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2023-10-08 未来を紡ぐ対話:ラテンアメリカ・カリブ海地域のインターネットガバナンス

2023-10-08 未来を紡ぐ対話:ラテンアメリカ・カリブ海地域のインターネットガバナンス

出展元
https://www.youtube.com/live/Uc06bepsAFA?si=hM1oh-Un3J8ruHKn
初回調査日
Jul 1, 2024 7:12 AM
キーワード
インターネットガバナンスの課題と展望IGF 2023ラテンアメリカ・カリブ海地域OECD

※本稿は、京都で開催されたInternet Governance Forum(IGF) 2023でのWorkshop 8のAI要約記事になります。

1. はじめに

2023年10月8日、インターネットガバナンスフォーラム(IGF)2023のDay 0ワークショップが開催され、ラテンアメリカ・カリブ海地域のインターネットガバナンスイニシアチブに焦点が当てられました。このワークショップには、地域全体から主要なステークホルダーが集まり、インターネットの未来を形作る上で重要な問題について議論し、経験を共有しました。

本レポートでは、ワークショップで取り上げられた主要なトピックと、地域のさまざまなイニシアチブについて詳細に報告します。具体的な事例やユースケースを交えながら、ラテンアメリカ・カリブ海地域におけるインターネットガバナンスの現状と将来の展望を明らかにしていきます。

2. 主要な議論

2.1 データガバナンスとトラスト

ワークショップの中心的なテーマの一つが、データガバナンスとトラストでした。参加者たちは、データ駆動型経済においてトラストの重要性が増していることを強調し、堅固なプライバシー保護措置の必要性を訴えました。

具体的な事例として、ブラジルの参加者は次のように述べています: 「ブラジルでは、2018年に一般データ保護法(LGPD)が制定されました。この法律は、EUの一般データ保護規則(GDPR)に倣ったものですが、ブラジルの文脈に合わせて調整されています。例えば、LGPDでは、データ保護責任者(DPO)の任命が義務付けられていますが、中小企業への配慮から、DPOは法人でも良いとされています。これにより、専門家の雇用が難しい中小企業でも、外部のDPOサービスを利用することで法令遵守が可能になっています。」

また、国際的な取り組みについても議論が行われました。日本の参加者からは、G7、G20、OECDにおけるデータガバナンスとトラストに関する議論の現状が報告されました: 「G7では、2023年の広島サミットで『広島AIプロセス』が立ち上げられました。これは、AIの開発と利用に関する国際的な議論の枠組みです。例えば、生成AIの著作権問題や、AIによる意思決定の透明性確保などが主要なトピックとなっています。G20では、2023年のインド議長国の下で、『データフリーフロー・ウィズ・トラスト(DFFT)』の具体化に向けた議論が進められています。OECDでは、『AI原則』の実装に向けたガイドラインの策定が進んでいます。」

これらの国際的な議論の動向は、ラテンアメリカ・カリブ海地域のデータガバナンスにも大きな影響を与えています。コロンビアの参加者は次のように述べています: 「コロンビアでは、OECDへの加盟を視野に入れて、データガバナンスに関する法制度の整備を進めています。例えば、2023年に制定されたデジタル変革法では、公共部門のデジタル化と並んで、データの二次利用促進や、AIの倫理的利用に関する規定が盛り込まれました。これは、OECDのAI原則を参考にしたものです。」

2.2 データフリーフローとデータローカライゼーション

データの自由な流通(データフリーフロー)とデータローカライゼーションのバランスについても、活発な議論が行われました。イノベーションと経済成長のためにはデータの流通が必要である一方で、デジタル主権の維持や国内産業の育成を目指す国々の正当な懸念も認識されました。

ブラジルの参加者は、自国の経験を次のように共有しています: 「ブラジルでは、2018年に制定されたサイバーセキュリティ戦略の中で、政府機関のデータについては国内のデータセンターでの保管を義務付けています。これは、国家安全保障上の懸念に加えて、国内のクラウド産業育成という狙いもあります。一方で、民間企業のデータについては、LGPDの下で国境を越えたデータ移転が認められています。ただし、データ移転先の国が十分なデータ保護水準を確保していることが条件となっています。」

一方、コロンビアの参加者からは、より自由なアプローチを採用している事例が紹介されました: 「コロンビアでは、2023年に策定されたデジタル経済戦略の中で、データフリーフローの促進を明確に打ち出しています。例えば、国内のスタートアップがグローバル市場に参入しやすくするため、クラウドサービスの利用促進や、越境データ流通の障壁撤廃に取り組んでいます。具体的には、アンデス共同体(CAN)の枠組みで、域内のデータ流通ルールの統一を進めています。」

2.3 インターネットガバナンスの将来展望

ワークショップでは、インターネットガバナンスの将来に関する重要な節目についても議論が行われました。特に、2025年に予定されているIGF+10とWSIS+20(世界情報社会サミット+20)に向けた準備状況が注目を集めました。

ブラジルの参加者は、IGF+10に向けた自国の取り組みを次のように紹介しています: 「ブラジルでは、IGF+10に向けて、『インターネットガバナンス2025』というプロジェクトを立ち上げました。このプロジェクトでは、過去10年間のインターネットガバナンスの進展を振り返るとともに、今後10年間の課題を洗い出すことを目指しています。例えば、2023年に開催されたブラジルIGFでは、『IGF+10に向けたブラジルからの提言』をテーマにセッションを設け、市民社会、企業、政府など多様なステークホルダーからの意見を集約しました。」

また、WSIS+20に関しては、コロンビアの参加者が次のような取り組みを紹介しました: 「コロンビアでは、WSIS+20に向けて、デジタル格差の解消を最重要課題として位置付けています。具体的には、2023年から『コネクテッド・コロンビア2030』というプログラムを開始し、2030年までに全国民のインターネットアクセスを実現することを目指しています。例えば、アマゾン地域の僻地に住む先住民コミュニティに衛星インターネットを提供するプロジェクトや、都市部の低所得者層向けにデジタルリテラシー教育を提供するプログラムなどが進行中です。」

2.4 接続性向上への取り組み

デジタルデバイドの解消に向けた接続性向上の取り組みも、ワークショップの重要なテーマの一つでした。欧州の事例として、2030年までに5Gと光ファイバー(FTTH)の人口カバー率を90%に引き上げるという野心的な目標が紹介されました。

これに対して、ラテンアメリカ・カリブ海地域の参加者からは、地域の実情に即した取り組みが報告されました。例えば、ブラジルの参加者は次のように述べています: 「ブラジルでは、広大な国土と複雑な地形が接続性向上の大きな障壁となっています。そこで、我々は『インターネット・フォー・オール』プログラムを2022年に立ち上げました。このプログラムでは、従来の固定・モバイルブロードバンドに加えて、低軌道衛星(LEO)を活用したインターネット接続の提供を進めています。例えば、アマゾン地域のマナウス近郊の村では、LEO衛星を利用したインターネット接続により、遠隔教育や遠隔医療サービスの提供が可能になりました。」

また、コロンビアの参加者からは、官民連携による接続性向上の取り組みが紹介されました: 「コロンビアでは、2023年から『デジタル・コネクティビティ・ボンド』という革新的な資金調達スキームを導入しています。これは、民間企業が農村部でのブロードバンド整備に投資した場合、その投資額に応じて法人税の控除を受けられるというものです。例えば、コーヒー生産地として有名なキンディオ県では、大手通信事業者がこのスキームを利用して光ファイバー網を整備し、地元のコーヒー農家がeコマースを通じて直接消費者に製品を販売できるようになりました。」

3. 地域のインターネットガバナンス活動

3.1 ブラジル

ブラジルからは、Youth@IGFプログラムとブラジルIGFの活動が報告されました。

Youth@IGFプログラムについて、ブラジルインターネットガバナンス委員会のビア・バルボーザ氏は次のように説明しています: 「Youth@IGFブラジルは、2015年に開始されたプログラムで、若者のIGFへの参加を促進することを目的としています。プログラムは4段階で構成されており、参加者はまずオンラインコースでインターネットガバナンスの基礎を学び、次にブラジルIGFに参加します。その後、ラテンアメリカ・カリブ海地域IGFを経て、最終的にグローバルIGFに参加します。

具体的な成果として、2022年のプログラムでは、アマゾン地域の先住民コミュニティから参加した若者が、デジタル権利と文化的多様性に関するセッションを企画し、グローバルIGFで発表しました。このセッションでは、先住民の言語でのインターネットコンテンツ作成支援や、伝統的知識のデジタル保存など、具体的な提案が行われ、国際的な注目を集めました。」

ブラジルIGFについては、次のような報告がありました: 「ブラジルIGFは2011年から毎年開催されており、2023年の大会には1,000人以上が参加しました。特筆すべき点として、2017年からイベントのカーボンニュートラル化を実現しています。具体的には、イベント開催に伴う温室効果ガスの排出量を算出し、その排出量に相当する炭素クレジットを、アマゾン地域の森林保護プロジェクトから購入しています。2023年の大会では、約100トンのCO2排出量がオフセットされました。

また、ブラジルIGFでは、多様なステークホルダーの参加を促進するための工夫も行っています。例えば、2023年の大会では、中小企業向けのセッションを設け、デジタル化やサイバーセキュリティに関する実践的なワークショップを開催しました。これにより、従来はあまり参加が見られなかった中小企業経営者の参加が増加し、ビジネスセクターの声をより幅広く反映させることができました。」

3.2 コロンビア

コロンビアからは、コロンビアIGFとユースグループの活動について報告がありました。

コロンビアIGFについて、フリアン・カサス・ブエナス氏は次のように説明しています: 「コロンビアIGFは、2023年で10周年を迎えました。記念すべき今年の大会では、『デジタルインクルージョン』『AI』『サイバーセキュリティ』『オンラインセーフティ』『デジタル人権』などのテーマを取り上げました。

特に注目を集めたのは、『AI倫理とガバナンス』のセッションです。このセッションでは、コロンビア政府が2023年に策定した『AI倫理ガイドライン』について議論が行われました。例えば、公共部門でのAI利用に関して、アルゴリズムの透明性確保や、人間による最終判断の必要性などが議論されました。具体的なケーススタディとして、ボゴタ市の交通管理システムにAIを導入する際の倫理的配慮が取り上げられ、プライバシー保護と公共の利益のバランスについて活発な議論が行われました。」

コロンビアIGFのユースグループについては、ローラ・ビクトリア・ラモス氏とベンジャミン・チョン氏から詳細な報告がありました: 「コロンビアIGFのユースグループは2021年に設立され、2023年からはコロンビアIGFの公式イニシアチブとして認められました。私たちの主な活動は、若者を対象としたインターネットガバナンスに関する教育プログラムの提供です。

2023年には、『デジタル市民育成プログラム』を立ち上げました。このプログラムでは、高校生を対象に、オンラインプライバシー、デジタル著作権、サイバーセキュリティなどのテーマについて、実践的なワークショップを提供しています。例えば、メデジン市の高校と連携して実施したワークショップでは、生徒たちがSNSでのプライバシー設定やフェイクニュースの見分け方を学びました。このワークショップには100名以上の生徒が参加し、事後アンケートでは95%の参加者が「デジタル市民としての意識が高まった」と回答しています。

また、ユースグループでは、ジェンダーバランスにも配慮しています。2023年のコロンビアIGFでユースグループが主催したセッションでは、スピーカーの男女比を50:50に設定しました。さらに、『テクノロジーとジェンダー平等』をテーマにしたパネルディスカッションを企画し、テクノロジー業界でのジェンダーギャップ解消に向けた具体的な提言を行いました。」

3.3 エクアドル

エクアドルからは、ISOCエクアドールチャプターの活動について、カルロス・ベラ氏から報告がありました: 「ISOCエクアドールチャプターは、2003年のWSIS以来、インターネットガバナンスの議論に積極的に参加してきました。最近の主な活動として、2023年に『デジタル権利アウェアネス・キャンペーン』を実施しました。

このキャンペーンでは、エクアドルの主要都市で一連のワークショップを開催し、市民のデジタル権利に対する理解を深めることを目指しました。例えば、キト市で開催したワークショップでは、プライバシー権、表現の自由、情報アクセス権などについて、具体的な事例を用いて説明しました。特に注目を集めたのは、2023年に成立した『デジタルプライバシー保護法』に関するセッションで、市民が自身の個人データに関する権利をどのように行使できるかについて、実践的なガイダンスを提供しました。

また、ISOCエクアドールチャプターでは、ユースの参画を特に重視しています。2023年10月には、完全にユース主導のイベント『Youth Digital Rights Summit』を開催しました。このイベントでは、エクアドル国内の大学生100名以上が参加し、デジタル権利に関する様々なトピックについて議論しました。

具体的な成果として、参加者たちは『エクアドル・ユース・デジタル権利宣言』を起草しました。この宣言には、インターネットアクセスを基本的人権として認めることや、デジタルリテラシー教育の義務化、オンラインでのヘイトスピーチ対策の強化などが盛り込まれています。この宣言は、その後エクアドル国会に提出され、デジタル権利に関する法案作成の参考資料として活用されています。」

3.4 中米IGF

中米地域からは、新たに設立された中米IGFについて、パナマのリア・エルナンデス氏から報告がありました: 「中米IGFは、2023年にIGF事務局から正式に承認されたばかりの新しいイニシアチブです。グアテマラ、エルサルバドル、ホンジュラス、ニカラグア、コスタリカ、パナマの6カ国が参加しています。

中米IGFの設立の背景には、これまで中米諸国のIGFへの参加が限定的だったという課題がありました。例えば、2022年のグローバルIGFには、中米6カ国からの参加者は合計で20名に満たず、その多くが市民社会からの参加でした。

この状況を改善するため、2023年9月にサンサルバドルで開催された第1回中米IGFでは、『中小企業のデジタル化』をメインテーマに設定しました。これは、中米経済の大部分を占める中小企業のデジタル化が、地域の経済発展にとって重要な課題だと認識されているためです。

具体的には、エルサルバドルの中小企業支援機関SEPESCと連携し、デジタル技術を活用した事業拡大に成功した中小企業の事例を紹介しました。例えば、グアテマラの伝統織物製品を扱う小規模事業者が、eコマースプラットフォームを活用して北米市場に進出した事例や、コスタリカのコーヒー農家がブロックチェーン技術を用いてサプライチェーンの透明性を高め、付加価値を向上させた事例などが共有されました。

これらの事例紹介を通じて、中小企業経営者のデジタル化に対する関心が高まり、今後のIGFへの参加促進につながることが期待されています。2024年の第2回中米IGFは、グアテマラで開催される予定です。」

3.5 ラテンアメリカ・カリブ海地域のYouth IGF

ラテンアメリカ・カリブ海地域全体を対象としたYouth IGFについて、コロンビアのウンマット・パジャロ氏から報告がありました: 「ラテンアメリカ・カリブ海地域のYouth IGFは、2020年に私とアレハンドラ・エラソが立ち上げました。設立の背景には、地域の若者がインターネットガバナンスの議論に十分参加できていないという問題意識がありました。

私たちの活動の特徴は、地域の多様性に配慮している点です。ラテンアメリカ・カリブ海地域には、スペイン語、ポルトガル語、フランス語、英語など、多様な言語が存在します。そのため、全てのセッションを少なくとも2言語で提供するよう努めています。

2023年の活動のハイライトとして、『AI and Human Rights in Latin America and the Caribbean』をテーマにしたオンラインフォーラムを開催しました。このフォーラムには、地域内の20カ国から200名以上の若者が参加しました。このフォーラムでは、AIの発展が人権に与える影響について、地域の文脈に即した議論が行われました。

具体的な事例として、ブラジルのサンパウロ市で導入された顔認識技術を用いた犯罪予防システムが取り上げられました。このシステムの有効性と、プライバシー侵害のリスクについて活発な議論が行われ、技術の導入におけるインパクトアセスメントの重要性が指摘されました。

また、キューバの参加者からは、AIによる表現の自由への影響について問題提起がありました。具体的には、ソーシャルメディアプラットフォームのコンテンツモデレーションにAIが使用されることで、政治的な表現が不当に制限される可能性が指摘されました。

フォーラムの成果として、参加者たちは『ラテンアメリカ・カリブ海地域におけるAIと人権に関するユース宣言』を採択しました。この宣言には、AIの開発と利用における人権尊重の原則、AIリテラシー教育の重要性、AIガバナンスへの若者の参画促進などが盛り込まれています。

さらに、Youth IGFでは、ジェンダーバランスにも注力しています。2023年のプログラムでは、全てのパネルディスカッションで男女同数のスピーカーを実現しました。また、『Women in Tech』シリーズを立ち上げ、地域内のテクノロジー分野で活躍する女性リーダーのインタビューを定期的に配信しています。例えば、アルゼンチンのAIスタートアップの女性CEOや、ジャマイカのサイバーセキュリティ専門家など、多様なロールモデルを紹介しています。」

3.6 LACIGFの活動再開

ラテンアメリカ・カリブ海地域IGF(LACIGF)の活動再開について、ラウル・エチェベリア氏から報告がありました:

「LACIGFは、コロナ禍の影響で一時的に活動を休止していましたが、2023年に入り、徐々に活動を再開しています。再開にあたっては、LACIGFの体制を見直し、より多様なステークホルダーが参加できるよう努めました。

具体的には、プログラム委員会のメンバー構成を刷新し、従来は十分に代表されていなかったカリブ海地域や中小企業セクターからの参加を増やしました。例えば、ジャマイカのテクノロジー省や、トリニダード・トバゴの中小企業協会からの代表者が新たに加わりました。

2023年12月4日から5日にかけて、ボゴタで開催予定の年次会合では、『デジタル時代の包摂的発展:機会と課題』をメインテーマに設定しています。このテーマの下、以下のようなセッションを計画しています:

  1. デジタル経済における中小企業支援: ペルーのリマで成功を収めた『デジタルマーケットプレイス』プロジェクトの事例を取り上げます。このプロジェクトでは、地元の中小企業1,000社以上がオンラインプラットフォームに参加し、コロナ禍での売上維持に成功しました。
  2. カリブ海地域のデジタルレジリエンス: ハリケーンなどの自然災害が頻発するカリブ海地域において、通信インフラのレジリエンス強化がどのように進められているかを議論します。例えば、ドミニカ共和国で導入された衛星通信とメッシュネットワークを組み合わせた災害時通信システムの事例を紹介する予定です。
  3. 先住民のデジタル包摂: ボリビアのアイマラ語コミュニティで実施された『デジタルストーリーテリング』プロジェクトを取り上げます。このプロジェクトでは、先住民の若者たちがデジタル技術を活用して伝統文化を記録・発信する取り組みが行われました。
  4. データガバナンスと越境データ流通: メルコスール(南米南部共同市場)におけるデータ保護法の調和化の動きについて議論します。アルゼンチン、ブラジル、ウルグアイ、パラグアイの4カ国で進められている法制度の整合性確保の取り組みを紹介する予定です。

これらのセッションを通じて、LACIGFは地域の多様な声をグローバルなインターネットガバナンスの議論に反映させるとともに、地域内での知見の共有と協力関係の強化を図っていきます。」

4. マルチステークホルダープロセスの重要性

ワークショップ全体を通じて、マルチステークホルダープロセスの重要性が繰り返し強調されました。参加者たちは、インターネットガバナンスにおいて多様な利害関係者の参画が不可欠であることを指摘しました。

4.1 多様なステークホルダーの参画

ブラジルのビア・バルボーザ氏は、ブラジルIGFにおけるマルチステークホルダーの参画について次のように述べています:

「ブラジルIGFでは、市民社会、企業、政府など、多様なステークホルダーの参加を重視しています。例えば、2023年のブラジルIGFでは、プログラム委員会のメンバー構成を見直し、従来は十分に代表されていなかった先住民コミュニティや障害者団体からの参加を増やしました。

具体的には、アマゾン地域の先住民団体『Coordenação das Organizações Indígenas da Amazônia Brasileira (COIAB)』の代表者をプログラム委員会に招き、デジタル包摂に関するセッションを企画しました。このセッションでは、先住民言語でのインターネットコンテンツ制作支援や、遠隔地でのインターネットアクセス確保など、具体的な課題と解決策が議論されました。

また、ブラジル障害者権利協会とも連携し、ウェブアクセシビリティをテーマにしたワークショップを開催しました。このワークショップでは、視覚障害者や聴覚障害者が実際にウェブサイトやアプリを使用する様子をデモンストレーションし、開発者や政策立案者の理解を深めることができました。」

4.2 オープンで協働的なプロセス

マルチステークホルダープロセスにおいては、オープンで協働的なアプローチが重要だと指摘されました。

エクアドルのカルロス・ベラ氏は、ISOCエクアドールチャプターの活動におけるオープンで協働的なアプローチについて次のように述べています:

「私たちの活動は、常にオープンで協働的であることを心がけています。例えば、2023年に実施した『デジタル権利アウェアネス・キャンペーン』では、キャンペーンの企画段階から様々なステークホルダーを巻き込みました。

具体的には、キャンペーンの内容を検討するワーキンググループを設置し、デジタル権利NGO、弁護士会、ジャーナリスト協会、教育者団体などの代表者に参加してもらいました。このワーキンググループでは、エクアドルの文脈に即したデジタル権利の課題を洗い出し、それぞれの専門性を活かした啓発活動のアイデアを出し合いました。

その結果、法律専門家による『デジタルプライバシー保護法』の解説セミナー、ジャーナリストを対象とした『デジタル時代の取材と表現の自由』ワークショップ、教育者向けの『デジタルシチズンシップ教育』研修など、多様なステークホルダーのニーズに応じたプログラムを展開することができました。

このようなオープンで協働的なアプローチにより、キャンペーンの内容をより充実させるとともに、各ステークホルダーのネットワークを通じた広範な普及が可能になりました。」

4.3 地域からグローバルな議論への貢献

地域レベルのインターネットガバナンス活動が、グローバルな議論に貢献することの重要性も指摘されました。

中米IGFのリア・エルナンデス氏は次のように述べています:

「中米IGFを通じて、私たちは中米地域の声をグローバルなインターネットガバナンスの議論に届けていきたいと考えています。例えば、2023年の第1回中米IGFで議論された『中小企業のデジタル化』に関する知見を、グローバルIGFのセッションで共有する予定です。

具体的には、エルサルバドルの中小企業支援機関SEPESCと連携して実施した『デジタル採用状況調査』の結果を発表します。この調査では、中米6カ国の中小企業1,000社を対象に、デジタル技術の採用状況と課題を調査しました。調査結果からは、デジタルスキル不足や資金調達の困難さが主な障壁となっていることが明らかになりました。

これらの知見を共有することで、グローバルな議論に中小企業の視点を反映させるとともに、他の地域との比較や協力の可能性を探ることができると考えています。例えば、アフリカ地域IGFとの間で、中小企業のデジタル化支援に関するベストプラクティスの交換を計画しています。

また、中米地域特有の課題として、ハリケーンなどの自然災害に対するデジタルレジリエンスの問題があります。2023年のハリケーン・ジュリアの経験を踏まえ、災害時のインターネット接続維持に関する提言をまとめ、グローバルIGFの『災害とインターネット』セッションで発表する予定です。これにより、気候変動の影響を受けやすい地域の視点をグローバルな議論に反映させることができると考えています。」

5. 結論

5.1 地域内の連携強化

ワークショップの参加者たちは、ラテンアメリカ・カリブ海地域内での連携強化の重要性を強調しました。

ニコラス・アントニオ・カマーゴ氏は次のように述べています:

「このワークショップを通じて、ラテンアメリカ・カリブ海地域の各国・地域のインターネットガバナンスに関する取り組みを共有することができました。今後は、これらの活動間の連携をさらに強化していくことが重要です。

具体的な取り組みとして、2024年から『LATAM IGF Network』を立ち上げる予定です。これは、地域内の各国IGF、Youth IGF、LACIGFなどが定期的に情報交換を行うプラットフォームです。例えば、四半期ごとにオンライン会議を開催し、各イニシアチブの活動報告や課題の共有、共同プロジェクトの検討などを行います。

また、地域内の知識共有を促進するため、『LATAM IGF Resource Hub』の構築も計画しています。これは、各国のインターネットガバナンスに関する法制度、ベストプラクティス、ケーススタディなどを集約したオンラインデータベースです。例えば、ブラジルの『マルコ・シビル』(インターネット権利章典)やコロンビアの『デジタル変革法』など、地域内の先進的な取り組みを他国が参照できるようになります。

これらの取り組みにより、地域内での知見の共有と協力関係の強化を図り、ラテンアメリカ・カリブ海地域全体としてのインターネットガバナンス能力の向上を目指します。」

5.2 グローバルな議論への積極的な参画

参加者たちは、ラテンアメリカ・カリブ海地域がグローバルなインターネットガバナンスの議論に積極的に参画することの重要性も強調しました。

コロンビアのフリアン・カサス・ブエナス氏は次のように述べています:

「私たちは、グローバルな議論に積極的に参画し、ラテンアメリカ・カリブ海地域の声を届けていくことが重要だと考えています。そのために、2024年から『LATAM IGF Global Engagement Program』を開始する予定です。

このプログラムでは、地域内の若手研究者や実務家を対象に、グローバルなインターネットガバナンスフォーラムへの参加支援を行います。具体的には、グローバルIGFやインターネット技術標準化団体(IETF、ICANN)の会合への渡航費用の補助、事前研修の実施、メンターによるサポートなどを提供します。

例えば、2024年のグローバルIGFでは、このプログラムを通じて選抜された10名の若手代表者が、ラテンアメリカ・カリブ海地域の視点を反映したセッション提案や発表を行う予定です。テーマとしては、『デジタル包摂と地域開発』『AIガバナンスにおける南北格差』『気候変動とデジタルレジリエンス』などを検討しています。

また、IETFやICANNの会合にも若手技術者を派遣し、インターネットの技術標準化プロセスにおける地域の参画を促進します。これにより、例えば多言語ドメイン名の実装や、新興国のニーズに即したプロトコル開発などに貢献することを目指しています。

これらの取り組みを通じて、ラテンアメリカ・カリブ海地域の声をグローバルな議論に反映させるとともに、次世代のインターネットガバナンスリーダーの育成を図ります。」

5.3 今後の展望

ワークショップの締めくくりとして、LACIGFのラウル・エチェベリア氏が今後の展望について次のように述べました:

「ラテンアメリカ・カリブ海地域のインターネットガバナンスは、今まさに転換点を迎えています。地域内の連携強化とグローバルな議論への積極的な参画を通じて、私たちは地域の声をより強く、より効果的に発信していく必要があります。

今後5年間の重点課題として、以下の3点を提案したいと思います:

  1. デジタル包摂の促進: 地域内のデジタルデバイドを解消し、誰もがデジタル経済の恩恵を享受できる環境を整備することが急務です。例えば、LACIGFでは『Digital Inclusion Index』を開発し、各国のデジタル包摂の進捗を定期的に評価・公表する予定です。これにより、政策立案者や民間セクターの取り組みを促進します。
  2. AIガバナンスフレームワークの構築: AIの急速な発展に対応し、地域の文脈に即したAIガバナンスフレームワークを構築する必要があります。2025年までに、『LATAM AI Governance Principles』を策定し、各国の政策立案の指針とすることを目指します。このプロセスでは、先住民の権利保護や、言語的多様性の尊重など、地域固有の課題に特に注目します。
  3. サイバーレジリエンスの強化: 気候変動の影響や地政学的リスクが高まる中、地域のサイバーレジリエンスを強化することが重要です。2026年までに、『LATAM Cyber Resilience Strategy』を策定し、国境を越えた協力体制の構築や、重要インフラの保護に関するベストプラクティスの共有を進めます。

これらの課題に取り組むにあたっては、マルチステークホルダーアプローチを堅持し、政府、民間セクター、市民社会、技術コミュニティの協力を促進していきます。また、ユースの参画を特に重視し、次世代のリーダー育成にも力を入れていきたいと考えています。

ラテンアメリカ・カリブ海地域は、その多様性と創造性を強みとして、グローバルなインターネットガバナンスに独自の貢献ができると信じています。私たちの取り組みが、より包摂的で持続可能なデジタル社会の実現につながることを期待しています。」

この発言に続いて、参加者たちは拍手で賛同の意を示し、今後の協力に向けた決意を新たにしました。ワークショップは、ラテンアメリカ・カリブ海地域のインターネットガバナンスの未来に対する希望と期待に満ちた雰囲気の中で締めくくられました。

このIGF 2023 - Day 0 - Workshop 8は、ラテンアメリカ・カリブ海地域のインターネットガバナンスにとって、新たな協力関係と具体的なアクションの出発点となりました。地域内の連携強化、グローバルな議論への積極的な参画、そして次世代のリーダー育成に向けた様々なイニシアチブが提案され、参加者たちは今後の展開に大きな期待を寄せています。

ここで議論された具体的な取り組みや提案が、今後のラテンアメリカ・カリブ海地域のインターネットガバナンスの発展を牽引し、ひいてはグローバルなインターネットの未来に貢献していくことが期待されます。マルチステークホルダーアプローチの重要性が再確認され、多様性と包摂性を重視した取り組みが推進されることで、地域の声がより強く、より効果的にグローバルな議論に反映されていくでしょう。

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