「Generative AI Japan」のユースケース・技術動向研究会で、株式会社自動処理の代表取締役、高木祐介氏が講演を行いました。高木氏は、AIが取り巻く社会変化や自社でのAI業務適応事例について詳述しています。
まず、AI技術の進展による知的労働支援の飛躍的な向上が述べられました。特に2022年1月にChatGPTが登場して以降、文章作成の手間が大幅に軽減され、思考を言葉にする人間の本質的な部分をAIがサポートするようになったことが強調されました。さらに、AIは画像や音声の認識、発話、動画の作成まで可能になり、クリエイティブな作業もAIが行えるようになりました。これにより、情報の生成、消費、共有の方法が大きく変わりつつあります。
次に、生成AIが世界経済に与える影響について触れました。マッキンゼーの報告によると、生成AIは年間で最大620兆円の価値を加えると予測されています。これにより、多くの企業がAI技術の導入を進め、その普及速度も加速しています。ゴールドマンサックスは、AIへの投資が2025年までに全世界で2000億ドルに達すると予測しており、企業の間で激しい競争が繰り広げられています。特にAI言語モデルの開発やデータセンターなどのインフラ、AIソフトウェア開発への投資が活発です。
AI技術の進展により、AI関連の株価も急上昇しており、バブルの様相を呈しています。Meta社はChatGPTに匹敵するAIモデルを無償で公開し、AI開発の門戸を広げました。これにより、多くの企業が自社の大規模言語モデルの開発を進めています。日本国内でも同様の動きがあり、Nii(国立情報学研究所)がGPT-4レベルのAIモデルを無償で公開しました。
さらに、AIが実践的にどのように活用されているかの事例も紹介されました。自動処理社では、国会議事録を検索できる「国会議事録検索 for GPTs」をリリースしており、これにより国会議員の議論を国民が簡単に確認できるようになっています。また、東京都の生成AIガイドラインの監修も行い、行政事務へのAI導入を支援しています。
生成AIのユースケースとしては、プログラムの生成や医師国家試験の合格、楽曲の作成、絵画の描画、動画の生成などが挙げられています。AIは、従来人間が行っていたクリエイティブな作業を代替できるようになり、その応用範囲は広がっています。
AIが経済に与える影響も大きく、AI技術を活用することで、企業は業務効率の向上や新たなビジネスチャンスを見出しています。特にプログラマの92%が既にAIツールを使用しているという調査結果もあり、AIの普及は進んでいます。また、AIは法案作成などの実務にも利用されており、ブラジルではChatGPTで作成した法案が全会一致で可決された事例もあります。
一方で、AI技術の進展に伴い、雇用に対する影響も懸念されています。世界経済フォーラムの報告では、今後5年間で全雇用の23%が変化し、6900万人の新規雇用が創出される一方で、8300万人が削減されると予測されています。このような技術の進展に適応するためには、企業や個人が積極的にAIを活用し、生産性を向上させることが重要です。
最後に、高木氏は生成AIの重要性と、その応用範囲の広さを強調しました。生成AIは、情報の生成や消費、共有の方法を劇的に変える可能性があり、今後もその進展に注目が集まっています。Generative AI Japanは、このような生成AIを活用する仲間を見つける場として機能することを目指しています。