのか、与野党を超えて問われています。
かつて自民党王国と言われた地域でも、裏金事件などを受けて、これではさすがに支えきれないという声が聞こえてきます。国民は今、新しい政治の選択肢を求めています。
次の解散総選挙でその民意を受け止めるために、立憲民主党は自民党に代わる新たな時代の国民政党へと進化しなければなりません。これまで自民党を支持してこられた方々を含めて、幅広く民意を包摂抱え込める国民政党にならなければならない、そう考えています。
この3年間、1議員として全国の様々な地域を回りました。能登半島の被災地にも伺いました。たくさんの人たちが取り残されている。いざという時に政治がその役割を果たせていない。かつて官房長官として経験した東日本大震災のことも思い返し、情けなく申し訳ない気持ちになりました。ここで立ち止まり、足踏みをしている場合ではない。そう強く感じました。
失われた30年の責任は間違いなく我々野党にもあります。まっとうな政権の選択肢を作ることができず、健全な政権交代が定着する環境を作れなかった。その反省と教訓は私の胸に深く刻まれています。
今回の立候補については、私自身にも躊躇する思いがなかったと言えば嘘になります。しかし、大きな分岐点を迎えた日本の危機の前に、一人の政治家として逃げるわけにはいかない。立憲民主党としても、この局面で本気の全力の党内議論ができなければ、最大野党としての責任は果たせない。
熟慮している間、ある方から今出馬しても何の得にもならないのではないかという趣旨のことを言われたことがあります。その時に、政治は損得でやるものではないと改めて気づかされました。こんな重大な時に自分の損得勘定で出馬を見送るようでは、日本の政治を変えることなどできない。永田町の内向きの事情ではなく、正念場を迎えた日本のために、今、国民の皆さんに向けて外側に開いて選択肢を示さなければならない。そう思うに至りました。
人間中心の経済ヒューマンエコノミクスを実現する、一人一人に寄り添うまっとうな政治への転換を成し遂げる。その先頭に立ち、次の世代が力を最大限に発揮できるようバトンを引き継ぐ。それが私に課せられた使命だと考えています。私の経験や力、政治家として培ったすべてを注いで、次の世代のため、新しい時代を切り開く、その先頭に立ちたい。その思いで今回の立候補を決意した次第であります。
2. 人間中心の経済(ヒューマンエコノミクス)の提唱
2.1 概要と理念
私が提唱する「人間中心の経済」、すなわちヒューマンエコノミクスは、日本の活路を開く新たな経済モデルです。人口減少が進む日本では、社会保障や公共サービスなど支え合う仕組みの充実が必要です。同時に、力を失った経済を再生させるためには、高い付加価値を持つ商品やサービスが求められています。
どちらの場合も大切なのはそれを担う人です。介護や保育といった分野に力を入れて賃金を上げ、誰もが安心して暮らせる基盤を強化します。成長戦略もこれまでのように代わりはいくらでもいると人を使い捨てにするようなやり方は通用しません。
人手不足が深刻化する中、政治が一人一人の全ての人の可能性を引き出す環境をいかに作れるか。日本の可能性はその1点にかかっています。すべての国民が個人として尊重され、健康で文化的な生活を営むことができる社会。これを実現することで、これからの日本の成長の基盤が作れます。
あらゆる分野で政府が一人一人を力強く支えることで、日本全体の成長につなげていく。それが私の考える人間中心の経済ヒューマンエコノミクスです。
この理念は、全ての国民が個人として尊重され、健康で文化的な生活を営むことができる社会の実現を目指すものです。これこそが、私枝野幸男が描く新時代の日本の青写真です。
ヒューマンエコノミクスは、単なる経済政策ではなく、社会全体のあり方を変革する包括的なビジョンです。人々の能力を最大限に引き出し、それを社会全体の発展につなげる。そして、その発展の果実を再び人々に還元する。このような好循環を生み出すことが、ヒューマンエコノミクスの目指すところです。
この考え方に基づき、私は8つの政策の柱を立てました。これらの政策を通じて、すべての国民が安心して暮らせる社会を実現し、それが経済の安定的な成長につながるという好循環を生み出したいと考えています。
ヒューマンエコノミクスは、これまでの経済政策の枠を超えた、新しい社会システムの構築を目指すものです。人間一人一人を大切にし、その可能性を最大限に引き出すことで、日本社会全体の持続可能な発展を実現する。これこそが、私が提唱するヒューマンエコノミクスの核心であり、日本の未来を切り開く鍵だと確信しています。
2.2 8つの政策の柱
私が掲げる政策ビジョン、人間中心の経済ヒューマンエコノミクスについて、8つの政策の柱を詳しく説明いたします。この政策の柱を実現することで、すべての国民が個人として尊重され、健康で文化的な生活を営むことができる社会をつくる。これこそが、私枝野幸男が描く新時代の日本の青写真です。
2.2.1 人の可能性を開く投資
1つ目の柱は、人の可能性を開く投資です。人口減少社会の中では、高い付加価値を持つ商品やサービスを生み出していかなければなりません。日本の成長は、一人一人の可能性や能力を最大限引き出せるかどうかにかかっています。
多様な教育の機会を広げていくとともに、イノベーションのための基礎研究へ大胆に投資し、大学や研究機関における研究者個々人の取り組みを手厚く支えます。AIなどの先端技術開発や芸術文化、コンテンツ産業などに予算を重点配分いたします。
2.2.2 地域経済を活かす投資
2つ目の柱は、地域経済を活かす投資です。人間中心の経済を支える基盤は、それぞれの地域にほかなりません。日本列島全体で水平的かつ分散型の自律的経済圏を創り出します。
エネルギーと食料の国内自給を飛躍的に高め、気候危機対策の観点も含め、省エネ再エネへの大規模投資を進めます。
2.2.3 国民所得の底上げ
3つ目の柱は、国民所得の底上げです。手取り収入の伸び悩みが国内需要を低迷させ、市場全体を縮こませています。賃上げ税制を含め、既存の政策をフル活用した上で、さらに最低賃金や介護、保育、教育の現場の賃金など政府が決定権を持つ分野を突破口に、幅広く持続的な賃上げを牽引します。
非正規雇用の処遇を引き上げるとともに、雇用全体の正規化に道筋をつけます。
2.2.4 支え合う社会制度の拡充
4つ目の柱は、支え合う社会制度の拡充です。老後や子育てなど暮らしの不安は、手取り収入の伸び悩みと並んで経済低迷の主要因です。いざという時を支えるベーシックサービスを拡充し、その財源として税の累進性を強化します。
消費税の逆進性対策として、無収入層から中間層まで幅広く負担を軽減する還付制度、いわゆる給付付き税額控除による戻し税を導入します。
2.2.5 個人の選択肢の拡大
5つ目の柱は、個人の選択肢の拡大です。特定の価値観を押し付けられることなく、誰もが生きやすい社会を創る。それがより多彩な成長の幅広い基盤になると確信します。
選択的夫婦別姓の実現は当然のこと、同性パートナーが望めば結婚できるようにします。ジェンダー平等を実現に向けて政策を総動員するとともに、性と生殖の健康権利いわゆるセクシュアルリプロダクティブヘルスライツを実現します。障害や国籍などで差別されない社会をつくります。
2.2.6 現実的な外交安全保障
6つ目の柱は現実的な外交安全保障です。外交を通じて戦争を未然に防ぐという政治の最大の役割を果たします。日米同盟を基軸に置きながら、日本を取り巻く国々との対話外交を試みます。
安全保障については、日米安全保障体制を基盤としつつ、専守防衛の基本に立ち返り、地に足をつけて防衛力の実効性を高めます。特に、定員割れが常態化している自衛官について、処遇待遇を底上げして現実的な防衛力の強化を目指します。
2.2.7 災害危機に機能する政府
7つ目の柱は、災害危機に機能する政府です。災害に強い国づくりを国の最重要課題に位置付け、常設の即応態勢の整備、専門人材の育成など、政府の備えを抜本的に強化します。
東日本大震災の時に官房長官として対応に当たった知見も活かし、防災災害対策モデルをさらに常に更新し続けます。
2.2.8 民主主義のアップデート
8つ目の柱は民主主義のアップデートです。政治分野から行政分野まで閉ざされた内向きの論理を超えて、国民納税者の視点に立った改革を進めます。情報公開という哲学のもとに透明化を徹底し、国民が知って評価できる仕組みを確立します。
少なくとも、企業団体献金と政治資金パーティーに関連して、1円単位での公開を速やかに実現します。多様化する民意を反映できるよう投票率を引き上げ、死に票を少なくする方向で選挙制度の検討を進めます。表現の自由や学問の自由を確保し、多様で活力ある市民社会と公共空間を創造します。
以上が、私の考える人間中心の経済ヒューマンエコノミクスの8つの柱であります。この政策の柱を軸にしながら、さらに政策議論を展開をしてまいりたいと思っています。
3. 具体的政策提案
3.1 経済政策
3.1.1 円安対策と輸入物価高騰への対応
現在の国民生活の困窮は、この30年、日本の経済が成長できなかったこと、そしてこの10年ほどのアベノミクスの副作用、弊害が今一気に噴き出しているところにあります。目の前の政策対策も重要ですが、経済全体の構造を大きく変えて経済を成長軌道に乗せることが必要です。
今、物価が上がってしまっていることの最大の要因は円安です。円安による輸入物価の高騰が問題です。円安を止めるための為替政策などは慎重にやっていかなければなりませんが、やはり今の水準は円安すぎるという明確な姿勢のもとに、輸入物価を引き下げる、この姿勢を政府として示す必要があります。
そして、この円の価値を上げていくためには、輸入そのものを減らしていくことが本質的な問題だと思っています。食料とエネルギーの国内自給を急速に拡大をさせるということによって、輸入そのものを減らす、そのことで円の価値を維持高めると同時に、円安による国民生活の打撃を小さくする、こうした形で国民生活を守っていきたいと思っています。
3.1.2 賃金引き上げ策
賃金を上げるということについては、もちろん今政府が進めている政策も大事ですが、それ以上に政府自身ができることがあります。それは公定価格を引き上げることを通じて、例えば介護職員であるとか保育士さんとか、これはそもそも事業者の所得自身が政府によって安く抑えられていますから、賃金を払えば潰れてしまう状況です。
実際に訪問介護などではそうしたことで事業所自体が閉鎖に追い込まれています。こうしたところは政府が決めれば賃金が上がるのですから、民間は、大手は今現にちょっとずつ上がっていますが、中小零細の多くは上げたら潰れてしまう。こういう状況の中で政府がやるべき賃上げというのは、まさに自らが決定権に関与できる、こうしたところから進めていくということです。
3.1.3 消費税の逆進性対策(戻し税)
私どもは、実質5%の減税を、無収入の方から中間層まで幅広く対応をするということ、これは立憲民主党として一貫した姿勢です。消費税そのものの税率を下げれば、多額の消費税を現に納めている富裕層から税金をいただくこともできなくなります。その金額は、実額から言えば所得の少ない方よりも圧倒的な大きな金額になります。
低所得者の皆さんに取って、すべてこの高額所得者に対しても減税をするよりも、それよりも低所得者の皆さん、中間層の皆さん、こうした皆さんに対して戻し税で実質的に減税と同じ効果をもたらす一方で、富裕層の方には消費税を納めていただく。その財源を使って様々に支える仕組みを充実させる。この方がずっと社会全体を支えていくことにつながると私は確信しています。
これらの政策を通じて、国民生活を守り、経済を成長軌道に乗せることを目指します。人間中心の経済、ヒューマンエコノミクスの理念に基づき、すべての国民が豊かさを実感できる社会の実現に向けて取り組んでまいります。
3.2 社会保障政策
介護・保育分野の処遇改善
介護や保育の分野では、そもそも事業者の所得自身が政府によって安く抑えられていますから、賃金を払えば潰れてしまう状況です。実際に訪問介護などではそうしたことで事業所自体が閉鎖に追い込まれています。
こうしたところは政府が決めれば賃金が上がるのですから、民間は、大手は今現にちょっとずつ上がっていますが、中小零細の多くは上げたら潰れてしまう。こういう状況の中で政府がやるべき賃上げというのは、まさに自らが決定権に関与できる、こうしたところから進めていくということです。
3.3 エネルギー政策
3.3.1 原発依存からの脱却
私たちの基本的な立場は、立憲民主党の考え方として一貫しています。原子力エネルギーに依存しない社会を目指すというのが基本です。この方針は、8つの政策の柱に書いたとおりであり、それ以上でもそれ以下でもありません。
具体的な内容については、字幕情報に詳細な言及がないため、ここでは控えさせていただきます。
3.3.2 再生可能エネルギーの推進
再生可能エネルギーの推進については、先ほどの経済政策の中で触れた内容が関連しています。具体的には、エネルギーと食料の国内自給を飛躍的に高め、気候危機対策の観点も含め、省エネ再エネへの大規模投資を進めます。
これは、円安対策としても有効です。円の価値を上げていくためには、輸入そのものを減らしていくことが本質的な問題だと考えています。エネルギーの国内自給を急速に拡大させることによって、輸入そのものを減らし、そのことで円の価値を維持高めると同時に、円安による国民生活の打撃を小さくする、こうした形で国民生活を守っていきたいと思っています。
以上が、字幕情報に基づいた私たちのエネルギー政策の概要です。原子力エネルギーに依存しない社会を目指し、再生可能エネルギーを中心とした新たなエネルギー供給体制の構築に取り組んでまいります。
3.4 農業政策
私たちの農業政策は、「もうからない農業への支援」と「食料自給率向上」を中心に据えています。これらの政策は、日本の食料安全保障を強化し、農業を持続可能な産業として発展させることを目指しています。
3.4.1 もうからない農業への支援
私は、これは2年、3年ぐらい繰り返し申し上げていますが、もうからない農業を社会全体で支える、これが何よりも今大事な大きな方針転換だと思っています。やはり今も今なお自民党はもうかる農業と言っています。もうかる農業は、それこそ自己責任で進めていただければいいんです。
でも、農業はみどりを守る。そして国内食料自給率をしっかりと維持高める、安心な食料を国民に供給するという非常に公共性の高い役割を担っています。そして、日本の国土では、国際競争の中で稼げる農業のできる地域というのはやはり限定をされているし、稼げる農産物というのも限定されています。
食料自給率をしっかりと維持する、中山間地を含めて農地を守るということを考えたら、目先のお金にならなくても、公共性のある1次産業、農業を中心とした1次産業を社会全体として支えるんだと、まずこの大きな転換を進めていく。その第1弾として直接支払いということを進めていくということから展開をしていきたいと思っています。
3.4.2 食料自給率向上策
食料自給率の向上については、先ほどの経済政策でも触れましたが、食料とエネルギーの国内自給を急速に拡大させることによって、輸入そのものを減らし、そのことで円の価値を維持高めると同時に、円安による国民生活の打撃を小さくする、こうした形で国民生活を守っていきたいと思っています。
具体的な数値目標や詳細な施策については、字幕情報に含まれていないため、ここでは言及を控えさせていただきます。
以上が、私たちの農業政策の概要です。農業を単なる産業としてではなく、国民の生命と健康を支える重要な基盤として位置づけ、社会全体で支えていく体制を構築していきます。これは、人間中心の経済(ヒューマンエコノミクス)の理念に基づく政策であり、持続可能な社会の実現に不可欠な取り組みだと考えています。
3.5 外交・安全保障政策
3.5.1 日米同盟を基軸とした外交
私たちの外交・安全保障政策の基本方針は、現実的で実効性のある安全保障政策を進めていくことです。8つの政策の柱で述べたとおり、外交を通じて戦争を未然に防ぐという政治の最大の役割を果たします。日米同盟を基軸に置きながら、日本を取り巻く国々との対話外交を試みます。
安全保障については、日米安全保障体制を基盤としつつ、専守防衛の基本に立ち返り、地に足をつけて防衛力の実効性を高めます。
3.5.2 自衛隊員の処遇改善
安全保障政策の中で特に重要視しているのが、自衛隊員の処遇改善です。特に、定員割れが常態化している自衛官について、処遇待遇を底上げして現実的な防衛力の強化を目指します。
防衛政策の大事なことは、ここも人だと私は思っています。現に自衛官は常態的に定員割れの中、志願者が大きく減っています。それはいわゆる目立つ正面装備ばかりに力を入れて、実際に国を守る最前線に立っていただける自衛官の皆さんの処遇待遇が後回しにされている多くがあります。
全体の金額以前の問題として、まずは実際に国を守る最前線に立っていただける自衛官の皆さんの現場の皆さんの幹部についてはいろいろ問題がありましたので、現場の皆さんの処遇、待遇、例えば装備、あるいは官舎などの設備、こうしたところにしっかりと金を注いで、志ある若い皆さんが自衛官を志願していただける、そうした状況をつくらなければ、どんなに金をかけても、どんないわゆる正面装備、目立つところに金をかけても国は守れません。
この防衛政策の地に足がついた転換を進めてまいりたいと思っています。
以上が、私たちの外交・安全保障政策の概要です。日米同盟を基軸としつつ、自衛隊員の処遇改善を通じて、実効性のある防衛力の強化を図ります。これらの政策を通じて、日本の平和と安全を確保していきたいと考えています。
3.6 憲法政策
3.6.1 緊急事態条項への反対
緊急事態条項については、私は強く反対の立場を取っています。緊急事態条項ではなくて、独裁条項というべきだというふうに思います。ですので、これはもう論外だと思っております。
3.6.2 建設的な改憲議論の提案
私は、よりよく変わる憲法改正であるならば、それは我が党を含めて、我が党も積極的に対応するべきだというふうに思っています。しかしながら、今、国民的合意ができ、なおかつみんながよりよくなると合意ができるようなテーマを、あえて自民党の皆さんが避けていることを大変残念に思っています。
例えば、私どもが長年申し上げてきている、例えば解散権の制約はなかなか難しい、相手にとって難しいのかもしれませんが、例えば臨時国会の召集について期限が決められていない。これは自民党がかつて出した草案だか、試案においてもですね、日数を入れるということを自民党の1時考え方があったわけですから、幅広い合意形成ができるはずなんです。
本気で憲法を変えたいのならば、幅広い合意形成ができることを提起をするべきだというふうに思っていますし、私は、私はそうした意味で、そういうものならありますよということは、既に投げてきているボールは自民党にあると思っています。
また、自衛隊の明記というのも、今、国民的な合意が得られる問題だとは思っていません。
以上が、字幕情報に基づいた憲法政策についての私の見解です。我々は、国民の皆様との対話を重ねながら、より良い憲法のあり方について、建設的かつ具体的な提案を続けていく所存です。
4. 党運営と野党連携の方針
4.1 国民政党への進化
立憲民主党は、自民党に代わる新たな時代の国民政党へと進化しなければなりません。これまで自民党を支持してこられた方々を含めて、幅広く民意を包摂抱え込める国民政党にならなければならない、そう考えています。
自分自身の反省も含めて、これまでの立憲民主党は、ともすれば永田町の内側の他の政党との関係ばかりが注目されてきました。こうした状況では、立憲民主党が何をしたい政党なのか、そして本当に国民の皆さんの側を向いた政党なのか、どうしても伝わりにくい面がありました。
立憲民主党は政治腐敗を一掃する政党です。賃金を上げ、公共サービスを充実させる政党です。地域の人たち、まじめに働く人たち、新しい挑戦をする人たちを応援する政党です。そして、人間中心の経済という新しい時代のビジョンを掲げ、国民政党へと進んでいきます。
大都市から農村、漁村に至るまで、立憲民主党が一体何を目指す政党なのか、地に足をつけて訴える新たな国民政党への道はこれに尽きると考えています。
4.2 自民党支持層への働きかけ
新しい政治の選択肢を求める民意をより幅広く受け止めるために、これまでの与野党とか永田町の内側の組み合わせとかいう狭い世界に閉じこもっているように見られては、幅広い国民の皆さんを包み込むことはできません。
特定の政党と全国一律で協力関係を結ぶのではなく、これまで自民党を支持しながら今の自民党にあきれ、怒っている皆さんを含め、より幅広い民意を包み込む、このことを目指してまいります。
かつて安倍1強と言われた自民党にどう抵抗するのかが野党に求められていた状況とは大きく変わり、自民党に代わる政権の選択肢が求められています。その状況に対応して、立憲民主党は今こそ主体的で開かれた自らの力強さを示すことで、新しい国民政党へと脱皮する時だと考えています。
4.3 野党連携の再構築
野党連携については、再構築するということであります。そして全国一律で他の政党との関係を結ぶというようなやり方はしません。地域ごとにいろんな経緯、信頼関係に基づいて、いろんな政党と地域ごとにいろんな連携ができています。そうしたことは大事にしながら、しかしながら、中央で全国一律にすることは困難だと思いますし、またやるべきではないと思っています。
そして、私は野党連携ではダメだと。野党の内側を向いた話では、今の危機は突破できないし、今現に自民党を長年応援してきた方の多くが、裏金問題や、あるいは実際に例えば地方が切り捨てられてきたという現実に気付き、このままではいけないと、かつての自民党とは違うということを多くの皆さんが感じていただいています。
私はそうした皆さんにも対しても積極的に働きかけ、そうした皆さんにもご期待いただける政党にならない限り、国民政党にはなれないし、政権を担うことはできないというふうに思っています。
4.4 選挙区ごとの柔軟な連携
柔軟で現実的な枠組みを構築しつつ、とことん立憲民主党のビジョンを高く掲げ、地に足をつけた訴えをさらに強力に進めていくことで、新しい国民政党へと進化します。
もちろん、国会対策をはじめとして、他の政党との十分なコミュニケーションや信頼醸成は欠かせません。小選挙区制度である以上、選挙区で最大限一騎打ちの構造を作るその姿勢も1貫して変わりません。
我が党との協力を考えてくださる皆さんについては、統一教会のような反社会的勢力や利権がらみでない限り、どなたでも歓迎なのは当たり前です。個別の選挙区それぞれの地域において、もっとも自民党に勝てる連携の形を模索します。それを党本部として全力でバックアップし、適切にマネジメントしてまいります。
5. 枝野氏の政治姿勢と経験
5.1 過去の反省と教訓
失われた30年の責任は間違いなく我々野党にもあります。まっとうな政権の選択肢を作ることができず、健全な政権交代が定着する環境を作れなかった。その反省と教訓は私の胸に深く刻まれています。
3年前の教訓、反省として、他党との連携を重視するあまり、自分たちが何を目指しているのかということを十分に伝え切ることができなかった。それが2021年の選挙で期待通りの議席をいただけなかったことの最大の原因だと私は確信しています。
5.2 政権運営の経験値
民主党政権の最大の失敗の原因あるいは期待に応えられなかった原因は、やはり経験不足に尽きるというふうに思っています。やはり内閣の中での経験が全くない、あるいは特に官邸での仕事の経験が全くない、そうした人間がいきなり行けば、それは官僚の皆さんの振り付けに従うしかないということにどうしてもなりがちになります。あるいは官僚の皆さんとのいい本来の関係性を作り、事に相当な時間がかかったという事があると思っています。
その失敗を繰り返さないためには、やはり政権運営の経験値こそが私は重要だ、必要だと確信をいたしております。2度の政権交代に、私自身、最初は1期生ですが、かかわっております。その失敗を含めた貴重な経験を得たことこそが私の政治的な財産だと思っておりますし、それを堂々と国民の皆さんに訴えたいと思っています。
年齢については、私はアメリカでバイデン大統領から世代交代のバトンを受け取ったカマラハリス副大統領と同じ1964年の生まれであります。国内を見ても、もちろん今若い方がお出になったことが注目されていますが、自民党総裁選挙で立候補を取り沙汰されている方たちのほとんどの方より、私の方が年下であります。
5.3 官僚との関係構築
私自身は、官房長官としても経済産業大臣としても、官僚の皆さんときちっとコミュニケーションをとり、そして私の方針、意思に基づいて官僚の皆さんに立派な仕事をしていただけたと思っています。そうした指導力のある財務大臣を担っていただければ、私は財務官僚の皆さんも政権の方針に従って仕事をしていただけると確信をしています。
私は財務省の現役であれOBであれ、財務省の方から税についてこうしろとか、ああしろとか、こうした方がいいというような話を受けたことは一度もありません。2009年の政権が期待に応えきれなかったこと、その教訓こそが私自身も財産だと思っています。
私はやはりあの時の教訓は、経験不足というものが、特に政権発足当初、官僚の皆さんときちっとしたコミュニケーションをとることができなかった。したがって、政治の意思に基づいて官僚の皆さんに動いていただくということができなかった。それが最大の失敗だというふうに思っています。
6. 質疑応答での主な論点
6.1 なぜ今立候補するのか
今回の立候補については、私自身にも躊躇する思いがなかったと言えば嘘になります。しかし、大きな分岐点を迎えた日本の危機の前に、一人の政治家として逃げるわけにはいかない。立憲民主党としても、この局面で本気の全力の党内議論ができなければ、最大野党としての責任は果たせません。
熟慮している間、ある方から今出馬しても何の得にもならないのではないかという趣旨のことを言われたことがあります。その時に、政治は損得でやるものではないと改めて気づかさせられました。こんな重大な時に自分の損得勘定で出馬を見送るようでは、日本の政治を変えることなどできません。
永田町の内向きの事情ではなく、正念場を迎えた日本のために、今、国民の皆さんに向けて外側に開いて選択肢を示さなければならない。そう思うに至りました。
また、任期満了で、しかも選挙を前に、しかも自民党と同じ時期に新たなリーダーを選ぶということを党としても突きつけられるという状況になりました。私はこの3年間、泉代表の御努力については敬意を表しておりますけれども、任期満了で新たにここから3年間どうしたらいいのかというときには、経緯を踏まえた御批判はあるだろうなと。それで、私自身、躊躇する思いがなかったかといえば嘘になりますが、しかし、それは御批判を受けてでも、今きょう申し上げたような、私自身が考えるこの国のあるべき姿、あるいは我が党が進むべき道というものを自信を持って掲げて、それを広くは国民の皆さん、直接的には我が党の所属議員や総支部長、そして党員サポーターズの皆さんにそれを選択していただく。それが私の役割ではないかと思うに至りました。
6.2 消費税減税を行わない理由
私どもは、実質5%の減税を、無収入の方から中間層まで幅広く対応をするということ、これは立憲民主党として1貫した姿勢です。私が前回代表として選挙のときに掲げたのは、コロナに対する緊急時限的な対策に過ぎません。恒常的な政策としては1貫しております。
消費税そのものの税率を下げれば、多額の消費税を現に納めている富裕層から税金をいただくこともできなくなります。その金額は、実額から言えば所得の少ない方よりも圧倒的な大きな金額になります。
低所得者の皆さんに取って、すべてこの高額所得者に対しても減税をするよりも、それよりも低所得者の皆さん、中間層の皆さん、こうした皆さんに対して戻し税で実質的に減税と同じ効果をもたらす一方で、富裕層の方には消費税を納めていただく。その財源を使って様々に支える仕組みを充実させる。この方がずっと社会全体を支えていくことにつながると私は確信しています。
6.3 原発政策の具体的内容
原子力政策については、8つの政策の柱の中で述べたとおり、原子力エネルギーに依存しない社会を目指すというのが基本です。基本的な私は、立憲民主党の考え方は、原子力エネルギーに依存しない社会を目指すというのが基本だと思っています。
6.4 財務省との関係
私は財務省の現役であれOBであれ、財務省の方から税についてこうしろとか、ああしろとか、こうした方がいいというような話を受けたことは一度もありません。それから私も、2009年の政権が期待に応えきれなかったこと、その教訓こそが私自身も財産だと思っています。
私はやはりあの時の教訓は、経験不足というものが、特に政権発足当初、官僚の皆さんときちっとしたコミュニケーションをとることができなかった。したがって、政治の意思に基づいて官僚の皆さんに動いていただくということができなかった。それが最大の失敗だというふうに思っています。
私自身は、官房長官としても経済産業大臣としても、官僚の皆さんときちっとコミュニケーションをとり、そして私の方針、意思に基づいて官僚の皆さんに立派な仕事をしていただけたと思っています。そうした指導力のある財務大臣を担っていただければ、私は財務官僚の皆さんも政権の方針に従って仕事をしていただけると確信をしています。
6.5 若手や女性候補の必要性
年齢については、私はアメリカでバイデン大統領から世代交代のバトンを受け取ったカマラハリス副大統領と同じ1964年の生まれであります。国内を見ても、もちろん今若い方がお出になったことが注目されていますが、自民党総裁選挙で立候補を取り沙汰されている方たちのほとんどの方より、私の方が年下であります。
いろいろな仕事をさせてきていただいておりますが、総理大臣を務めたことはありません。閣僚の経験という意味では、石破さんの方が私よりずっと前からやっておられます。私は、そして自民党総裁選挙では私より10歳以上の方の出馬が取り沙汰されていますが、出馬そのものにブレーキをかけるような話は聞いたことがありません。
私も堂々と出馬をして、所属議員や総支部長の皆さん、党員の皆さんの信を問いたい、あるいは、あるいは間接的に広い意味で国民の信を問いたいと思っています。
他の方がどういうふうに立候補されるのかということについては、それは党の一員としてはですね、できるだけ多様な仲間の方が立候補されて、いろいろな見識をぶつけ合う代表選挙になればいいなと期待をしております。
7. まとめと今後の展望
7.1 立憲民主党の目指す方向性
私たち立憲民主党は、自民党に代わる新たな時代の国民政党へと進化することを目指しています。これまで自民党を支持してこられた方々を含めて、幅広く民意を包摂抱え込める国民政党にならなければならないと考えています。
立憲民主党は政治腐敗を一掃する政党です。賃金を上げ、公共サービスを充実させる政党です。地域の人たち、まじめに働く人たち、新しい挑戦をする人たちを応援する政党です。そして、人間中心の経済という新しい時代のビジョンを掲げ、国民政党へと進んでいきます。
大都市から農村、漁村に至るまで、立憲民主党が一体何を目指す政党なのか、地に足をつけて訴える新たな国民政党への道はこれに尽きると考えています。
7.2 次期総選挙に向けた戦略
次期総選挙に向けては、特定の政党と全国一律で協力関係を結ぶのではなく、これまで自民党を支持しながら今の自民党にあきれ、怒っている皆さんを含め、より幅広い民意を包み込むことを目指します。
柔軟で現実的な枠組みを構築しつつ、とことん立憲民主党のビジョンを高く掲げ、地に足をつけた訴えをさらに強力に進めていくことで、新しい国民政党へと進化します。
小選挙区制度である以上、選挙区で最大限一騎打ちの構造を作るその姿勢も1貫して変わりません。我が党との協力を考えてくださる皆さんについては、統一教会のような反社会的勢力や利権がらみでない限り、どなたでも歓迎なのは当たり前です。
個別の選挙区それぞれの地域において、もっとも自民党に勝てる連携の形を模索します。それを党本部として全力でバックアップし、適切にマネジメントしてまいります。